ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

境界と侵犯コミュのタナトス/エロス 死の欲動/生の欲動

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
高校倫理用語集から(引用改造)
死の本能(タナトス)
対象を破壊しようとする死の欲動で、対象への攻撃欲としてあらわれる。フロイトは、破壊的な死の欲動と、人間を結合し統一する生の欲動を、人間の二つの根源的な欲動とした。生あるものは無生物の状態から生まれたものであるから、死の本能は根源的な無生物の状態にもどろうとする欲動とも考えられる。エロス(生の本能)とタナトス(死の本能)は心の中でからみあいながら働き、性愛においては男女が親密に一体化しようとするエロスの面と、相手を攻撃して支配しようとするタナトスの面があらわれる。生へと向かうエネルギーであるエロスは、死へと向かうタナトスを中和する働きをする。


今村仁司編集「現代思想を読む事典」から(引用改造)
フロイトは最初の欲動論において、性欲動と自己保存欲動とを詩人シラーの「愛か飢えか」という言葉になぞらえ、群と個の対立という局面でとらえようとした。対してエロス、タナトスの対立においては、愛と憎しみといったエンペドクレス的二大原理の対立(世界は愛と憎しみ、好意と嫌悪、つまり引力と斥力の作用で結合離反を繰り返すところに構成されるとする)の中で描こうとしている。まずエロスとは性欲動という枠をはるかに超え、生物にあまねく存在し、その成長を促し、より大きな統一と維持、発展と躍動とに導き、死を遠ざけるものとされている(つまり愛という概念がカバーする全領域を指して使用されているものと考えてもよいだろう)。対してタナトスの語は、生以前の分離離散した無機的状態へ立ち戻ろうとする傾向全体を指し、結合や統一の破壊という保守的退行的な側面をとらえて用いられる。こうした二種類の欲動の対立をフロイトが考えるようになったのは、以下述べるような現象をいかに解明していくかという点にあった。まず病であることに満足を見出し、症状が改善に向かうと罪悪感を感じ、かえって悪化する陰性治療反応を起こす患者。マクベス夫人のようにやっと望みが叶ったと思う瞬間発病し破滅していくタイプの人間。頻回に事故に遭ったり悲恋を飽きることなく繰り返す人々。そして一般には願望充足と考えられる夢や遊戯の中に登場する不快な体験の反復などといったデモーニッシュな内容。
(略)
多くの弟子たちがこのフロイトの二大欲動論を拒絶し、タナトスを攻撃性の概念に格下げして、エロスの支配下に置こうとする中、これを自らの理論に積極的に取り込み、体系化していった人にメラニー・クラインがいる。


小此木啓吾「フロイト思想のキーワード」から
フロイトが「死の本能(Todestrieb, death instinct)」の考えを最初に発表したのは、1920年刊行の『快感原則の彼岸』においてであった。そこでフロイトは、こう論じている。「あらゆる生物が内的な理由で死んで無機物に還るという仮定が許されるとすれば、あらゆる生命の目標は死であるということになる。また見方を変えれば、無生物は、生物以前に存在した、としか言えない」
(略)
有機体の内部には常に無機物へと解体してゆこうとする本性が、生物(生)には無生物(死)へと向かう本能、つまり「死の本能」が働いている。
そしてこの「死の本能」=タナトスに対抗するのが「生の本能(Lebenstrieb, life instinct)」=エロスであって、そのあらわれである自己保存本能が「死の本能」に逆らってつくり出す生命現象は“死に至る迂路”なのである。換言すれば、「生命体は、それぞれの流儀にしたがって(自然の与えた必然的な死を)死ぬことを望む」のであって、そのような死を可能にするためにこそ、自己保存本能が刻々の生命を守ろうとしている、ということになる。つまり、このようにして「生命ある有機体は、生の目標(死)に短絡的に到達する危機に、はげしく抵抗する」のである。自己保存本能(生の本能)は、実は「死の本能」の番兵であって、有機体がその内的法則に従い、避けることの可能な事故や病気によるのではなく、その法則が定めるままに、それぞれの天寿(自然死)を全うすることを可能ならしめる役割を担っているのである。


エーリッヒ・フロム「悪について」(だったか?)
死の本能の対極として生の本能がある。死の本能が分離と非統合の機能をもつのに対して、エロスとは有機体相互間や、有機体内の細胞を結合、統合、合一する機能である。生と死の二大本能論によれば、人類の社会・文明は、人類が死んでゆく途上で(生きてゆく途上で)死の本能に逆らって、生み出しつくり上げ、組織づけてゆくエロス(生の本能)の産物である。

コメント(2)

エロスとタナトスは分離不能な形で混じりあっている、一枚のコインの裏表のようなもの。人類の文明はエロスの産物という話があるが他者に対する攻撃性などタナトスの成分がなければここまで文明は発展しなかったのではないか、というような話をフロイト好きの人から聞きました。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

境界と侵犯 更新情報

境界と侵犯のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。