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詩歌全般・日本古代史・たべものコミュの花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに  ー9ー

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ー9ー 


花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに   小野小町
 
<古今集巻二(春下)「題しらず 小野小町」>

・・・・・・・・・・・・・・
桜の花の色つやはあせてしまったことだなあ

そのように わたしの容色もすっかり衰えてしまった

(花も賞美せず 自分をかえりみることもなく)

雑事や恋の悩みにかいもなく世を過ごし

むなしく降り続く長雨をぼんやりながめて

物思いに沈んでいるうちに
・・・・・・・・・・・・・・

花の色は うつりにけりな;

「花の色」は桜の花の色と、美しい容色(容貌よ顔色)とを掛ける掛詞。
「は」は係助詞。
「うつり」は動詞「うつる」の連用形で、色があせる、衰える意。
「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形。
「けり」は過去の助動詞終止形。
「な」は終止形に接続する詠嘆の終助詞。
二句切。

いたづらに;

「いたづらに」は、「いたづらなり」(形容動詞)の連用形。
  かいもなく、むなしくの意。
「よにふる」にかかる連用修飾語。

わが身世にふる ながめせしまに;

「よにふる」は世に処すること、男女の語らいをするの両意。
「よ」は世と男女の仲の掛詞。
「ふる」は「経る」(「経」の連体形。)と「降る」(「降る」の連体形。)との掛詞。
「ながめ」は物思いに沈む意の「眺め」と「長雨」との掛詞。
「経る」・「眺め」と「降る」・「長雨」は縁語。
「ながめせ」はサ行変格活用動詞「眺めす」の未然形。
「し」は過去の助動詞「き」の連体形。
「に」は時を示す格助詞。
「いたづらに・・・まに」は、表現上は倒置法形式。

◇花の色 「花」は古今集の配列からすると桜。「色」は、感覚――特に視覚に訴える表象。自身の容色の意が掛かる。
◇うつりにけりな 以前とは変ってしまったなあ。容色が時が経つと共に失われた、の意が掛かる。
◇いたづらに なすことなく。むなしく。
◇世にふる 世にあって時を経る。「世」には男女関係の意もあり、「恋に人生を費やす」といった意が掛かる。「ふる」は「降る」と掛詞で、「ながめ(長雨)」と縁語。
◇ながめ じっと物思いに耽る。「長雨」と掛詞になる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
作者は六歌仙・三十六歌仙の一人。古来美貌を謳われ、多くの小町説話を生んだ。出自や閲歴は明らかでない。歌人としては仁明朝の宮廷サロンを中心に活躍したかと推測される。
「町」のつく名から、仁明天皇の更衣であったと見る説もある。古今集仮名序には「いにしへのそとほりひめの流なり」とあり、衣通姫は允恭天皇の寵姫であるから、天皇の寵愛を受けた女性という考え方は当時からあったのかもしれない。
百人一首十二番の遍昭(816-890)、二十二番の文屋康秀(生没年未詳)と交渉があった。『近代秀歌』などから、定家は余情妖艷体の歌人として高く評価していたことが窺われる。
 第9番歌。喜撰・小町・蝉丸と、このあたり百人一首では伝説的な歌人が続く。
 百人秀歌では13番目に置かれ、順番は逆になるが、やはり喜撰法師と並んでいる。「老いと遁世」の合せであろう。

【他の代表歌】
 色みえで うつろふものは 世中の 人の心の 花にぞありける  (古今集)
 思ひつつ ぬればや人の 見えつらむ 夢としりせば さめざらましを  (〃)
 わびぬれば 身をうき草の 根をたえて さそふ水あらば いなむとぞ思ふ  (〃)

【主な派生歌】
おく山の 松葉にこほる 雪よりも 我が身世にふる 程ぞ悲しき
 (紫式部「続後撰」)
たづね見る 花のところも かはりけり 身はいたづらの ながめせしまに
 (藤原定家)
春よただ 露のたまゆら ながめして なぐさむ花の 色はうつりぬ
 (〃)
さくら花 うつりにけりな とばかりを 歎きもあへず つもる春かな
 (〃)
さくら色の 袖もひとへに かはるまで うつりにけりな 過ぐる月日は
 (〃)
あしひきの 山路にはあらず つれづれと 我が身世にふる ながめする里
 (〃)
わが身よに ふるともなしの ながめして いく春風に 花のちるらん
 (〃「玉葉」)
春の夜の 月も有明に なりにけり うつろふ花に ながめせしまに
 (藤原雅経「新勅撰」)
暮れはつる 空さへ悲し 心から いとひしも春の ながめせしまに
 (藤原俊成女)
我が身世に ふるの山辺の 山桜 うつりにけりな 眺めせしまに
 (後鳥羽院「風雅」)
あはれうき 我が身世にふる ならひかな うつろふ花の 時のまもみず
 (藤原為家)



出典転載元;[千人万首]

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