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Deeeeep NY 女の夜遊びコミュの完結編:酒とナンパの日々

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★☆この回から初めて読まれる方へ★☆

連載形式になっていますので、お手数でもさかのぼってお話を読んでみてください。

酒とナンパの日々の巻
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=20594430&comm_id=1323829

その2:酒とナンパの日々の巻
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=20894524&comm_id=1323829

その3:酒とナンパの日々の巻
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=21226701&comm_id=1323829

*****


はじめに

菊楽恵が酔った勢いでナンパした男、イーサン。30回目のコール後、会うことに。しかし、全くの別人だった!? オヤジで後頭部はハゲで、なんと別居しているとはいえ妻子持ち。ナンパした時のカケラもない! 会ったこともナンパしたことも後悔。
菊楽恵はゲイバー好きなのだが、「キミの好きなものをボクも見てみたい」と言い出して……。

***

イーサンという名前は私が勝手につけた名前だ。
実は本人に会って彼から本当の名前を教えてもらったが発音が難しくて覚えられなかった。彼は仕事場でも英語名を使っているという。
アメリカ人も難しくて覚えられないからだ。
中国人や韓国人も本名ではなく英語名を使っている場合が大半だ。


イーサンはボスニア・ボスニア・ヘルツェゴビナのボスニア出身だ。
ボスニアは旧ユーゴスラビア連邦を構成した共和国のひとつ。東ヨーロッパだ。
1992年に民族/宗教間で激しい戦闘が行われた。痛ましい映像は現在も記憶になまなましい。しかし、彼はユーゴスラビア連邦時代にニューヨークに移民して来たと言った。

同情が愛に変わることもある。
豊かで平和な日本から来た私はなんて世間知らずなの……と。
そういうことも実は過去にあった。
しかし、今回はない。

身ひとつで異国に来て、大学の職員として働き、家も車も家族もあり、尊敬できる点はたくさんある。
しかし、妻子持ちでハゲ。
共に私に未来を約束はしてくれない。



英語名「リチャード」と呼んでもいいと“イーサン”は言ったが、それでは失礼な気がして、名前を呼ばず、ずっとYou(ユー)と実際は呼んでいた。

日本語では、「あなた」や「キミ」を使わなくても文章は成り立つが、英語は主語がないといけない。それに、会話で「あなた」や「キミ」を使うと格好つけ過ぎの感があったり、他人行儀だったりするが、英語では何の弊害もない。

そう、私の男友だちの話だが、バーで知り合った女性を自宅アパートにお持ち帰り。
朝、起きて、隣に寝ている女性の名前が全然思い出すことができず、ずーーっとYouで通したと言っていた。
まさに私もそれと同じ。
しかし、みなさんに分りやすくするためにイーサンのままで書く。


***


「ゲイバーに行こう」と半ば? いや100%嫌がらせで誘ったにもかかわらず、イーサンはとっても乗り気。誘った私の方が本当に驚いた。
決まったら速攻。お会計もさっさと済ませてしまった。

ワインバーの近くに路上駐車した車まで歩いて行く。
雨はずっと降っている。
傘はひとつしかなく、寄り添いたくないが、肩を触れ合って歩かなければならない。傘の中でも私は言った。
「ゲイバー、本当に行きたい? 本当に? 本当に?本当に?」
彼がやっぱり行かないというのを期待してしつこく聞いたのだ。

彼は同じことを繰り返して言う。
「メグミが好きなものを私も見てみたんだ」。


***


私は車の中でもずっと質問していた。
「本当にゲイバーに行くけどいいの?」
「何度も言うけど、メグミの好きなところに行きたいんだよ」
「男の人から色目で見られるかもれしれないんだよ」

そうは言ってもイーサンを誘ってくるゲイマンはいないと分っていても言ってみた。
くたびれたオヤジが男女からも好かれるわけがない。
私は意地悪だ。

「誘われたら、ボクは隣にいるドラッグ・クィーンが好きなんだ。ごめんって言うよ」
「ドラッグ・クィーンって私のこと?」
「そうだよ」
「あっはははは〜」

不覚にも笑ってしまった。
彼の面白さに触れて、心が和んだ。
あ〜、ダメ!ダメ!ダメ!

心を和ませてはいけない。


イーサンは運転しながら右手で私の膝をさすろうとする。
「妻子がいるような人とは深い関係になりたくないので、触らないで!!」
とはっきり言う。
「ごめんなさい」
と素直に謝る彼の姿が、哀れに見えて、同情心のようなものが私の心に生まれ、触らせるぐらいはいいかなぁと思った。

あ〜、ダメ!ダメ!ダメ!

後頭部が思いっきり薄くなったハゲ男で、妻子がいてあわよくばと思っている男に心を許してはいけない。
本当に、いけない! ダメ!ダメ!ダメ!

「ゲイバーか。未知の世界だ。なんだかワクワクしてくるよ」
イーサンは本当に嬉しそうだった。


***

行き先は、Splash!

GO-GOボーイが踊り、バーテンダーのお兄さんは全員ハンサムで無駄なお肉がない鍛えられたお体、しかも出で立ちはパンツ一丁というチェルシーにある巨大ゲイ・クラブだ。
時間はとうに午前2時を回っていた。
カバーチャージは10ドル。イーサンが支払ってくれた。



私たちはバーカウンターに座る。
私たちの目の前では、パンツ(それも普通のパンツ)しか身に纏っていないGO-GOボーイたちが踊る。

「裸の男が踊っているのを見ても何とも思わないなぁ〜」
とイーサンは言う。
「見て、見て、あの男の子、かわいいじゃない」
と私が言うが、イーサンは
「う〜ん、そっかぁ〜」と悩んでいる。

バーティンダーにワインをオーダーし、一気に飲む。

イーサンにチップを入れてみたらと促すが、男には触りたくないと拒否。
私が代わりに入れてGO-GOボーイの太腿をさすった。

イーサンは酔っているのか、やたら私の体を触ろうとしてくる。

「スケベ!おやじよ!いい加減にしてくれ〜」と言葉には出せないが、ムカムカして、
私は彼を無視した。
それにゲイバーでヘテロのカップルに思われたくない。

とにかく踊るGO-GOボーイを鑑賞することだけに集中した。
その方が断然楽しい。
それにテーブルに肘をついて、イーサンを防御する。
ここは私の世界なのだ。
あんた(ユー)になんかに邪魔されたくない。

もう1杯ワインをオーダーする。
かなり酸っぱい。食道を通るが認識できるほどだ。
ワインが酸化していたのか? 隣にいる男が悪いのか?
イーサンのせいだ。


無視しようよしても気になるのだ。
隣にいるイーサンが疎ましくて、疎ましくて仕方がなかった。
それは次第に増して行く。
好きな人といると「時間よ!止まれ!」なのに、嫌いな人といると「時間よ!過ぎろ!」となり、しかも、時間の流れがとっても遅い。

大音量のディスコ・ミュージック。
ミラーボールがくるくる回り、ピカピカ、キラキラ光っている。
ダンスフロアーではかわいい男の子が踊っている。

柱に背して激しいキスをしているゲイメン・カップルもいる。
そんなに情熱的にしてなくてもいいじゃないかと思わずにはいられない。
しかし、ハンサムなゲイメン同士のキスほど私を興奮させるものはない。
もやもやもぁ〜〜ん!
なのに、隣にはオッサンが……。あ〜あ。


ミラーボールを見つめ、GO-GOボーイを見つめていると次第に酔いが回って来た。
ここに来て既にワインを2杯飲んでいる。
さっきのワインバーでは2人でボトルを1本空けた。


後頭部がハゲで腹も出ている、鬱陶しく疎ましいイーサンは私の右側に座っている。
こんな状況になってしまった運命を酷く呪う。
最初から会わなければ良かった……。
後悔先に立たず。

ついつい、隣にいる彼を見てしまった。


「あれれれ〜〜!?」。



イーサンは帰ったのだろうか?

そうだ!私に嫌気が差してとうとう帰ったのだ!
やったぁ〜!

だって、隣のイーサンが座っていたスツールには恐ろしくハンサムな男性が座っている!

どんなお顔かしら?とまじまじ見てみると、私がナンパしたかわいい金髪の青年がなんと、座っているではないか!

キャァ〜〜〜!

あなたに会いたかった……!!!

今までのが悪夢だったのだ。それしか考えられない。
ハゲで妻子持ちで、スケベ心満載の中年男こそが夢だったのだ。
やっと私は悪夢から醒めて、現実に戻ったのだ!

とうとう、ナンパしたかわいい男の子に会えたのだ!
胸がいっぱいになり涙が今にも溢れてきそうだった。
BGM:松田聖子「あなたに逢いたくて♪」

白髪頭ではなく、やっぱり金髪だった。顔にシワなんて全然ないし、お腹だって出ていない。

「逢いたかった!好き!好き!大好き! だぁ〜〜い好き」。

私は隣に座るナンパした青年に抱きついた。
ついでに首筋にキスをした。
勢いがついて首筋に舌を這わせた。

ミラーボールがくるくる回り、ピカピカ、キラキラ光っている。
あの時も、ミラーボールがくるくる回っていた。
スモークも焚かれていた。
ハンサムで金髪でメガネをかけた知的な青年がここにいる。

首筋に這わせた舌を今度は外耳をなぞり、頬を通過した。
蜂蜜が塗られているような光って甘いクチビル。私は引き寄せられるようにぷっくりした赤いクチビルまで舌を這わせた。
そしてクチビルを上から丹念に舐めてから、上唇と下唇の間に舌を入れて奥まで進入。
ナンパした若い青年も舌を絡ませ応戦してくる。
悪夢は拷問だった。
しかし、今、御破算に


キスをしながら髪の毛を撫でる。白人の髪は細くて、柔らかい。
指と指の間に髪の毛を入れて指先で戯れる。
後頭部を触る。


「あっ、ナイ」。

眉毛がしかめる。
顔を離して青年の顔を見みた。
あったのは顔はイーサンだった。

あ〜〜〜っ!


頭が混乱。

キスしたのは、イーサンだった!?

まさか、そんなことはないだろうと再度まじまじと見るがやっぱりオヤジ・イーサンだった。
触っていた後頭部から手を離す。

私は慌てて彼に帰ると言った。
彼は車で送ると言ってくれたが、「妻子のある人とは関わりたくないから、さようなら」と振り切った。


イーサンは「さっきのワインもチーズもここの入場料もGO-GOボーイへのチップも俺が払ったんだ!!」と叫んでいるのが私の背後で聞こえた。


クラブの外に出た。
外はどじゃぶりの雨だった。酔っているので傘もうまくさせない。アベニューに出てでキャブを捕まえようとしたが、酔って足元がふらふらしていたので、思いっきり転んでしまった。
雨でずぶ濡れで、しかも転んで洋服はべちょべちょだった。


翌朝、起きたら、イーサンの顔中を舐めた記憶が蘇り、二日酔いとともに私の気分を更に悪化させた。



***


イーサンをナンパした時に一緒にいた彫刻家にもアレックスにもイーサンと会うことは秘密にしていたが、数日後、2人と飲むことがあり、会ったことを告げた。

ナンパした青年が恐ろしくくたびれたオヤジであり、思いっきり幻覚を見てしまったこと。
しかし、再び酔ったら、醜いアヒルの子が白鳥に変身するがの如く、イーサンがハンサムな青年に見えて、顔中を舐めてキスしたことを告白。

それに、クラブの雰囲気は酔いを助長するという効果があると思う。そのように設計されているに違いない。


「本当に若くてハンサムだと思っていたのか?」
と2人は驚いた顔で質問してきた。

「あれはどうみもてオヤジだったよ。声をかけられて本当に嬉しかったと思うよ」とアレックス。
「ま、人って会ってみないと分らないけどね」と彫刻家。

2人とも酒を飲む。酒での失敗談は山のようにあるらしい。
私のような話では動じない大きな心を持っているのが救いだ。

アレックスが「ハッハハ〜ン」と何かを思いついたような声を上げた。

「英語じゃ、Beer goggles(ビール・ゴーグル)って言ってさ、アルコールの力で好きになったり、ハンサムや美人に見えちゃうんだよ。メグミはお酒を飲むとビール・ゴーグルを思いっきりかけちゃうようだな。アッハハハハ」 とアレックスに笑われた。


ビール・ゴーグルか!
あちゃぁ〜!

お酒を飲むと、全てが美しく見えて、知らない人でも好きになってしまうゴーグル。
まさにコレだ!
全ての状況に説明がつく。



イーサンからの電話はあれからかかってこない。
しかし、彼も幻想を抱いたとはいえ、私に好意を抱いてくれていたのは嬉しかった。
断ることに慣れていないから、ゲイバーまでお連れしたのは悪かったと思う。
お金のことをゴチャゴチャ言われたのは、散財させてしまって悪かったという思いとそんなことを言わなくてもという思いもある。
英語でいうところのミックス・フィーリングだ。

モテル人は断るのも上手だ。

私はふられてばかりいるから、お断りする術を知らない。
脇役ばっかりやっていると脇役根性が染み付き、主役を演じられないのと同じだ。
上手な断り方とは一体、どんなものなのだろう。

フラれる方が悲劇のヒロインになれて、まだ断るよりは楽かもしれないな。

今回の教訓で、二度と酒を飲まない!ナンパをしない!とは決して思わない。


増々、飲んでビール・ゴーグル!の威力を発揮しようと思うのであ〜る。
私は学習しない人間なのだ。

終わり。


むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)

菊楽恵流が楽しめる「こんなニューヨークもあります!」ブログもどうぞ!

Deeeep! New York!2007
http://megdon.com


むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)

コメント(7)

お酒の力ってこわいな〜と思いながら、これからもガンガン飲んでびしびしナンパしまくって欲しい、そして非の打ちどころのない断るテクニックと、いつかは本物のハンサム君を手にして欲しい!と思いましたexclamation ×2
オそるべしっ!!ビールゴーグルふらふら
裸眼で1.5の私の目はそんな幸せに作られてない…。。
1回は酔って周りの男がみんなダルビッシュに見える
くらいになりたい〜桜
うわっ(><)あっちゃ〜・・。
私も今後気をつけないと(笑)

しかし
>モテル人は断るのも上手だ。
良い言葉ですね♪目指さないと!!
一気に読んでしまいましたウインク

しかし、恐ろしい《ビール・ゴーグル》・・・げっそり

夏は海岸・冬はスキー場。
リゾート地での出会いは、現実世界(日常)に戻ると一気に醒める・・・。

この現象も通じる所がありそうですよね冷や汗

暑中お見舞い申し上げます!
管理人林檎の芯です!

猛暑の日本とは違って、涼しいニューヨークです!リゾート
皆様、いかが夏をお過ごしですか?

書き込みありがとうございます!ウインク


お酒の力はスゴイ!
でも醒めた後がコワイ!


☆みいさま
☆itochieさま
☆りーさんさんさま
☆マル秘の秘書さま
☆ういさま


菊楽さんと共に勝手に夏休みを取らせていただき、しばらくアップしていませんでしたが、新しいお話をこれからお届けします!
はじめまして!アメリロと申します。
ひょんな所からこちらのコミュを発見して
読ませていただいてから、あまりの面白さに
吹き出しながら楽しませていただいてますわーい(嬉しい顔)

私はお酒にめっぽう、弱いのですが
ビールゴーグル、、すっごい面白い表現ですね^^

これからも楽しみにしていますハート達(複数ハート)

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