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憧れのイタリアコミュのマッセリアの魅力

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マッセリアというイタリア語をご存知ですか。

ご存知の方も、初耳の方も是非次の文章を読んで下さい。

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イタリアという長靴のかかとの部分、プーリアと呼ばれる地方まで、ミュンヘンから車を走らせた。

道の周りは、見渡す限り、糸杉とオリーブの木におおわれた肥沃な土地。薄緑色の葉陰に、アドリア海の水平線が見え隠れする。この道に沿って、ときおり白い門柱が立っている。

その一つをくぐって、でこぼこの砂利道を五00メートル近く走ると、さらに厳重な鉄の門に行き当たる。

インターホンで名を告げると、遠隔操作で門がしずしずと開く。

プーリア地方に多数残るマッセリア(農場)である。

南イタリアの強い日差しが、白く塗られた壁にはねかえって、目を射る。中庭には高い椰子の木や、ハイビスカスの花も見える。

この農場は、イタリアで人気の高いアジエンダ・アグリトゥリスティカ(農園観光施設)の一つで、ホテルとなっている。

客室は八つしかないので、都会のホテルよりも家族的でゆったりとした、民宿のような雰囲気がある。

特に名所旧跡をめぐる観光をしなくても、中庭に置かれた藤椅子に座って、大きな日傘の下で、花と南国の空を眺めているだけでも、都会生活者の心に積もった塵・芥が洗い落とされていく。

この農場は、かつてオリーブ油を製造していた裕福な一家の持ち物だった。

右手と三つの星をあしらった家紋が、中庭に通じる門に刻まれている。地下室にはオリーブの実をつぶすのに使われた大きな石の車輪や、プレス機械が残っている。

農場ホテルに「イル・フラントイオ」つまり「油を搾り出す機械」という名前が付いているのも、そのためである。農場の中のもっとも古い建物は十六世紀に建てられたもので、小さな礼拝堂も残っている。

背後には数十ヘクタールもある農地とオリーブの林が広がっており、小さな馬場もある。

都会の生活に満足できず、質の異なる暮らしを求めていたイタリア人のインテリ夫婦が、七年間空家として放置されていた農場を、九0年代に買い取って、見事に修復した。

「イル・フラントイオ」は、プーリア地方にたくさん残っているマッセリアの一つにすぎない。

地図を見ると、バリとブリンディスィの間の田園地帯は、このようなマッセリアで埋め尽くされている。

同じ南イタリアでも、貧困があちこちに見え隠れするナポリ周辺のカンパニア地方とは、異なる印象を受ける。

ひとつの農場を拠点に、周りにある農場を車で次々に回って、違いを比べて見るのも楽しい。

従業員が外国語を全く話さない所も多いので、最低限のイタリア語の知識は必要だ。

いくつかの農場を回ってみると、庭を中心にして周囲をぐるりと高い塀で取り囲み、砦のような構造になっている建物が多いことに気がつくが、それには歴史的な理由がある。

十五世紀頃からプーリア地方は、アドリア海をはさんだ現在のアルバニアやクロアチアにあたる地域から、盗賊によって何度も襲撃を受けた。

彼らは、農場で作られるオリーブ油などの農作物や貴金属、そして時には女性たちを奪うために、船でプーリア地方を襲ったのだ。

海岸に建てられたやぐらで、盗賊団の襲来を告げる早鐘が鳴らされると、この地域のマッセリアでは、畑で働いている小作人たちをかき集め、砦の扉を堅く閉ざした。女たちは、オリーブ油を火にかけて沸騰させる。

塀を越えようとする盗賊たちに、煮えたぎったオリーブ油を浴びせるためだ。

ドイツなど北ヨーロッパでは、こうした防衛戦では、沸騰したコールタールが武器として使われたものだが、所変われば品変わる。マッセリアでは、収入の源であるオリーブ油が、時には武器にもなったのである。

さて農場はしごの楽しみの一つは、豪勢な夕食である。

イタリアの食生活も地方ごとの変化に富んでいるが、プーリア地方では前菜(アンティパスト)を注文すると、野菜を中心に五〜六種類の小皿料理が出てくるのが特徴。

このあとパスタとメインディッシュとデザートを食べるのだから、少食の人ならずとも降参するかもしれない。

たとえば「イル・フラントイオ」で夕食の席についた客は、油で揚げた玉ねぎとオレンジの皮の前菜や、珍しい白い茄子、ズッキーニの花の油炒め、豆と手打ちパスタのスープなど十一品目からなる、趣向をこらした食事と、農場で作られた二種類のワインを、主人の解説付きで、夜八時半から十一時までかけて楽しむことができる。

しかも、メニューは毎晩変わる。

十二年間にわたりイタリアのあちこちで食事をしてきたが、もっとも手のかかった夕食の一つだった。

二00二年には、これで一人四0ユーロ(四八00円)だったから、東京のイタリア料理の値段に慣れている人は、びっくりしてしまうだろう。

この農場から車で十分くらいの原野の真ん中にある、別のマッセリア「パルコ・ディ・カストロ」でも、食べきれないくらいの前菜が出てくる。

緑の多い中庭のレストランは、このひなびた地域のどこに、これだけの客が隠れていたのかと思うくらい、たくさんのイタリア人で深夜まで賑わっていた。

トスカナやエミリア・ロマーニャに比べると、日本ではまだ知られていないプーリア地方は、都会では絶対に味わえない魅力に満ちている。

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この地域に行かれた人はいらっしゃいますか?

ぜひ体験談を教えて下さい。

熊谷 徹

筆者ホームページ http://www.tkumagai.de

コメント(4)

シチリアでコメントしましたマル蔵と申します。

行った事はないのですが、是非行ってみたいです。
やはり最低限のイタリア語は必要だとは思うのですが、
熊谷さんはいつもどのようにして、そのようなマッセリアを
見付けられるのでしょうか。行き当たりばったりではない
ですよね。
サイトなどで何か情報源のお勧めがありましたら教えて
いただけますでしょうか。
私はイタリアでは、マッセリアかアグリトゥリスモ以外には泊まりません。大都市は避けます。

見つけるには、GOOGLEで探します。地域の名前とアグリトゥリスモという言葉を入力します。ドイツ語か英語で、大量のアグリトゥリスモを見つけることができます。もちろんイタリア語がおできになれば、もっと沢山見つかるでしょう。是非お試し下さい。
早速のお返事どうもありがとうございます。
毎回楽しみに読ませていただいております。
イタリアでの高速はドイツのアウトバーンと比べると
なかなか走るのに気を使ってしまい疲れるので、車では
まだベローナ・ベネツィア止まりです。
今度は、ゆっくり何日か途中で泊まりながら、プーリア地方
まで行きたいです。
また、他の地域の体験談がありましたら是非載せて下さい。
イタリアの高速道路は、路面の状態が悪いし、トラックが突然割り込んできたりして危ないので、十分注意して運転して下さい。プロの運転手は3時間走ったら、休憩するそうです。

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