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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十五章 盲目5

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十五章 「盲目」5 役人と罪人



何故だ…?何故レナスはあのような暴挙に出たのだ…?
恐らく、ギルガ・ディバインがあの場所から、飛び降りる事を止めるためなのだろうが…。

ならば、他に方法は幾らでもあったはずだ…。
なぜわざわざ、あのような方法を…?


自室に閉じこもっていたスネイプは、頭を抱えていた。
何をどう考えても、レナスの行動が理解不能だったためだ。
どこをどう辻褄を合わせても、レナスが半狂乱に陥り、闇に染まってしまったとしか思えなかった。


どうしても…腑に落ちない。
自身の正体を曝し、何故わざわざ屋上から放り出す必要があった…?いや、半狂乱だったのなら、何も考えられなくなって当然なのだろうが…。レナスの性質を思うと、何も考えずに、そんな暴挙に出たとは思えない。

しかし、…我輩への狼藉は何だ…!?手加減は無く、アバラが2本折れていたそうだ…!!ポピーの治療で数秒もせずに完治したから良かったものを…。

いったい何を考えている…!!?あんな事をすれば、言い逃れなど出来るはずも無いことは解っているだろうに!!!



『 さぁて…スネイプ先生?あんたには、恨みと言う恨みが沢山あるんですよ…どうやって返しましょうか? 』


本当に我輩を恨んでいたのか…?

恨まれて当然だ…。
我輩は、それだけの事をして来ているのだからな…。


本当に、何もかもに絶望した為なのか…?




―― コンコン ――


ノックの音がした。
しかし、返事を待つ事無く、扉が開かれてしまう。


「スネイプ教授!ヴァンパイアの事でお話を伺いたいのですが!!?」


黒いローブを羽織った色白の、ひょろっと背の高い男が、メモ帳に、羽根ペンを押し付けたまま、さも当然の様に部屋に侵入してきた。
その無礼な態度に、スネイプの機嫌が良いわけが無い。


「何ですかな?騒々しい…!」

「貴方は、アノヴァンパイアの指導にあたっていたのですよね?最近変わった様子はありませんでしたか?生徒一人を殺そうとしたのは、やはりあのヴァンパイアが凶暴化したためですよね?貴方もヴァンパイアに殴られたとか?その辺りのお話を聞かせていただきたいのですが?!!証拠を掴みたいのですよ!」


遠慮の欠片も無く、溢れ出る言葉を並べられる。まるで新聞記者のような魔法省役員の詰問に不機嫌を露にするスネイプ。
何より、レナスを【ヴァンパイア、ヴァンパイア】と連呼された事が気に入らなかったらしい。


「我輩がお役に立てる事は、何も無い事と思うが…?」

「しかし、貴方が一番ヴァンパイアを見て来たのですよね?」

「失礼する。我輩は忙しいのだ。」

「しかし、全員に聞いて回っているのですよ!!答えて頂かないと!!」

「失礼する!」


怒りをむき出しにしたが、その男には通用しない物だったらしい。


「まさかとは思いますが…あのヴァンパイアを庇い立てするのですか?!」


自室を出ようとしたスネイプに向けられる言葉。
スネイプは、冷静に解き放った。


「君は、礼儀作法を知らんらしいな…。我輩に事情聴取をしたいのであれば、まずはその態度を改め、顔でも洗ってから出直したまえ!」

「な…!」

「目障りだ…!!」


扉をピシャリと閉め、廊下へと赴く。


≪全く…嘆かわしい…!!この様な無礼な魔法省役人共がウロウロするとは…!!≫


廊下を歩けば、魔法省の役人の姿を必ず見る。
数人の役人がホグワーツに送り込まれ、一人残らず生徒に事情を聴取している。それこそ、廊下でも、教室でも、寮でも。スネイプにとってこれほどうっとおしい事は無かった。

そして、スネイプが通りかかる廊下でも、それは行われた。
背の低い太った役人に対して、意気揚々と話す男子生徒。


「聞いてくださいよ!あのヴァンパイア!時々夜中抜け出して、森でペガサスを襲ってたんですよ?!」

「それは本当ですか?!」

「間違いないです!僕見ました!」

「これは新たな大罪が発覚ですね!」


≪何を言っている…?レナスがそんな事をする訳が無いだろう!!≫


「何をしている!!」


思わず、その言葉に声を荒げてしまう。
嘘をつくな!と、突っかかりそうになるスネイプだったが、その言葉は飲み込んだ。


「これから授業の時間だが…?」

「げ!スネイプ先生…!!」

「我輩の授業に遅れたら、君の寮から100点減点させていただくが…?!」

「す、すみません!!」


荷物を持って走って逃げる男子生徒だった。
スネイプはその場で、メモ帳に羽根ペンを走らせる役人を睨みつけたが、本人は書くことに夢中だったため、睨む眼光は素通りしてしまった…。


再びスタスタと歩き出す。


所々で聞こえてくる事情聴取と回答。


「僕見ました。背中に翼が生えて、牙が生えて、それでヴァンパイアだって気付いたんです。」
「凄かったですよ!小さい男の子が、胸倉つかまれてそのまま、屋上から落とされたんですから!」


あらゆる場所で行われている事情聴取。
スネイプが一人で収拾をつけるのは、不可能だった。

事態はどんどん悪くなっていく。
耳に入ってくるのは、真実もあるが、尾ひれ、背ひれが付いたものも多い。そしてデタラメまでもが飛び交う。


「最近動物がいなくなるんです。きっとあのヴァンパイアが、殺して食べちゃってるに違いないです!」
「この間、階段から転げ落ちてしまったんです!きっとあのヴァンパイアが僕を殺そうとしたんだ!だって、丁度後ろを歩いてたんだから!」
「逆に今、ヴァンパイアだったって発覚して良かったんじゃないですか?!」


言葉を無視して歩くしか出来ないで居た。
自身が何を居た所で、どうなるわけも無い。

間逆に、教師がヴァンパイアであるレナスを庇えば、尚更レナスの立場が悪化していくのをスネイプは解っていた。


手も足も出ないとは、この事だと…意気消沈する…。


そして、再び廊下を歩むのだった。


*******


「気分はどう…?」

「うん…もう、平気…」

「まぁ…何にしても、怪我が無くて良かったよな…」


私とビルは、この数日間医務室に通い続けた。
それはギルガ君のお見舞いの為…。
身体の何処にも異常はないし、気持ちが落ち着いて来たから、医務室を出ても良いって事になって…。


「いこっか?」

「ぅん…。」


怖い目にあって、医務室を出るのを躊躇ってるみたい…。

本当は、気持ちが落ち着いてる筈なんかない…。
信頼してた筈のレナスがあんな事をするなんて…。
最初目を覚ました時は、すごくショックを受けてて、話もまともに出来なかったくらい。

そのレナスは、今地下牢にいる。

私は…信じたくない。ギルガ君を助けるためだったんだって思いたい!でも…、ギルガ君を屋上から落としたレナスを……、私は…信じていいのか…解らなくなってた…。

そして、私は故意にレナスの名前を出さないようにする。私だけじゃない。ビルもギルガ君も、私と同じ気持ちだったと思うから…。


「ほら、早く行くぞ!」


俯くギルガ君の手を引ビル。
口調が少し厳しく聞こえるのは…きっと苛立っていたから。

レナスに裏切られた。そんな風に思ってるんだと思う…。
そして、ギルガ君も…。

廊下に出ようとした時、やっぱりギルガ君の足が止まってしまった。


「ん?どうした?」

「ギルガくん…?」


俯いた彼に話しかけても、顔を上げようとはしなかった。
その代わり、声だけが聞こえた。擦れていて、震えるような声が…。


「俺…ホグワーツの廊下なんか歩けないよ…。」

「………ギルガ…。」

「だって…、魔法省の連中がうろうろしてるんだろ…?俺…」

「大丈夫だって!父さんが言ってた。魔法省の中には半人間と友好関係を計る人間だっている。だから、ギルガが半人間ってだけじゃ、あいつらは何も出来ないさ!なぁ?アルティア?」

「うん!ギルガ君は何も悪く無いんだもの。心配しないで?」


一生懸命に明るく励ましたけど、やっぱりギルガ君は顔を上げない。ビルと顔を見合わせる。ビルも困ったような…それでいて、悲しそうな顔をしてる。


「俺…ホグワーツの皆に半人間って知られちゃったんだぞ…?もう、この学校には居られないよ…。」

「大丈夫だって!そんなの俺達が守ってやるよ!」

「でも…」

「あぁ!じれったいな!!ほら!行くぞ!!」

「え?!ちょっ!!」


まるで引っ張り出されるように廊下に出たギルガ君。
じつは私も少し心配…。

だって、私やビルは、グリフィンドールであって、ハッフルパフの生徒じゃない。
何かあった時に、私達じゃ何も対処できない…。


皆、ギルガ君が半人間だって知ってしまった…。これは曲げられない事実。


ギルガ君は…この先、辛いホグワーツの生活がしいられてしまうかもしれない…。
だって、どんなに私達がギルガ君を守ったって、私は今年、ビルは来年卒業しなければならないんだもの…。


ドキドキする気持ちを抑えて、私はギルガ君の肩に手をおいた。
少し驚いたギルガ君が、私の方を見上げて来る。


私は、不安で押しつぶされそうなギルガ君に、笑顔を向けるしか出来なかった…。


*******


足取りを重くして歩く一人の教師。
黒い前髪をセンターで分けた、鍵鼻と色白の肌が特徴の顔。

眉をしかめたまま歩く。考え事をしている姿でさえも、貫禄があり、誰もが恐れる対象だった。

スネイプの耳には、相変らず噂や、事情聴取の声が聞こえた。
どれもこれも、レナスの話ばかりだったが、ふと止まったワードがある。


「あ、あそこ…あの子でしょ?あのヴァンパイアに落とされた、半人間の男の子って…!」
「あ、本当だ!話つぃずっと前から、緑の髪の時点でおかしいと思ってたんだよねぇ。」
「ドラゴンの血を引いてるんだって。一応家系らしいよ?あの子。だから角とか沢山あったわけねぇ。」


噂をしているのは、ハッフルパフの女子生徒。
スネイプは、その女子達の視線を追う。その先には、ギルガと、一緒にいるアルティアとビルの姿があった。

何か様子がおかしい。

ギルガを背中に隠したアルティアとビルが、数人の生徒と対峙している。


≪争いか…!?≫


思わず大股でズカズカと歩いた。
もし、ここで騒ぎを起こせば、ギルガだけではなく、同じ半人間のアルティアまでもが、ただでは済まなくなる。

しかも、今は最悪な事に、魔法省の役人が何人もいる。
現行犯では、言い逃れなどできなくなってしまう。


「何の騒ぎだ!!」


やはり、声を荒げた。
少なくとも、争いになる前に、止めに入る事が出来たと、安堵する。


「あ、…スネイプ先生…。」


アルティアが、驚いてスネイプを見る。


「我輩の前で争いをするのなら、減点と罰則の対象にするが…?」


複数の生徒をギロリと睨む。
あきらかに脅える、対峙した生徒達。よくよく見れば、黄色いマフラーをしている、ハッフルパフの生徒だった。


「いや…俺達は、そんな争うだなんて…。」
「そうです!誤解です!スネイプ先生!」
「俺達はただ…、なぁ…?」


困った様にしどろもどろになりながらも、顔を見合わせている生徒達。そんな子供達をスネイプは疑問に満ちた目で見やった。


「では、何だと言うのだね?!」


スネイプの怒ったような口調に萎縮する生徒達は、アルティアや、ビルの背中の方をチラチラと見始めた。


そして、一人の生徒が口にした言葉。



「あの…。俺達…。ギルガくんの様子が心配になってて……。」





――――――………………???????





****続く****

コメント(2)

もうちっ(怒った顔)ちっ(怒った顔)むかっ(怒り)
なんなんですかexclamation ×2exclamation ×2
スネイプ先生ぴかぴか(新しい)の部屋にズカズカ上がり込んでウッシッシウッシッシウッシッシむかっ(怒り)小一時間ばかり、役人を説教してやるむかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)

出来るものなら、私もしたいのに…ボケーっとした顔いえ…半分冗談ですバッド(下向き矢印)

しかも、レナスにいわれのない噂まで飛び交ってるなんてexclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2

でも…最後の一文が気になります目
璃っちゃん

スネイプ先生の部屋に入ったら…そりゃもう大変な事に…!!
集団心理ってのは恐ろしいもので、誰かが悪く言うと、それがどんどん広がってしまうものなのよね…。

今までの事を全て忘れてしまったかのようにね…。

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