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詩歌全般・日本古代史・たべものコミュのみかの原 わきてながるる 泉河 いつ見きとてか 恋しかるらむ

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ー27ー 

みかの原 わきてながるる 泉河 いつ見きとてか 恋しかるらむ  中納言兼輔
 
<新古今集巻十一(恋一)「題しらず」>

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みかの原を分けて

湧き出て流れるいづみ川ではないが

いつ見た いつ逢った

ということで

どうしてこれ程恋しいのだろうか
・・・・・・・・・・・・・・
まだ見ぬ女性へおくる、みずからの片思いの恋心を不思議がる気持ち。

みかの原 わきてながるる;

「いつみ(何時見)」を導く序詞。
「みかの原」は京都府相楽郡を流れる木津川の北岸一帯。
「わき」は四段活用動詞「わく」の連用形で「分く」(分け進む)意と、「湧く」(水の湧き出る)意との掛詞。
「て」は接続助詞。
「流るる」は下二段活用動詞「流る」の連体形。
「いづみ川」は今の木津川で、「いづみ」は「湧く」の縁語。

いつ見きとてか 恋しかるらむ;

「いつみき」は何時出逢ったかの意。
「いつ」は時の不定称代名詞。
「み」は上一段活用動詞「見る」の連用形。
「き」は過去の助動詞終止形。
「とて」は・・・といっての意の格助詞。
「か」は疑問の係助詞で、結びは現在の理由推量の助動詞「らむ」の連体形。ドウシテ・・・ノダロウ。
「恋しかる」は形容詞「恋し」のカリ活用連体形。
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以下<転載記事>『千人万首・小倉百人一首 注釈』より。

◇みかの原 三香原、瓶原、甕原などと書く。京都府相楽郡。聖武天皇の時代に一時都が置かれた(歌枕紀行参照)。甕(みか)を埋めたところから水が湧き出たとの古伝があると言う。

◇わきてながるる 野を分けて流れる。上記古伝に基づき「わきて」を「湧きて」の意とする説もあるが、和歌には甕の伝説を反映した作例が無い。万葉集に「泉河渡りを遠み」「泉河渡り瀬深み」と川幅の広さ・水量の豊かさを謳われた歌枕泉川には「(野を)分きて」と解する方が相応しく、また心を裂くような切ない恋の心象風景としてもこの方が相応しい。但し「湧き」は「泉」の縁語なので、その限りにおいて「湧き」の意が掛かることになる。

◇泉河 今の木津川にあたる。同音反復より「いつ見き」を導く。

◇いつ見きとてか いつ逢ったからというので。「見」はここでは逢瀬を遂げることを言う。
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【ゆかりの地】
泉川 木津川。
鈴鹿山脈に発し、京都盆地南部を流れて淀川に合流する。
かつては今よりもずっと川幅広く水量豊かな河川で、奈良時代には平城京を難波と結ぶ交通の大動脈であった。一時期、河畔に聖武天皇の都が置かれた(恭仁京)。
「何時」「出づ」の掛詞として、またその名が喚起するイメージの美しさゆえに、盛んに用いられた歌枕である。

古今集読人不知歌
「都いでて 今日みかの原 いづみ川 かは風さむし 衣かせ山」も名高い。
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作者
藤原兼輔 877〜933は右中将利基の子。
25三条右大臣の従弟。
息子の雅正・清正は共に勅撰集入集歌人。
57紫式部は曾孫にあたり、98家隆も末裔である。
 醍醐天皇の寛平九年(897)七月昇殿を許され、同十年正月、讃岐権掾に任官。その後、左衛門少尉・内蔵助・右兵衛佐・左兵衛佐・左近少将・近江介・内蔵頭などを歴任し、延喜十七年(917)十一月、蔵人頭となる。同二十一年正月、参議に就任し、延長五年(927)正月、従三位権中納言。同八年、中納言兼右衛門督。承平三年二月十八日、薨。五十七歳。
 紀貫之・凡河内躬恒ら歌人と親しく交流し、醍醐朝の和歌隆盛期を支えた。鴨川堤に邸宅を構えたので、堤中納言と通称された。三十六歌仙の一人。家集『兼輔集』がある。
 百人秀歌では36番目になり、一つ前の三条右大臣と合せられる。
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【覚書】歌題を「未逢恋」(未だ逢はざる恋)とするか「逢不逢恋」(逢ひて逢はざる恋)とするか、説が分かれる。「いつみきとてか」につき、実際一度も逢ったことがないと解すれば「未逢恋」、いつ逢瀬を遂げたか分からないほど永く逢っていないと解すれば「逢不逢恋」となるのである。新古今集では恋一の七首目に置かれ、恋の初期段階における歌として撰入されていることが明らか。
 なお出典は古今和歌六帖「川」の項であるが、兼輔作の歌のあとに作者名を記さず載せられている歌の一つであり、作者を兼輔とする根拠は乏しいようである。
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【他の代表歌】
人のおやの 心は闇に あらねども 子を思ふ道に まどひぬるかな  (古今集)
みじか夜の ふけゆくままに 高砂の 峰の松風 ふくかとぞきく  (後撰集)

【主な派生歌】
みかの原 ながるる河の いつみきと おぼえぬせにも ぬるる袖かな
 (藤原基家)
泉川 こまのわたりの とまりにも まだ見ぬ人の 恋しきやなぞ
 (「夫木抄」)
いづみ川 ゆくせの波の 程にのみ ききこし人に 恋ひやわたらむ
 (宗尊親王)
春はただ みきともいはじ 泉河 わきてかすめる 波の上の月
 (慶運)
泉川 こほりにけりな ゆく水の わきて流るる かたもなきまで
 (二条良基)
かけとめよ 雲まの月を 三かの原 袂にわきて いづみ川なみ
 (正徹)
ほのかにも 山より月の いづみ川 ひかりぞ四方に わきて流るる
 (三条西実隆)
袖かけて 夕波すずし いづみ川 秋のこころや 分きてながるる
 (上冷泉為和)
みかの原 こよひの月の 光さへ わきてながるる いづみ川かな
 (松永貞徳)
泉川 わきて秋こそ かなしけれ はらへばむすぶ かせの山霧
 (加納諸平)
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