持続可能な未来社会へコミュの世界は成長に対する制限に直面＝トリシェＥＣＢ総裁

欧州中央銀行（ＥＣＢ）のトリシェ総裁は３日、
世界は成長に対する環境面での制限に直面しており、
それがインフレを押し上げる可能性があるとの認識を示した。

総裁は、国際通貨会議（ＩＭＣ）のパネルディスカッションで
「人類は、無限の資源を有するとみえる世界から、制限され、混雑し、
スペースに限りのある地球、資源は有限で廃棄物処理や公害を受け入れる
容量が減少しつつある地球へと、緩やかに順応している」と述べた。　

総裁は環境問題について言及する機会は少ないが、
パネルでは原材料の不足がインフレに与える影響について触れた。

総裁は「発展の限界に迫っている世界の経済は、
グローバルシステムにおける相互作用の複雑性に関するわれわれの見通しと
認識の調整を迫っている」とし、原油および食品価格の上昇が、
グローバリゼーションによってもたらされたユーロ圏への輸入製品の価格
に対する下落圧力を徐々に上回っていると指摘。

ただ、インフレに影響を及ぼしている食品・原油価格の上昇を
ＥＣＢが短期的に食い止めることができなくても、
長期的には金利がインフレ抑制の有効なツールになるとの考えを示した。

総裁は「現在の世界経済が困難であっても、金融政策の立案に関するルールは
変わらない。インフレは長期的に金融面での現象であり、物価安定は
金融当局の本質的な責務だ」とし、
「世界的な資源不足や気候変動に対する懸念の高まりなど、
その他の要素との関係でその責務は複雑なものとなっているが、
金融政策は引き続き、物価安定の実現に向けて重点的に取り組む」と述べた。

[ロイター]