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白粉花(おしろいばな)コミュの弁財天63

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そんな場所をおぼつかない足取りで登って行く子供二人を見上げる形で、杉下は二人が自分を怖がっているのだと思い当たった。追い掛けられていると思っているのだろう。直ぐに止めなければと声を掛けた。
「おーい、おじさんはお前たちを追い掛けてるんじゃないぞ。危ないから戻って・・・」。そこまで言ったとたんに左足が宙を踏み自分の体がとても変な形で穴のようなものに落ちるのを感じた。

どのくらい時間が経ったのか分からない中、温かい何かに包まれているのを感じながら
意識が戻った。何も見えない。最初に思ったのは、あの二人の子供が無事に家に帰っただろうか
という事だった。どこか分からないここから出ようとは不思議なくらい考えなかった。
この居心地の良さは一体何なのだろう。ずっとこのままで居たいと思えた。
ゆっくりと胸一杯に空気を満たし、更にゆっくりと吐き出す。それを待っていたかのように声が聞こえた。
いや聞こえたというのは違う。自分の胸の中から湧き上がって来たというのがぴったりだ。
そしてその声は誰かのものとは思えなかった。女性だとは判断出来るが定まった一人の声ではない。
例えばオーロラという現象はあっても、それは決まった色も形も持たない。刻々と姿を変えてゆく。
例えは思い出という概念はあっても。そこには確かな時間軸はない。揺れながら、視座を変えながら
感情は揺らす。懐かしさ、畏敬の念、彷徨いの情、後悔、自分への哀れみ。数え上げることも出来ない
感情の穏やかな渦巻き。そんな声だった。

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