ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十八章 決意3

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十八章 「決意」3 オルビス



「だって、レナスもアルティアも、友達だから!!」


最後には、叫ぶように擦れた声を使い果たして、涙を一生懸命にぬぐうトンクス。




宙に浮いた時計だけが、時を刻む音を一秒毎に奏でる。




誰もが緊張した表情で…
今ある光景と向かい合っている。




あたしは、パーシーの腕を借りて、やっとの事で立ち上がる。
足が痺れてる様な感覚だったけれど…、それでも前に進む。



そして…




「…ありがとう…トンクス…」




唇を噛んで、腕を力いっぱい握りこんでいる彼女の頭に腕を回して…
出来る限りそっと抱きしめた。



トンクスは、しがみつく様に私を抱き返してきた。
悔しさや、怒りを、何処にぶつけていいか分からないんだと…思った。




あたしの…せいで…




あたしの、せいだ…




トンクスを…巻き込んだ…




ごめん…。そんな言葉が出掛かった時だった。





「僕も…」






集団から一歩歩み出た男の子が、今度は集団と向かい合う。
まるであたし達を庇うように…。

どこかで見たブロンドの髪と、整った顔立ちで…。あれ…?ローブが泥まみれ…。そうそう、今年入学したんだパーシーと一緒に。この子、誰…?


「オリバー!この前までは、得体の知れない奴が、この学校に居るなんて許せない。って言ってただろ!」


そうだ…。クィディッチの選手を希望して、毎日練習してる、オリバー・ウッド。
向かい合う先の集団から詰め寄られる彼は、それでもまっすぐ前を見る。



「最初は…、そう思ったさ。【得体の知れない奴が居るのは許せない。】って。でも…考えたんだ。ダンブルドア先生の言葉…。」



…?ダンブルドアの言葉…?






【皆と少しばかり違う、その勇敢な友との『 距離 』は…皆に任せる事にしようかのう】 




何の話…?



「あの、朝礼のあった日…。緑の髪の奴と、フルーウェーブが人間じゃないって分かった…あの朝。校長の、あの言葉で気づいたんだ。得体が知れない人物レナス・ヴァルキュリアという人の事を、どれだけ知ってるだろう?って…。俺…、よく考えたら、何も知らない…。」



「校長は、俺たちに【任せる】って言ったんだ。友達でいるか、化け物だと思うかを。それって…、凄くないか?普通とは違う人と、どう接するかを任されるなんて…。」



「まるで…【ちゃんと考えて、見極めろ。】って言われてるみたいで…。重かった。」



「もし、間違った決断をしたら…?そう思うと、怖くて…。」



ウッドは、肩を縮める。
震えて、泣いてるようにも見えたから…。

歩み寄ろうとしたとき、私から放れていくトンクスが、ウッドの肩を抱いた。


「気持ち…分かるよ、ウッド。あたしも…同じだったから…。」


ウッドの背中を撫でるトンクスが、今度は集団と向かい合う。


「安易な決め付けや決断が、今まで友達だった人の人生を狂わせてしまうかもしれない…。自分が【裏切り者】になってしまうかもしれない…。」


「トンクス…、ウッド…――」


「―だから、決めた。あたし…ニンファドーラ・トンクスは、今までのレナスを、アルティアを、信じるって!」


まっすぐ前を向く紫の髪の女の子。


「ヴァンパイアがなに?半人間がなに?他人とちょっと違うだけで、中身はまるっきり弱虫で、意地っ張りなだけじゃない!」


それは…罵りか…?
そう思える言葉に、思わず顔が引きつったけど…、トンクスはニカッと笑ってる。



「それに、レナスと居るの楽しいしね!勿論、アルティアも!」


この雰囲気に似つかわしくないほどの笑顔で、軽くウインクをする。




何かが…   こみ上げてきて
必死に隠そうとした



その時、トンクスがくるりと振り返った。




「で?あんた達は?証拠がどこにあるかも分からない噂で、友達を追いやるの?そんな情けない奴らなわけ?それこそ、自分の手で何かを解決もできないで陰口だけ叩いてる、卑怯者でしょ!」



瞳に、これでもかという力を込めて、睨み付ける…




けれど、集団は固まったまま動かない。




はぁ…――
と、ため息をついたトンクスが諦める様に首を横に振り、髪が揺れる。



そんな彼女が皆に背を向けて、ウッドの手を引いたときだった。


「………ごめん…。」


集団の中から、ポツリと囁いたブロンドの髪の男子が、集団の間を掻き分ける様に前に出てきた。



「気持ち…考えてもいなかった…本当に…」


「ごめん…」



突然だった。


「私も…、ごめんなさい…」

「まだ…やり直しきく?」


そろそろと集団の中から出てくる生徒。
それはほんの…、ほんの数人…。


ハロウィンで一緒に踊った子や、朝廊下ですれ違う、顔だけを知ってる子も居た。


皆、どこか苦しそうな…
そう…後悔してるという想いが滲んでいるようだった…。



「……そんな…、謝ることなんか…」



言葉の続きを言おうとしたけど…、詰まって…



気づいたら…、止まらなくなってた。


あぶれ出てくる、大粒の涙で、何もかもが滲んで…



「ありがとう…。みんな…。」


私が伝えたかった言葉。
けれど、私を支えて、隣にいてくれたアルが代わりに伝えてくれた。


彼女もまた、眼に涙をいっぱい浮かべて…、今にもこぼれてしまいそうだった。






ビルとアルに肩を借りて、白い目や拒絶の目を背に、
寮への階段をゆっくり上る。



一歩、また一歩。



その後ろを、荷物を持ってくれているトンクス達がついてきている。




「やっぱり…ギルガ君のいった通りだった…」

「え?何…?」


微笑んでいるアルが続ける。



「彼言ったの。」



≪レナスを友達だと言ってたやつだって確かに居た!今レナスを疑ってるやつだって、本当は迷ってるかもしれない!校長は一回で良いから、それを見直す【きっかけ】を作りたかったんだ!≫




【俺…レナスを信じる奴が一人でも多く居るって事……信じてる!】




階段を上る足を踏み出すのを忘れてしまいそうになった。



「ギルが…そんな事言ったの…?」



アルは、静かに頷いた




「ちゃんと…、居てくれたね。信じてくれる人が。」





そう言って、嬉しそうに笑う







うん
そう、だね…。







ギルに…お礼言わなきゃ…








全員じゃなくていい






ちゃんと、見ててくれていて
分かってくれていて






傍に居ようとしてくれる人がいるんだもの…







それだけで、いい







伝わる人に 
伝われば それでいい









だって…、あたしは…






半人間で、化け物だけど…






それでも、人間だもの!











****続く****

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

さしゃの二次小説(ハリポタ) 更新情報

さしゃの二次小説(ハリポタ)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング