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壮大な物語コミュの第41部 【ゾンビ怖い!】

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ここはS県H市。微妙に都会と見せかけて少し車を走らせれば海や山などがある田舎だ。人々は皆、ここH市でそれぞれの生活を平穏に送っていた。

あれが起こるまでは…



201X年6月X日。最初の異変が起きた。



S県が誇るハンバーグチェーン店「やすらか」。ここのオニオンソースのハンバーグはとても美味しく、地元民から愛されているのだが、皮肉にも悲劇はここで起きてしまった。


19時18分。夕飯時であり、人気店であるやすらかにはいつものようにたくさんの客で賑わっていた。

後にやすらかのバイト店員、芳川氏はこの時のことをこう語る。「ちょー忙しかったッスわ〜」と。

コメント(8)

待ってる客の中に明らかにおかしいのがいる。

皮膚は爛れ落ち、締まりのない口からは涎とかアーとかウーとか呻き声が漏れている。

芳川氏「中田島さぁん、あの客ヤバくないっすか?なんつーかゾンビ的っつーか。」

中田島「芳川くんお客様にそんな事言うもんじゃない。人の身体的特徴を嘲笑の種にするのは些かやぶさかではないよ。」

芳川氏「(ちっ、ガリ勉アナルボンバーめが。)ちっ、ガリ勉アナルボンバーめが。」

中田島「え…?確かに僕はガリ勉だしアナルボンバーだけど非道いじゃないか!」

高塚店長「こら!何をヤッテル!次のお客サン呼びなよネ!」

中田島「失礼しました!えー、一名様でお待ちの…ゾンビ様!え…ゾンビ?」

ゾンビ「あー」

ゾンビは取れかけの手を上げた。


みんな「うわーゾンビだぁぁぁ!!!!こわいぃぃ!!!!」
店内はパニックに。

中田島「えーっと店長、ゾンビがお客様として入店した場合はどの様に対応すれば?」

高塚店長「馬鹿野郎!!逃げるんだよっ!!」

中田島「ですよねー。ぎゃああああああ!!」


なんて言っているうちにゾンビに首筋を噛まれてしまった中田島。頚動脈を傷つけられ、盛大に血飛沫をあげながらゴトンと力無く床に倒れた。


みんな「ひえええええ!!!ゾンビこわい!!!!」



誰の目から見ても明らかだった。中田島は死んだ。即死だ。あんだけ血が吹き出て生きていられる人間なんていない。

中田島…こいつはただのバイト仲間だ。ガリ勉だし、アナルボンバーだし、年上だからって威張ってくるし…

だが、仲間だ!畜生…中田島を殺しやがって!!俺は怒ったぞ!


芳川「喰らえ糞ゾンビ!!毎週のフットサルで鍛えたこの身体から放たれし必滅の技!!フットサルパンチを!!!」



ドカッバキッ!!

どうだ化物め!?この二連撃!少なくとも俺なら立っていられないね!


芳川が自慢のパンチを放っているその頃、死んだはずの中田島の身体が動きだしていたことはまだ誰も気付いていなかった。
ゾンビは立っていた。例の二連撃をものともしないとは中々の手練れと見て取れる。

芳川氏「マジかー!シュート練でめちゃ鍛えたパンチだぜ?」


はっ!怒りだ!怒りのパワーが足りねぇんだ。中田島が死んだくらいじゃあんまし怒れねぇかー。


高塚店長「芳川!後ろだ!」

ゾンビ化した中田島が襲い来る!
芳川「なっ何ィィィ??!!」

ドカッバキッ!!


店長の声に反応し、咄嗟にゾンビ中田島の噛みつき攻撃を避け、例のあのパンチを仲間である中田島に放ってしまった芳川を誰が責められよう。生命の危機なのだ。

攻撃を受けたゾンビ中田島は先程のゾンビとは違い、吹っ飛んだ。ガリ勉でショボい身体つきだからだろうか。

そうこうしているうちにまた別のゾンビが現れた。


芳川「マジかよ!こ、これってどうなってるんすかねぇ店長?!」

高塚店長「私が知るか!とりあえず逃げるぞ!入口はこいつらがいるから裏口からだ!さあ行くぞっ早く!!」

芳川「はっはい!」


なんとか外に出ることに成功した二人。外は意外にも静かでいつもと変わらないように見えた。二人揃って夢でも見ていたのかとさえ思えた。だが、そんな甘い考えこそ夢であった。


高塚店長「とりあえず俺の車に乗れ!!」

芳川「ど、どこ行くんすか?!」

高塚店長「どこって家族のところしかないだろう!芳川、お前の家って確かポレマルシェのすぐ近くの団地だったよな?」

芳川「あっはい!」

高塚店長「幸いうちからも近い。送って行ってやる!家族の安全を確かめるんだ!」



高塚店長、いつもハゲだの臭いだの、陰口言ってすみませんでした。めっちゃカッコイイっす!
19時46分。店長に団地まで送ってもらい、家族の安否を確認しに来た芳川。

この時間なら間違いなくママンと妹がいるはずだ。ちなみにパパンは3年前に海賊王になると言って出て行ったきり、帰って来ない。


芳川「ママン!!まごめ(妹の名前)!!!いるか!?」

頼む!!いてくれ!!!

祈るような気持ちで呼び掛ける芳川。返事は……?




まごめ「お兄ちゃん…」


いた!!やった!!!


だが、妹の様子がおかしい。


まごめ「お兄ちゃん…お母さんが…お母さんが…っ!」


大粒の涙を流しながら指差すその先には…



餅を喉に詰まらせて死んだ母親の姿があった。


芳川「ゾンビにやられたんじゃないんかーい!!」と思わずツッコミを入れてしまうのだった。
餅、それ即ち恐怖の食物。

先程死んだ芳川の母をはじめ、彼らの一族の死因は皆、餅である。

餅を喉につまらせるのは勿論、餅アレルギーの者、餅の買いすぎで身を滅ぼす者、まぁだいたい皆喉に詰まらせて死ぬのである。


芳川「ママン…畜生、餅が許せねぇよ!俺は餅を滅ぼす!まごめ、俺は餅を牛耳る越前製菓へ向かう!止めてくれるなよ!!」

まごめ「アラお兄ちゃん、止めるですって?野暮言わないで頂戴。行かないなら蹴飛ばしてたわよ!コレを携えて行って頂戴!」


芳川「これは草薙の剣に聖剣エクスカリバー!へへっ、行ってくらぁ!今ゾンビが沢山いるからママンは外に出してゾンビにやられたことにしておきなっ!」


そう言って芳川はゾンビを斬り倒しながら走る!目指すは越前製菓!


芳川「流石は聖剣!ゾンビ共に効果抜群だぜ!ひゃっはー!」

軽快にゾンビを斬り倒していく芳川。だが、一匹のゾンビを前にしてその動きは止まってしまった。


芳川「パ…パパン…!」


かつて海賊王を目指し家を飛び出した父、芳川天竜の姿がそこにあった!


天竜ゾンビ「ウォォォ…カイ…ゾク…オウニ…オレ…アナル」

芳川「え?アナル?どうしたんだパパン!?しっかりしておくれよ!!」



なんだかんだで仲間になった。
あれから一年…

ゾンビが良い政治をして平和になった。

死にながらもなお生きる者、ゾンビ。彼らはまさに不死鳥さながらである。

完

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