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白粉花(おしろいばな)コミュのうどん

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きょうから新たな生活が幕を開ける。
うどん屋の店員稼業だ。

第一日目はドタバタと始まった。
なんとまあ暖簾に「うどん」しか書いていない店。
屋号くらい付けろよなあ。
まあ大きく「いのちのさと」とは看板がある。
それはNPO法人の名前だからねえ。

Fさんという小柄で誠実そうな人が教えてくれる。
店員といっても麺を作るのが主な仕事のようだ。
よくは解らない。

店は徳島西環状線から20mくらい入った所で
道沿いに大きい新築住宅が建っているので
環状線からは見えない。
のぼり一本が目印ってどうなんだ。

店内はこざっぱりはしている。がよく言えは手作り感
一杯、素直に見れば貧乏など素人の道楽としか
見えない。テーブル二つで椅子が四つ。カウンターに
6人は座れる。
今琵琶湖から持って帰って来たと言う直径8mで
八角形の部屋を隣に建ててはいるが客がこなきゃあ
何にもならない。

今日は麺体と呼ぶらしい捏ねて寝かしたものを専用の
機械で10mmくらいに押しつぶし。更にローラーを通し
3mmまでに薄く延ばし3mm幅に自動的に切るところまで
やった。といっても売り物にはならないテストピースだ。

いわゆる「打つ」という作業をローラーがやるのだが
大きな麺体を切り分けた「耳」の無い方へどんどん伸びてゆく。
当たり前だがふにゃふにゃで、3mmに近づくにつれ
どんどん扱い辛くなる。
3mmになったら粉を振り、観音開きのように折って
切断する。それを優しく(Fさん曰くオッパイをさわるように)とって
粉をおとす。

今度は茹でる。圧力鍋の沸騰している湯にこれも優しく
解しながら落とし込み、麺の表面が固まった頃を見計らい
麺同士がくっつかないよう底から掻き混ぜる。
その時に沈む麺は良質で浮くのは駄目だそうだ。
それから蓋をして2分半、火を止め2分半余熱で湯がく。

きょうはそこまで。
後は看板作りを手伝った。
他の面々のことは又そのうちに。

コメント(46)

第九日目
今日はベテランのKさんと二人だけ。
なるたけ茹でだちを食べて貰いたくて
一分伸ばしに作業に掛かるのを先伸ばしにしていた。
一人お客がみえたので結構急いで茹でる。
それに麺体が一昨日の物だから茹で時間を30秒短くした。

水で締めて味見すると、ちょっと固めだ。温かいうどんなら
暖める時間で調整出来るが注文はざるうどん。

お勘定を頂く時に「済みません、固すぎませんでしたか。」と
尋ねてみた。私より少し若いだろうか。きちっと相手の目を
見て話す仕草で、その返事には信憑性があると思う。
「うん、ちょっと固いね。でもそれよりも麺の角が立っていない。
私も好きであちこちで食べるが讃岐のうどんはきちっと
角が立ってるよ。」
「解りました。勉強しておきますので是非もう一度お越しください。」
そうとしか答えようが無い。
中一日置いた麺体で角は立たないと思う。
麺は生き物で、あっという間に成熟してしまう。
どんどん捨てればいいのだが百円の単価ではそうも出来ない。

結局は自分が社長で物を売っていたときと同じ。
売れなければ全てが悪循環。

直ぐに昨日打って一晩寝かせた理想の麺体を伸ばし切って茹でる。
待っていたかのようにご夫婦の巡礼や一人巡礼の方が来て
どなたも「ここのは美味しいですねえ。」と言って下さる。
お世辞だろうが嬉しい。

悲しくなるくらいお客の来ない店ではあるが、ちゃんとしたうどんを
出し続けるしか従業員に出来る事はない。
第十日目
朝店に着くとK君が準備をしてくれている。
土曜はご飯を炊かないのでおにぎりが作れない。
時間に余裕が生まれもする。
Fさんから電話が来て、植物園での緑化祭出店は
好評で明日の分として80個麺を作れとのこと。

まあ午後からやればいいと、のんびりしていると
開店前からお客。しゃかりきで麺を茹でてだす。
すぐに声がかかり、もう一杯という。
不審に重い店に行くと「ゴミが入っている」とのこと。
お詫びしてすぐ作り直そうとすると
「このゴミだよ」と椀の中を箸で指す。
とても小さい。確かめようと顔を近づけて見るが
はっきりしない。「あんた目が悪いんやな。」と言うから
嘘は付けない。「はい」と答てから新しいうどんを
用意していると「時間がないからもういい。」と
代金を渡そうとするからそれは当然お断りし
謝って見送る・・・・が気が滅入る。
「目の悪いやつの作った物なんか不安で食べられるか。」
そう言われた気がして歯軋りする。

その後の家族連れのお客から「とても美味しかった。」と
言われ落ち込みから少し回復。
同時に自分は食べ物屋で精々出る時に「ご馳走さん」
くらいしか言わなかったと気付く。
ちゃんと「美味しかった」と言われる嬉しさを知らなかった。

幸か不幸かお客が少なく麺作りに専念。
1kgの麺体から8〜9個の玉が出来るから単純に10回
一連の作業をすれば終わる。3時間の予定。
終わりかけた頃Fさんが帰ってきて20個追加とのこと。
引き受けた途端お客。普通ならもう閉店しているのに
忙しくて道端のノホリも店の暖簾も付けたままだったとは。

無条件に5時に帰りたいEさんを帰し一人で麺を茹で
スチロールの箱に並べ、道具の洗浄をし終えると6時半。
店にあった昔風の懐中電灯を片手に西環状線を走るが
まだ街灯が無い。2度散歩人を跳ねそうになった。
走った事の無い夜道の怖さを久々に味わった。
やはりこの眼で夜道は無理か。
それでも目標をやり遂げた満足感は充分に味わえた。
第十一日目
昨日は掻き揚げを「時間が掛かる」と2度断った。
油を温めてなかった。でも本音は怖くて作れないので
時間のせいにして逃げていた。
今日は日曜。畑作業者の昼飯のカレーを作る日。
たった8人前だから問題ないとEさんに任す。
どうやら一度もカレーを作ったことがないようだ。
作業者はうどんも食べるからその分の約20玉を
作りながらカレー作りの指南は疲れる。

一段落しEさんと二人で掻き揚げ作りの練習をしながら
話をするなかで彼は1988年瀬戸大橋が開通した年の
3月、前年11月に結婚した奥さんが流産し実家へ帰ってる
ある朝突然病気が発祥したと言う。
眉山の烏がその朝に限り何百羽も鳴いたという。
病名は尋ねなかったが、自然破壊や経済に対する不安が
引き金だと彼は言う。

多分彼の頭の中でしか鳴かなかっただろう烏とは
何物だったのだろう。
第十二日目
今日は休み。家のレンジと風呂を磨いてから、放り出してある
枯れ枝の処理をしようとして思い出した。
あれこれハンコを押してもらわないとって事務方が言っていた。
昼時に行って、もし忙しければちょいと手伝いでも・・・・。

あれこれ説明を受け、判を押し終わると、「今日はE君一人でね。」
って言う。なんだそれ。第一彼一人では出来る筈がない。
どうせ管理者が行ってるだろう。
そこで帰れば良かった。だのに店に顔を出してしまった。
管理者はとっとと消える。

幸いでもないが、お客は来ない。
けれど5人分の夕食を作らなければならない。
Eさんは間違いなく炊事をしたことがない。

さあどうしよう。と思案しているとFさんが来て
「ドライカレーと玉子スープにして。」と指示してくれた。
Eさんに作って貰わないと訓練にも何にもならない。
一皿作ってみせて(玉ねぎだけチャーハンにカレー粉を
振りかけただけ)あとはサポート。
炒めた玉ねぎ、水洗いしたご飯、カレー粉を各一人前づつ
皿に分ける。

若い頃に仕出屋で下働きをした経験があるEさん。
魚屋が家業だから魚も捌ける。
でも1988年3月のある朝がその経験をほとんど
どこかへやってしまったようだ。

Fさんがいるので4時には帰る。
やれやれ、何という休日だ。
今日はEさんと二人。
店は相も変らぬ暇さだが、夕食の用意で気が紛れる。
事務所から出されたゴマ鯖を味噌煮にしようと思うが
さて何をどうしていいやら。
娘に電話して教えてもらう。なかなか美味い物に仕上がった。
が、煮汁を煮詰めていたら苦くなってしまった。
火力が強すぎるのだ。
他にマッシュポテトと大根葉のお浸しと玉ねぎ・椎茸入り
澄まし。マッシュポテトはEさんのお母さんのアドバイスで
作った。酢を少し入れると格段に味が締まる。

さてこれから週に5回夕食を作らなければならない。
不安だが何か楽しい。

あすEさんは糖尿病の精密検査。マイナスであれば良いのだが。
第十四日目
何と今日は一人。ピン芸人の辛さが解る。ちょっと違うか。

結構これまで「一人」を目標にはしてきた。
誰が居なくても何もかもこなせる。それが理想であることは
言うまでも無い。
しかし、しかしである。ズブのど素人が僅か2週間で適当に
作ってお金を貰っていいのだろうか。

今日のお遍路さんは一人だけだが、思いっきり重そうな
ザックを背負っている。首には長い数珠。
「グッサン」と呼ばれる芸人がいるが彼に似ている。
注文を取ろうとすると「私台湾人。よく解らないから
魚と肉以外の物を」と流暢な日本語だ。

丁度掻き揚げの練習をしようとしていたので勝手に掻き揚げを
食べさせる。あれこれ話をしたかったがFさんが出汁を
持ってきたのでそうもいかない。

後は夕飯作りが主な作業。コンニャクの甘辛風味の煮付けと
ネギだけのお好み焼き。味噌汁。6人前は時間が掛かる。

片付けまで一人でやったが揚げ物の注文が無ければ
この閑古鳥の鳴く店なら何とかやっていけるだろう。
曇り空でどんどん暗くなる中、滑り込みで帰ってきた。

昨日ネットで注文した自転車用ライトとホルダーと
充電式電池エネループが明日届くから夜道も少しは
楽に帰れるだろう。
第十五日目
今日はEさんとの組み合わせ、と言うか事務所は
これで固定する腹だろう。

最初のお客さんは掻き揚げを注文。ウロウロと作っていると
気が付かなかったがFさんが隣で作業していたらしく
油の中の掻き揚げを見て「それじゃ駄目だろう」って
手早く作ってくれた。意気消沈。
今日は何故か掻き揚げが多くてFさんに二度助けてもらう。
要は油の温度、溶き粉の粘度。それと油に入れる前に
具を固めておくことかなあ。

夕方、第七日目に書いたTさんが来てくれて、これまた掻き揚げ。
それもうどんとは別に一個。夜隣のログで寝ながら酒の当てに
するという。大喜びで特大のを作ってしまった。
つるぎ山、石鎚、西条のだんじりを見ての帰り道らしい。
嬉しいお客さんだ。
他にも数名のお遍路さん。一人の若い方は子一時間、携帯の
メールをずっと打っていた。時代だなあ。

期待した荷物は充電器セットだけ到着。
これで単三が八本。明日来るだろう自転車ライトは二本使い二時間で充電。
だから四日に一回充電。千回充電可能。四千日×四=一万六千日。
ハハハハハ。生きてねえよ。

第十六日目
今日のお客は一人だけ。客待ち商売だから仕方がない。
それは別として無力感に押し潰されそうな日だった。

私の管理者とEさんの管理者は別の人だ。
彼の管理者はどうも精神障害者に詳しくないようだ。
或いはもう誰に対しても諦めてしまっている。

その気持ちが解らないではない。
何を言っても糠に釘。裏切られる連続では人は倦んでしまう。
何かの結果を欲しがってしまう。
Eさんの生活目標はタバコと缶コーヒーの減量らしい。
だからタバコを吸った時間を書き出せという。

今日まで私なりに彼にタバコの害を話し、一分でも吸う時間を
先延ばしにすべくあれこれの作業を割り付けてきた。
短い間隔でタバコに行こうとすれば止めもした。
それが、「時間さえ書き入れればいつ吸ってもいい」と彼の
中ですり替えさせる羽目になった。

相当重い糖尿病だろうに一度に二合ちかい飯を食べる。
自分の体を大事にしろと言っても、それでも食べたいと言う。

糖尿病にも精神科にも疎い私はただただ歯がゆく戸惑うだけ。
タバコによる癌や重度の糖尿病によるおぞましい障害を
見てきているので、あの繊細で何の苦労も知らず育った
ぼんぼんがそうなるのを止めようが無い事は「無力感」そのもの。

昨日届いた自転車ライトの予想以上の明るさを喜ぶ気にもなれず
真っ暗に思える道を走って帰ってきた。
第十七日目
今日のお客は二人。けど落ち込むまい。待ちの商売だもの。
そうは自分に言い聞かせながらダイレクトメールの
文面など考えている。

私が休みの昨日Eさんはタバコを14本も吸っている。
自分で制御しなければ意味が無いのだと知りつつ
一時間に1本の約束をしてもらう。
それでも40分くらいで「行って来ます」などとのたまう。

何かしていれば気も紛れるだろうと料理の材料切りなどを
して貰っても、普通の人の倍は掛かる。
でももっと時間の掛かる物でないとタバコで頭が埋まってしまう。

もう何年掃除をしていないのだろうと思える換気扇がある。
これはいい。羽根とカバーを外しその油汚れ取りに
取り組んでもらい、こちらは5人分の夕食作り。
ナスの味噌煮、風呂吹き大根だけだが私には大仕事。
昨日が賞味期限の秋刀魚8匹300円也を事務所から
渡されていたので、それは家が魚屋だったEさんに任せる。

タバコを減らせ。運動をしろ。そう言い聞かせる中の
成り行きで20分の散歩に付き合う羽目に。
夕食も早々に雨のぱらつく中、自転車を走らせる。
「俺は何をやってるんだ。」と自分のお節介焼きに
呆れてしまう。

明日は休み。店自体が休みなので心穏やかに過ごせるだろう。
第十八日目
今日は休みのEさんの替わりにMさんと二人だった。
朝から張り切って100玉の麺を作りかけたら台風の
影響でイベントが中止。早いうちに分かって良かった。
だから作業所の夕食作りに精を出そうと張り切った。
肉じゃが、高野豆腐の煮物、ほうれん草のお浸し、
油揚げの焼いたの。女性の方が読んだら「あらまあ
手抜きですわねえ。」って言われるんだろうが
精一杯。

それはいい。けれど夜湯船に浸かりうめき声をあげ
湯を叩きつける。私は負けず嫌い。で、不器用。
多少とも慣れた掻き揚げ二杯の注文の上にてんぷらの
注文があった。焦る。焦る。
待たせているご夫婦の巡礼が気になる。
ご主人の山菜うどんは早くに出来ている。

奥さんにお出しした天麩羅うどんが眼に浮かぶ。
明日から練習だ。それしかない。早く切る事も大切だろう。

さて明日はどんな一日になるのやら。
第十九日目
いつも通りEさんとの一日。気が付くと「タバコを減らせ」
「甘いものを控えろ。」と偉そうに説教染みたことをくどくど
言っている自分が居る。
暇がいけないのだろう。

この日々を読んでくれているマイミクから携帯にメール。
力が旨の奥から湧いてくるのが分かるから不思議なものだ。

四時ごろ「隣の休憩所は泊まれるのですか。」とお遍路さん。
勿論ですと答えてからあれこれと話す。
新潟から来られたらしい。お買い物自転車でお四国参りだと。
さて完走できるだろうか。全財産を処分して来たといいう。
様々な事情があるのだろうが立ち入る気は無い。
キリストの言葉に詳しく、声楽家。自然農法で農業をしようと
婚約者に言ったら離れて行ったとか。
八十八箇所を終わったらここで働きたいとも。
残念ながら健常者は働けない旨を伝えるととても残念そうだった。

さて台風がらみの明日はどんな一日になるんだろう。
第二十日目
台風が遥か南の海を渡っていってくれたので
少し肌寒く曇りの一日。

新潟のお遍路さんは風邪気味だと昼前まで寝ている。
Fさんは彼に懐疑的だ。様々な遍路もどきを見てきているから
無理も無い。別段あそこに住み着いてくれても私には何の
不都合も無い。でも一応自転車をチェック。
今月22日に新車を買っている。二日間石井町の知り合いの
ところで過ごしたと話していたからこちらでかったのだろう。

午後二時過ぎに女性のお客があり、そこに来た新潟の
お遍路さんもうどんを食べに来、結局彼女の車でここと
よく似たNPOがやっているリサイクル店にテントを買いに
行ったようだ。

他に二組のお遍路さん。皆さん「こんなに安くて美味しい
店をどうして、もっとちゃんと情報に載せないのか。」と
仰る。そんな余裕が出来るのはまだ先だし、お客に
旨を張って食べてもらえる腕も無い。
お客さんが沢山見えれば場数も踏め腕が上がるのかも。
そんな気のいいことも考えてしまう。

Eさんに仕事を覚えて貰いたいと、自分が経験を積む為
やりたい事も彼に任す。これもジレンマ。
彼に教えようなんて思い上がりも甚だしいと自問する。

明日は日曜だからカレーを作る日。
その手順が早くなる事だけは確かだ。

糖尿に悪いから食べるなと言っても「腹が減ったから」と
我慢しないEさん。
その過剰の栄養分を少しでも消費させようと夜の散歩に
連れ出して四日目。たった30分の歩きで
「一杯運動したな。」と何度も呟く彼。
自嘲と無力感の帰り道は雨。
前向きの苦手な自分が悔しい。
どこかに一筋の光は射さぬものか。
第二十一日目
今日は一日中一人。
朝、新潟から来て三日泊まっていたお遍路さんが出発した。
四国を一周したらここで働きたいそうだ。
新潟にだって幾らでもこんなNPOはあるだろうに。

今日は強烈に暇で、おかずも鯖のカレー風味ムニエルと
すじ肉の味噌煮込み、千切り大根と油揚げの煮物で、
やる事がない。
思い付いて以前お世話になったタウン誌「タウン情報とくしま」の
記者にメールを入れる。折り返し電話があり取材してくれるといる。
でFさんに連絡するが忙しいと言う。
どうもPRはお気に召さないようだ。
まだ経営者の感覚が抜けず、一人で決めて進んでしまう。
気を付けないと大顰蹙ものだ。

明日は文化の日。忙しいといいがなあ。
毎日お仕事お疲れ様です。

ここに書いていいのかどうかわからないけど
書いちゃいます。

なんでもそうだけど、とにかく仲良しになるってこと大事ですよね。
うどんとも仲間ともお客様とも〜仲良しになることって素敵なことだし
とても大切なことだと思います。

気心が分かり合えることってとてもいいことだと思いますね。

新しいお仕事にだんだん慣れてきて
これもしたい、あれもしたい、と思えるのは素敵なことですよね。

和気藹々と仕事をしながら
実は戦略をねる〜いいじゃないですかあ〜。。。にいさんっ。

明日は天気がよければ冷たいうどん?
寒ければ温かいうどん?が出るのかなあ。。

いつか食べに行きたいと思います。
ヒカママさん
コメントありがとう。どんどん書き込んで下さっていいのです。
毎日昼飯はうどん。大好きなので一向に飽きません。
夏には冷やしうどん?ざるうどんっていうのかなあ。も
捨て難いですね。

第二十四日目
朝店に着くと誰かがいる。???
「Tです」と挨拶をされた。大量のネギを洗っている。
ってことは麺も要るが何も聞かされていない。
間も無くFさんが来て「150な。」
どうやら明日はいわゆる「出稼ぎ」らしい。
何かの催し会場に呼ばれてうどんやたこ焼きの
販売をしてNPOの活動資金を作ることだ。

朝九時から初めて夕方四時まで、ぶっとおしで
麺を作る。結構きつい。その間、相棒のEさんと
新顔のTさんは150人前のネギを刻み、味つき油揚げを
切り、ワカメを戻して切り、私が作った麺を扇風機で
ある程度乾かしてから発泡スチロールの箱に
詰めてゆく。

幸か不幸かお客は5人だった。
今全身が凝っている。

Tさんはプロの調理師で、切り方も早さも別格だ。
これ幸いと、あれこれ料理について質問し、食材の相性まで
考えないと駄目と知り納得。
彼がずっと居てくれると助かるが、どうやら支店の厨房に
入るようだ。まあここにはもったいないものなあ。

今日は一段と良く眠れそうだ。
第二十六日目
強烈な風の一日。遠くの黒雲から雨粒が飛ばされてくる。
予想通り暇ではあるが今日は地元のタウン誌
「タウン情報トクシマ」の取材があるので頭はそっちの方を
向いたまま。と言ってやれることは整理整頓ぐらい。
Eさんは「絶対写真はいや!」を繰り返す。
絶対写さないからと何度言っても効き目がない。
無視するしかない。

約束の時間前にHさんという女性の記者が現れた。
彼女とは二度目。
去年の今頃「理容はさみ」の件で取材をしてもらった。
下手な掻き揚げを作り自分も昼飯のうどんを食べながら
取材とも世間話ともつかないひと時を送る。
これで一人でもお客さんが来てくれたらうれしいのだが
さて効果の程は如何・・・・。

後は暇なのでEさんと雑談。どうやら朝仕事場に来る前に
コンビニで缶コーヒーや肉まんを買っているらしい。
病気とはいえ自分の体を痛めることを我慢できない彼に
絶望的なものを感じてしまう。

夜の散歩でEさんは家に上がってコーヒーを飲めという。
彼なりに気を使っているのだろう。
「俺がいる間タバコを吸わないならお邪魔するよ。」と
返事したら「また今度にしましょう。」だと。
たった20円のタバコ1本より値打ちの無い自分が悲しい。
第二十七日目
今日はTさんと二人。で、午後2時半からは一人。
掻き揚げのお客が多く、結構上手く出来て気持ちが
楽になる。

もと調理師のTさんは良く働く。どこも悪くないように見える。
38歳。離婚暦あり。子供一人。五年前から病気で休業。
精神的なもので身体が動かなくなったらしい。
何とか疲れさせないようにと事務方からの申し送りだが
気が付くと何か仕事を探しやっている。
暇が辛いという。

一人になって暇を持て余しているとお遍路さんが来られた。
お客ではなく、京都の大学院生のお嬢さんでカウンセラーに
関する研究をしているらしい。
四国巡礼のもつ意味を地元の人間の側から見てみたく
フィールドワークをしてるとのこと。

あれこれ自分の体験を聞かれるままに答えた後
今の神経科の動きとして
心の病を抱えた方々へのカウンセリングの基礎に
西洋ではなく日本を置いて考える傾向が増えていると聞いた。
その一環として「お四国参り」も重要な方法だそうだ。
それを聞き思わず「ありがたい事ですね。」と口にした。
彼女はそこを深く答えろと言う。
なぜ有難いのだろう。

苦し紛れに「自分たちは四国の民であり、心の奥底に
八十八箇所を抱えていて、それを守り継いでいる。
その四国が心に傷を負った方々の癒しになるのは
自分たちの本望であり、それを有難く感じるのでは」
などと答えたがもっと良く考える必要があるだろう。

「お接待」の底にあるもの。それは何なんだろう。
第三十日目
昨日は朝からしゃかりきで140玉を作った。
どうすれば一番効率よく、麺作り・小分け・梱包が
できるかが少し見えてきた気がする。

今日はEさん、Tさんの三人でのんびりと仕事。
Tさんの作る夕食の手際、見かけの良さに感心しまくり。

2時過ぎのお客さんは二人連れのお遍路さん。
二人とも思いっきりがっしりとした体型に、これでもかの荷を
背負っている。一人はどう見ても白人。一人は熊かというくらい
濃い髭面さんだ。
でも二人の会話は完璧な関西なまりの日本語。

後で尋ねると髭面の方は日本人でもう一人の坊主頭の白人は
お父さんがアメリカ海兵隊の隊員で兵庫うまれの兵庫そだちの
38才。
人生の半分をアメリカで過ごし、日本食が食べられない辛さから
アメリカの何処に暮らしてもちゃんとした和食が食べられるよう
料理の勉強をし、来年一月から日本暮らしに戻ると言う。
髭面さんは大のうどん好きで、それも掻き揚げ一点張りらしい。
その人から「これまで食べた中で一番美味しい。」と褒めていただいた。
日本人の心を持つ外人さんも「ラーメンにしなくて良かった。」と。
お世辞にせよ嬉しいものだ。

二人から18番恩山寺への道を尋ねられ、胸を張って答えた。
「徳島市でそれを一番良く知っている一人に質問したんですよ。」
子供の頃の遊び場だし、私が中学高校と過ごした家の前を通るのが
最短コースなのだから。

二人は出発する前に「お遍路を始めてから『有難う』と言う言葉に
本当に心を込められるようになりました。」と言っていた。
それは言われる側にも伝わってくる。
そして、「お気をつけて。」の言葉にも心がこもる。
第三十一日目
午後二時ころお客さんがあった。
ベージュのコートを着た女の子。
歳は16.78かな。ちくわ天の注文。

その前のお客もちくわ天だった。
それが不細工に仕上がって、これはいけないと
練習に揚げていて、結構美しい形に出来たのが
あったのですぐ出せた。

「ご馳走様」の声に「三百円頂きます。」と顔を出すと
高そうな財布を取り出し「これで」と一万円札を出す。
九千七百円のお釣などあるはずもない。
「済みません、お釣りが有りませんので御代は結構です。」
それに対してあどけなく相当に美形の彼女は
「そうですか。」と表情も変えないで札を仕舞い、出て行った。
その自然さに何の不愉快さも残らなかった。

あとでEさんから、注文を聞いたときの印象で
彼女もきっと障害者だと教えられた。
あんな風に人は生きてゆくべきなんだと
心が丸くコロコロと転がった。
第三十六日目
先々日は麺を170個作るのに汗をかいた。
手違いで材料が10時半にしか届かなかったからでは
あるが、作業所の夕食を焼きうどんで誤魔化してしまった。

昨日はEさんと二人。ほんの少しバタバタしたが、その終わり頃
丁度麺が切れた時にお客さんがあり、鼻歌交じりで麺を伸ばし
切った積りが・・・・機械の不調でペケ。慌てて作り直したら
これまたペケ。先の麺が機械のどこかに引っ掛かっていたようだ。
お客さんに事情を説明するが快く待ってくださる。

掻き揚げも納得できるものでホッとしていたら、そのお客さんが
「大将!(違うんですけどね)水のポット入れなおして。」と言う。
ドッキリ!!!何かおかしなものが混ざっていたかなと
うろたえる。結局はついさっき帰った子供達のお客さんが
ポットに手を突っ込んで氷を取り出していたらしい。
すぐに表に出で子供たちを追いかけた。
「氷が要ったら声を掛けてな。なんぼでもあげるけん。
ポットからは取らんとってな。」
さて、常連客の子供たち、わかってくれたかなあ。

今日は週二回の休みだったがつい店に行ってしまった。
明日のイベントのために100個の麺をEさんとTさんのコンビで
作らなければいけない日だった。
Tさんは遥かに年上のEさんに指図をしたがらない。
でもそれでは前に進まないのを案じた。

結局は5時前まで居てしまい、雨の中「何をやってんだか」と
何度も独り言を言いながら帰ってきた。
こんばんわ

最近ご無沙汰ばかりで、前後のことがよくわからず、どうしてうどん作りをなさっているのか存じ上げませんが、ついつい全部の書き込みを読ませていただきました。

とても興味深く読みました。
感動いたしました。

さて、Eさんのことですが、よく似たケースを何度もケアマネ時代にお世話したというか、関わったことがあります。
糖尿病は脳血管障害もおこしやすく、脳血管性の認知症になることがおおいようですね。
今の状態はとても心配な状態だと思われます。

糖尿病の方は沢山の理屈をこねて食べたがります。ネガティブシンキングに陥いったり、攻撃的になったりします。
多分、本人も健康管理を怠っていることがわかっているからだと思います。
そのかたのお世話をしてくださって、余所ながらうれしく思っています。

偉そうに申し上げてなんですが、どんな小さな事でもできたことを、褒めるといいかもしれません。
褒めるのも実際は難しいことだと思いますが・・




メル55さん
有り難いアドバイスです。日々無力感との戦いで
一喜一憂、ジェットコースター気分といったところでしょうか。
今夜の散歩の時に「休みだったから昼に眉山まで歩きました。」と
言うので大喜びで褒めたら「で、腹が減って今夜は歩くのが
辛いくらい晩飯を食べました。」
ギャフンです。一体家族は何を考えているのやらと思いますが
そこまで踏み込めるものでもありませんしね。

でもメル55さんのコメントで又明日から頑張れます。
本当に有難うございました。
第三十七日目
今日午前中はKさんとTさんと三人。Kさんはあからさまに
私を嫌っているので外で草抜きをして、店に居ようとしない。
耳が不自由なのと、私のような「そこいらへん適当に」が
許せないのが重なっているようだ。
長ーーーーい時間を掛けて誠意を尽くすしかあるまい。

朝突然事務方から「今日10時半に四国放送が取材に来るので
宜しく。」と言われた。「え〜〜〜。前もって言ってくださいよ。
美容院とエステに行って来たのにぃ」と冗談で返しはしたが
胸の中では罵声を飛ばしていた。

事務所の女性が受け答えするから麺や掻き揚げを作る所を
撮影させればいい・・・・とノタマウがそんなもので済まない事は
こっちが良く知っている。
まあ成るように成れと開き直り、各工程をビデオ撮りし
掻き揚げはプロであるFさんにお任せする。
TV用でもないのだろうが張り切ってどでかい掻き揚げを写させて
いる。あれを観て来るお客は私の作る、遥かに小さい掻き揚げを見て
どう思うだろうかと想像するだけで胃が痛くなる。
おまけに小皿に大根おろしまで付けている。
やったことねえぞ、そんなこと!

ムカムカしている耳にディレクターの
「はい次はやそじいさんのインタビューに入ります。」の声。
ほらな。どうするんだよ。現場の生の声が要るって言うに決まってるんだ。

小顔で作り笑いの上手なキャスターのお嬢さんの質問は
「どうして100円うどんを始めたのですか?」
「どうして100円で売れるのですか?」
「どんなお客さんに来て欲しいですか?}
「これからも100円を続けていきますか?」

私は経営者じゃありませんから分かりませんねえ・・・って言いたいが
そういえる程もう若くは無い。
当たり障りの無い所でお茶をにごす。
リハーサルの応答の筈が「はい。これで結構です。」とディレクター。
「ワンテイクでOKなんてそう無いんですよ。」って言われてもなあ。

グダグダと考えてたらスタッフに出したうどんの代金を300円も
余計に貰っていた。来週の休みの日にでも返しに行かねば。
やれやれだ。

午後はTさんと二人で夕食作り・・・というか料理講習会。
ハマチの煮方、醤油の薄口と濃口の使い分け、天ぷら油の温度
調整の細かい技術、等等。
プロがどれほど「手間」を惜しまず料理をするかが良く分かり
外食が高いのは当たり前なんだと納得する。

午後に救われた一日だった。
第三十八日目
今日は昨日の反動か、ゆったりとした一日が過ぎた。
客商売では、あってはならないことだけれど、昨日の
苛立ちから立ち直るには最適の時間だった。

Eさんといつもの流れでやっていたら昼過ぎに、今日は
休みのTさんがやってきた。
丁度夕食の用意を始めていたので内心ホッ。

鯖の味醂干しと里芋にあっさりと塩をふったもの、小松菜の
味味噌和え。もう一つ何かと思い冷蔵庫を見ると
刻んだネギの袋がある。
自分の大好きなネギ焼きを作る。
Tさんが「僕も作っていいですか?」勿論大歓迎。

私のと違い、フライlパン一杯で厚みも1センチはあるネギだけの
お好み焼きをじっくり時間を掛けて焼き上げてゆく。
ひっくり返す段になり、道具を使わないで返すのに挑戦と
事前に腕の動きを何度も練習しいざフライlパン返し。
ものの見事に一回転した。三人で大笑い。
一回転が出来るなら反転はたやすい。
もちもちとしたネギ焼きを味わえた。
お陰で夕食はいつもの半分。当たり前だわなあ。

近頃風呂に入ると明らかに腹が出てきている。
毎日掻き揚げを練習で作り食べてるからなあ。
第四十日目
昨日は休みで、日記に書いたように某テレビ局へ行ったり
あれこれの雑用をこなし、あっという間に一日が終わった。
その前の日曜はいつものように暇だった。
やはりサラリーマンのお客が来ないせいだろう。
私が休みの月曜がいつも忙しいらしいのも面白い。

今日はそこそこ。って、普通の店にしたら「閑古鳥」状態ではある。
今日の夕方のテレビ番組の効果に期待しすぎないように期待しよう。
Eさんに録画を頼んでおいたが操作ミスで駄目たったようだ。
洗濯機のボタンが多くて使えない彼に慣れないHDDレゴーダーでの
番組予約など頼むこっちのミスだ。
タバさんにメールで頼んでおいたがさて如何に。

今日は掻き揚げが上手くいった。少し油の温度感覚がつかめたような
気がする。思い違いでなければいいのだがなあ。

夜はウォーキングのあとEさん宅にお邪魔してHDDレコーダーの講習会。
あま〜いコーヒーに焼きプリン。これじゃ糖尿になるのが当然。
ため息が出る。
第四十一日目
今日はTさんとのコンビ。TV効果や如何にと、掻き揚げの具を
予め切ったりしておく。
店に出る前に昨日手術(ちょいと切って三針縫っただけだが
病院は「手術」と言い張る)した所を見せに病院に寄ったので
あれこれの準備は遅れがちだがTさんなら心配はない。

11時に開店と同時にお客さん。それから一息付けた13時すぎまで
てんやわんやだった。用意した掻き揚げの材料なんて直ぐに無くなる。
わかめ、ちくわの具も消えてゆく。何より麺を茹でるのが間に合わない。

最後の手段で店に出て「申し訳ありません、こんなに多くのお客様が
来ていただく事が余りありませんので、段取りが付きません。
暫くご辛抱お願いいたします。」と泣きを入れた。
最低だなと自分を責めながら、何も言わないよりましかと慰める。

それからも、普段ならお客の来ない時間も、緊張感を途切れさせない
程度にお客が来てくれる。
つくづくメディアの力を実感した。わざわざ60キロも車を走らせ
池田から家族連れでおいでいただいたりする。

夕方になりTさんが笑顔で言う。「今日は面白かったですねえ。」
正にそのものずばり。お互いが相手のしている事を見て自分のやるべき
事を判断し、組み合わせて注文を捌いてゆく。
どちらもあれをしろこれをしてくださいなど一言も言わない。
どこかに余裕のある綱渡り。

帰りは遅くなったが、季節外れの温かい雨の中、左手だけは
濡らさないようにして弾んだ気持ちでペダルを踏んだ。
第四十四日目
この四日間は、まだ足りないにしても「そこそこ」の
日が続いた。「TVで観ました。」と声を掛けて下さる
方も多い。それと掻き揚げが大きすぎるので何か
袋をのご希望も多い。持って帰ってまで食べてもらえるのは
嬉しいことだ。
写メを撮る若い人も多いので、あれで友人などに送って貰えたら
宣伝効果はあがる。

ここ数日忙しく多少疲れているのかもしれないが指導員との
行き違いが多い。20数キロある出汁の瓶を手で運べと言う
バカや「明日のカレーどないしょ。」などと「はい、こちらで
作ればいいんでしょ。」って言わせるやつ。
てんてこ舞いを無視して「うどん八人分作って。」とのたまう輩。
程度が低すぎる。

夜のウォーキングでEさんが「売り上げを○○君に預けた。」と
言う。呆れてものも言えない。知的障害者を馬鹿にする気は
全く無い。しかし、彼の周りには他人の金と自分の金の区別が
全く付かない作業者が数人いるくらいEさんも知っている。

仕方なく夜道を作業所まで走る。今日はこれで3時間は
サイクリング出来たと喜ぼう。
預けた相手に会い、事務方に確かに手渡したのを確認して
一安心。新たな犯罪を起こしさえしなければそれでよし。

今日私としては初めて立って待ってくださるお客さんを
体験した事を明記しておこう。
第四十五日目
大張り切りのFさんを尻目に、ゆったりとした一日。
応援にと寄越されたJさんは自分と他人の金銭の
区別が付かない人だから神経が疲れる。

TV放送から一週間だから、こんなものだろう。
どうして皆あんなに期待するのだろう。
たった一回、数分の放送でずっとお客さんが来て
呉れるのならTV局はCM料が入らず経営は成り立つまい。

今日の夕食はホウレン草のチキン巻き、味噌和え、甘酢あえ、
ピリ辛掻き揚げ。ちょっとカロリーを押さえないと
あそこで生活している人達は皆糖尿病になるよなあ。
第四十八日目(12/12)
今日までの三日間「第10回全国障害者芸術・文化祭とくしま大会」が
開かれ本部は出稼ぎに大童。
こちらもいつもの三倍近いお客があり楽しい日々・・・の筈が
金曜日にTさんが怪我をした。
滅多に無い事だけれど私が本部に出掛けた。そしてもっと珍しく
自転車で5分ほどのコンビニに行った。三人で缶コーヒーでもと思ってのこと。
Eさんは本部に卵を取りに出たらしい。

その誰も居ないときにTさんは機械の掃除をしていてローラーに右手を
巻き込まれた。何とか機械を逆転させ病院に行ったらしい。

詳しくは知らないがTさんは脳の障害で7年間仕事が出来ず
やっと再起の助走としてここに来ていたらしい。
離婚し高校生のお嬢さんが居て、彼女を取り返す(そう表現していた)んだと
言っていたのに又数ヶ月は社会復帰が遅れる。

私がいつも機械を拭いておきさえすればこんな事にはならなかった。
悔やんでも悔やみきれない。コーヒーなど柄にも無く買いに行かなければ・・・。

それでも毎日店は開かないといけないし、お客さんも来て下さる。
毎日の夕食作りもある。
掻き揚げがやっと偶然じゃなく思うように出来始めた嬉しさとTさんの事が
浮き沈みして一日があっというまに過ぎて行く。
つなぎを入れ忘れたコロッケが中華なべの中で油とドロドロのジャガイモに
なって一日が過ぎる。
肉の一欠けらも入らないカレーを作って、白菜しかない冷凍倉庫に
失望して、「美味しかったぁ」と言う子供の声にガッツポーズして
時が過ぎる。

第六十日目(12/28)
とても切りの良い日で今年が終わった。
長い間ここに書かなかったのは倦怠感か。
お客さんは多少の波はあっても有りがたい位
来てくれる。
Eさんを怒鳴りながら連続14個も掻き揚げを作れば
もう三時。
Tさんが手伝ってくれるからなんとかなっているが
いくらイラついてもEさんは戸惑うだけ。

クリスマスイブはEさん宅でTさんと三人でささやかな会を持つ。
自分は何を期待していたんだろう。
自分の世界しかない人間とすれ違いの塊のような時間が流れた。

掻き揚げはほぼ出来るようになって緊張感を失くし
店に出られないからお客さんとの触れ合いを失くし
あれやこれやで管理体制への信頼感を失くす。

ひとつの嬉しい話。
毎日かけうどんの小を食べてくれるお客に言われた。
「自分は胃が悪く、食欲が無い。
ご飯は食べたくないがこのうどんなら胃にもたれす
気分良く食べられる。毎日くるから小で勘弁してな。」
うどん屋冥利につきる。
混ざり気のない麺とつゆのお陰ではあるのだが嬉しい。

さあ来年は一段の技術アップを目指そう。
第七十七日目
楽しいのやら苛立つのやらがない交ぜの日々。
殆どの日をEさんTさんとの三人でやっている。
Tさんは痛い右手をかばいもしないで精一杯やる。
駄目だと胃っても聞かない。Eさんは相も替わらないマイペース。

Eさんのこと、主にタバコの事を気遣っていたTさんも
投げ出し気味。当然だろう。
いくら仕事場での喫煙量を減らしたところで一日の量が
減るわけではない。
それが精神障害者なのだろう。

一週間ほど前から掻き揚げが上手くゆかない。
カラッと揚がらないし全体が茶色に成る。
焦げているように見える。
先ず油を疑った。新品にしてもさほど変わらない。
温度もあれこれ変えた。粉の粘度ももちろんだ。

あれこれ悩むと身体まで萎縮してしまうのか
上手くまとまらずバラバラになったりもする。

最後に具材を一つづつ入れないものを作った。
結果は「鳴門金時」が犯人だった。
ずっと自家製のそこいらのサツマイモを使っていたが
年末に美味いのが当然の「鳴門金時」の箱を見つけ
天ぷら用に大量に確保した。それを使えば甘い
美味い掻き揚げになると信じたのが素人の浅はかさ。
皮に含まれるアントシアニンが実に含まれる糖分が
焦げ色を付け、カラッと感を邪魔していたのだろう。
やっと昨日から以前の掻き揚げが出来始めた。

今日は「産直市場」の一周年記念売り出し一日目。
十時ころに三人で行き、たこ焼などを買う。
EさんもTさんも昼飯時にもう一度行ってヤキソバなどを
買っていた。Tさんが買ってきた太刀魚の干物150円が
事の他美味かった。

産直市場で売っていたたこ焼よりlも我々のうどん屋の
売り上げのほうが多かったと心の中で大喜びの
負けず嫌いの自分が可笑しい。
第八十日目
四日まえになるが四時過ぎにお遍路さんのお客があった。
普通ならここは四日目の午前中に歩く位置にある。
気に掛かったので話しかけようとしたが持ち物に目がいった。
バイオリンケース??
尋ねると「ギタレレ」だと言う。男性は27.8歳か。
その楽器でお寺毎に演奏をするので時間が掛かり
今日で5日目らしい。
謎ウインクが解けてなっとくしていると
「ここで聴いてもらっていいですか?」とのこと。
大歓迎だ。

興味の無さそうな二人の仲間と拝聴した。
先ず彼はスマートフォンを取り出し操作した。
多分楽譜を呼び出したのだろう。
時代を感じる。
これは後の話だが彼の名前をネットで検索したら
MIDIの2級満点合格者のリストがヒットした。
相当好きなようだ。

ギタレレは大き目のウクレレに短めのギターフレットが
付いていて、ギターの5フレットにカポを付けた高さの
音がでる。
彼が演奏してくれたのはショーロを思わせる、優しく
穏やかな曲で、英語の短いフレーズを繰り返していたが
言葉は聞きそびれた。

一旦西宮に帰り2月の初旬に又続きを巡るそうだ。
辻井岳士さん有難うございました。

今日は休みで、これを書いているが今Eさんから電話があった。
「腕時計が無いんです。」
八十四日目の明日は朝から時計探しだなあ。
第九十一日目
最低の日。結構準備も順調で「さあやるぞ」と張り切った矢先
Eさんの茹でた麺はまるでキシメン。
そんなのお客に出せるか!って自分でやるが、これがキシメン。
幸か不幸かお客さんはまだ来ない。
あちこちを調べても原因らしい物は何一つ無い。

その内に身内が来て、仕方なくキシメンを出す。
勿論只。
のれんを下ろしてああでもないこうでもない。
そこへお客。のれんなんて見てやしないらしい。
小さな子供を連れた爺婆と娘と孫。
キシメンを了承の上で作るが何とも情けない。

誰も居なくなってから入り口をロックしてあれこれ。
結局は麺体が悪いのだと逃げる。
駄目な麺をもう一度打ち直したコシの強い麺にすると
ちゃんと拍子木になるんだから・・・。

それでもすっきりしない。その上明日は休み。
このイライラをどうしようもない状態で明日一日を
送るのかと思うとゾッとする。
ひと月以上聞かなかった雨音がせめてもの慰め。
やっとここを続ける気力が戻ってきた。
取り敢えずの報告だが第九十一日目の不具合は
その前日に手伝いに入った兄ちゃんが面白半分にカット幅を
指定するダイヤルを滅茶苦茶に動かしていたようだ。
彼はこれまでもあれこれの道具を何処かへ隠して楽しんでいたようだが
この度のことは遊びでは済まされない。
まあ何はともあれ一件落着。

昨日三月二十日は第百二十三日目だった。
その123と調子の良い日に初めて売り上げが一万円を超えた。
おねがいだから笑わないで欲しい。
平均客単価が二百円そこそこなんだからなあ。

さてひと月以上も書かなかった訳を残しておこう。

第九十八日目
夜恒例のEさんとのウォーキングに出掛け、すぐ近所の交差点で
転んだ。直進の信号が赤になったので何気なく左折したらそこに
歩道と車道を分離するブロックがあった。
左の肩と頬から車道に叩きつけられたが幸い車は来ていなかった。
部屋に帰り肩を触って・・・?????
おかしな盛り上がり。仕方なく息子に頼み救急病院へ。
その病院を知るまでにあれこれのやりとりがあったが結論は
「救急病院はどこも名ばかりだ!!」

レントゲンを撮るとやはり鎖骨が折れていた。
でも何も出来ないという。明後日の月曜に大きな県立病院へお行き、です。
結局「救急病院はどこも名ばかりだ!!」。

月曜に紹介状を持って県立病院へ。
腫れが引くと骨が肩の皮膚を突き破るそうで、火曜に手術が決まる。
不幸中の幸いではあるが手術の痛みを我慢出来るなら部分麻酔で
やれるとの事。全身麻酔をやれば一週間は入院らしいから
「痛みにはとても強いんです。」って言うしかないだろう。
瓢箪から駒、痛みに強かった・・・というより思いっきり麻酔が効く体質だった。

普通人の半分の麻酔薬で四倍の時間痺れていた。
全身麻酔をしていたら何日昏睡したろうか。
無事翌日には退院。ここまでは不幸中の幸いの連続としておこう。
第百三日目
左肩には分厚いガードみたいなのか付いていたが
朝病院で外してもらい、勇んで職場へ。
左手を肩から上に上げることは禁じられてはいるがどうと言うことはない。
順調に開店準備をし、11時になり麺体を伸ばす準備で機械の
湿気を拭おうと掃除していた。
いつもは左手でやる作業だが肩を庇い右手を使った。

はっきりとは覚えていないが何かの拍子に後ろを振り向いた。
右手に違和感。ローラーに巻き込まれ手首の所で止まっている。
Eさんを呼び機械を逆転させてもらい機械からは解放された。
すぐ水で冷やすが見る見る腫れあがってきた。
Fさんに電話をして昨日退院したばかりの病院に逆戻り。

久々に周りが全て金色の輝く、あの失神をする直前の光景を味わった。

県立病院の救急医療センターに行き治療を受けた。
右手は見事の腫れ上がり丸い。人の皮膚というのは伸びるものだ。
「ER」の医者は指があちこち折れているという。
でも触られても痛くない。整形外科の医者が来て
レントゲン写真の見間違いを指摘。やれやれ。
ギプスを巻いてもらうが、30年ぶりの事。
石膏を練ったりしないで、包帯を濡らすだけで数分でカチカチになる。

数分毎にローラーに巻き込まれた手の映像が浮かび上がり
「馬鹿が”!」との自嘲の言葉を吐く。
左肩が駄目で右手が駄目。自嘲の薄ら笑いを浮かべるしかないじゃないか。

でも反面そんな自分を支えようとする自分が居て
「負けるか。絶対に負けないぞ。」の言葉も浮かぶ。
こんな強い負けん気を持つ自分を初めて知った。

バスで店に戻り、掻き揚げを作れるかどうか試している自分に呆れる。
でも何とかなりそうで大安心。
後は足。自転車にいつから乗れるだろうかが目先の問題だ。
第百二十三日目
暖かく穏やかな日。
怪我の連続からひと月。
やっと文字にする覚悟(大げさだなあ)が出来た。
勿論三月十一日の大震災があり、被災された方々と比べ
我が身の安泰さを再認識したこともある。
それでも個人的な痛みはそれなりに強い力を持ち続け
機械の前に立つと一瞬だが怯む。軽い吐き気。

被災者の皆さん、逆に励ましていただき有難うございます。

日曜は暇だとのジンクス。それが最後に響いた。
三時過ぎに来ていただいたお客様二組七人の方の注文に
答える材料か無い。出汁も無い。麺も伸ばさないと足りない。

仕方なくお願いして中を小に、掻き揚げの注文を竹輪天麩羅に変えてもらい
何とか納める。お詫びにセンベイを差し上げようにも二袋しかない。
一袋づつでご勘弁をいただく。

そんな散々な店じまいの後だが計算すると売り上げが一万円を超えていた。
普通の商売をなさっている方が読んだら大笑いだろう。
でも私的には達成感に満たされている。
十月の初めから半年近くもかかってやっとここまで来た。
更なる上積みを目指したいが今は辛抱しよう。
左肩よ、右手よ、頑張って回復してくれ。
せめて右手で箸が使えるようになってくれれば・・・・。
いや、なる。私は肉親や友人や家を失ったわけじゃない。
うじうじしてる場合じゃないんだ。

早く春よ来い。北国に安らぎの風を。
第百六十五日目
適度に忙しい日。こんな日は厨房にずっと居て
お客様との接触がない。とくにお遍路さんとのやりとりは
面白いのに、そうもいかない。
有り難いのは麺の茹で上がりを待つ退屈だろう時間に
お客様同士で会話が弾む事。
大きな笑い声などを聞きながら揚げる掻き揚げは嬉しい味がしそうだ。

いい話だけではない。私が肩を折って以来一人で散歩している
Eさん。理想的な展開だと喜んでいたら、途中で煙草を吸っているとのこと。
相手が健常者なら一発殴っている。
相当な図太い神経を持っていないと彼或いは彼らと付き合ってはゆけないだろう。
歯がゆさ、無力感に苛まれる。

愚痴ばかりじゃ情けないので華やかな話を一つ。
四月末ふと外に出てみると店の写真を撮っている方がいらっしゃる。
挨拶をすると何と相手は外人の女性。
店に入っていただいて少し雑談。名刺を貰った。
ここに書いてもいいと思う。88アートプロジェクトのエミリ・ベルトさん。
EMILIE BERTEAUで検索すればお分かりだろうがフランス人で
ドキュメント映画を製作なさっている。

松山でフランス語教師などをやっていたが、やはりアートに関係した
仕事がしたくて、フランス文化省関連で四国遍路道と芸術作品を
組み合わせたプロジェクトを立ち上げたらしい。
いつの日にかこの小さなうどん屋の店先にシュールなオブジェなどが
並ぶかもしれない。
第百六十八日目
B型肝炎キャリアと宣言された納得し難い歯がゆさをかかえて
仕事場へ。
明日の材料を手配しようとFさんに電話したらEさんが休むとのこと。
何の事は無い。昨日私が休む替わりに入ったFさんがEさんの尻を
蹴ったらしい。開店時刻に湯を沸かし、ご飯を炊く以外何もしていなかった
らしい。健常者で、このNPOの?2で、もと調理師だから手も早い。

Eさんに電話するが「親が医者へ行ってレントゲンを撮れというから」だと。
それでも大人かって怒鳴っていたら母親が出てきた。
「何があろうと暴力は・・・・」と声が完全に怒っている。
暴力なのだろうか。
私が足で突付いただけで「蹴られた。痛い。」と騒ぐEさんだ。
両者の話をじっくり聞かなくては。

結局一人で一日営業をした。上手い具合に適当な間隔でお客様が
あったので何とかこなせたがクタクタだ。
だのに指導員の若いAさんがあれこれ愚痴をこぼしに来る。
理事長に「それでも大学を出たのか」と怒鳴られたと怒る。
気の弱い彼だから黙っていたのだろう。
Eさんの母親の話では私が休日だった日に売り上げが少なかった。
それを理事長が「誤魔化したんじゃないだろうな」と言ったという。

あの私より一つ下の爺。困ったものだ。神を信仰しているのなら
もう少しそれらしい言動があって然るべきなんだが・・・・・。

夕方家に帰ってからEさんの母親から電話。
愚痴半分、息子を頼むの依頼半分。
私は指導員じゃなくEさん同様障害者なんだがなあ、と思いつつ
息子を思う年老いた母親に強い事も言えず曖昧に慰める。

心身ともに疲れた一日だった。
第百九十九日目
何をやっているかと自問の内に月日は駆け去る。
製氷機が壊れ、分解修理。機械的動作は完璧だが
コントロール基板は製造中止。

製麺機の送材ベルトが訳も判らぬ内に繋ぎ目から切れる。
昔使っていたという機械を分解しベルトを確保:::と思ったら
寸法がちょいと違う。
新品のベルトを取り寄せ、朝6時半から出て取替え。
冬ならお断りだ。

先月末には突然私の担当者が辞職。娘と同じ歳の元気な
娘さんだった。何があったのやら。
壊れるものは必ず壊れるべくして壊れる。
大抵は「何かのヒズミ」が原因。
外から見ているとよく目に付くが中の人には慣れが邪魔をする。

今日はお金持ちの日。
とてもお客の出足が遅く、諦め掛けた頃来たお二人。
自転車で巡礼をなさっている。
巡礼自体、貧乏人には出来ない。
でもこの二人の自転車二台で百万円。
片方の65万円に乗っている方は自宅にもう一台もっと高いのを
お持ちだとか。

そのお二人と入れ違いに来られたのは50ccバイク3台の
お兄ちゃんには歳を食い、おっさんには若すぎるトリオ。
食べ終わってから雑談をしていて判った。
一台は普通のスーパーカブ。後の2台はゴリラというらしい。
50ccで時速140km出るよう改造し、その費用なんと135万円。
奈良から日帰り旅行ですと。

嬉しいのはカブのお兄さんが春に偶然我らの店を見つけ
その美味さを是非仲間に味わわせたいと、おいでくださった
こと。
最高の褒め言葉。

こうして明日は二百日目か。どれも素晴らしい偶然だ。
第二百七日目
のんびりとした一日。エアコンはお客様用だけで
28度に設定してある。
厨房は勿論暑い。我慢出来ないほどじゃない。

午後も3時を過ぎるとお客の来る気配は無い。
だからエアコンを切り、西側の二つの窓を開け放つ。
待っていたかのように黒アゲハが一羽すーと飛び込んできた。
そして私の肩の上で舞っている。

入り口の引き戸を開ければ出てゆくかもしれないと
歩けばそれにも付いてくる。
風は向かい風。その風に隙間でもあるように軽々と出て行った。

それだけの多分何十秒かの出来事だけれど不思議と重く
感じる。
何かの訳でお四国巡礼を果たせなかった想いが
蝶の姿になり遍路道を辿っている妄想に駆られる。

 黒あげは十六番へはどう行けば
  舞尋ね寄る午後のうどん屋

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