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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十八章 決意5

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十八章 「決意」5 特殊




「恐らく、後遺症なのだろうが…」

「……うん。分かってる…。」



月明かりと松明の明かりだけが、校長室を照らしている。
宿り木ではフォークスが眠そうにあくびをしている中、セブルスとマダム・ポンフリーが緊張しながらあたしを覗き込んでくる。


「利き腕が使えん上に、魔力までもか…。」

「だ、大丈夫ですよ!以前も同じようなことがあったではありませんか?ですから、きっと今回も…ね!?」



そのマダム・ポンフリーの言葉で、セブルスが眉をひそめる。
そして…



「あの時は、薬の副作用のせいですぞ、ポピー。今回は――」

「片翼を失った事での後遺症と言いたいのですわよね、スネイプ先生?しかし、もう一つの翼があるではありませんか。きっと今回も―――」

「翼を持つ者の最大の急所をご存知ですかな?首と翼だ。例え片翼と言えど、失った後に生きているなどと言う前例はない。」

「しかし、ヴァルキュリアはこうして生きているではありませんか!」

「だからこそ、後遺症が重度だと言っているのだ!」



いつも…こうなっちゃう気がする…。
徐々に声を荒げる2人を見てはいられない。



「あの…喧嘩は――」

「レナス。君はどうして魔力がなくなってしまったと思うのじゃね?」



言葉を言いかけた時、肩をポンと叩かれた。
怒鳴り始めた2人とは違って、優しく笑ってる。透明な半月メガネからのぞくクリスタルのような青い瞳、ダンブルドアだ。

けど…その瞳から視線を逸らした。


「それは…」


どう…説明すればいいか…。


いつの間にか床を這いずる視線。顔を上げることができないまま、重いものを口から吐き出す感覚だった。


「正確には…きっと魔力じゃないんだと思う…。」

「はて…?魔力ではない…とは?」

「………。」



あたしは、スゥと深呼吸した。

それでも何も変わらない気持ちのまま…。


「以前までのあたしは、杖を使って【魔法】を使ってた。ちゃんと呪文を唱えて。でも…、今は…。」


オリバンダーの杖の店で、扱う杖が爆発したり、シャンデリアを落下させたり…。
当のオリバンダー自身も言ってた。あたしの「特殊」なもの…。


とても魔法なんてものじゃなかった…。


「ポピーの言うように、一時的に…とは考えられんのかのう?」



ダンブルドアの言葉に、あたしは首を横に振った。
すると、セブルスが眉間に染み付いた皺を、さらに深くて言葉を投げてきた。


「確信はあるのかね?それとも証拠が?」

「たぶん…一時的なものなんかじゃない…と思う。確信ならある、でも…証拠は無い…。」



そうとしか…いえない。
うまく…いえない。



「つまり、レナスは【魔法使い】でも、【魔女】でもなくなってしまった。と…。そう言いたいのじゃな?」



あたしは、静かにうなずいた。



「だが…お前は、オリバンダーの店でシャンデリアを破壊し、挙句に杖を爆発させたのだろう。確かに、コントロールは壊滅的だが、その能力こそが魔法使いの証ではないのか?!」


「壊滅的って…あんた酷いな…」





だから、さっきから言ってるじゃないか…





「その能力が…【魔法使いの魔力】ではない【異質な何か】だって言ってるんだよ…。」






暫くの静寂





いや…そんな優しいものじゃない…





皆思ってるはず。もしその【何か】が、


ヴァンパイア特有のもので、


そして…そのうち…、本当のヴァンパイアになってしまうんじゃないか?って…。




その考えが纏わり付いて…




足元から…何かが崩れていくような感覚さえした。




あたし…、どうなっちゃうんだろう…?






*********




寮に戻ったのは、真夜中だった。
真冬の空に高く上った月が、ギラギラと照りつけている。
すごく…神秘的な夜。



とても眠れる気分じゃなかったあたしは、談話室の暖炉の前に腰掛けた。



暖炉の優しい炎が、揺らめいて…、頬が温かくなる。
けれど、吐く息は真っ白で…、置いてあったブランケットを肩からかぶって、体を丸めた。



校長室での会話が、まだ耳に残っていてる。


『レナスや、確かにその能力は【特殊】なものかもしれんが、悪質な物と決まった訳では無いじゃろう?』

『我輩は解せませんな。魔力以外の【何か】など聴いた事も無い。』

『ふむ…。しかしじゃ、レナスに見合った杖が手に入らなかったのも事実じゃて。』

『では、何だと言うのです?!レナスがヴァンパイアに染まる前兆とでも言いたいのですか!』

『そうは言っておらんよセブルス。ただ、他人とは違う【特殊】な物かもしれん。そう言っておるだけじゃ。』



それで…結局喧嘩に…、
いや、正確には興奮したセブルスが、一方的にダンブルドアに怒鳴り散らしてただけなんだけど…。
マダム・ポンフリーの仲裁が無かったら、きっと今も…。


ダンブルドアは、私の中にある【何か】が悪質なものでは無いって言ってた。
じゃあ、何なんだろう?


安定しても居ない力が、魔法使いの杖を振っただけで爆発にまで至ってしまうのに…。それが悪質なものではないなんて…どう考えても腑に落ちない。


セブルスが言うように、魔力が安定してないだけだったらいいんだけど…、そうとも思えない。
まさに壊滅的だな…、本当に壊滅しちゃってたらどうしよう…。

それとも…、本当にヴァンパイアになってしまう前兆だとしたら…?



そう考えるだけで、体の芯から打ち震えてくる。
強く強く自分を抱いた。



自分が自分でなくなってしまうかもしれない…。


もしそうなったら…。



やっぱり…あたしは…
アズカバンに…居たほうが…



そう思いかけたとき、



『大丈夫だって!絶対元に戻るってばよ!』



能天気なギルの言葉が頭の中を通り過ぎていった。



絶対?
まったく…、どんな確証があるんだ?



人の気も知らないで…。

けど…



『レナスが本物のヴァンパイアになっちゃうわけないじゃん!』



その時のギルの自信に満ちた笑顔が頭から離れなかった。



ギルはいつもそう。
バカなのか、素直なのか…。時々わからない。



考えてみれば変な関係。
ギルが入学してきて、いきなり懐かれて…
ドラゴンの力をコントロールするための訓練の他にも、勉強まで見る事になった。
突き放したこともあったな…。ああそうだ、その後か…。

あたし…ギルに酷い事したんだった…。


ホグワーツ城の屋上から、ギルを突き落としたんだ…。
言い訳ならいくらでも思いつく。

ギルがドラゴンの血を引いた半人間だとばれてしまった。だから、あたしがそれ以上たちの悪い半人間だと知らしめれば…、皆はギルに優しくする。
理由はどうあれ、チャンスが出来る。人間と打ち解けるチャンスが…。


あたしは、自分だけが苦労してる気になって、ギルを冷たく突き放した。
「必ず守ってやる」って…約束したのに…。


ただ…その埋め合わせのつもりだった。



酷いやつ…。あたし。



なのに、今もこうして、ギルが傍に居る。

ギルだけじゃない、ギルの横には、アルもビルもいて…。



あんな事があったのに、
あたしの傍にいたいって…思ってくれてるのかな…。

そんなに…信用されてる…って事…?


なんでだろう?
そんな事を考えていたら、少しこそばゆくなって…


いつの間にか…


「レナス、帰ってたの?」


振り返ると、アルが寮からの階段を下りてきてる最中だった。


「あぁ、ごめん。ただいまも言わなくて…。」

「ううん。いいの。それより…、校長はなんて言ってたの?」


階段を降りて、心配そうにあたしの隣に腰掛けた。
炎に照らし出されるアルの顔が少し赤く染まる。


きっと…、もっと心配させちゃうんだろうな…。


けど…、嘘をつくこともできなくて…。




「ねぇ?話してみて?」



そんな風に言われて…



「…それが…」



やっぱり…話すことになってしまった…。




********



そして…真夜中の地下…。


高い高い天井が続く、長い長い廊下。
月明かりも届かず、松明も置いていない、冷たく、闇に包まれた空間。


その最奥にある一室。



「セブルス。まだ怒っておるのかね?」

「人の寝室にまで押しかけるとは…、どういうおつもりですかな?」



パジャマのローブ姿の老人と、まるで対峙するかのようにひしひしと怒りを露にする色白の男。


「ちと、話があるのじゃよ。レナスの事じゃ…。」


老人の言葉に、色白の男の眉間の皺がさらに深くなる。


「今更、意見を覆すおつもりか?」

「レナスの力が【特殊な物】というのは事実じゃよ。」

「だが証拠もない!」

「杖を振っただけで、杖自身が爆発する。お前さんは、その前例を聞いたことがあるのかね?」

「……いえ…」



言葉を詰まらせる男。
老人は、その顎に蓄えた髭をもてあそんだ。



「【魔法使い】なら、コントロールが利かんからと言って、杖を破壊してしまう事はあるまいて…。」

「…………」

「オリバンダーも言っておった。杖が破壊されてしまうという事は、レナスの力がそれほど強靭だという事なのじゃよ。それは決して魔力ではない、しかし限りなく魔力に近い【特殊な物】じゃ。」

「……やはりそれは…」

「いやいや、ヴァンパイアの力でも無いじゃろう。あくまで仮説じゃがな…。レナスが言っておった【魔力がなくなってしまった】も、あながち間違いではないじゃろうな。」

「ならば…、何だと言いたいのですかな?」



嫌味たっぷりに横目で老人をにらみつける男。
しかしその視線をさらりと交わし、老人が言葉を続けた。


「コレはあくまで仮説で、不確かなものなのじゃ。」

「………?」

「レナスの中の【特殊な物】は今は完全に眠っておる状態じゃ。今のままではレナスは、自身の敵である者から身を守る事は愚か、教師になる等という夢すらも到底叶わんじゃろう。」

「何が言いたいのだ?!」



さすがに苛苛が頂点に達した男が声を荒げた時、老人は人差し指を立てた。



「そこでじゃ。その力を起こす必要があるのじゃ。それはあくまでレナス自身がせねばならんことじゃ。惜しみない努力と、気の遠くなるような根気も必要になるじゃろう。」

「結局は、放り出すのか…?」

「結論を早まるでない。実行するのはレナス本人じゃが、その手伝いを君にしてほしいのじゃ。」


今一飲み込め無い男に向かって、今度は肩に手を置く老人。



「………今…何と…?」

「今までは薬を作る手伝いと管理をしていたのう?今度はレナスが【特殊な何か】を確実に【目覚めさせる為】の手伝いをするのだと言ったのじゃよ。」


男は暫く言葉を失った。
瞬きは増え、眉間の皺がさらにさらに深くなる。


そして切り替える


「……何をすればよいのです?」



そして老人はこう言う



「オリバンダーから聞いた噂じゃ。ニコラス・フラメルには話しておくでな、彼と2人で、その者を探してほしいのじゃよ。」


「……?その者とは?」





【導き手】じゃよ。





「導き手……?」




****続く****

コメント(2)

つい一気に読んでしまった(笑)
何だろう?レナスの『特殊な力』
何にしても、レナス…大変ですね…(´・ω・`)
頑張って欲しいです涙
みけちゃん

一気に??!!そんなに無理なさらんでも汗
レナスちゃん大変ですね…、作者の私も心苦しいです…←おいおい。

そして、こんなに試練ばかりのものを書いてすみません…。
レナスちゃんがんばれ!

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