高木竜馬：RYOMA TAKAGIコミュの“RYOMA" の月次レポート（２００８年６月度）

　　　　　　　　　　　　スカラシップレポート（２００８年６月度）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　髙木竜馬

　学校の期末試験が終わってすぐに指揮セミナーの “レッスン２” が始まりましたので、今月はレポートの作成が遅くなりました。横浜みなとみらいの「はまぎんホールヴィアマーレ」での８日間の合宿セミナーを終えて昨日帰宅しました。３月にあった “レッスン１” の時は１７人でスタートしましたが、オーディションが何回かあり、明日から始まる「京都コンサートホール」での “レッスン３” には５人が受講する事になりました。期間が延長され、また８日間の合宿ですが、ベートーヴェンの「運命」の最終オーディションに合格出来れば、オーケストラで小澤征爾先生のレッスンが受けられます。今日夕方の新幹線で京都に向かいますので忙しいですが、旅行が大好きですので楽しみです。

　６月は、1日にあるご夫人の出版記念会で演奏しました。財界の著名人や国会議員の方々が数多く出席する大規模な記念会で、1,000名を超える宴会の賑わいの中で弾きました。このような場では、曲に細かくフレーズをつけて丹念に歌い込むよりも堂々と会場の全てのお客様に音をしっかりと届けることが先決だと考え、英雄的に弾くことを心掛けました。音楽を演奏する際には、ホールレゾナンスやピアノの状態とよく相談して、時々で最適な演奏を目指さなければなりません。音量、ペダルの量やタイミング、指のアクティブさや入角度、特に、鍵盤の底での仕事量による音色の変化などです。熟れた果実から甘みいっぱいのジュースが飛び出るような“ソフロニツキーフィンガー”、会場いっぱいに鐘のように天高い音を出す“ギレリスフィンガー”、最大限に鍵盤の底で仕事をして魂の入った音を出す“ホロッヴィツフィンガー”などを、リハーサルや演奏中に判断することが必要ですが、まだまだうまく出来ません。それはたくさんコンサートで演奏してこそ経験が積まれ、最適な判断に繋がるのだと思います。数多くのホールで様々なピアノを弾き感性を研ぎ澄ませていければと思うのですが、８月までステージがありませんのでやはり寂しいです。

　15日には、チャイコフスキーコンクールの覇者、神尾真由子さんのリサイタルを聴きました。美しいPPと艶やかな音色や数多くの技巧を駆使して会場全体を熱狂の渦に巻き込みました。あのヴァイオリンの美しいフレーズラインをピアノという楽器で描くのはとても難しい事ですが、少しでも近付けるよう精進したいと思います。