Deeeeep NY　女の夜遊びコミュのその4：SM! 痛い愛？！NYのサド公爵とデートの巻

★この回から初めて読まれる方へ★

連載形式になっていますので、お手数でもさかのぼってお話を読んでみてください。

SM! 痛い愛？！NYのサド公爵とデートの巻
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その2：SM! 痛い愛？！NYのサド公爵とデートの巻
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その3：SM! 痛い愛？！NYのサド公爵とデートの巻
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はじめに……

初デートでボンテージの講習を受けた後、プリンストン大卒でしかもジョニー・ディップ似のアランは菊楽　恵の手を引き、秘密の小部屋に連れて行った。そこにあったのは『お尻叩き台』。そしてアランが言った言葉は……。

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「メグミ、ボクのお尻を叩いてください」。

アランはお尻叩き台に体をつけて、顔だけを私に向けて言う。
ヘーゼルの眼。

叩くべきか、叩かざるべきか、それが問題だ。
気分はハムレット。

思い起こせば、アメリカ人である彼とのセックスでは、彼は腰を前後に振りながら（つまり挿入しながら）、私の尻を叩いていた。
数少ない性経験ではあるが、日本人の男性は尻を叩こうというアイディアさえなかったと思う。
私の日本人の友達の話によると、やはりアメリカ人の彼も、セックスの最中に彼女のお尻を叩くのが好きだったという。よく叩いていたという。
別の友達は、アメリカ人の、それもワン・ナイト・スタンド（一晩限りの関係）の男から、アランと同じように尻を叩いてくれ〜とお願いされたらしい。

アメリカ人の彼の話によると、お尻を叩くと尻の筋肉が締まり、女性のアソコも締まるのだという。
医学的に証明されているかどうかは知らないが、そういえば、料理でもお肉の旨味を出すために叩いて締めるではないか。

しかし、アランは男だ。尻を叩かれることで、男である彼の下半身のどこかが
変化するのだろうか？　謎だ。

それにしても、彼のお尻なんか叩きたくない。
叩かずに済ませてこの場を去りたいと本気で思った。


私はとっさにあることを思った。
名付けて『必殺！交換条件！作戦』

絶対実現不可能なことを交換条件としてアランに言うのだ。
「ボクには無理です。できません。お尻叩かなくても結構です」とアランがあっさり引き下がる方向にもっていく。
卑怯かもしれないが、その方がお互い傷つかないで済むはずだ。
私が、これから出す交換条件は、ストレートの男性だったら、絶対“YES”と言うはずがない。
アランが許諾しないという自信がある。


今は亡き、ゲイでハンサムなフォトグラファー、ロバート・メイプルソープの作品のひとつで、驚愕して感銘して、いつか私もしてみたいと思った“こと”なのだ。
講談社電子文庫発行の拙著『Deeeeep!New York』を読んでいた方なら、「もしかしてあれ？」と思っていただけるかもしれない。

私はアランに言った。
勝算100%だ。
これでアランは諦めるだろう。


私の必殺！交換条件！は、じゃぁ〜〜ん！
“フィスト・ファック”である。

ご存じない方のために……
フィスト・ファックとは、お尻の穴に、拳（こぶし）をいれることである。

指ではない。
拳（こぶし）だ！
ロバート・メイプルソープの作品では、白人男性のお尻の穴に白人の腕と黒人の腕の二本が入っていた。


私はアランに条件を提示した。
「お尻を叩いてあげてもいいけど、その代わり、条件があるの。私のしたいこともさせていただきたいの」。
「何？　何でも言ってよ」とアランは私の必殺！交換条件を知らずに屈託のない顔で言う。
「フィスト・ファックさせてくれたらお尻を叩いてもいいわよ」と力強く言ってみた。
「そ、そ、それは勘弁してくれ〜」
と過激な交換条件に慄（おのの）き、そういう返事がくるだろうと思いながら待っていると、
「SURE!　キミの願いながら、ボクのアス（お尻）にフィストをファックしてもいいよ」。
それが、アランの返事だった。

SURE!と来たか？　
必殺！交換条件！はあっけなく×。

あらららぁ〜。


「じゃぁ、叩いて〜。叩いて〜。キミの手で〜」とアランはかわいい声で言ってくる。
しかも、アランはスーツのジャケットをまくって、お尻を出した。

あ〜〜！神様！
こうなったら、叩くしかないのでしょうか？
あ〜〜！神様！
こうなったら、ズボンが破けるまで叩くべきなのでしょうか？
あ〜〜！神様！
こうなったら、尻を叩かれることで喜ぶ男の真実を探求すべきなのでしょうか？


私はゆっくり息を吸った。
今後の人生、優秀でしかもジョニー・ディップ似の白人男性の尻を叩くことなどないかもしれない。人生、何でもLet's Try!じゃないか。

私はゆっくり揉み手をした。

人生で初の白人男性の尻を叩くことにした！
「アラン！行くわよ〜」

私は素手でバシッとアランのお尻を叩いた。
「ひとぉ〜〜つ」と日本語で言いながら。
「うっ！」
アランは小さな声をだした。
「ふたぁ〜〜つ」。
「バシっ！」
「OH! God!」
「みっつ」
「バシっ！」
「OH! Yeah!」

次からは、もう破れかぶれて、私はアランのお尻を両手で連打してみた。
私が叩くと同時にアランは「うっ」と声を出す。

気分はジャック・バウワー。何かを吐け〜とばかりに叩く。

次に「なんて悪い子なの」
「信じられないほど、醜いわ」
「お仕置きしなきゃ」
と、女王様のお言葉といえばの常套句を英語で言ってみた。
不思議なことに段々気分がのってくるものである。

アランは「ごめんなさい」と謝る。

お尻を叩くのも簡単ではない。
私の手も熱くなり、摩擦で手がかゆくなってきた。

すると、アランは「止めていいよ」と言ってきた。

「キミの叩き方は良かった。最高だよ。汚い言葉もエクセレントだよ」とすくっと立ち上がり、私の眼を見て言ってきた。
アランの資格審査に合格したかのような言い方だった。

「キミの要望のフィスト・ファックだけど、今からしようか？」
とアランが言う。

「え〜〜？　ちょっと待って！　わざと言ったわけで本当にしようと思ったわけじゃなくって、ねぇ、アラン。
私、するつもり全然ないのよ」
……と、心の中で言う私。

セックスだってずっとしていないのに、ペニスが私に入ってくる前に、男の人のお尻の穴に拳（こぶし）を入れることになるだなんて、誰が想像しただろう。

お尻の穴に拳（こぶし）もいいが、それよりも何よりも、女として普通に抱き締められて、普通のキスをして、普通の愛撫をされて、普通のセックスをしたい。
心がポワァ〜〜ンとなる情交をしたいだけなのに……！
しかし、運命は私にファイスト・ファックしろと言っている（のか？）。

「え〜〜ん」と泣きそうになった。
本当に、涙がじわぁ〜〜と出て来た。
純情な面も私にはあるのだと思ったが、アランに見られちゃ、やばい。

すると、「実は、フィスト・ファックのことだけど、今までされたことがないから、うまく行かないかもしれない」とアランが申し訳なそうに言ってきた。

これはまさに天の助け。
「あのね。今日じゃなくてもいいのよ。心の準備が出来たときでいいのよ」と返事した。
内心、安堵したのは言うまでもない。
ホッ。

きっとアランもホッとしていたに違いない。

「フィスト・ファックもできないし、叩いてくれてお礼に何かしたいんだよね」
とアラン。

それじゃ、このSMクラブを抜け出して、ちょっと下ってミートパッキング・ディストリクトで素敵なワインバーで赤ワインを飲むのはどうかな？
と一人でプランを練っていると、
「キミのアパートのトイレ掃除をするよ」と申し出て来たアラン。

トイレ掃除は風水によると幸運をもたらす。
私に幸あれ〜ってアランは思ってくれているのか？
透視能力があり、私のアパートのトイレが汚いというのが見えたのか？
お礼にトイレ掃除。何かの宗教か？
やはり、私の聞き違いか？
そうであって欲しい！


「便器を舐めて綺麗にするよ……今から、キミのアパートに行こう！」と耳元でささやかれた。

な、な、な、な、舐めて……！！！

ミートパッキング・ディストリクトの素敵なワインバーでワインを飲む……なんて夢物語だった……！！

つづく……！！

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Deeeeep!New York 2007
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