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詩歌全般・日本古代史・たべものコミュの秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露にぬれつつ  <百人一首1>

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ー1ー 

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露にぬれつつ   天智天皇
 
<後撰集巻六(秋中)「題しらず 天智天皇御製」>
・・・・・・・・・・・・・
稲を刈り取る季節

田のわきの仮小屋に宿っていると

屋根の苫は目が粗いから

私の袖ときたら

しとしとと落ちて来る夜露に濡れとおしだよ
・・・・・・・・・・・・・
秋の田の かりほの庵の;
「秋」は陰暦の七・八・九月
「の」は四つともに連帯修飾語をつくる格助詞。「かりほ」は「刈り穂」と「仮庵」とを掛ける掛詞。
「刈り穂」は刈取った稲穂。
「仮庵」は農業用の仮小屋で、
「庵」は草・木・竹などを編んだ粗末な仮家。
「かりほの庵」は、調子を整える修辞法で、重ねことば。

苫をあらみ;
「苫」は葦・萱・菅などを、コモのように編んだもので、屋根や囲いに用いる。
「を」は、強調を表す間投助詞。
「あらみ」は形容詞「粗い」の語幹に、理由を表す接尾語の「み」が複合したもので、副詞と認定すべき語。
「を・・み」は「・・が・・なので」の意。

我が衣手は;
「わ」は自称代名詞。
「が」は連体修飾語をつくる格助詞。
「衣手」は着物の袖。
「は」は他と区別して、強調する係助詞。

露にぬれつつ;
「露」は夜霧。
「に」は原因を示す格助詞。
「つつ」は継続の接続助詞で、言いさしの表現となり、余韻・余情を残して」止めという。
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◇かりほの庵 仮庵の庵。同語を重ねて言ったもの。「刈り穂」と掛詞か。「一説に、刈り穂の庵。一説には、かりいほのいほ。(中略)かりいほのいほ、よろしかるべきにや。いにしへの哥は同事をかさねよむ事みちの義也」(宗祇抄)。仮庵とは田のそばに臨時に建てた小屋。物忌みのために籠ったり、農具を納めたり、夜間宿泊して田が荒らされないよう見張ったりした。
◇苫 小屋の屋根などを覆うために草を編んだもの。
◇あらみ (目が)粗いので。《み》は形容詞の語幹について原因・理由などをあらわす接続助詞(または接尾語)。「…を…み」の形は万葉集に多く見られる。
◇衣手 衣の手の部分。袖のこと。
◇露にぬれつつ 露に濡れながら。《つつ》は動作の反復・継起・継続などの意をあらわす接続助詞。
和歌では末尾に置かれることが多く、断定を避けて詠嘆を籠めるはたらきをしたり、余情をかもす効果をもったりする場合もある。
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百人一首巻頭歌。公任の「三十六人撰」、具平親王の「三十人撰」、後鳥羽院の「時代不同歌合」など、上代歌人を含めた歌仙秀歌撰においては、常に巻頭を飾るのは柿本人麿であった。
前例を破って、歌聖の前に二人の天皇の御製を置いたことに、定家が百人一首に籠めた思いを知るべきであろう。それは、和歌史における皇室の重みということである。
 二首目の持統天皇は天智天皇の子であり、したがって巻頭二首は、末尾二首――父子の関係にある後鳥羽院・順徳院――と照応している。
 天智天皇は奈良時代末期の光仁天皇以後連綿と続く皇統の祖として仰がれた。定家と同時代の慈円は、「コノ御門孝養ノ御心フカクシテ、御母斉明天皇ウセタマイテノチ、七年マデ御即位シタマハズ。御子大友皇子ヲ太政大臣トス。又諸国ノ百姓ヲ定メ民ノカマドヲシルス」(愚管抄)と、人格面・政治面ともに評価している。
 天智天皇御製と伝わる歌は、万葉集に四首。勅撰集では後撰集・新古今集に各一首のほか、計五首入集している。

【他の代表歌】
わたつみの 豊旗雲に 入日さし こよひの月夜 さやけかりこそ   (万葉集)
朝倉や 木の丸殿に 我がをれば 名のりをしつつ 行くは誰が子ぞ   (新古今集)

【主な派生歌】
秋の田の 庵に葺ける 苫を荒み もりくる露の いやは寝らるる
 (和泉式部「続後撰」)
草の庵 なに露けしと 思ひけむ もらぬ岩屋も 袖はぬれけり
 (行尊「金葉」)
秋の田に 庵さすしづの 苫をあらみ 月と友にや 守りあかすらん
 (藤原顕輔「新古今」)
露だにも おけばたまらぬ 秋の田の かりほの庵に 時雨降るなり 
 (藤原家隆)
唐衣 かりいほのとこの 露寒み 萩のにしきを 重ねてぞ着る
 (藤原定家)
秋の田の かりほの庵に 露おきて ひまもあらはに 月ぞもりくる
 (後鳥羽院)
苫をあらみ 露は袂に おきゐつつ かりほの庵に 月をみしかな
 (〃)
足引の 山田もるいほの 苫をあらみ 木の下露や 袖にもるらむ
 (〃)
旅寝する あまの苫屋の とまをあらみ 寒き嵐に 千鳥さへなく
 (〃)
小山田の かりほのいほの とことはに 我が衣手は 秋の白露
 (順徳院)
秋の田の かり庵の露は おきながら 月にぞしぼる 夜はの衣手
 (藤原為家)
ことわりに 過ぎてぞぬるる 秋の田の かりほの庵の 露のやどりは
 (〃)
秋の田の かりほの苫に ふく稲の ほの上渡る 軒の月かげ
 (正徹)
苫をあらみ 小田もる老の 心には なほたへかねて 露はらふらん
 (東常縁)
思へ世は 玉しくとても 秋の田の 仮庵ならぬ 宿りやはある
 (後水尾院)

<出典・転載元[千人万首]等より。>

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