平成26年9月22日宣告 裁判所書記官 松坂健一
平成26年（わ）第11号 判決 無職 関千尋 昭和38年10月5日生
上記の者に対する大麻取締法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役1年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
盛岡地方検察庁二戸支部で保管中の丸型半透明樹脂容器入り大麻一個（平成26年領第22号符号1）及び袋入り大麻1袋（同符号3）をいずれも没収する。
起訴費用は被告人の負担とする。
理由
（罪となるべき事実）
被告人は、みだりに、平成26年7月16日、岩手県二戸市石切所字馬作目5番地先路上に停車中の自動車内において、大麻を含有する乾燥植物片合計10．517グラムを所持したものである。
（証拠の標目）
以下、甲乙の数字は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。
・ 被告人の公判供述
・ 被告人の検察官調書（乙6）及び警察官調書（乙2，3，5）
・ 警察官作成の捜査報告書（甲5）及び同謄本（甲1）
・ 警察官作成の捜査差押調書（甲2）
・ 警察官作成の写真撮影報告書（甲6）
・ 二戸警察署長作成の鑑定嘱託書謄本（甲8，10）その他
（法令の適用）
被告人の判示所為は、大麻取締法24条の２第一項に該当するところ、所定刑務の範囲内で被告人を懲役1年に処し、情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し、盛岡地方検察庁二戸支部で保管中の丸型半透明樹脂容器入り大麻一個（平成26年領第22号符号1）及び袋入り大麻1袋（同符号3）は、いずれも判示大麻取締法違反罪に係る大麻で被告人が所有するものであるから、大麻取締法24条の5第一項本文によりこれを没収し、起訴費用については、刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
（被告人及び弁護人の主張に対する判断）
１ 被告人及び弁護人は被告人の判示所為に適用された大麻取締法24条の2第一項は、�仝斗茲�ら日本に自生し、日本人に親しまれてきた大麻の個人による所持を一律に禁止するもので、幸福追求権を過度に制約するものえあるから、憲法13条に違反する、��大麻の危険性は、アルコールやたばこのような人体への害悪を有することが明らかな他の嗜好品に比べても著しいものとはいえないのに、その所持を一律に禁止するもので、大麻の所持や使用を好む者と他の嗜好品を好む者との不合理な差別であって、憲法14条に違反する、�Ｈ鏐霓佑蓮�大麻によってこそ現在の汚れた地球が救われるものと信じているところ、大麻の所持を一律に禁止することにより、このような思想信条に対する過度の規制をするもので、憲法19条に違反する、�ぢ臻磴蓮�近年の研究により、医療大麻としての効果が確認されていて、国は国民の社会福祉や公衆衛生の向上のために積極的に医療大麻の研究を促進すべきなのに、大麻に対する不当に厳しい規制を一向に見直そうとしないもので、そのような立法不作為は憲法25条2項に違反する、などと主張する。
２ しかしながら、�‖臻磴�精神薬理的作用を有し、それが人体に有害なものであることは公知の事実であるから、大麻取締法24条の2第一項がそのような大麻の個人による所持を規制し、5年以下の懲役という刑罰を規定していることが憲法13条に違反するとはいえない。
また、�▲▲襯魁璽襪笋燭个海搬臻磴任蓮△修譴蕕凌歓箸傍擇个恒洞舛�異なるため、有害性を単純に比較することができない上、アルコールやたばこの効用や危険性の社会一般の認知度と大麻のそれとは異なるのであるから、大麻に対する規制が他の嗜好品に対する規制と異なるからといって、これをもって直ちに不合理な差別であるとはいえず、大麻取締法24条の2第一項が憲法14条に違反するものではない。
さらに、�Ｈ鏐霓佑�大麻を所持していたのは、これを吸引あるいは摂取するためと認められ専ら信仰のためでったとは認められないのであるから、憲法19条違反の主張は失当である。
そして、�ぢ臻禺萃�法24条の2第一項は、個人が大麻をみだりに所持するなどとした場合の罰則を定めたもので、医療目的での研究等を規制するものではないから、立法不作為の主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。
（量刑の理由）
１ 本件は、被告人がみだりに大麻を所持したという大麻取締法違反の事案である。
２ 大麻が精神薬理作用を有し、それが人体に有害なものであることは公知の事実であるから、その所持等は厳重に処罰されるべきものであるところ、被告人は、約10グラムもの大量の大麻を所持していあたというのであって、犯罪は悪質である。
被告人は、公判廷においても、大麻の効果を主張し、それを広く周知し、他人にも利用の機会を持たせる必要がある旨述べ、大麻の害悪を広めようとしているのであるから、規範意識はみじんも見られない。被告人は、大麻所持の正当性を主張し、それを改める意思はないと公言していることからすると、再犯のおそれは高いといわざるを得ない。
したがって、被告人の刑事責任は重い。
３ 他方で、被告人が大麻取締法違反で逮捕されたのは初めてであることなど、被告人のために酌むべき事情も認められるから、諸般の事情を総合考慮して、主文の刑を科することとし、今回に限ってはその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
４ よって、主文の通り判決する。
（検察官小原正善、国選弁護人上山信一各公判出席）
（求刑 懲役一年、大麻の没収）
平成26年9月22日
盛岡地方検察庁二戸支部 裁判官 澤村智子
平成26年（わ）第11号 判決 無職 関千尋 昭和38年10月5日生
上記の者に対する大麻取締法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役1年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
盛岡地方検察庁二戸支部で保管中の丸型半透明樹脂容器入り大麻一個（平成26年領第22号符号1）及び袋入り大麻1袋（同符号3）をいずれも没収する。
起訴費用は被告人の負担とする。
理由
（罪となるべき事実）
被告人は、みだりに、平成26年7月16日、岩手県二戸市石切所字馬作目5番地先路上に停車中の自動車内において、大麻を含有する乾燥植物片合計10．517グラムを所持したものである。
（証拠の標目）
以下、甲乙の数字は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。
・ 被告人の公判供述
・ 被告人の検察官調書（乙6）及び警察官調書（乙2，3，5）
・ 警察官作成の捜査報告書（甲5）及び同謄本（甲1）
・ 警察官作成の捜査差押調書（甲2）
・ 警察官作成の写真撮影報告書（甲6）
・ 二戸警察署長作成の鑑定嘱託書謄本（甲8，10）その他
（法令の適用）
被告人の判示所為は、大麻取締法24条の２第一項に該当するところ、所定刑務の範囲内で被告人を懲役1年に処し、情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し、盛岡地方検察庁二戸支部で保管中の丸型半透明樹脂容器入り大麻一個（平成26年領第22号符号1）及び袋入り大麻1袋（同符号3）は、いずれも判示大麻取締法違反罪に係る大麻で被告人が所有するものであるから、大麻取締法24条の5第一項本文によりこれを没収し、起訴費用については、刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
（被告人及び弁護人の主張に対する判断）
１ 被告人及び弁護人は被告人の判示所為に適用された大麻取締法24条の2第一項は、�仝斗茲�ら日本に自生し、日本人に親しまれてきた大麻の個人による所持を一律に禁止するもので、幸福追求権を過度に制約するものえあるから、憲法13条に違反する、��大麻の危険性は、アルコールやたばこのような人体への害悪を有することが明らかな他の嗜好品に比べても著しいものとはいえないのに、その所持を一律に禁止するもので、大麻の所持や使用を好む者と他の嗜好品を好む者との不合理な差別であって、憲法14条に違反する、�Ｈ鏐霓佑蓮�大麻によってこそ現在の汚れた地球が救われるものと信じているところ、大麻の所持を一律に禁止することにより、このような思想信条に対する過度の規制をするもので、憲法19条に違反する、�ぢ臻磴蓮�近年の研究により、医療大麻としての効果が確認されていて、国は国民の社会福祉や公衆衛生の向上のために積極的に医療大麻の研究を促進すべきなのに、大麻に対する不当に厳しい規制を一向に見直そうとしないもので、そのような立法不作為は憲法25条2項に違反する、などと主張する。
２ しかしながら、�‖臻磴�精神薬理的作用を有し、それが人体に有害なものであることは公知の事実であるから、大麻取締法24条の2第一項がそのような大麻の個人による所持を規制し、5年以下の懲役という刑罰を規定していることが憲法13条に違反するとはいえない。
また、�▲▲襯魁璽襪笋燭个海搬臻磴任蓮△修譴蕕凌歓箸傍擇个恒洞舛�異なるため、有害性を単純に比較することができない上、アルコールやたばこの効用や危険性の社会一般の認知度と大麻のそれとは異なるのであるから、大麻に対する規制が他の嗜好品に対する規制と異なるからといって、これをもって直ちに不合理な差別であるとはいえず、大麻取締法24条の2第一項が憲法14条に違反するものではない。
さらに、�Ｈ鏐霓佑�大麻を所持していたのは、これを吸引あるいは摂取するためと認められ専ら信仰のためでったとは認められないのであるから、憲法19条違反の主張は失当である。
そして、�ぢ臻禺萃�法24条の2第一項は、個人が大麻をみだりに所持するなどとした場合の罰則を定めたもので、医療目的での研究等を規制するものではないから、立法不作為の主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。
（量刑の理由）
１ 本件は、被告人がみだりに大麻を所持したという大麻取締法違反の事案である。
２ 大麻が精神薬理作用を有し、それが人体に有害なものであることは公知の事実であるから、その所持等は厳重に処罰されるべきものであるところ、被告人は、約10グラムもの大量の大麻を所持していあたというのであって、犯罪は悪質である。
被告人は、公判廷においても、大麻の効果を主張し、それを広く周知し、他人にも利用の機会を持たせる必要がある旨述べ、大麻の害悪を広めようとしているのであるから、規範意識はみじんも見られない。被告人は、大麻所持の正当性を主張し、それを改める意思はないと公言していることからすると、再犯のおそれは高いといわざるを得ない。
したがって、被告人の刑事責任は重い。
３ 他方で、被告人が大麻取締法違反で逮捕されたのは初めてであることなど、被告人のために酌むべき事情も認められるから、諸般の事情を総合考慮して、主文の刑を科することとし、今回に限ってはその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
４ よって、主文の通り判決する。
（検察官小原正善、国選弁護人上山信一各公判出席）
（求刑 懲役一年、大麻の没収）
平成26年9月22日
盛岡地方検察庁二戸支部 裁判官 澤村智子
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