Deeeeep NY　女の夜遊びコミュの完結編：恋が再爆発？！ NYで再会！元ダーリンとデートの巻

★この回から初めて読まれる方へ★

連載形式になっていますので、お手数でもさかのぼってお話を読んでみてくださ
い。

恋が再爆発？！ NYで再会！元ダーリンとデートの巻
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その2：恋が再爆発？！ NYで再会！元ダーリンとデートの巻
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その3：恋が再爆発？！ NYで再会！元ダーリンとデートの巻
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その4：恋が再爆発？！ NYで再会！元ダーリンとデートの巻
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はじめに……

元ダ〜リン桑田トラ男と公園で再会の熱いキスをする菊楽恵。彼はアフリカに転勤するという。上司からの電話でEleven Madison Parkでのディナーはキャンセル。しかし、なんと明日はティファニー本店で待ち合わせ。婚約指輪か？　アフリカに一緒に行ってくれというプロポーズを受けるかもしれない！？



＊＊＊

その夜、ナミエから電話があった。
合コンのお誘いだ。
ハットリ石川くんと会ったのもナミエ主催の合コンだった。
それに、ナミエとハットリくんは知り合いでもある。

私は、ナミエに「かくかくしかじか」でとハットリ石川くんと偶然に居酒屋『R』で会ってグラセンでちょっと親しくなってしまった話をした。

「メグミくんが好きなら、いいと思うけど……。ハットリはさ、アメリカ人だけ
ど妙に日本人でね。ホント、水商売の女が好きらしいのよ。風俗にもよく行くらしいし、そういうのが気にならないら……」と心配してくれる。

「素人童貞って自分で言っていたものね〜」と私。

そうなのだ。ハットリ石川くんは何年もガールフレンドがいない。
が、ホステスが好き！風俗も好き！それは本人から直接聞いたから、知っている。

ハットリ石川くんと付き合うことになって、「ゲイバーに行くな」、「GO-GOボーイを見に行くな」、「GO-GOボーイのもっこり触るな」と言われたら？
昔の私なら「はいっ」と従順なふりをして行くのを止めたと思う。
しかし、人間無理をすると破綻が必ずやって来る。
結局、そんなことを言う男とはうまく行かないのだ。
“行くな”と言われるよりは、“行かなくなる”方が自然でいい。
好きなものはそうそう止めることはできない。
心の狭い男とは付き合いたくない。

このことは、ハットリ石川くんに対してもいえるのではないか？

「ホステスと飲まないで〜」、「風俗に行かないで〜」と私が言ったら……？
ハットリくんは私を鬱陶（うっとう）しいと思うのは目に見えている。
「どんどん行って〜！行って〜！　ホステスのお姉ちゃんと飲んでもいいよ。風俗で思う
存分、抜いて来ても気にしないわ」と、そこまで言えるくらいになりたいが、推奨しなくても敢えて禁止するようなことは言いたくない。

しかし、桑田トラ男くんには、黙ってそれこそ秘密でゲイバーに行くと思う。
容認してくれるタイプではない。
ある意味、ホステス好きとGO-GOボーイ好きでハットリ石川くんのとの方が相性はいいかもしれない。

「ま、ハットリが＊ピアノ・バーに行くのは、ホステスのお姉ちゃんが日本のアイドルに見えるかららしいよ。キラキラなドレスを着てさ、派手なお化粧をしてさ〜。
たしかにそうじゃん。
ハットリはさ、アメリカに生まれたけど日本人である自分を探しているのよ」
とナミエが言った。


そっか〜。ホステスに日本文化であるアイドルを発見してピアノ・バーに通っているのか。
アイデンティティーを探して、日本人のホステスに会いに行く。
アメリカ人でもない日本人でもない自分に迷っているのだ。
単なるスケベな気持ちではなかったんだ。


じゃ、私がハットリ石川くんを助けてあげるってのはどう？
祖国ニッポンを一緒に探してあげるのよ。
そう私が日本のアイドルになるのはどうだろう？
デートには、髪をクルクルに巻くだけ巻いて、ぴらぴらのレースのドレスを来て、
内股でえへって立つ！　きっと彼は泣いて喜ぶかもしれない！？
と妄想の世界に一瞬飛び立ってしまった。

「ハットリのことも進めつつ、合コンも行こうよ。どっちに転んでも応援してい
るから……」とナミエは合コンの日程はメールするからと付け加えて電話を切った。



＊ニューヨークではホステスのいるクラブをピアノ・バーという。
ピアノの生演奏でカラオケができることを売りにしていたことからそう名付けら
れたという。


ナミエに桑田トラ男のことを言いそびれてしまった。
ハットリくんがホステスにアイドルを発見して通っているという話が強烈だったし、
ハットリ石川くんと二股を掛けているようで罪悪感があるのも言えなかった一因だ。


それにしても、明日、桑田トラ男くんからプロポーズをされたら……？


その返事は……？



むむむ〜。にんにん。


＊＊＊


深夜、ハットリ石川くんからテキストメッセージが入った。

“Can we get　together tomorrow　night around 8?”
『明日の夜、8時に会えるだろうか？』。

『予定があり、会えません』と返事をした。


＊＊＊

夕方、翌日。5時30分。
ティファニー本店の前に行くと、既に桑田トラ男くんが待っていた。

「メグミちゃ〜〜ん、昨日は本当にごめんね！悪かったね！今夜はその埋め合わせをするからさ。
どんなリクエストにも答えるよ」と平身低頭して謝ってくる。

その手には、ティファーの、あのティファニー・ブルーの小さな紙袋が！
既にショッピングは終わっている。

「ティファニーでお買い物したの？」
と白々しいと思ったが、質問してみた。

「うん。ちょっとね」。

そのはぐらし方が見え見えだわ。
私を驚かそうとしているのだ。
桑田トラ男くんたっら、私の指のサイズを知っているのから？
記憶力抜群の人だから、かつて付き合ったいた時に私が言っていたのを覚えていたのに違いない。

「ご飯の前にさ、セントラルパークにちょっと散歩しない？」

やっぱり、そう来たか！
何かと外で致すのが好きな桑田トラ男くん。
アフリカに行ったら、それこそ外でいろんなことができちゃう！
眼前に広がるのはサバンナよ。　うふふふ。


57丁目のティファニーからセントラル・パークはすぐそこ。
今夜もきっとベンチでキスして、大木の陰で、トラ男くんのをペロペロペロ〜ン！？
そしてホテル？　それとも私のアパート？
あっ、その前にプロポーズよね。

「アフリカで、味噌汁、毎朝作ってください」なんて言われちゃったら、どうしよう〜。
古典的なプロポーズだけど言われてみたいわぁ〜！


と思っていると、
「メグミちゃん、何ニヤニヤしているの？　昨日のキス思い出してるんでしょう？　良かったなぁ、昨日のキス。昔を思い出して、久しぶりに興奮したよ」と桑田くん。

私の考えがすっかり読まれている！？

セントラル・パークの入り口には観光馬車が止まっている。
馬糞の臭いでむせ返っている。
思わず、その臭いについてコメントしたかったが、これからプロポーズが控えているのだ。
気持ちをそぐようなことを言ってはいけないだろう。


セントラルパークの歩道を歩きながら桑田トラ男が言った。
「昨日も言ったけれど、アフリカに転勤になるんだ」と。

あっ、とうとう来た！来てしまった！has comeよ！　
運命の申し出が……！！結婚の申し込みがぁ〜！
「メグミちゃん、ボクと結婚してください」。


Deeeeep! New York!のコミュもブログも終了し、人妻・桑田恵の『Deeeeep!アフリカ』に内容もタイトルも変更だ。
今度こそ悲願の本を出版かと一気に考える。
もう、私の返事は「イエス」と決まっているようなものだ。


「メグミちゃん、ボクと結婚してください」……というフレーズが彼の口から飛び出すのかと思ったら、
「家族も一緒に赴任になるから大変でさぁ〜。メグミちゃんも海外生活大変でしょう？」。

「えっ？　家族？」

桑田トラ男くんのご両親に、弟に、祖父母までアフリカに行くの？


「かみさんに、娘だよ」
「へっ？　け、け、け結婚してたの？」

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桑田トラ男くんは6年前に結婚して、3歳になる娘がいるという。
「かみさんは、ボクより10歳も若いんだ」と声を高々にして言った。
左手の薬指を見るが、指輪はしていない。
しない男もいる。

「じゃ、メグミちゃんはどうなの？」と聞かれた。

「独身じゃい！嫁が若いなんて自慢するな！昨日のキスはなんじゃい？　舐めんなよ！　ティファニーは嫁のみやげか？」とまたもやハットリくんの朝ご飯事件の時と同じく啖呵を切って帰ろうと思ったのだが、急に力が抜けてしまった。
近くにあったベンチにへなへな〜と座ってしまった。

勝手に舞い上がってしまったのは、他ならぬ自分自身だ。

プロポーズに、結婚！しかもアフリカ行きまで考えてしまって、私はなんて馬鹿なの？

「コロンビア大卒の人と、ちょっとね……」と見栄を張ってしまったのだが、その返答も自分でびくりするくらい小さな声だった。


気を取り直して、200ドルするワインでもご馳走になろうかと思ったが、それも情けない。
岩子と畳子の「とりあえず、やってみろ〜」という声も聞こえた。
ずっとしてないセックス。
この調子でなだれ込めば、桑田トラ男くんとセックスできると思う。
見たかった玉の裏のほくろも思い残すことなく見れるであろう。
しかし、妻が愛情込めて洗濯しているであろうのパンツを見るのが嫌だった。
それだけは勘弁だ。



＊＊＊


妻子持ちの男とロマンチックなレストランで食事してもみじめになるだけ。
桑田くんとミッドタウンの居酒屋でお酒を飲んだ。

妻の話や娘の話を本当は聞きたくなかったけど、知り合ったのはどこでとか？　子供の名前は？　など思いつく質問をできるだけしてみた。ついにティファニーの中身も質問してみた。

「今度下の子が産まれるんだよね〜。それでかみさんにシルバースプーンを買って来てって頼まれてさ」。


妻が妊娠中！！　うげっ、おえぇ、うくぷぷぷぅ〜。　

飲んでいたワインを吹き出しそうになった。

ありがちなそのパターン。
とうとう私にも降ってきた。
嫁とできないから、元カノとセックスを目論む元カレ。
私もやっと人並みになったということか？


婚約指輪を買いにティファニーに、そしてプロポーズを受けて、アフリカに一緒に行くとまで思ってしまった私って……。
Eleven Madison Parkの呪いはあったのだ。
私も何のことはないキャリーと同じだったのだ。
さらに、激しく自己嫌悪に陥る。



帰り際、酔った桑田くんはキスしようとしてきて、しかもホテルに誘われたが、
「アフリカに気を付けて行って来てね。絵葉書でも送ってよ。じゃぁね。ごちそうさま」ときっぱり振り切って私はキャブに乗った。

子供の写真の年賀状が送られてきたら？
それこそ桑田トラ男くんの人間性を疑う。

さようなら！私の日本の恋〜。


＊＊＊


キャブの中で、ハットリ石川くんにテキスト・メッセージを送った。

“I miss U.”

すると返事がすぐに来た。
“Me too.”

ホステス好きとGO-GOボーイ好きの組み合わせが自然でいいのかもしれない。


それにしても、桑田トラ男くんの玉の裏のほくろは確認できなかったとしても、せめて股間だけでも握ときゃ良かった……！！



めげない！めげちゃいけない！！
ここはニューヨーク！世界の中心なのだ！
きっと、きっと、きっと（号泣）……、私のことを好きになってくれるダ〜リンがいるはず……と思いたい……！！



完結編：恋が再爆発？！ NYで再会！元ダーリンとデートの巻
おわり。

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