ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ウッディー瓦版/コミュの★恋愛の軌跡★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
〜Strange Nights〜変な夜たち〜

さて、去年の6月14日は、現ハニーとの運命の第一次接近遭遇(古いか)の日であった。この日僕が外にお昼ごはんを食べに行かなく、心斎橋筋でハニーがバシッとして来なければ、今の僕とハニーはなかったかも知れない。そう思えば思う程に、運命とは微妙なもんだなーと感心する。いまじゃ“なかむー”って呼び名さえなつかしーよ。で、二人の幸せな一年記念を祝して、以下、去年の日記からの抜粋によって、僕らの愛の軌跡を辿ってみた。

…って、一体誰が読むってんだよ。いいから読みな。

(ウッディー:06-06/15)
------------------------------
■2005-06/14(火)

なんだよっ!!/

本日、昼飯食いに行こうと心斎橋筋ブラってる時
イキナリ背中をバチーンとどつかれたので誰かと思うと
クワッと目を見開いた中村さんだった。

彼女はクワッと見開いた目をさらにキラキラさせながら
「実はあたし、(会社を)辞めるんですよぉ、知ってましたぁ?」
とイキナリ先制ジャブ。まじかよ!?

「でねでねでね〜平田さんも辞めはるんですよぉ、知ってましたぁ?」
とコンビネーション攻撃。マジで!?

ダメージを受け弱ったところで、つい中華屋で冷麺をオゴッてしまう。

で、いったんブックオフ前で別れ、
オーガニックビルの回転ドア前でふたたび遭遇。

脈絡なく「あたしイレズミしてるんですよー」とお腹の横っちょ、
腰骨の下あたりをジーンズを引っ張って見せつける。
確かに飾り罫のようなイレズミが下の方まで続いている。
再びダメージをうけ、歩きにくい感じになってしまった。

「シールなんですけどねぇ!」
「それ、どこまで続いてんの?」
「見たいですかぁ?」
「うお〜っ〜見てえ〜っ〜」とエレべ前で飛び跳ねる。

「えっ、いやや!!」…なんだよっ!!

しかしあのイレズミ、どこまで続いてるんだろう(…妄想)。
----------
※中村さん(愛称:なかむー)とは…/

去年の12月に会社に来たバイト女子。24歳。プチ山田優風。本好きであり、その傾向など微妙に趣味が合う。入社3日目にして「宇田さん、タバコ買ってきてください」と僕に申しつけたお方。しかし若いコにパシリ扱いされた僕の心境はけっして不快なものではなかった。
------------------------------
■2005-06/16(木)

来ねえよっ!!/

本日、昼飯食いに行こうと心斎橋筋ブラってる時
イキナリ背中をバチーンとどつかれたので誰かと思うと
クワッと目を見開いた中村さんだった。(既視感)

彼女はクワッと見開いた目をさらにキラキラさせながら
「なんで会うんでしょうねぇ?」
「てか、こないだはオレがオゴったし、今日はオゴってよ」
「いいですよ!でもパスタにして下さい」と条件付OK。
やりぃ。

で、ブックオフ斜め前のカフェにチェックイン!(とは言わない、
カフェの場合)
半熟卵のせカルボナーラをくるくるしつつ、
彼女の手のひらのひらひら性について、
または、オレとパスタの似合っていなさについて、
しばし、くっちゃべる。(話題がない)

ついでにメルアド交換。いいなあ、若いコとのメルアド交換。
そうだ、若いコだよ。娘でもちーっとも不思議じゃないのだ。
そんなコにおごってもらうとは。
近頃よく耳にする「ろくでなし」「できそこない」の声にも頷ける。

「冗談だよ、オレがおごるよ、年齢的に当然でしょ」
くらいの余裕持とうよ、オ・レ!

例のイレズミの行方が気になったが、
変態っぽいので、その話題には触れなんだ。
いつかあのイレズミの行方を確認する日が…


来ねえよっ!!
------------------------------
■05-07/01(金)

変な夜/

本当は前週金曜の約束だったが、双方多忙でボツッたため、なかむーと飲み会シキリ直し。やったぜ。

彼女ももうじき仕事が終わりそうに見えたので、オレは10時過ぎにイソイソと退社。近所のたこ焼き屋風飲み屋でビールを飲みつつ待つがなかなか来ず。たこ焼きを4皿も食った頃、「11時過ぎそう、何時まで待てるの?オールでいいなら待ってて」とメールが来る。「よっしゃ!オールでいこう」。ニヤリ。

店は11時閉店で追い出されたので、近くのマンキツに腰を据えて待つ。で、12時過ぎようやく合流。心斎橋筋をうろつき、適当な焼き鳥屋へしけ込む。他に客がおらずその後約2時間貸し切り状態。まずい訳ではないが。まあ、なかむーと差し向かいのオール、場所はどうでも悪くないに決まっている。

「この後、どーなるのかなー」と妄想しつつ焼き鳥をつっつきビールをガブ飲み。20も年下のコといったい何の話したの?とお思いでしょうが“日本昔話vsグリム童話”“絵画における具象と抽象”などコアなトークバトル。そのうち漫画話となり、オレがなかむーお勧めの「ホムンクルス(山本英夫)」を知らないと言ったことから「じゃあ今からマンキツ行って読もう、アタシも“殺し屋イチ”読みたいし」つーことに。なんでやねん。

と四の五の言う間もなく、先程のマンキツ再訪。うーん、テイよく予防線張られたのか。とは言えマンキツのペアシートもお互いの距離が近く密室的でなかなか微妙な空間。ちょいドキドキしつついつの間にか「ホムンクルス」に没入。なる程なかなか面白い。4時半頃お互い限界となりなかむーはソファ上で、オレはソファ下の床でダウン。この状態にもかかわらず爆睡。

翌朝、寝ぼけたなかむーが超かわいくヤバかったが理性総動員。もし、ミニスカとかだったら規制効かなかったかも。セーフ。サービスのゆで卵を食ってコーヒーを飲み、朝の街へ。

あーくそ小娘に翻弄された。でもなかなか変な夜で楽しかったよ。
------------------------------
■05-07/08(金)

変な夜パート2/

一度行きたいんだけど女のコひとりじゃ…というなかむーのリクエストにお答えして(さだまさし世代やの〜)、この夜、四つ橋の“なか卵”で一緒に晩飯を食う予定だったが案の定仕事が終わらず、オレは11時頃退社。JR最終の時間を考え「12時までなら“なか卵”で飲んでるし」と彼女にメール。仕事なら意地でも阪急の最終で帰ろうとするのに、どうだよこの軟弱ブリ、かっこいーだろ。で、“なか卵”で豚とじ定食を食った後、カウンターにてオヤジ風情満点で缶ビール飲んでるとギリギリ12時前になかむー参上。実はうちの彼氏の会社がこの近くやねん、ここやばいかも、などとダベりつつおろしうどんをツルツル。

割合のんびりしたなかむーをせかしつつ12時過ぎ店を出てタクシーを拾い梅田へ。しかし土佐堀川を越えた辺りで大渋滞。京都行き最終12:16には間に合わず、なかむーの神戸方面行き12:26にはギリギリ間に合う。彼女が切符を買い、改札でバイバイしようとしたその時、「宇田さんはどうすんの?“ポパイ(=梅田D.D.ハウス地下のマンキツ)”に泊まるんやったらあたしも行きたい」「!んじゃ行こか」という訳で先週に引き続き、変な夜パート2。

1時前に“ポパイ”へ。ここは彼女の行きつけらしい。5時間パックと10時間パックがあったが、いくらナンでも10時間はありえねー、ってことで5時間パックでチェックイン。この選択が失敗だったと気づくのは翌日のこと。もちろんジュース・コーヒー飲み放題、トイレには無料ひげ剃り、歯ブラシまで完備されていて結構快適。先週と同じく二畳程の個室のペアシートに並んで座り、オレは「ホムンクルス」の続き、なかむーは今話題の「ナナ」をどっさり抱えてくるがちょっと読むと「まわりくどすぎて無理」と、「ホムンクルス」と同じ作者の山本ナントカの「のぞき屋」を通読し始める。

やっぱねー、後輩の女のコ誘っておしゃれなバー行ってカラオケ行ってアワよくば…みたいなよくあるコースじゃなく、「なか卵」→「マンキツのペアシート」つー変テコなコースなのがよくね?43のオヤジと24のおねーちゃんが行くべきコースじゃないでしょ、コレ。しかも二週連続。んでーマンガ読みつつ、まさに高校生のような、ワクワクムズムズするような甘〜い感じの時間が過ぎる。あーこの感じだよ、この感じ。この青〜い感じ。くすぐってー。

読んではダベリ、ダベっては読みしていたが、3時頃からサスペンス映画のDVDをカウンターでレンタル、個室備え付けのTVにて観る。音声はもちろんヘッドフォン。マンガにドリンクに映画。なんとマア至れり尽くせりな空間だこと。映画の内容はイマイチだったがショッカーシーンではなかむー絶叫。さらに、途中ハードコアな絡みのシーンがあり、2人で観ていてかなりドキドキ、チン長…じゃなくて緊張した。こーゆー感じも久々かも。その後、お互いに毛布を掛け、ソファの左右の肘掛けにもたれかかって爆睡。高校生なら妄想が膨らみなかなか寝られないであろうこの状態でもすんなり眠りコケてしまうところが、やっぱスイもアマイも適当に噛み分け済み&お疲れ気味のオヤジってか。ま、余裕だよ。

7時頃目覚めるとなかむーはまだ爆睡中。トイレに立ち、ぼちぼち帰り支度を始めようと2人分のコーヒーを持って個室に帰ると彼女はソファいっぱいに延びてまだ夢の中。しかたなくソファの端っこに座りコーヒーを啜りつつ「もう朝やで、電車動いてるよ」となかむーの頭を軽くコンパチするが起きず、「う〜ん」と寝ぼけてオレのヒザに頭を乗っけて来る。ニノウデに触るやーらかい髪。胸元チラチラ。理性ギリギリ。無防備にも程があるが安心し切ってるなかむーが普通に可愛くも思える。何なんだよ、この状態は。やっぱオヤジ翻弄か。しかし、悪くね。

1時間近く理性と戦ってるうちになかむームニャムニャと起床。起きた瞬間からお目目ぱっちりお顔くっきり、可愛さ100パー。さーすが。バットちょい髪の毛ペッタンコ。2人でソファの上に体育座りでコーヒーをずりずりしつつ、NHK教育テレビ中心に、ヘッドホンをジャックにつなげたまま放置した状態の無声テレビを眺める。何となく。特に意味なし。

しかし、いかにも朝の番組然とした俳句教室、狂言の舞台、健康シューズ紹介番組など、いつもは縁のないプログラムを無声で延々観ている内にそれがツボにハマリ始め、この無意味な時間が案外楽しく、マッタリし過ぎてペアシートから動けなくなる。で、歌詞の字幕の出るインディーズJポップのビデオ番組を無声のままチャート50位から観続け、いちいち歌詞やビジュに突っ込んでいるうちに気が付くと昼の12時!!

…結局、5時間パックで11時間居続け、6時間分の追加料金とあわせてなんと料金1万円。マンキツにしては前代未聞の高額となった。くっそー10時間パックにしときゃ半額以下だったのに。でもマジこんなに居続けるとは思わなかったしね。しかし、気分は非常によく、阪急の地下街で昼メシを食って駅でなかむーとバイバイ。

てな感じで変な夜パート2、どっとはらい。パート3はあるのか!?
しかし、何故かキナ臭くねーな。あ〜、青春。
----------
夏のニオイと君のニオイが混じり合ったらドキドキするぜ
(ハイロウズ/青春)
------------------------------
■05-07/15(金)・16(土)

変な夜パート3/

変な夜パート2の後、「面白いのでまた行こう」と盛り上がったので、この日、変な夜パート3!!!連続3週間末ペアマンキツ泊達成。

割合仕事も忙しくなく、10時過ぎなかむーが先に会社を出たのを受けてオレも退社しようとしたところ、同僚のS女史に「今夜は誰(と遊ぶん)?」「まさかなかむーちゃうやろな」と痛いとこ突かれ、「めしくおうぜ」とたたみかけられてつい我楽茶屋にてカレー&ビール。「ほんま誰と遊ぶん?マジなかむーやったらあんたはともかく、あのコがいったい何を求めてるのかさっぱり分からんなー」。うん、オレにも分かんねーけどメチャ楽しいからいいだろ。

S女史と別れ、アメリカ村入口のフレッシュバーガーでなかむーと合流。彼女が「アメリカ村にもあるはず」と主張する“ポパイ(パート2で泊まった梅田のマンキツのチェーン店)”を探してウロつくが見つからず、パート1で泊まったオレの行きつけのマンキツに11時過ぎチェックイン。最長の9時間パック。

とりあえずテーマを手塚ナイトと決め、「人間昆虫記」「ばるぼら」を読み直す。年イッてから読むほどに重く感じられる内容だ。登場人物が自分の年齢よりも上か、同じくらいか、下かで、同じストーリーでもずいぶん違って感じられるのだろう。なかむーは手塚の恐怖短編集をパラパラ…が「全体的にまとまりがなく読みにくい」と文句タラタラ。手塚センセーに向かって。…好きは好きらしいんだけど。

途中、なかむーが持ってきた自分の油絵作品の写真を見せてもらったりしたが、なかなか。あのルックスでかなり個性的かつ独特の世界の持ち主である。ゴミ箱と窓枠、みたいな。なんでも一切の感情を排した風景を描きたいと思うと、そういうモチーフになるらしい。一切の感情を排した風景を…なんか大人だ。オレなんて絵好きだけどそんなこと一度も意識したことねーし。

その後、DVDを借りて心理サスペンス「ミスティックリバー」を鑑賞。またもやソファの左右に分かれて爆睡。小さくまるまって寝ているオレに比べ、なかむー寝相悪し。オレのテリトリーに侵入して来て、何度も寝ているオレの脇腹にゴ〜ンと頭突き。

前日11時入りの9時間パックなのでチェックアウトは朝8時だが、無料サービスのトーストとゆで卵食ったり、TV見たり、マンガ読んだりと相変わらずソファでゴロゴロ。オレに相当なじんだのか、やっぱオヤジ翻弄なのか、なかむーは隣で寝っ転がり頭をオレの腰や腕にくっつけてくる。ネコみたいなやっちゃ。

あのねー、いつも腹減らしたハイエナのようなイメージを自分で流布しまくってるけどご存知の通り思いっきし気小さいのの裏返しだし。草食動物っぽいよ。グワッと襲いかかるなんて出来ない。お手上げ。うーん、てかこの状態が超贅沢な時間なのさ。一歩足踏み出したらおしまい?なのか?分からんが、この微妙なバランスが今は最高。ああ、オレは今、スペシャル&チープなゲームを愉しんでるんだよなあ。

結局この日も9時間パック+4時間延長でお代は1万弱!!!

これじゃラブホのが安いよ、今度はラブホにしよう、と吹っかけてみるとなかむーはでかい目をさらにでかくクワッと見開いて微笑みながら、えっ、いいですよー、じゃ来週はラブホにしましょう!とあっさり。…そんな“妄想”が頭をかすめたりとか。ジャンジャン。

外へ出るとすでに陽は高く目がシバシバ。なかむーのオゴリでビジネスバーガーにてアイスコーヒー、で「エキサイティングブックストア」にてひとはしゃぎ。

その後、隣のブラック系レコード店(?)“CISCO”をひやかし、オレはデリメの「ストリングス・オブ・ライフ」のリミックスバージョン含む2枚組のアナログ盤を衝動買いして上機嫌。さらに、高くて今回は買えなかったけど「ハイテック・ジャズ」入りのG2Gベスト盤も見っけ。あー「ハイテック・ジャズ」。これが聴きたかったのさ。

オーパ横のメシ屋で遅めのランチ。ここでも1時間くらいまったり。四時頃に梅田でなかむーと別れ、部屋へ帰ってシャワーを浴び爆睡。寝過ごしてバレーワールドカップ・日本×ブラジル戦を後半のみ観戦。柳本ジャパンは残念ながら負けたが、ふと、大友愛の眉間の辺りがS女史に似ていなくもないことを発見。以降、彼女がS女史に見えてしまい、やや興醒め(ウソウソ)。
------------------------------
■05-07/22(金)・23(土)

変な夜から陶酔の夜へ/

週末ペアマンキツ泊第四夜。 先に会社を出たなかむーと梅田で待ち合わせ、D.D.ハウスの“ポパイ”へ。10時間パックでペアシートにチェックインするが、いつも3人掛けソファなのが今回は2人掛けで妙に狭く、座っただけでなかむーと密着状態。そのせいか「着信アリ」のDVDでキャーキャー怖がってクッついてくる彼女とのスキンシップ度急速に増す。

仮眠中も気付くといつのまにか彼女の顔がオレの肩のところにあり、さりげなく腕まくらして引き寄せ、細い肩をギュッと抱きしめてみると彼女も朦朧としながらしがみついて来る。甘い香り。なかむーが完全に寝ぼけているのか、この状態に気づいているのかどうかは分からない。かなりドキドキしながらそのままウトウトしている内に朝の9時。二人とも何事もなかったようにまたTVを見たりマンガを読んだりして昼すぎにチェックアウト。

“みやもとむなし”で飯を食い、その後阪急三番街やロフト及びその周辺をブラブラしたり途中、お茶を飲んだり。かっぱ横町の古本屋街では、オレ以上に長居しようとするなかむーにビビる。本屋でオレ以上に引っかかる女子など見たことない。実際彼女の本好き、読書量は半端ではないようで、芥川龍之介からオレの知らないような新進の作家の作風まで、まんべんなく語る。受け皿広し。ひろしです。受け皿が広いとです。

夕方、マルビル地下のタワレコへ。なかむー、欲しがってたクラウス・ノミのCDを発見して即買いし、上機嫌。そのままビル地下の食堂街にてラーメンを食い、オレはビール、なかむーはチューハイを飲んでいるうちに二人ともかなり酔っぱらう。彼女は「今日はやばいかも、何か酔い回るし」と言いつつ、ウルウルした大きな目で、いつもの如くこっちをまっすぐに見つめて来る。曰く「だいたい宇田さんが昨夜寝てる時、急にギュッとして来たしドキドキして何かおかしくなった」と。やっぱ気づいてたのか。

店を出ると自然と手をつないで歩いている。あれ?ナンダ?どうなってんだ?しかもつなぎ方がお互いの手の平や甲や指をまさぐるような、つなぐというよりは握る、絡めるつーようなモドカシゲな感じなのだ。

明らかに何かが加速している。

しかし、どうしていいのか分からず取り敢えず駅方面へ向かっていると、

なかむー「どこ向かってるん?」
オレ「一応、駅改札方面」
なかむー「いやや、どこかで酔い醒ましたい、こんな顔で電車に乗れない」
オレ「んじゃ、路上ライブでも見る?」

と大阪駅前ロータリー上の歩道橋へ。

なんせ頭の中ではやや冷静にフトコロの計算をしていたが、ホテルどころかマンキツのペアシートに戻る金さえ残っていない。残金約2,000円てとこか。くー、なんでこんな時に金がねーんだよ。恨むぜオサムちゃん(ボーナス遅配の責任者、つまりうちのボス)。まぁ、なかむーとこうしていられるのは、よくよく考えると元々はオサムちゃんが彼女を採用してくれたおかげなんだけどさ。

てことで一転、なかむーを採用したおさむーに感謝。

歩道橋の上では何組かのバンドがそれぞれのプチファン集団を前に演奏していたが、その中の一つの輪に混じり歩道橋のガードを背にしてなかむーと地べたに座り込む。彼女の背中に回した手の先がジーパンお尻の辺り、微妙な位置でもどかしく立ち往生している。もぅイッパイイッパイ。

あちこちにバンドを囲む輪ができ、手持ち無沙汰な人が同じように随所に座り込んだり、笑い合ったりしている夜の大阪駅前歩道橋の上は“プチ共和国”のように見える。

目の前を行き交う人々。その中にボス(おさむー)がいてオレらに気づいたらどんな反応を見せるか、他のメンバーならどうか、代理店の人ならどうか、などと他愛のない想像をしつつ二人ではしゃぐ。「○○さんなら大変やろねー、ぜったい“あの人はやめとき”って言われるわー。でもやめへんけどねー」などと言うなかむー、なんて可愛いんだよ。

アマチュアバンドの適当なバラードが、いくつもの高層ビルが空を切り取る大阪駅前の独特の風景に妙にハマってしまう。いや、二人のこの情況にハマっているのか。たぶん両方なんだろう。

1時間程座った後、駅の方に戻ってトイレに行き、ジュースを買った金のない二人、再び歩道橋の上へ戻りガード添いに落ち着く。今度は少し離れたフォークデュオのライブの輪の近く。

酔いの醒めやらぬ二人、辛口の人間観察。

なんせネタには事欠かない。フォークデュオの取り巻き連中、自作のイラスト入りポストカードを売っている人、一人でマイクなして弾き語りしてる何人かの若いの、今まさに、歩道橋の上から飛び降りようか、どうしようか迷っている自殺志願者(のように見える人)、傍に来るだけで超うぜえ酔っぱらったサラリーマンや大学生のファック集団、歩道橋の上でボーリングの玉を転がしはしゃいでいるインポ野郎、当たって砕けろ的ナンパ特攻隊、延々と携帯で喋っている謎の老女…。

バンドやフォークデュオの周りに出来た人垣を解散させようというのだろう、数人のおまわりが偉そうな態度でうろついている。ったくおまわり共は何故どいつもこいつも偉そうに腰に手を当てているのか。もうちょい君たちのオーナーである市民の皆様に飼い犬の如く媚びヘツライたまえ。でないと「死刑」な・の・だ。

まあ、通行人やおまわりから見れば、歩道橋端に脚を投げ出して座りつつイチャついてるオレとなかむーもさぞやうぜえカップルに見えただろう。

昼間はあんなに蒸し暑かったのに、夜の風は思いの他涼しく、歩道橋の上の“プチ共和国”を爽やかに吹き渡って行く。それになかむーの甘い香りが混じる。立ち往生していたさっきの手の先は、今は彼女のジーパンのお尻のポケットにちゃっかりと収まっている。申し訳ないが気分がいい、バイ岡林。

オレが「チューして」つーとなかむーは大きな目をさらに大きくクワッと見開いてちょっと驚いた顔をしたけど、すぐオレのほっぺに唇を近づけてチュッとしてくれた。マジかよ?「じゃお返し」ってことでオレも彼女のほっぺにチュッ。ピヤッとやわらかい、ましゅまろみたいな唇とほっぺた。

我慢できずに、彼女のお尻のポケットから出した手を細い腰に回してギューと抱きしめる。彼女がその手の甲に自分の手を重ね、オレの手を裏返して細い指を絡めてくる。今度は「なあ」というオレの声に振り向いたなかむーの唇にチュッ。もう止まらない。場所を忘れ、何度もキス。唇をこすり、チロチロと舌をまさぐり合う。勢い余って歯がカチンと音を立てる。見よ、オレ達は連続四週末マンキツの“変な夜”から、遂にこの歩道橋の上の“プチ共和国”に辿り着いたのだ。

それは“陶酔の夜”であった。

いっそ目の前のフォークデュオが何かスタンダードな楽曲のコピーかなんかを演奏してくれれば(例えば“真夏の果実”とかさー)、それをラジオか何かで聴くたびにこの“陶酔の夜”のことを思い出せるだろうに、やつらはまるで毒にも薬にもならないヘナチョコ自作フォークを演奏するばかりだ。んまあいいや、シアワセなんで許す。

なかむーの背中と歩道橋のガードの間に挟まれた腕がしびれ出すがどうでもいい。彼女と目が合う度にキスしたくなる。実際キスする。ほっぺただけでなく少し陽に焼けた肩や背中にもキス。キス、キス、キス、だ。

用もなく近づいて来たおまわりの目の前で、わざとらしくなかむーを抱きしめながら長めのキスをすると、彼女は少し切ない声を上げ、慌てて「えっ、なに、今の声なし、何もゆってない、忘れて」と言った。

忘れねーよ。そして、この夜のことも。
------------------------------
「サマー・オブ・ラブ(2005.7/31)」

マンキツのペアシートで変テコな五つの夜を過ごし
その夜僕らは大阪駅前の歩道橋の上にたどり着いた
下手クソなバンドが下手クソなバラードを演奏して
ホント下手クソなこの恋に最大のエールを送ってた

1962年2月11日、僕はこの世界の中心で生まれた
1981年1月19日、君はこの世界の中心で生まれた
2005年7月23日、大阪には本格的な夏が舞い降り
でも、その夜は思いのほか涼しい風が吹き渡ってた

いつか、すべてが終わると知っている
いつか、すべてが変わると知っている
でも、時間の流れと垂直に恋は花開く
そう、時間の流れと垂直に恋は花開くのさ

小さな古墳の隣の小さな僕のアパートで抱き合った
次の日古墳に登り小さな街を見下ろしチューをした
またアパートに戻り抱き合って何度もチューをした
チューの数はあっという間に僕のトシを超えていた

生け垣に残されたセミのぬけ殻に目を丸くしてた君
でもさぁそいつは君に魂抜かれた僕のぬけ殻かもな
この恋が終わった時、この僕よ、このうたを歌えよ
恋もまたカタチを変えたロックンロールに他ならない

いつか、すべてが終わると知っていた
いつか、すべてが変わると知っていた
でも、時間の流れと垂直に恋は花開く
そう、時間の流れと垂直に恋は花開くのさ

セルジュに習えば、この恋は死を纏ったキャナビス
キースに習えば、この恋は白い帽子を被った貴婦人
まさに、恋は盲目、その他の問題はすっかり色褪せ
僕はノリノリのレイチャールズのようにクビを振る

そう、浮かれたこの僕を笑えよ、悟りし人よ
僕は今夜、阪急電車から流れゆく恋を見てる
そう、浮かれたこの僕を笑えよ、悟りし人よ
僕は今夜、阪急電車から砕け散る恋を見てる
そう、浮かれたこの僕を笑えよ、悟りし人よ
僕は今夜、阪急電車から咲き誇る恋を見てる
そう、浮かれたこの僕を笑えよ、悟りし人よ
僕は今夜、阪急電車から続いてく恋を見てる

この恋が終わっていなくても、この僕よ、このうたを歌えよ
そう、恋もまたカタチを変えたロックンロールに他ならない

この恋が終わった時、この僕よ、このうたを歌えよ
そうさ、恋もまたカタチを変えたロックンロールに他ならない

(ウッディー)

コメント(4)

恋愛の軌跡

※会社ビル非常階段での逢い引き。
恋愛の軌跡

※JR梅田駅前横断歩道の風景(プチ共和国)。
恋愛の軌跡

※アパート雑景。 真ん中は、彼女がゲーセンの店番のニイチャンにスマイル光線を飛ばしてゲットしたスヌーピー。
恋愛の軌跡

※アパート雑景。 僕に似合わない、ジェミー・リードの黄色いデザインも似合うねー。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

ウッディー瓦版/ 更新情報

ウッディー瓦版/のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング