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登記の勉強と情報コミュの取得時効の基本問題

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http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/jikou-62.html
AがBの所有地を長期間占有している場合の時効取得に関する次のそれぞれの記述は,

民法の規定及び判例によれば○か,×か。(平成4年・問4)

1.「Aが善意無過失で占有を開始し,所有の意思をもって,平穏かつ公然に7年間占有を続けた後,Cに3年間賃貸した場合,Aは,その土地の所有権を時効取得することはできない。」

2.「Aが善意無過失で占有を開始し,所有の意思をもって,平穏かつ公然に7年間占有を続けた後,その土地がB所有のものであることを知った場合,Aは,その後3年間占有を続ければ,その土地の所有権を時効取得することができる。」


3.「Aが善意無過失で占有を開始し,所有の意思をもって,平穏かつ公然に7年間占有を続けた後,BがDにその土地を売却し,所有権移転を完了しても,Aは,その後3年間占有を続ければ,その土地の所有権を時効取得し,Dに対抗することができる。」

4.「Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても,その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは,Bが賃料を請求せず,Aが支払っていないとしても,Aは,その土地の所有権を時効取得することができない。」


コメント(34)



【正解】

1 2 3 4
× ○ ○ ○


1.「Aが善意無過失で占有を開始し,所有の意思をもって,平穏かつ公然に7年間

占有を続けた後,Cに3年間賃貸した場合,Aは,その土地の所有権を時効取得す

ることはできない。」


【正解:×】


◆代理占有

   Aは善意無過失で占有を開始

 A自身の占有7年 +  Cによる代理占有3年 =  10年間

 所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の不動産を占有した者が、占有の開始の時に善意無過失であれば、10年で時効取得することができます。(民法第162条2項)

 この占有には、他人に賃貸したなど“代理占有”も含まれ(第181条)、したがってAがCに3年間賃貸しても、Aは所有の意思まで放棄したわけではなく、通算10年経過すれば時効取得できます。



2.「Aが善意無過失で占有を開始し,所有の意思をもって,平穏かつ公然に7年間

占有を続けた後,その土地がB所有のものであることを知った場合,Aは,その後

3年間占有を続ければ,その土地の所有権を時効取得することができる。」


【正解:○】


◆善意・無過失は占有開始時点で判断する

 Aは善意無過失で占有を開始

 A自身の占有7年
 善意・無過失
+  A自身による占有3年
 悪意
=  10年間

 「始め良ければすべて良し」・・・というわけではありませんが、占有開始時に“善意無過失”であれば、たとえ占有開始後に悪意者(他人物と気がついた)となっても、通算10年経過すれば時効取得することができます(第162条2項)。


 例えば、自分の土地と信じて建物を建てたのに、1年後に他人の土地であると気がついても、その後9年間占有を継続すれば時効取得できます。



3.「Aが善意無過失で占有を開始し,所有の意思をもって,平穏かつ公然に7年間

占有を続けた後,BがDにその土地を売却し,所有権移転を完了しても,Aは,

その後3年間占有を続ければ,その土地の所有権を時効取得し,Dに対抗すること

ができる。」

【正解:○】


◆時効完成前に土地が譲渡されたとき

  Aは善意無過失で占有を開始

 A自身の占有7年
 (登記名義人B)
+  A自身の占有3年
 (登記名義人D)
=  10年間

 判例によれば、時効取得した者は、その登記がなくても、時効により権利を失う者に対して所有権を主張することができます。


 また、時効が完成する“前”にBからDその他に所有権が移転されても、それには関係なく、Aは、時効完成時点の登記名義人Dに対して、時効取得を主張できます。


 つまり、B名義がD名義になっただけであり、AとDとの関係は、Aの占有につき当事者関係であって、登記がなければ対抗できない第三者の関係(第177条関連)ではありません。

       【売買】            【時効】


 B(権利者)────→D(第三者)─────→A     


              登記            (時効取得者) 

             DがBから購入       時効完成

  ―――――――――●――――――――――●――

<関連>


なお、時効が完成した“後”にBがDにその土地を売却したときは、二重売買と同じ関係となり、Aはその登記(時効による原始取得の登記or時効取得による移転登記)がなければ、Dに対抗できません(先に登記をした方の勝ち)。→平成13年・問5・肢4に出題

              時効完成          DがBから購入

  ―――――――――●――――――――――●―――

             A(取得時効完成)
           /          
 B(元の所有者)
           \
             D(譲受人)



4.「Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても,その占有が賃借権

に基づくもので所有の意思がないときは,Bが賃料を請求せず,Aが支払っていない

としても,Aは,その土地の所有権を時効取得することができない。」


【正解:○】


◆他主占有は時効取得できない

 賃借権に基づくAの占有20年
 (他主占有)  ⇒   Aは、その土地の所有権を
 時効取得することはできない

 Bが賃料の請求をしていないことやAが賃料の支払をしていないことなどとは関係なく、Aの占有の開始が所有の意思ではなく、賃借権に基づくものなのでAの占有は時効取得の要件である自主占有とは言えません。(他主占有)

 したがって、Aは、自主占有に変更しない限り〔以後その土地を自分の所有地として占有する旨をBに明示して占有を続けるか、新権原により所有の意思をもって占有を開始すること〕、今後、何年占有していても時効取得することはできません。(第162条)



所有権の取得時効

      条文  対象
162条1項 20年間所有の意思を以て平穏且公然に他人の物を占有し
たる者は其所有権を取得す。
他人の物
162条2項 10年間所有の意思を以て平穏且公然に他人の不動産を
占有したる者が其占有の始善意にして且過失なかりしときは

其不動産の所有権を取得す。
他人の不動産

※通説では、162条2項は、不動産だけでなく、動産にも類推適用すべきとしています。

所有権以外の財産権の取得時効

163条 所有権以外の財産権を自己の為めにする意思を以て平穏且公然に行使する
者は前条の区別に従い20年又は10年の後其権利を取得す。

通説
判例
(1) 地上権・永小作権
(2) 地役権(283条)

   地役権は継続且表現のものに限り時効に因りて之を取得することを得。

(3) 賃借権



●時効取得を主張するには・・・

(1) 「所有の意思」「善意」「平穏」「公然」は推定されます(186条1項)。

つまり、「所有の意思がないこと」や「悪意」を真実の権利者が証明しなければならないわけです。(立証責任の転換)

(2) また、占有の始期と終期を証明すれば、その間占有が継続したものと推定されます(186条2項)。


(3) 結局、162条1項の時効取得を主張する者は、「占有を開始した時期」と「現在も占有している」事実だけを証明すれば足ります。

(4) 162条2項の時効取得を主張する者は、この他「無過失」を証明すればいいわけです。

「無過失」は推定されません(判例)


 【無過失とされる例】 登記簿を見て登記名義人から買い受けた場合

 【過失があるとされる例】 

・登記簿を見なかったため、登記名義人が売主とは別人であることに気がつかなかった。

・登記簿の名義人が売主と別人であることを知ってはいたが、よく確認しないまま買い受けた。



http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/jikou-ans3.html

◆代理占有

   Aは善意無過失で占有を開始

 A自身の占有7年 +  Cによる代理占有3年 =  10年間

 所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の不動産を占有した者が、占有の開始の時に善意無過失であれば、10年で時効取得することができます。(民法第162条2項)

 この占有には、他人に賃貸したなど“代理占有”も含まれ(第181条)、したがってAがCに3年間賃貸しても、Aは所有の意思まで放棄したわけではなく、通算10年経過すれば時効取得できます。

http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/jikou-62.html
取得時効の基本の過去問アーカイブス 昭和62年・問8


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BはA所有の土地を占有している。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。(昭和62年・問8)

1.「Bはこの土地がA所有のものであることは知っていたが,占有を続け,ついにこの土地の所有権を時効により取得した。この場合において,Bが所有権を取得した時点は,時効が完成したときである。」

2.「Bはこの土地を賃借権に基づき占有していたが,今までに一度もAより賃料を請求されたことがない。この場合において,Bはこの土地の占有を20年間継続しさえすれば,時効により所有権を取得することができる。」


3.「Bはこの土地を自己所有のものと過失なく信じて占有を開始したが,5年後にこの土地が実はA所有のものであることをA,Bとは無関係の第三者Cより教えられて知った。この場合において,Bは占有を開始した時より20年間占有を継続しなければ,この土地の所有権を時効取得することはできない。」

4.「Bはこの土地を自己所有のものと過失なく信じて占有を開始した。5年後にAはBに対し,この土地を明渡すよう裁判によらずして催告したが,その後5年間AはBに対し何もせずに放置した。この場合において,Bが当該催告を無視して占有を続けていたならば,Bのための取得時効はAの催告によって中断されたことにはならない。」




【正解】

1 2 3 4
× × × ○
1.「Bはこの土地がA所有のものであることは知っていたが,占有を続け,ついにこの土地の所有権を時効により取得した。この場合において,Bが所有権を取得した時点は,時効が完成したときである。」

【正解:×】


◆取得時効の効果

 取得時効が完成し援用されると、占有者は、時効期間の開始時(起算日)に遡って所有権を取得します。

▼このほかの取得時効の効果は次のようなものです。

・本来の(真実の)権利者(とされてきた者)は、従来有していた所有権を失う。

・当該物件上に設定されていた他人の権利(抵当権など)はすべて消滅。この結果、何の負担もまた制限もない所有権が占有者に帰属することになります。

●類題
取得時効による権利の取得は,時効期間の満了により当然確定的に生ずる。
【正解 : ×】
 時効の効果は、時効完成によって当然に生じるものではありません。

時効の効果は,当事者が援用することによって確定的に生じます。(判例)

 したがって、時効期間が満了しただけでは,まだ確定的に時効の効果は生じません。

 時効期間の満了 +  当事者が援用  →  取得時効による権利の取得

2.「Bはこの土地を賃借権に基づき占有していたが,今までに一度もAより賃料を請求されたことがない。この場合において,Bはこの土地の占有を20年間継続しさえすれば,時効により所有権を取得することができる。」


【正解:×】


◆賃借権による占有は時効取得の対象外

 取得時効の要件として『自主占有』があります。自主占有とは、「自ら所有の意思をもってする占有」のことで、目的物を第三者に賃貸した場合でも自主占有は継続します。(代理占有,または間接占有)

 しかし、賃借権に基づいての占有はこの自主占有にはあたらず、『他主占有』と呼ばれています。

 したがって、借りたままの状態で何年経過しようと取得時効は完成しません。

3.「Bはこの土地を自己所有のものと過失なく信じて占有を開始したが,5年後にこの土地が実はA所有のものであることをA,Bとは無関係の第三者Cより教えられて知った。この場合において,Bは占有を開始した時より20年間占有を継続しなければ,この土地の所有権を時効取得することはできない。」

【正解:×】


◆途中から悪意・過失という事情があっても、開始時で判断する

 平穏・公然と自主占有が10年間継続し、占有を開始したときに善意・無過失ならば、取得時効が完成します。開始したときに善意無過失で、その後に悪意あるいは過失になったような場合でも、取得時効の完成には影響を受けません。(162条2項)

 したがって、本肢の場合は、開始時点で善意無過失だったので、占有後10年で時効取得します。

▼占有(判例・通説)

 ・取引や契約によらない場合−自己が所有者であると誤信

 ・取引や契約による場合−無効な売買・贈与契約などに基づく占有

●類題
AがB所有の土地を自己の所有と誤信して5年間占有した時点で,その土地がBの所有であることに気づいたが,これを自己の所有であると称してCに売却し,Cが5年間占有した場合,CがBの土地を時効取得する可能性はない。
【正解:×】
 平穏・公然と自主占有が10年間継続し、占有を開始したときに善意・無過失ならば、取得時効が完成します。開始したときに善意無過失でも、その後に悪意あるいは過失になったような場合でも、取得時効の完成には影響を受けません。

 Cは、自身の占有と前主のAの占有も併せて主張できます。Aは途中から悪意になり、Cの善意・悪意は不明ですが、Aの占有開始時点では善意であったため、Cは併せて10年で時効取得しうることになります。(187条2項)

 A自身の占有5年
 占有開始時は善意
+  Cによる占有5年
 Cの善意・無過失は不明
=  10年間



●類題
AがBから土地を買い受け,占有開始後はじめてその契約の無効を知った場合は,その時点から取得時効は進行する。
【正解 : ×】
 取得時効は占有開始の時点からです。

この場合、AがBから土地を買い受け,占有開始した時点では、Aは善意無過失であり、10年間占有し続ければ時効取得します。

4.「Bはこの土地を自己所有のものと過失なく信じて占有を開始した。5年後にAはBに対し,この土地を明渡すよう裁判によらずして催告したが,その後5年間AはBに対し何もせずに放置した。この場合において,Bが当該催告を無視して占有を続けていたならば,Bのための取得時効はAの催告によって中断されたことにはならない。」


【正解:○】


◆『裁判外での催告』が時効中断となる場合

 時効の中断事由となるのは、原則として、裁判上の請求またはそれに準じるものです。

 裁判によらずに請求を行った場合は「催告」として扱われ、当面、その時点で時効中断が生じますが、6カ月以内にあらためて裁判上の請求等を行わないと、時効は中断されなかったことになります。(民法153条)

 催告の後の確定判決や裁判上の和解・調停などによって確定したときは、訴訟提起時ではなく、催告時に時効中断します。

◇裁判所での権利行使

・「裁判上の請求」(民法147条1号,148〜153条)〔請求訴訟だけとは限らずに、裁判所の判断の対象となり判決の主文に書かれたものも含む。〕

  → 訴えの提起時に時効は中断。ただし,訴えの取り下げや却下があったときは時効中断の効力は生じません。(民法149条)

・「差押,仮差押または仮処分」(民法147条2号,154条,155条)

  → 申し立ての取り下げや法律違反により取り消されたときは時効中断の効力は生じません。(民法154条)

□支払督促をして仮執行宣言の申立て・調停の申立て・和解のための呼出または任意出頭・破産手続参加なども時効中断事由になります。

◇債務者自身の承認

・「承認」(民法147条3号,156条)

  → 文書・口頭など形式を問わない。時効利益の主張と相反する行為も含む。(債務の一部弁済、利息の支払い等)

  → 物上保証人や保証人が債務の承認をしても効力は生じない。

  → 未成年者・成年被後見人は単独では承認はできない。被保佐人は単独で承認することができる。





●取得時効
・不動産・動産の所有権(126条2項では,不動産の占有を規定してますが,取引によらない動産の占有の場合でも適用されると通説では考えられています。⇔取引によって動産の占有を善意・無過失で始めたときは,民法192条により即時に所有権を取得します。)
・所有権以外の財産権−“物権”だけではなく,“債権”にもある。

 真実の権利者ではなくても,特定の財産権を時効期間、平穏かつ公然と継続して行使した者は時効によって当該権利を取得することができます。(163条)

 (1) 地上権(265条),永小作権(270条)

 (2) 地役権(283条)−継続かつ表現のもの

 (3) 土地の賃借権(601条),使用借権(593条)


▼債権は原則として取得時効にはなじまないとされていますが,独占的なもの・排他性のあるものについては取得時効が認められる場合があります。

 例えば,土地の賃借権は債権ですが、判例によって認められています。判例では,借地契約が成立して後にその契約が無効とされても,

・他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在する

・その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されている


この要件が二つとも具備されているときは,賃借権の取得時効がありうるとされています。(最高裁・昭和43.10.8,昭和45.12.15,昭和52.9.29など)

 土地の所有者から土地を買い受けてその所有権を取得したと称する者Aから土地を賃借した賃借人Bが、賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、Aに対し賃料を支払っているなどの事情がある場合では、その土地の賃借人Bは、民法163条の時効期間の経過により、所有者に対して土地の賃借権を時効取得することができる。

 (最高裁・昭和62.6.5)

http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/jikou-62.html
取得時効の基本の過去問アーカイブス 平成10年・問2


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【正解】

1 2 3 4
× × ○ ×


所有の意思をもって,平穏かつ公然にA所有の甲土地を占有しているBの取得時効に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。(平成10年・問2)

1.「Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し,Bが相続によりその占有を承継した場合でも,B自身がその後5年間占有しただけでは,Bは,時効によって甲土地の所有権を取得することができない。」

2.「Bが2年間自己占有し,引き続き18年間Cに賃貸していた場合には,Bに所有の意思があっても,Bは,時効によって甲土地の所有権を取得することができない。」


3.「DがBの取得時効完成前にAから甲土地を買い受けた場合には,Dの登記がBの取得時効完成の前であると後であるとを問わず,Bは,登記がなくても,時効による甲土地の所有権の取得をDに対抗することができる。」

4.「取得時効による所有権の取得は,原始取得であるが,甲土地が農地である場合には,Bは,農地法に基づく許可を受けたときに限り,時効によって甲土地の所有権を取得することができる。」




1.「Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し,Bが相続によりその占有を承継した場合でも,B自身がその後5年間占有しただけでは,Bは,時効によって甲土地の所有権を取得することができない。」
【正解:×】


◆占有の承継による取得時効

 Bの父親の占有15年 +  B自身の占有5年 =  20年間

 Bは、前主であるBの父の15年間の占有と自己の5年間の占有を併せて20年間になるので、たとえBの父親が悪意・有過失であったとしても時効取得を主張できます。

▼現在の占有者は、承継したその前主(以前の占有者。直前の前主に限らず、それに先立つ全ての前主の誰からでも選択できる。)の占有期間も併せて時効による取得を主張することができます。ただし、前主の占有を併せて主張する場合は、その『瑕疵』(=悪意・過失)も承継します。



2.「Bが2年間自己占有し,引き続き18年間Cに賃貸していた場合には,Bに所有の意思があっても,Bは,時効によって甲土地の所有権を取得することができない。」


【正解:×】


◆代理占有

 B自身の占有2年 +  Cによる代理占有18年 =  20年間

 取得時効の要件は自主占有ですが、賃借人による代理占有も自主占有に含まれます。(181条)

 Bは、所有の意思をもって占有しており、B自身による占有2年間と賃借人Cによる代理占有18年間の合わせて20年間自主占有していることになるので、たとえBが悪意であったとしても、時効取得を主張できます。

●類題
所有権の取得時効の要件たる占有は自己占有に限り,代理占有を含まない。
【正解 : ×】
取得時効の要件は自主占有ですが、賃借人による代理占有も自主占有に含まれます。(181条)



3.「DがBの取得時効完成前にAから甲土地を買い受けた場合には,Dの登記がBの取得時効完成の前であると後であるとを問わず,Bは,登記がなくても,時効による甲土地の所有権の取得をDに対抗することができる。」

【正解:○】


◆取得時効完成前の第三者には登記がなくても対抗できる  

  
   Dが購入 Dが所有権移転登記 時効完成  
 ――●―――●―――――――――●――――→

  

   Dが購入  時効完成  Dが所有権移転登記
 ――●――――●――――――――●――――→

 Bの取得時効完成前に第三者DがAから甲土地を買い受けた場合は、Bは登記がなくても、時効による甲土地の所有権の取得をDに対抗することができます。(最高裁・昭和41.11.22)

 この場合は、Bの取得時効完成の後にDが移転登記したとしても、Bは、時効による取得をDに主張することができます。(最高裁・昭和42.7.21)

 → Dの移転登記が、Bの取得時効完成の前か後かには、関係ない。

●時効完成後の第三者
◆取得時効完成後の第三者には登記がないと対抗できない 
 →平成13年・問5・肢4に出題

  時効完成  Dが購入
 ――●―――――●――――→

 Bの取得時効完成後に、第三者DがAから甲土地を買い受けた場合は、Aによって二重譲渡があったのと同じように考えて、Bは登記(時効による原始取得or時効取得による移転登記)がないと、時効による取得をDに対抗することができません。先にDが移転登記してしまうともはやBは時効取得を主張できなくなります。(大審院・大正14.7.8)

             B(取得時効完成)
           /          
 A(元の所有者)
           \
             D(譲受人)


 ただし、Dが移転登記した後も占有し続けて取得時効に必要な期間が経過すれば、再び時効をDに主張することができます。(最高裁・昭和36.7.20)

4.「取得時効による所有権の取得は,原始取得であるが,甲土地が農地である場合には,Bは,農地法に基づく許可を受けたときに限り,時効によって甲土地の所有権を取得することができる。」


【正解:×】


◆農地法は関係ない

 確かに、農地の権利移動には農地法第3条または第5条の許可が必要ですが、時効取得とは無関係です。農地法の許可がなくても、自主占有して取得時効に必要な期間が経過すれば、取得時効は完成します。

▼原始取得

 物権の取得原因の一つで、『相続・売買・設定契約などの承継取得』と対比されます。

・新しいモノができたことによって取得したこと。

・前主の権利を前提にしないで、前主やその権利とは無関係に物権を取得したこと。

→ 原始取得は、時効取得のほかには、無主物先占(239条)、遺失物の拾得(240条)、埋蔵物の発見(241条)、不動産の附合(242条)、即時取得、土地の収用による取得など。

●取得時効が援用される場面の例
 取得時効を初めて学習したときには、「自分の土地がギャングみたいな奴に占拠されていることを10年間・20年間も真実の権利者が気がつかないなんて、そんなバカなことがあり得るのか?時効取得なんて本当にあるのか?」と思うはずです。しかし、取得時効の活躍する、下記の代表的な三つの例をご覧になればその疑問は氷解します。
・二重譲渡のタイプ

        A(買主)・・・・・時効取得を主張
      /          
 B(売主)
      \
        C(第二譲受人) 移転登記


 Aは,Bから不動産を買って引渡しを受け占有をし続けていたが移転登記をしていなかった。このことに目をつけた元の売主Bが第三者Cに二重譲渡してCに移転登記した。

 → 通常の二重譲渡ならば、すでに移転登記を終えているCに対してAは対抗できませんが、Cへの譲渡が、Aの取得時効完成前ならば、Aは登記なくしてCに対抗することができます。このため、Aは売買契約による移転よりも、時効による取得を主張したほうが有利だということになります。

・契約無効or非認定

   B(売主,登記名義人)――――A(買主)

 贈与・売買契約が無効であった,または,贈与・売買契約の存在を立証できないにもかかわらず,登記名義人Bがその後明渡し請求など有効な措置をしてこなかったのでAは占有をし続けてきた。

・境界線が不明

 DはD所有の土地・甲をCに売却したが,その後Cが占有した土地の一部には,DがCに売却していない土地・乙が含まれていた。Cはこのことに気がつかないまま,Cはずっと占有をし続けた。

http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/jikou-10.html
取得時効 【しゅとくじこう】
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他人の所有しているものを自ら所有者のように占有して一定期間たった場合に、所有権の取得を認める制度。何の争いもなく公然と所有する意思を持って支配していれば、最初から自分のものだと信じている「善意無過失」の場合は10年、他人のものだと知っている場合でも20年で取得時効が完成する。占有開始後に第三者に賃貸しても占有は継続する。裁判上の明け渡し請求や、差押えなどの時効の中断事由がない限り、時効は成立する。
時効の過去問アーカイブス 取得時効 平成16年・問5


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A所有の土地の占有者がAからB,BからCと移った場合のCの取得時効に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。 (平成16年・問5)

1.「Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合,当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても,Cは10年の取得時効を主張できる。」
2.「Bが所有の意思をもって5年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合,Cが占有の開始時に善意・無過失であれば,Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず,Cは10年の取得時効を主張できる。」

3.「Aから土地を借りていたBが死亡し,借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても,CはBの借地人の地位を相続するだけなので,土地の所有権を時効で取得することはない。」
4.「Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合,Cの占有が20年を超えれば,Cは20年の取得時効を主張することができる。」



【正解】

1 2 3 4
○ × × ×
http://tokagekyo.7777.net/echo_t1/1605.html
1.「Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合,当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても,Cは10年の取得時効を主張できる。」
【正解:○】初出題


◆占有の承継,善意・無過失の存否は前主の占有開始時点で判断する

 Bは善意無過失で占有を開始

 前主Bの占有8年
 善意・無過失
+  Cの占有2年
 悪意
=  10年間

 占有者の承継人は前主の占有も併せて主張できますが(187条1項),判例では,占有に承継があった場合,占有者の善意・無過失の存否は前主の占有開始時点で判断するとしています。(187条2項,最高裁・昭和53.3.6)

 したがって,前主が占有開始時点で善意・無過失ならば,承継人の善意・悪意を問わず,前主の占有開始から10年の取得時効を主張できます。

▼187条2項では,『前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。』となっています。判例では,187条2項を,<瑕疵があったこと,瑕疵がなかったことも承継する>趣旨であると解しています。

2.「Bが所有の意思をもって5年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合,Cが占有の開始時に善意・無過失であれば,Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず,Cは10年の取得時効を主張できる。」

【正解:×】平成10年・問2・肢1,


◆占有の承継,善意・無過失の存否は前主の占有開始時点で判断する

 Cは善意無過失で占有を開始したが,前主の善意・悪意が不明。

 前主Bの占有5年
 善意・悪意が不明
+  Cの占有5年
 善意・無過失
=  10年間

 Cが占有の開始時に善意・無過失であっても,Cの前の占有者であるBの善意・悪意が不明なので,この問題文のみでは,<Cが10年の取得時効を主張できるかどうか>は判断できません。

 なぜならば,Cが前主Bの占有も併せて主張する場合には,前主Bの瑕疵も承継するので,前主Bが占有開始時点で善意・無過失ならば前主Bの占有開始から10年の取得時効を主張できますが,前主Bが占有開始時点で悪意or有過失ならば前主Bの占有開始から20年を経過しないと取得時効を主張できないからです。

 したがって,<Cが占有の開始時に善意・無過失であれば,Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず,Cは10年の取得時効を主張できる>とする本肢は誤りになります。



3.「Aから土地を借りていたBが死亡し,借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても,CはBの借地人の地位を相続するだけなので,土地の所有権を時効で取得することはない。」
【正解:×】初出題


◆新権原による他主占有から自主占有への転換

 賃貸借契約による占有は他主占有〔所有の意思のない占有〕なので,いくら占有を継続しても所有権を時効取得することはありません。

●他主占有=他人に所有権があることを認めながら占有していること。


 しかし,占有の性質が他主占有から自主占有に変更になった場合は,所有権を時効取得することがありえます。

 ●他主占有が自己占有に転換する場合 (185条)

 (1) 占有者が自己に占有をさせた者に対して自ら所有の意思があることを表示する。

   〔賃借人が賃貸人に対して,今後は賃料を払わず,以後自分のものとして占有
    すると宣言する。ex.農地の小作人について,最高裁・平成6.9.13〕

 (2) 新たな権原(売買や贈与など)により所有の意思をもって占有を始める。

   〔賃貸借契約の目的物について売買契約をして買い取った場合や,
    贈与を受けた場合に,対抗要件の不備・未払金があるなど。〕


 この(2)については,判例により,相続も新権原になるとされ,

 賃借人Bが死亡して,その相続人Cが占有を承継しただけでなく,相続財産として新たに事実上支配することにより占有を開始して所有の意思があると認められる場合には,占有の性質が変更されたとして,新権原による自主占有と認めうる,とされています。(最高裁・昭和46.11.30)〔この場合のCの占有に所有の意思があることの立証責任はCにあるとされる。(最高裁・平成8.11.12)〕

 したがって,借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していた場合に,Cの占有が自主占有であるとしてその土地の所有権を時効により取得することがありえるので,<CはBの借地人の地位を相続するだけなので,土地の所有権を時効で取得することはない>とする本肢は誤りです。



4.
「Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合,Cの占有が20年を超えれば,Cは20年の取得時効を主張することができる。」


【正解:×】昭和62年・問8・肢2,平成4年・問4・肢4,


◆賃借人は,所有権を時効取得することはない

 所有権(*)の時効取得が認められるためには,所有の意思をもった占有〔自主占有〕でなければいけません。

 CがBから土地を借りて利用していた場合,Cは賃貸者契約により土地の利用権を認められているに過ぎず,Cの占有は所有の意思のない占有〔他主占有〕なので,賃貸借契約による占有は所有の意思のない占有〔他主占有〕なので,自主占有に変更して〔以後その土地を自分の所有地として占有する旨をBに明示するか,新権原により所有の意思をもって占有を開始すること〕占有を継続しない限り,土地の所有権を時効取得することはありません。(162条,他主占有から自主占有への転換・185条)

▼本肢では,何の時効取得なのか明示されていませんが,肢1〜肢3が所有権の時効取得であることから,所有権の時効取得についての問題と推測されます。

時効◆取得による所有権◆移転◆登記の登記原因の日付(登研603号)
《所有権◆移転◆登記(その他)》
 ○要旨 ◆時効◆取得による所有権◆移転◆の登記を申請するときの登記原因の日付は、権利者の出生前の日付であっても差し支えない。


 ▽問 甲所有の不動産を乙が所有の意思をもって占有を開始し、乙の死亡後、その相続人丙が占有を承継し、前主乙の占有期間と丙の占有期間を併せて取得◆時効◆が完成した場合、甲から丙へ◆時効◆取得による所有権◆移転◆の登記を申請するときの登記原因の日付は、乙の占有開始の時であって、その日付は丙の出生前の日付であっても差し支えないと考えますがいかがでしょうか。
 ◇答 御意見のとおりと考えます。
2
債権者代位による分筆登記の申請書に添付する代位原因を証する書面(登研578号)
《分筆》《代位登記(代位原因証書)》《判決登記》


 ○要旨 所有権確認判決を債権者代位による分筆登記の申請書に添付する代位原因を証する書面とすることはできない。


 ▽問 1筆の土地の一部を◆時効◆取得した者が、所有権◆移転◆登記請求権に基づいて債権者代位により分筆登記の申請をする場合には、代位原因を証する書面として、

所有権◆移転◆登記手続を命ずる給付判決(◆移転◆する土地の位置・形状が図面で特定されたもの)を添付すべきものと考えますが、所有権の範囲が明らかにされていれば、所有権の確認判決であっても差し支えないものと考えますがいかがでしょうか。
 ◇答 消極に解します。
確定判決と給付判決の違いについて
困り度:
すぐに回答を! 登記の単独申請をするのには確認判決では×で、給付判決なら○でも、所有権保存登記は確定判決であれば○となっています。
この違いとそもそも、確定判決と、給付判決はどう違うのでしょうか?自分は、確認判決は自分の言い分が認められて、給付判決は、裁判所が登記を移せと命じる判決と捕らえているんですが、しっくりきません。
如何せん法律の知識が少ないので、わかる方、教えてください。




確認判決では
「乙は甲に対して,A建物について,所有権移転登記手続きをすることを確認する。」という条項になりますが,通常このような判決をすることはないと思います。
なぜなら,甲は乙に建物の移転登記を求める訴えを提起しているからです。
和解や調停では登記手続きの義務があることを確認する条項を作成する可能性はありますが・・・。

よって,給付判決条項では,
「乙は甲に対して,A建物について,所有権移転登記手続きをせよ」になります。
この給付条項があれば,甲は乙が任意に登記手続きをしない場合に法務局で単独で申請ができます。

いわゆる「意思表示の擬制」というもの。乙は判決が確定したときに登記手続きという意思表示をしたことになります。
よって,登記するときには判決正本の送達証明が必要になります。この場合,執行裁判所という概念がないため,執行分付与は必要ありません。
判決正本と送達証明を法務局へ持っていけばOK。

ただし,登記手続きに条件が付されているような場合,例えば,「甲が乙に対し,100万円支払ったときは,乙は甲に対し,A建物の所有権移転登記手続きをせよ」は,甲が執行文付与機関である裁判所書記官に執行文付与を求めた上で,法務局に手続きに行くことになります。


確認の訴えは、権利や法律関係の存在や不存在を主張して、裁判所にそれを確認する判決を求めるものです。
この場合は権利関係がはっきりするだけで変動しません。

それに対して給付の訴えは相手方の行為を要求する形態の訴訟です。

所有権保存登記は権利の変動はないため確認判決となります。 
3
不在者の財産管理人が登記義務者としてする◆時効◆取得を原因とする所有権◆移転◆の登記申請と裁判所の許可の要否(登研548号)
《添付書面(第三者の許可等)》《所有権◆移転◆登記(総説)》
 

○要旨 不在者の財産管理人が登記義務者として◆時効◆取得を原因とする所有権◆移転◆の登記を申請する場合は、家庭裁判所の許可書の添付を要する。



 ▽問 甲の相続人乙が不在者の場合、甲名義の不動産について、甲生存中に丙の取得◆時効◆が完成したとして、丙が登記権利者、乙の不在者財産管理人丁が登記義務者となって◆時効◆取得を原因とする所有権◆移転◆の登記を申請するときは、家庭裁判所の許可書の添付は要しないものと考えますが、いかがでしょうか。
 


◇答 家庭裁判所の許可書の添付を要するものと考えます。
4
◆時効◆取得による共有持分◆移転◆登記申請と農地法3条の許可の要否(登研548号)
《添付書面(第三者の許可等)》《所有権◆移転◆登記(総説)》
 


○要旨 登記簿上の地目が田となっている甲・乙共有名義の土地について丙が◆時効◆取得したが、乙の相続人である丁が登記申請に協力しないため、甲持分についてのみ甲と丙の共同申請により◆時効◆取得を登記原因として◆移転◆登記の申請をするには、農地法3条の許可書の添付を要しない。


 ▽問 登記簿上の地目が田となっている甲及び乙の共有の土地について、丙が◆時効◆取得したが、乙の相続人である丁が登記申請に協力しないため、甲と丙の共同申請により◆時効◆取得を登記原因として甲持分についてのみ◆移転◆登記の申請をすることができるものとされていますが(登研397号83頁)、この登記の申請書には、農地法3条の許可書の添付を要しないものと考えますが、いかがでしょうか。


 ◇答 御意見のとおりと考えます(参考―昭和38、5、6民事甲1285号民事局長回答、昭和52、8、22民三第4239号民事局第三課長依命通知)。
5
共有持分についての◆時効◆取得を原因とする◆移転◆登記申請(登研547号)
《所有権◆移転◆登記(その他)》

 ○要旨 甲乙丙各3分の1ずつの共有となっている不動産について、甲の持分3分の1についてのみの◆時効◆取得を原因とする丁への甲持分全部◆移転◆の登記申請は、受理される。


 ▽問 甲乙丙各3分の1ずつの共有となっている不動産について、甲の持分3分の1のみを丁が◆時効◆取得したことを原因とした甲持分全部◆移転◆の登記の申請は、受理されるものと考えますが、いかがでしょうか(登研351号93頁(5324)、397号83頁(5874)参照)。
 ◇答 受理されるものと考えます。

次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。  (平成18年・問1)

1.「契約締結交渉中の一方の当事者が契約交渉を打ち切ったとしても、契約締結に至っていない契約準備段階である以上、損害賠償責任が発生することはない。」

2.「民法第1条第2項が規定する信義誠実の原則は、契約解釈の際の基準であり、信義誠実の原則に反しても、権利の行使や義務の履行そのものは制約を受けない。」

3.「時効は、一定時間の経過という客観的事実によって発生するので、消滅時効の援用が権利の濫用となることはない。」


4.「所有権に基づく妨害排除請求が権利の濫用となる場合には、妨害排除請求が認められることはない。」


●出題論点●
 
第一編 総則

   第一章 通則


(基本原則)
第1条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。


2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。


3  権利の濫用は、これを許さない。


(解釈の基準)
第2条  この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。




【正解】

1 2 3 4
× × × ○


 正答率  25.5%


【正解:×】
◆信義誠実の原則,


  契約をするかどうか,どのように契約を締結するかについて交渉している当事者間には,相手方に損失を与えないように注意する義務があるといわれています。


  例えば,相手方が契約が成立することは間違いないと考えて成立締結に備えて準備をしている場合に,こちらから一方的に契約しないと通告したようなときに,相手方に損害が生じれば,損害賠償しなければならないことがあります。


  判例では,

 「契約の交渉段階に入ると,契約が締結されるかどうかに関係なく,相互に相手方の人格や財産を害しない信義則上の義務を負う。
  この信義則に違反して,相手方に損害を及ぼしたときは,契約が締結されないとしても契約責任としての損害賠償責任がある」

 と認めました(最高裁・昭和59.9.18)。

2.「民法第1条第2項が規定する信義誠実の原則は、契約解釈の際の基準であり、信義誠実の原則に反しても、権利の行使や義務の履行そのものは制約を受けない。」

【正解:×】
◆信義誠実の原則


  債務などの義務の履行や権利の行使には,信義誠実の原則が適用され,制約を受けます。義務の履行や権利の行使には,相互の信頼関係が基本になるからです。


  したがって,本肢は誤りです。



3.「時効は、一定時間の経過という客観的事実によって発生するので、消滅時効の援用が権利の濫用となることはない。」
【正解:×】
◆権利の濫用

(時効の援用)

第145条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。



  時効の援用をすることが,場合によっては,信義誠実の原則に違反したり,権利の濫用になることがあります(判例)。


  したがって,本肢は誤りです。



4.「所有権に基づく妨害排除請求が権利の濫用となる場合には、妨害排除請求が認められることはない。」

【正解:○】
◆権利の濫用


  法律で定められた権利を行使するにしても,通常の社会倫理を逸脱して,権利を行使することが,権利の濫用にあたる場合があります(判例)。


  所有権に基づく妨害排除請求が権利の濫用となる場合には、妨害排除請求が認められることはありません。


▼権利を行使することが権利の濫用にあたり,相手方の権利を侵害するのであれば,相手方から逆に損害賠償請求されることにもなりかねません。


http://tokagekyo.7777.net/brush_echo/jikou-62.html

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