[mixi]群馬県にある歴史的人物の墓所・菩提寺等 - 日本全国歴史的人物の墓を巡る旅

[28] mixiユーザー 08月23日 21:39

　既出ですが、沼田市の曹洞宗武尊山雲谷寺にある新田義宗(1331?～68)墓と伝えられる五輪塔〔沼田市指定文化財〕です。現在地より下方の地中に埋もれていた物が、墓地改修の際発見され、大杉〔沼田市指定天然記念物〕の根元に移されました。
　五輪塔は三基あり、中央の無銘の塔が新田義宗の墓と伝えられる物です。
　右側は義宗を葬った船田長門守経政の墓とされています。経政の墓は生前に建てられた逆修塔と刻まれている事から、経政が生き永らえた我が身の逆修に託して、義宗や戦で亡くなった者達のために三回忌である建徳元(1370)年に、古戦場近くのこの地に五輪塔を建てたと推定されています。
　左側の塔には「聖慶禅尼生年二十八」と記されていますが、彼女が何者なのかは不明です。

[29] mixiユーザー 09月20日 20:13

　沼田市の曹洞宗月宮山天桂寺にある沼田城主真田信吉(1595～1634)の墓〔沼田市指定文化財〕です。
　河内守信吉は、初代信濃国松代藩主真田信之の嫡男で、元和２(1616)年に松代藩の藩内領主として沼田城主となり30000石を領しましたが、寛永11(1634)年11月28日、父に先立って江戸屋敷で死去してしまい、遺骸は沼田へ送られて迦葉山で火葬された後、天桂寺に葬られました。
　屋蓋（ｵｸｶﾞｲ）に真田家の紋である六連銭を刻んだ総丈297㎝の宝篋印塔（ﾎｳｷｮｳｲﾝﾄｳ）で、「天桂院殿前河州大守　月岫浄珊大居士墓　滋野朝臣真田信吉寛永十一甲戌歳十一月念八日」の刻銘があります。

[30] mixiユーザー 09月20日 20:25

　沼田市の日蓮宗慶寿山妙光寺にある沼田藩主真田信利の生母慶寿院の墓〔沼田市指定文化財〕です。
　慶寿院は本名をお通と言い、依田氏の娘から沼田城主真田信吉の侍女、そして側室となった人物です。信吉が没した翌寛永12(1635)年に遺児(次男)喜内を産みました。
　信吉の死後は、長男熊之助が沼田城主となっていましたが、寛永15(1638)年に幼くして没してしまいました。当時は喜内、改め兵吉も３歳児だったため、信吉の弟である真田信政が沼田領を相続、兵吉には沼田領の内から利根郡小川村5000石が分与される事となりました。
　そこで、お通は小川城跡の二の丸を陣屋として、寛永16(1639)年に兵吉と共に移り住み、ここで兵吉は元服して信利と名乗りました。
　明暦２(1656)年、信利の祖父である松代藩主真田信之が隠居したのに伴い、沼田城主だった信政が本家松代藩を相続、翌年、沼田領30000石は信利が領有する事となったため、お通は信利と共に沼田城に入ったのです。
　お通は、寛文７(1667)年に出家して慶寿院と称し、城下の本隆寺を改築して慶寿山妙光寺と改名、自ら開基となりました。そして、寛文９（1669）年５月２７日に65歳で没し、自身が中興した妙光寺に葬られました。
　慶寿院殿墓は、芝付の正面幅76.5㎝に対し、総丈311㎝と比較的高さがあり、相輪と屋蓋の間には鮮やかな彫刻の蓮華台を付けた華麗な形態の宝篋印塔で、正面に『慶寿院殿妙久日栄大姉尊位』の刻銘があります。

[31] mixiユーザー 09月20日 20:31

　沼田市の浄土宗法蔵山正覚寺にある大蓮院殿墓〔沼田市指定文化財〕です。
　大蓮院とは、沼田藩主真田信之の正室小松姫(1573～1620)の事で、徳川四天王の一人本多忠勝の娘として生まれ、徳川家康の養女になった後、天正14(1586)年に信濃国上田城主真田昌幸の長男信幸に嫁いで信政や信重を産みました。信幸は天正18(1590)年に沼田城主となっています。
　慶長５(1600)年の関ヶ原合戦に際し、真田昌幸は下野国犬伏で二人の息子と合議、自身と次男の幸村は西軍に組し、小松姫を妻としていた長男信幸は東軍に付く事を決めました。昌幸は犬伏を発ち、上田への帰路「孫に会いたい」と言って、信幸が家康に従って留守にしていた沼田城を訪問、隙あれば奪取しようとしました。これに対して、城の留守を預かっていた小松姫は「たとえ舅であっても敵である」として、武装した姿で対応し城門を開かず追い返しましたが、直後に、自ら子供を連れて昌幸の陣を訪れ、舅の願いを叶えたので、見事な対応に昌幸・幸村は大いに感心したとされます。
　元和６(1620)年、小松姫は江戸で病気となり、療養のため草津温泉に行く途中、武蔵国鴻巣で息を引き取ってしまい、その地で火葬、勝願寺に埋葬され、その後、勝願寺・正覚寺・芳泉寺（長野県上田市；霊廟は信之が松代藩に移封の際に松代の大英寺に移築）に分骨されました。
　小松姫は沼田市のゆるキャラ(萌えキャラ？)になっています。
　大蓮院殿墓は、高さ271㎝の宝篋印塔(ﾎｳｷｮｳｲﾝﾄｳ)で、塔身に『阿弥陀三尊(梵字)大蓮院殿　英誉皓月　元和六年庚申二月廿四日　施主敬白』の刻銘があります。相輪の蓮華が細か、く屋蓋（ｵｸｶﾞｲ）の彫りは強く、塔身・基礎荘重な形で、江戸時代初期の宝篋印塔の特徴を良く表しています。

[37] mixiユーザー 05月29日 18:39

　前橋市の曹洞宗大珠山是字寺(ｾﾞﾉｼﾞﾃﾞﾗ)龍海院にある前橋藩主酒井氏歴代墓地〔前橋市指定史跡〕です。

[38] mixiユーザー 05月29日 18:41

　初代厩橋藩主酒井重忠(1549～1617)の墓です。官は河内守。妻の臨川院(?～1627)の墓も並んでいます。

[39] mixiユーザー 05月29日 18:42

　第２代忠世(1572～1636)の墓です。幕府老中・大老を歴任、雅樂頭(ｳﾀﾉｶﾐ)に叙されました。以後、子孫は代々雅樂頭に叙される事が多かったため、酒井雅樂頭家と呼ばれる事となります。

[40] mixiユーザー 05月29日 18:43

　第３代忠行(1599～1636)の墓です。官は阿波守。藩主在任僅か８ヶ月で死去してしまいました。

[41] mixiユーザー 05月29日 18:45

　第４代忠清(1624～81)の墓です。官は雅樂頭。４代将軍家綱時代に大老として権勢を振るい、「下馬将軍」と呼ばれましたが、家綱の死後、宮将軍擁立を画策して失敗、５代将軍綱吉によって解任されました。

[42] mixiユーザー 05月29日 18:47

　第５代忠挙(ﾀﾀﾞﾀｶ；1648～1720)の墓です。官は雅樂頭。奏者番兼寺社奉行・江戸城大留守居・老中格を歴任、厩橋城の名を前橋城に改めました。

[43] mixiユーザー 05月29日 18:48

　第６代忠相(ﾀﾀﾞﾐ；1667～1708)墓です。官は雅樂頭。宝永４(1707)年に父忠挙から家督を譲られましたが、翌年死去してしまいました。

[44] mixiユーザー 05月29日 18:49

　第７代親愛(ﾁｶﾖｼ；1694～1733)の墓です。官は雅樂頭。子が無く、越前敦賀藩主酒井忠菊の子である親本(ﾁｶﾓﾄ)を養子に迎え、重忠以来の男系血統は断絶しました。

[45] mixiユーザー 05月29日 18:51

　第８代親本(ﾁｶﾓﾄ；1705～31)の墓です。官は雅樂頭。子を残さないまま早世しました。

[46] mixiユーザー 05月29日 18:52

　左が第９代忠恭(ﾀﾀﾞｽﾞﾐ；1710～72)です。官は雅樂頭。越前敦賀藩主酒井忠菊の子で、早世した兄親本の後を継いで前橋藩主となりました。大坂城代や西の丸老中を歴任した後、延享２(1745)年に老中首座に抜擢され、寛延２(1749)年に姫路藩主松平朝矩(ﾏﾂﾀﾞｲﾗﾄﾓﾉﾘ)との領地替えを実現させました。
　右が姫路藩主の第10代忠以(ﾀﾀﾞｻﾞﾈ；1756～90)です。

[47] mixiユーザー 05月29日 18:54

左；酒井忠清の三男で伊勢崎20000石の藩主となった忠寛(ﾀﾀﾞﾋﾛ；1666～1703)墓
中；姫路藩主墓です。右から第11代忠道(ﾀﾀﾞﾋﾛ；1777～1837)、第12代忠実(ﾀﾀﾞﾐﾂ；1779～48)、第13代忠学(ﾀﾀﾞﾉﾘ；1809～44)、第14代忠宝(ﾀﾀﾞﾄﾐ；1829～53)、第15代忠顕(ﾀﾀﾞﾃﾙ；1836～60)。
右；第６代伊勢崎藩主忠良(ﾀﾀﾞｶﾀ；1808～34)墓

[48] mixiユーザー 05月30日 08:12

　前橋市の曹洞宗芳林山栄興院長昌寺にある本城氏の墓〔前橋市指定史跡〕です。
　元和８(1622)年に出羽国山形藩主最上義俊(ﾓｶﾞﾐﾖｼﾄｼ)が改易された際、その筆頭重臣で本庄45000石を領していた本城満茂(ﾎﾝｼﾞｮｳﾐﾂｼｹﾞ)が厩橋藩主酒井忠世に預けられ、そのまま1200石を与えられて酒井家に仕える様になると、長昌寺は本城氏の菩提寺となりました。寛延２(1749)年に酒井家が播磨国姫路へ転封になると、本城氏も姫路へ去りましたが、長昌寺の歴代墓地はそのまま残されました。
　左から、本城親茂(満茂の甥で婿養子)・満茂の次女(親茂夫人)・満茂夫人の墓です。
　文化８(1811)年の記録では、満茂・親茂・満旨(ﾐﾂﾑﾈ)・満武の当主四代を含む一族の墓石19基・石仏２体・初代の位牌等があったとされていますが、長昌寺が荒廃していた時期に失われてしまった模様で、今はこの３基のみが残ります。

[49] mixiユーザー 06月13日 10:20

　前橋市の天台宗秋元山江月院光巌寺(ｺｳｶﾞﾝｼﾞ)の門外の境内地にある宝塔山古墳〔史跡〕の墳丘上にある秋元氏歴代墓地〔前橋市指定史跡〕です。
　左側の秋元長朝(1546～1628)は、小田原北条氏の配下となった深谷城主上杉憲賢に仕えて天正15(1587)年11月に死去した父景朝(1525～87)の後を受け、上野国勝山城主となります。
　天正18(1590)年の関白豊臣秀吉による小田原征伐の際、小田原城に籠った主君憲賢に代わって深谷城を守備し、前田利家・浅野長政の猛攻に対して徹底抗戦を続けました。小田原開城の報を聞いて開城した後は隠棲していましたが、文禄元(1592)年に井伊直政の推挙を受けて権大納言徳川家康の家臣となり、直政配下として6000石で勝山城に復帰しました。当時の総社の地には、蒼海(ｵｳﾐ)12000石を領する諏訪頼水(ｽﾜﾖﾘﾐｽﾞ)がおり、長朝は諏訪氏領の北隣の地を与えれた訳です。
　慶長５(1600)年の内大臣徳川家康による権中納言上杉景勝征伐の際には、景勝詰問の使者として会津へ赴き、関ヶ原合戦後も家康の命で再び会津に赴いて景勝に降伏を勧め、これを受け入れさせました。この功績により、信濃国へ転封した諏訪氏領のうち蒼海城を含む4000石を与えられて総社城を築き、10000石の大名となったのです。官は越中守でした。
　右側の２代秋元泰朝(1580～1642)は、慶長19(1614)年の大坂冬の陣後、大坂城の堀の埋立に功績があり、翌年の夏の陣の後は豊臣家の残党狩りも行っています。元和９(1623)年に越前藩主松平忠直が改易された際は、松平家の相続に関する伝達を行い、当主不在の越前の国務を行いました。寛永10(1633)年に甲斐谷村藩18000石へ加増移封された後は、日光東照宮造営総奉行も務めています。官位は従五位下但馬守でした。
　秋元氏の移封によって総社藩は廃藩となり、当地は高崎藩領に組み込まれましたが、光巌寺は移転せず、秋元家の墓所は維持されました。その後、当地は旗本安藤氏領を経て、宝永７(1710)年には幕府領、寛保２(1742)年に沼田藩領、延享４(1747)年から前橋藩領となりました。
　一方、秋元氏は４代目の喬知(ﾀｶﾄﾓ)が幕府老中となったため32000石へ加増され、更に正徳元(1711)年には武蔵国川越60000石へと加増移封されています。
　しかし、老中を務めていた８代凉朝(ｽｹﾄﾓ)が権勢を振るっていた側用人(ｿﾊﾞﾖｳﾆﾝ)田沼意次(ﾀﾇﾏｵｷﾂｸﾞ)に睨まれ、明和４(1767)年に出羽国山形60000石に左遷転封されてしまいます。
　その後、弘化２(1845)年になって11代志朝(ﾕｷﾄﾓ)が上野国館林60000石に転じて関東復帰を果たし、明治２(1869)年には12代礼朝(ﾋﾛﾄﾓ)が70000石に加増されています。13代興朝(ｵｷﾄﾓ)は子爵に叙され、15代順朝(ﾉﾘﾄﾓ)は埼玉銀行頭取を務めました。

[50] mixiユーザー 06月16日 23:29

　前橋市の曹洞宗気運山春光院元景寺にある秋元氏墓地〔前橋指定史跡〕です。

左；秋元景朝正室で長朝の母である春(妙耕院)の墓
　関東管領上杉憲政の重臣古幡良家の娘で、憲政の養女となって景朝に嫁ぎました。夫に先立って天正８(1580)年に没しています

中；秋元景朝(1525～87)墓
　本来は上総国秋元荘を領していましたが、天文10(1541)年に安房の里見義堯(ｻﾄﾐﾖｼﾀｶ)に追われて武蔵国へ移り、深谷上杉家の上杉憲賢(ｳｴｽｷﾞﾉﾘｶﾀ)の家臣となって上野台と瀧瀬の二村を拝領しました。小田原北条氏との戦いで活躍しますが、天正３(1575)年に憲賢の孫氏憲が北条氏政に降るとそれに従いました。天正15(1587)年２月に上野国勝山城も与えられますが、同年11月に病没しています。

右；　秋元長朝(1546～1628)の側室お戌(ｲﾇ)の方の墓
　寛永７(1630)年に没していますが、彼女は別名をお艶(ﾂﾔ)とも言い、実は右大臣豊臣秀頼生母の淀の方だとの伝説があります。
　秋元長朝は慶長20(1615)年の大坂夏の陣に参加しますが、“お艶”と呼ばれる大坂方の高貴な女性を匿って総社城へ連れ帰ったとされ、実はそれが淀の方だったと云うのです。ところが、彼女は長朝の側室になる事を拒んでお艶が岩から利根川に身を投じてしまい、以後、お艶が岩に座って化粧をする彼女の幽霊が頻繁に現れたとの怪談も伝えられています。
　お戌よりも長朝の方が先に死んでますから、こんな怪談は全くの嘘なんですが、恐らく、長朝が大坂城の高級侍女を攫(ｻﾗ)って来て側室にしたのは事実で、その話に尾鰭(ｵﾋﾚ)が付いたのだと思われます。

[51] mixiユーザー 07月11日 00:00

　前橋市の曹洞宗有鷲山能仁院長興寺の稲垣重宗墓です。
　長興寺は、稲垣長茂(ｲﾅｶﾞｷﾅｶﾞｼｹﾞ；1539～1612)が伊勢崎藩主在任中に父重宗が死去したのを受けて、妙厳寺９世である天室伊尭(ﾃﾝｼﾂｲｷﾞｮｳ)を開山上人に迎え、稲垣家菩提寺として開基したとされますので、1601～12年の間の創建となる訳です。長興寺は三河国の妙厳寺(豊川稲荷)の末寺です。豊川稲荷は日本三大稲荷の一つですが、曹洞宗寺院なのです。
　稲垣長茂は三河国宝飯(ﾎｲ)郡の地侍稲垣重宗の子でしたが、今川義元に属した牛久保城主牧野成定に仕え、永禄３(1560)年の桶狭間合戦後も徳川家康に対して抗戦を続けました。しかし、やがて密かに父と謀って家康に通じ、同僚の山本帯刀成行(ﾔﾏﾓﾄﾀﾃﾜｷｼｹﾞﾕｷ)と共に成定を説得して永禄９(1566)年５月に徳川家康へ臣従させました。同年10月、牧野成定が死去して、その子の康成が幼くして家督を継ぐと、稲垣重宗が山本帯刀と共に牧野家の実権を掌握した様です。
　天正18(1590)年、家康が武蔵国江戸城へ入府すると、牧野康成は上野国大胡20000石を与えられますが、その際、稲垣長茂は陪臣の身から徳川家直参となり、上野山田郡・勢多郡で3000石を与えられています。一方、父重宗は牧野家老臣の立場を続けました。
　慶長５(1600)年の関ヶ原合戦の際、牧野康成は徳川秀忠軍に属して中山道を進みますが、その際、大胡城の守備は稲垣長茂が任されています。そして、康成はは独断で西軍方の真田昌幸が拠る信濃国上田城攻めを行って、秀忠軍が関ヶ原合戦に間に合わなくなる失態の原因を作ってしまったため蟄居処分となり、一方、稲垣長茂は慶長６(1601)年に上野佐位(ｻｲ)郡伊勢崎を加増されて10000石の伊勢崎藩主となったのです。
　長茂は慶長17(1612)年に死去し、跡を継いだ息子の重綱は大坂夏の陣で活躍したため、元和２(1616)年に越後国藤井藩20000石に加増移封されています。稲垣家は最終的には志摩国鳥羽30000石の藩主となります。
　

[52] mixiユーザー 07月11日 00:12

　長興寺の牧野家家老山本帯刀成行夫妻の供養塔です。
　帯刀は武田信玄の軍師山本勘助の弟だとも伝えられ、幕府直参の身分も兼ねていました。当地に葬られた後、牧野家転封後に改葬され、墓碑は供養塔として残されました。山本帯刀家は代々牧野家(最終的には越後国長岡藩74000石)の家老を務める事になりますが、帝國海軍聯合艦隊司令長官山本五十六元帥(1884～1943)は、高野家から養子に入って山本帯刀家を継いだ人物です。

[53] mixiユーザー 07月11日 21:58

　前橋市の曹洞宗豊国山長善寺にある大胡太郎の墓石〔前橋市指定文化財〕です。
　長善寺は、藤原秀郷の子孫に当たる大胡太郎重俊が平安時代末期に自家の菩提寺として建立し、本来は赤城山麓に当たる白草の寺沢窪(現；前橋市滝窪町)にあったとされます。本尊は釈迦如来で、当初の山号は赤城山でした。貞和３(1347)年に没した大胡太郎の墓もありますが、これは重俊の五代後に当たる太郎光俊の事です。光俊の甥の孫太郎光成は元弘３(1333)年の新田義貞による鎌倉攻めに参加しています。
　その後、室町時代中期に現在地へ移転、大胡太郎の墓も改葬されたと伝えられます。

[54] mixiユーザー 07月11日 22:06

　前橋市の曹洞宗恵雲山西林寺にある剣聖上泉伊勢守藤原信綱の墓です。
　上泉家は代々剣豪の家系で、義秀は中条流・念流・京流の達人であり、その子の時秀は天真正伝香取神道流(ﾃﾝｼﾝｼｮｳﾃﾞﾝｶﾄﾘｼﾝﾄｳﾘｭｳ)の飯篠長威斎(ｲｲｻﾞｻﾁｮｳｲｻｲ；1387～1488)に師事、その子の義綱も天真正伝香取神道流に加えて愛洲久忠(ｱｲｽﾋｻﾀﾀﾞ；1452～1538)から陰流を学びました。義綱の子である上泉伊勢守信綱(1508?～77)は陰流・神道(ｼﾝﾄｳ)流・念流等の諸流派を学んで、その奥源を究め、特に陰流から「奇妙を抽出して」新陰流(ｼﾝｶｹﾞﾘｭｳ)を大成、剣聖と謳われました。
　天文24(1555)年、小田原の北条氏康軍が大胡城を攻略した際に信綱も開城して北条軍に服属、息子の秀胤(ﾋﾃﾞﾂﾅ；1530～64)を小田原へ人質に出しました。しかし、永禄３(1560)年に長尾景虎麾下の越後軍が厩橋(ﾏﾔﾊﾞｼ)城を攻め取ると、信綱は越後方に転じ、現高崎市の長野郷箕輪(ﾐﾉﾜ)城を本拠地としていた長野業正(ﾅﾘﾏｻ)・業盛(ﾅﾘﾓﾘ)親子に仕えて、武田信玄・北条氏康の大軍を相手に奮戦を続けました。しかし、厩橋城が永禄６(1563)年に武田・北条連合軍によって攻略されると、上泉城の維持は困難になり、信綱は城を捨てて諸国流浪の剣術修行の旅に出ます。
　信綱は大和国へ赴いて、奈良宝蔵院の胤栄(ｲﾝｴｲ)や柳生宗厳(ﾔｷﾞｭｳﾑﾈﾄｼ)を破って弟子に加えています。次いで、上京した信綱は、剣豪将軍と呼ばれた第13代将軍足利義輝に兵法を披露し、感状を貰っています。
　一方、信綱の息子である上泉秀胤は北条氏康に仕え、永禄７(1564)年に下総国の国府台(ｺｳﾉﾀﾞｲ)合戦で戦死してしまいますが、その子の泰綱も北条氏政に仕えました。晩年の信綱は孫の泰綱を頼って故郷に帰っていた模様です。
　天正18(1590)年に北条氏が滅びると泰綱は浪人しますが、慶長５(1600)年の内大臣徳川家康による会津攻めの際に権中納言上杉景勝に拾われ、山形城主最上義光(ﾓｶﾞﾐﾖｼｱｷ)との合戦で戦死します。上泉家は泰綱の娘婿が継ぎ、出羽国米沢藩士として存続しました。

[55] mixiユーザー 07月18日 19:37

　前橋市の真言宗豊山派霊松山歓喜院金剛寺にある開山円義上人の墓の石殿〔前橋市指定文化財〕です。第四世住持の「権大僧都法印円義上人」の名が刻まれ、元和９(1623)年の年号が記されています。
　金剛寺は承安年間(1171～75)に赤城山大通庵に京都醍醐寺派報恩院末寺として創建されました。その後、寺山と呼ばれる地に移り、慶長・元和年間(1596～1624)に第４世円義上人によって現在地に移転されたと伝えられています。円義上人は、衆生(ｼｭｼﾞｮｳ)に仏の加護あれと願って施無畏尊(ｾﾑｲｿﾝ)像、即ち観世音菩薩を刻もうとして、創建時の大通庵跡の松を採って材料としたところ、其の根に霊芝が生えて来てその形が尊像になったと伝えられていますが秘仏になっており、現在の本尊は室町時代作の十一面観音菩薩坐像〔前橋市指定文化財〕です。

[56] mixiユーザー 07月09日 01:38

　館林市の浄土宗白峰山見性院大道寺にある生田萬(ｲｸﾀﾖﾛｽﾞ)父祖の墓〔館林市指定史跡〕です。
　生田萬(1801～37)は館林藩士の長男として生まれ、24歳の時に国学者平田篤胤に師事しました。政策にも明るく、館林藩にも改革を促しましたが受け入れられず、結果的に追われるような立場で越後国柏崎に居を移してしまいました。
　天保８(1837)年、天保大飢饉で多くの農民が困窮した事を救うべく、乱を起こして柏崎陣屋を強襲しますが、あっさり鎮圧されて浦浜に逃れた後に自刃しています。
　生田家は代々越智松平家に仕えた武家で、萬の父信勝は大扈従頭を勤めていました。
　天保７(1836)年に越智松平家が石見国浜田へ転封されると、生田家も浜田へ移っています。

[57] mixiユーザー 07月24日 00:49

　館林市の真言宗豊山派紫雲山千眼寺にある南画家小室翠雲(ｺﾑﾛｽｲｳﾝ；1874～1945)の墓です。
　翠雲は足利の田崎早雲《https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984366483&owner_id=250900》に学んだ日本画の大家です。

[58] mixiユーザー 07月26日 08:54

　館林市の浄土宗東向山常光寺にある田山花袋の姉の墓です。

[59] mixiユーザー 07月26日 10:45

　館林市の日蓮宗能晴山圓教寺にある館林藩医長澤理玄(ﾅｶﾞﾜｻﾘｹﾞﾝ；1815～63)の墓です。種痘で多くの命を救いました。

[60] mixiユーザー 07月26日 15:05

　館林市の曹洞宗巨法山(ｺﾎｳｻﾞﾝ)観音院善長寺〔日本遺産〕にある館林藩主榊原忠次の生母祥室院の墓です。
　善長寺は大永３(1523)年に館林城主赤井但馬守家範が、父家堅の遺命によって、戦死した兄氏信の菩提を弔うため、大雲惟俊(ﾀﾞｲｳﾝｲｼｭﾝ)を開山上人に招いて開基した寺院で、本尊は地蔵菩薩です。
　慶長10(1605)年、館林藩主榊原康政の愛妾お辻の方が城沼(ｼﾞｮｳﾇﾏ)で入水(ｼﾞｭｽｲ)した際には当寺に供養塔が建てられています。
　元和９(1623)年に館林藩主榊原忠次の生母祥室院が近江国膳所(ｾﾞｾﾞ)で病没した際、当寺に分骨墓が作られ、忠次は母の菩提のため荘田50石を朱印地として授与すると共に、伽藍の整備を行いました。その後、３代将軍徳川家光より大曲村(現；群馬県板倉町大曲)の采邑地を50石の朱印に換えて与えられ、元禄８(1695)年には大本山永平寺より常恒会地の免牘を与えられています。
　祥室院は、徳川家康の異父弟で下総国関宿城主の久松松平康元(1552～1603)の娘で、徳川家康の養女となって、館林藩主榊原康政の長子で遠江国横須賀60000石藩主大須賀忠政(1581～1607)に嫁いで忠次を生みました。
　忠政が慶長12(1607)年に病没すると、大御所徳川家康の命により伊勢国長島20000石藩主菅沼定芳(ｽｶﾞﾇﾏｻﾀﾞﾖｼ；1587～1643)に再嫁しました。定芳は元和７(1621)年に近江国膳所(ｾﾞｾﾞ)31000石に転封されたため膳所へ赴き、元和９(1623)年に病没しました。この時、館林藩主となっていた榊原忠次は、菅沼家に母の分骨を請い、善長寺に墓を建立したのです。
　墓碑の宝篋印塔は高さが4.89ｍ程あり、宝珠下端から塔身にかけて「祖師西来意」、塔身に「瑞峰窓嘉元和九昭陽大淵歳南呂初九日」（元和九年八月九日）と刻まれています。瑞峰窓嘉は祥室院の法名で、善長寺の過去帳にはこれに院殿の号を付して「祥室院殿瑞峰窓嘉大禅定尼」と記されています。
　祥室院殿の墓の前には、寛永10(1633)年造立の石燈籠〔館林市指定文化財〕二基があります。

[61] mixiユーザー 07月26日 15:11

　同じく善長寺にある初代館林藩主榊原康政の愛妾お辻の方とその侍女の松の供養塔です。
　お辻の方は非常に美しく、康政の寵愛を受けていましたが、慶長10(1605)年に城沼で舟遊びをしている最中に、次女の松と共に沼に身を投げて溺死しました。表向きは沼の主の龍神に見込まれてしまったため、同舟者を守るために犠牲となって入水したとされましたが、実際にはお辻を妬んだ正室(大須賀康高の娘)や側室花房氏の嫌がらせに堪えかねての自殺でした。
　康政は大いに悲しみ、その霊を弔うため、お辻の方が愛していた躑躅(ﾂﾂｼﾞ)を一株城沼の南岸の丘に植えましたが、その後、歴代藩主によっても躑躅が植えられて次第に増え、現在の名園躑躅ヶ岡〔名勝〕になったとされています。

[62] mixiユーザー 07月27日 01:10

　館林市の浄土宗終南山見松院善導寺にある館林藩主榊原一族の墓です。
　徳川四天王の一人である榊原康政(1548～1606)は天正18(1590)年に館林100000石へ入部すると、衰微していた善導寺を自らの菩提寺にすると定めて10年の歳月をかけて立派な伽藍を整備しました。
　康政の法名は養林院殿上誉見向大禅定門、墓は高さ5.46ｍの宝篋印塔(ﾎｳｷｮｳｲﾝﾄｳ)です。康政に殉死した側近の南直道(ﾐﾅﾐﾅｵﾐﾁ；？～1606)、康政長男の遠江国横須賀60000石藩主大須賀忠政(1581～1607)、康政の三男で第２代館林藩主を務めた榊原康勝(1590～1615)、康政の側室で康勝の母である花房氏(？～1635)の墓も並びます。

左・中；康政墓〔群馬県指定史跡〕
右；南直道墓

[63] mixiユーザー 07月27日 01:11

左；大須賀忠政墓
中；榊原康勝墓
右；花房氏墓

[64] mixiユーザー 08月09日 00:11

　館林市にある大谷休泊の墓〔群馬県指定史跡〕〔日本遺産〕です。
　大谷新左衛門休泊(ｵｵﾔｼﾝｻﾞｴﾓﾝｷｭｳﾊｸ；1521～78)は関東管領山内上杉上杉憲政(1523～79)に仕えた農政家で、農業奨励や開拓事業を行っていましたが、天文21(1552)年に憲政の居城平井城が北条氏康によって攻略されて憲政が越後国へ逐電すると、その後は下野国足利城を本拠とし、館林城も配下に置く長尾顕長の招聘を受け、太田金山の松苗を21年間に150万本も移植して「大谷原山林」と呼ばれる防風林を造成しました。
　また、渡良瀬川と利根川との間に広がる渡良瀬川扇状地に位置する新田荘は、用水を井戸に依存していたため、その東には荒野がひろがっていました。このため太田金山城主由良成繁は荒山小左衛門を奉行として新田堀を、長尾顕長は休泊を奉行として休泊堀を開削させて用水路を確保し、扇状地の開墾を進めました。両者共に元亀元(1570)年頃に完成したとされています。
　休泊堀は、水源を渡良瀬川に求め、現在の太田市只上新田の地先に矢場堰を設けて、ここから多々良沼までの地域に上休泊堀を掘りって、次々と新しい村を誕生させました。上休泊堀は17ヶ村に配水し、その灌漑面積は合計599町1反5畝に達しています。
　休泊は、さらに多々良沼から用水を取る下休泊堀も開削しており、こちらの灌漑面積は497町1反2畝とされています。上下休泊堀を合わせると1096町2反7畝(1087ha)に及んでいます。
　なお、矢場堰も新田堀の待堰も共に渡良瀬川から水を引いているので、渇水期になると水争いが頻繁に起きていたため、明治10(1877)年に両堰は合併して待矢場両堰組合が設立されました。
　また、休泊は大正４(1915)年に至って、その功績が評価され、従五位が追贈されています。

[65] mixiユーザー 08月09日 16:00

　館林市の曹洞宗瑞光山雲龍寺にある田中正造の墓です。
　明治29(1896)年に田中正造衆議院議員が当寺に栃木群馬両県鉱毒事務所を設け、更に足尾銅山鉱業停止請願事務所として栃木・群馬・埼玉・茨城の四県鉱毒被害民の反政府活動策源地としました。明治33(1900)年２月には、ここに集結した鉱毒被害民が請願のため上京する途中、利根川を渡ろうとして川俣村(現；明和町)で警官隊によって撃滅されています。
　また、三つ作られた足尾鉱毒被害者救済施療所である救現堂(ｷｭｳｹﾞﾝﾄﾞｳ)の一つが当寺にも設けられて現存しています。
　大正２(1913)年９月４日、田中正造は当寺で没して密葬が行われました。本葬が行われた佐野の惣宗寺や田中家菩提寺の浄蓮寺と共に、当寺にも遺骨が分骨されて墓が設けられています。
　この墓標は正造の没後20年に当たる昭和８(1933)年に渡良瀬川流域住民の浄財で建てられました。高さ６ｍで、平成６(1994)年に修理されています。
　現在、救現堂には正造の坐像が祭られています。
　田中正造についての詳細は以下を御参照下さい。
　https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985127979&owner_id=250900

[66] mixiユーザー 08月10日 00:17

　邑楽郡大泉町の曹洞宗祥平山龍泉院白山寺にある小泉城主富岡秀信の供養塔です。
　当寺は、天文３(1534)年に当時の小泉城主富岡秀信が茂林寺４世の梵海正音(ﾎﾞﾝｶｲｼｮｳｲﾝ)招いて開山し、祖父直光の戒名「祥平院殿豪林逸大居士」と父秀光の戒名「龍泉院殿仙叟浄玉大庵主」から寺号を祥平山龍泉院富岡寺と号し、富岡家歴代の菩提寺としたのが始まりと伝えられています。本尊は釈迦如来です。

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