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詩歌全般・日本古代史・たべものコミュのわたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人のつり舟

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わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人のつり舟    参議篁 

<隠岐の国に流されける時に 舟に乗りて出で立つとて 京なる人のもとにつかはしける>『古今集』・巻九・羇旅
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
海原の多くの島々を目指して漕ぎ出して行ったと

(都にいる 恋しいあの)人に伝えておくれ

そこの(漁夫の)釣り舟(の人)よ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はるけき大海原に、あまたの島々は点々と浮かぶ。
島から島へ漕ぎめぐりつ、私は流人島へ追われて行ったと都の愛しきあの人に伝えておくれ。
釣り船の漁師たちよ、伝えておくれ、愛する人に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
わたの原; 大海の。海原の。連体修飾語。

八十島かけて 漕ぎ出でぬと;

「八十島」はたくさんの島。
「かけ」は下二段活用「かく」の連用形。心にかけて目指す意。(掛ける)
「て」は接続助詞。
「こぎいで」は動詞「こぎいづ」の連用形。
「ぬ」は完了の助動詞終止形。
「と」は引用を示す格助詞。
「と」で受ける以上三句は、難波から出航して、島々のある瀬戸内海を通り、隠岐の島へ行くこと。
 
人には告げよ;

「人」は京の親しい人をさす。
「「に」は動作の対象を示す格助詞。
「は」は係り助詞。
「告げよ」は下二段活用「告ぐ」の命令形で、依頼を表し、歌の文の述語。
主語は「あまのつり舟」を想定。

海人のつり舟;

「「あま」は漁夫。
「の」は連体修飾語をつくる格助詞。
「つり船」は成分上独立語。この句を呼びかけの対象とする表現は擬人法。
体言止。倒置法。換喩。 
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仁明天皇の承和五年(838)遣唐副使に任ぜられたが、大使の藤原常嗣の船が破損していたので、常嗣は篁の乗る船と取り換えることを天皇に願い出た。
天皇がこれを許可されたので、篁は怒って仮病を使って乗船せず、しかも遣唐を諷する詩文を書いたので咎めを受け、官位を剥奪されて隠岐の島へ流されることになった。

篁は漢詩文にもすぐれていたが、歌も机上派の歌人にない、悲壮なリアリティをたたえている。篁はこのとき三十七歳だった。
隠岐は海の果ての辺土、それは雲煙万里の彼方に思われる。心細いが、しかし篁はおじ恐れているだけではない。篁は「野狂」というあだ名があるくらいで、直情怪行の性格、スジの通らぬ曲がったことが大きらいな男であった。
歌には高揚した悲壮美がある。
篁は詩才を惜しまれて二年後、許されて都へ還った。
その後は順調に累進して、のちには参議・従三位にまですすんだ。
参議は太政官の官名、政務審議の最高機関の構成員で、大・中納言につぐ要職である。

この篁は古くから、奇ッ怪な伝説にまつわられる人である。異母妹と愛し合ったとか、地獄の冥官であったとか、いわれている。
篁は勉強を教えていた異母妹に恋してしまう。それで仲を裂かれ妹は死ぬ。
死んだ妹は幽霊になって篁のもとにあらわれた。「魂なん、夜な夜な来て語らひける」とある。「この男、涙つきせず泣く」篁はその涙をすずりの水にして法華経を書いて供養した。

小野篁の遠祖には、遣隋使・小野妹子がいる。書家の小野道風は、篁の甥である。小野小町も、その一族であろうといわれ、風雅の家系である。


【作者】
参議篁(802〜852)参議・小野岑守の子。漢才を買われ遣唐副使となるが、大使・藤原常嗣との諍いから隠岐に流謫。赦免の後、参議従三位にまで累進す。
六尺豊な大男で、友情に厚く、母にやさしく、妻にも愛情は深かった。
勅撰集入集歌三十六首。



<出典・転載元等>
[北極星は北の空から〜ブログの中に] ・[千人万首]・[三木幸信・中川浩文著評解小倉百人一首]等より。

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