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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十八章 決意4

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十八章 「決意」4 後遺症



「おはよレナス。」

「あぁ…おはよ、ビル。」

「…?もしかして…元気ない?」

「…いや…なんでもないよ…。」


カツンッ―!




朝食の時間。大広間で、生徒全員が集まってガヤガヤと食事をする。
隣にアルティア。そして、目の前にやてきたのがビル。



ここの朝食を食べるのは、久しぶりな気がする。




でも……




カツンッ―!



「えっと…、ナイフで切ろうか?」

「いや…、いいよ…。」



ビルは気遣ってくれたんだと思う。
そりゃ、そうなっちゃうよね…。


私は、目の前の皿にのっかってる手のひら程の巨大なじゃがいもと格闘してたんだから…。



カツンッ―!



まるごと一個を吹かしたじゃがいもは、一口で食べるには大きくて…。
仕方なく、スプーンで無理やり細かくしてる……つもり…


フォークで刺すのも、行儀が悪いしなぁ…。



カツンッ―!



うまく動かない右手に、無理やりスプーンを握らせてるから、時折皿からじゃがいもが飛び出し、その度に音を立てる。



はぁ……。




思わずため息が出た。



「ねぇ、これ食べて。」



いつの間にか差し出された皿。
そこには、適度な大きさに切り揃えられたサラダが綺麗に盛り付けてあった。


「ありがとう、トンクス。」

「手が不自由じゃ、不便でしょ?早く治るといいね。」

「うん…そうだね…。ありがとう。」

「何でも言いなよ?力になるからさ。」


ニコッと笑って、私の隣に腰掛けた。
その気持ちが温かくて…、嬉しかった。


「はいレナス、パンプキンスープ。」

「あ、ありがとう。」


目の前にスープの皿をそっと置いてくれたのはアルだった。
なんだか、こうして皆に貰ってばかりいると…、貢がせてるみたいだな…。


「…ねぇ、右手…大丈夫?」

「え?あ、うん…。」


心配そうなアルが、空いてる隣に座ると、あたしの右手を取った。
殆ど動かないに等しいこの手を、優しく包み込むように握る。


「きっと…治るよね…?」

「大丈夫。毎日動かしてるからさ。」


めいっぱい笑って、返す。


そして、アルも笑い返してくれる。


だけど…




「……化け物…」




はっと振り返った。
私とアルを、拒絶の目で見ている、いつかの生徒達。


「アズカバンに行けばいい…」

「どうしてダンブルドアはあんな化け物を…」


そんな声が聞こえてきた。


「まだそんな事言ってるのあんた達!」


トンクスが噛み付く。
けれど…さほど効果は無い様子。


「レナス…、あんたはあんたなんだから、気にしちゃ駄目だからね!」


トンクスが私にまで睨む。


「分かってる。大丈夫だよ。」



味方が一人でも居てくれれば、あたしは大丈夫。




そう、自信はあった。
めげない自信が。



右手だって…!きっと…!




けれど…、



その自信が、へし折られるまで…



そう時間はかからなかった…。




*********




「ここは試験に出しますからね、ちゃんと羊皮紙にメモを取ってくださいね?」


静かな教室。
約一ヶ月ぶりに授業を受けるのは、魔法史。


メモを取らないといけないことばかりなのが…きつい…。


アルたちにプレゼントしてもらった羽根ペンを左手に持って、意味不明なスペルを並べる。
羽根ペンにインクをどっぷり付けすぎて、ミミズの様な文字がただの黒に染まり上がったときだった…。


「ねぇ…レナス。私がメモしておくから、授業が終わってから写したほうが…」


「……うん、ありがとう…。」


利き手を動かす練習は…毎日嫌という程してる。
でも…中々成果は見られない。

それどころか、右手でペンを持つことすら…出来なくて、授業は左手を使おうと決めていた。


けど…
それが…こんなにもどかしくて、
こんなに、歯がゆい事だったなんて…。





「では、今日の授業はここまでです。」




やっと…終わった…
たった1時間程度の授業が、丸一日座っていたような気分で…、ヘトヘトだ…。



歴史は嫌いな方じゃない。物事を知っていくのは楽しいとさえ思っていたのに…、何も頭に残っていない。


目の前には、意味不明の…文字とも取れない文字が書かれている。



まいったな…。
文字が…書けない…。


「そうそう!次回の予習と、レポートを課題として与えますから、次回提出してください。」



ま、マジデスカ……!


立ち上がっても居ない椅子で、めまいを起こしたような気分で…
ゴンッ!という音と共に、机に額をぶつけてうなだれた…。



「あの…、だい、じょうぶ…?」

「だ、だいじょばないかも…。」



涙が滝のように流れそうだったけど…。
優しく背中を撫でてくれるアル


なんだか、胸が締め付けられて…




「まぁ、何とかなるでしょ!」




無理やり笑うしかなかった。




羊皮紙にメモするのでも大変なのに…、レポートだなんて…。
タイミング悪すぎる…。




********



「んで…?このミミズみたいな字…何?何て書いてあるの?」


覗き込んでくる猫目。緑の髪。
そのあまりにも無神経な言葉に、少しムッとした。


「ミミズで悪かったな!レポート提出しなきゃいけないの!ってか、邪魔しないでくれよギル。」

「邪魔なんかしてないしー。」


訓練の為ににと、静かに勉強ができるから…と、
あたしたちは必要の部屋に集まることにした。

今はギルと2人。


勉強する机も、椅子もなにもかもそろった状態の場所。


けど…
いくら設備が揃っていても、右手は使い物にならない。
でも、完全に回復するまで待てないから…、あの時プレゼントしてもらった黒い羽根ペンを左手に握って、インクを付けてなんとか羊皮紙に押し付ける。


「誰かに書いてもらえば…?」

「それじゃ、レポートにならないし。」

「魔法で書いちゃうとか…?」

「あぁ…!その手があったか。」


思いがけないギルの言葉で、一気に視界が明るくなった気がした。


杖が無くても、自動書記くらい…!


あたしは、黒い羽ペンに向かって、指をパチンと鳴らした。




……あれ?



「何してんの?早く書けば?」

「分かってるよ。」


あたしは、もう一度指をパチンと鳴らす。


けれど…



「もしかして、自動書記の魔法忘れちゃった?」


「…いや……」



あたしは…、再びじわりじわりと忍び寄ってくるような悪夢を予感した。
背中が熱いような…冷たいような、額から脂汗のようなものがにじみ出てくるのを自覚する。






――ガチャ――




突然扉が開く音
けれど…いまのあたしには…



「お!来た!ビル兄ちゃん、アルティア姉ちゃん遅い!」

「あの占いの授業、んっとに頭に来るよ!」

「まあまあビル、押さえて?トレローニー先生のは今に始まったことじゃないでしょ
?」



などという言葉が、片隅に聞こえてくる。



また指を鳴らす




もう一度





もう一度






念のため、部屋の隅にある暖炉に火を灯そうと
もう一度指を鳴らす





もう一度





今度は慎重に





もう一度





何も起こらない自分の動かない右手と
そして震える左手を見た





「レナス、調子はどう?」



ぽんと方を叩いたのはビルだった。



[
「うん……、あぁ…」


「あれ?…元気ない?」



覗き込んでくるビルに、目を合わせることが出来ない。



あたしは…




「あ!もしかして、自動書記?その手があったね!」

「そうか。ソレだったら右手が使えなくても大丈夫だな。」


顔を上げて2人を見ると。
さっきのあたしと同じ顔をしていた。


まるで、一気に視界が明るくなって
道を照らし出されたような…



「ビル…、アルティア…」





けど…



そうか…、あたし




コレは、一時的なものなんかじゃないと、
どこかで確信めいたものがあった




頭の中で繋がった
オリバンダーの杖の店で使った杖が爆発した理由…






あたし…、たぶん





魔法が…




以前にもこんなことがあったけど…
今回は…重症だ…






「ごめん…、あたし」






【魔力が、無くなっちゃったみたい】





****続く****

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