白粉花（おしろいばな）コミュの星へのメール　２

お宅がその星に居る事もこっちの地球じゃ誰も知らない。
そこいらは長くなるから後で説明するとして計画って書いたから、
どんな計画かの説明を簡単にしておこうか。

ちょっとした偶然の事故で馬鹿でかい星が爆発してしまった。
その影響を分析してみると太陽系宇宙が粉々になって消えてしまうだろう
という結論が出た。太陽系くらいの小型の宇宙が無くなるのは
そう珍しい事じゃ無いんだが我々としては地球を消したくなかった。
色んな点で面白い星だからねえ。

あれくらいの星の破片を片付けるくらい物理的には簡単な事なんだ。
でも我々には「あるがままの原則」とでもいう縛りのようなものがあってね。
お節介は慎め。成るように成るさ、と言い換えたら分かり易いかな。
地球は失いたくはないが全部こっちが処理するのはルール違反。
だからちょっとした方向性を与えるように僕が送り込まれたんだが、

でも人類ってやつは厄介な連中だね。自分達の想像力を超えたものは
何とかかんとか言って受け付けない。仕方がないんで
僕は高名な大学の多次元宇宙研究室の教授だという触れ込みで財団に近づいた。
連中、調べもしないで信用したよ。自分達を騙そうとする人間なんか
居る訳が無いとでも思ってるんだろう。
未公表の新次元生成システムを完成させたが実用モデルを作る資金が無い
と泣きつくことにした。僕達には陳腐なシステムなんだが
財団の喜び様ったらなかったなあ。僕にノーベル賞を貰って呉れるらしいよ。

後はお宅も知っての通り、このザマだ。
目先の危機が消えて自分達の地位が守れたらそれで御満悦。
二度と帰って来ないおたくが創った地球がどうなろうと奴らの知った事じゃな
い。新しい宇宙の創造主にすると約束はしたが、その未来まで保証しては
いないんだと嘯いていらっしゃる。
お宅の言いぐさじゃないがこんな人間共滅んでしまえと僕も思うよ。