Deeeeep NY　女の夜遊びコミュのその3：エキゾチック日本男児！愛の品格・比較文化論　戦略編

この回から初めて読まれる方へ

お話はシリーズになっています。

まずは、こちらからどうぞ。
エキゾチック日本男児！愛の品格・比較文化論。
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その2：エキゾチック日本男児！愛の品格・比較文化論　葛藤編
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　日本人の友だちに相談した。女だ。
「日本人を好きになっても好かれないし、アメリカ人を好きになっても好かれない。どうしよう？」。

　彼女は日本人と結婚したばかりだが、彼女も私と同じ悩みを抱えていたことがかつてあったという。アメリカ男児には『はっきり物を言わない！　優柔不断だ』と批判され、日本男児には『何でもはっきり物を言い過ぎる！』と言われた。
　心外なことに、どちらからにも批判されてしまう。

　彼女は「はっ！」と気付いたという。つまり、中途半端だからいけないのだ！
　アメリカ男児からも日本男児からも両方好かれたいという半端な状況にいるから悪いのだ。どっちつかずだから集中できずに失敗する。

　ならば、どっちにしようか？と考えた。
アメリカ男児か？　日本男児か？　はたまた他の国の男児か？
　
　彼女は、結婚したかった。
　かつて交際していたアメリカ人の彼を両親に紹介したことがあったが、大反対された。国際結婚なんてとんでもない！　子供がアイデンティティー・クライシスをおこす。かわいそうだ！　先方の両親とも話ができない。国際結婚で発生するだろうのマイナスをもうそれ以上ないだろうと思われるくらい両親に言われた。

　両親を裏切ってまで、つまり駆け落ちまでしてアメリカ人の彼と結婚する気にはなれなかった。
　両親に喜ばれる結婚をしたい！　それが彼女の願いだった。
だから、付き合う相手は日本人を選んだ。

　その後は、ターゲットを日本人に絞った。
　彼女は保守的な家庭に生まれ、育ったから、結局は日本人男性を立てて交際することの方が楽だったのだ。タクシーを先に乗らない、後に乗る。ドアも開けてはもらわない。歩くときは2歩も3歩も後ろに下がって歩く。レストランでお会計をお願いするときは、自分からウェイターに言わない。
　日本人の男性はお世話されることを好む。そのように日本人の母親に育てられたからだ。男兄弟がいた彼女は、男子が殊更大切に育てられているのを見ていたから、何の不思議もなかった。だから、日本人男性を喜ばすことはアメリカ人の彼と比較したら、少しの努力でできしてしまうことだった。そしてお付き合いした日本人男性と結婚した。彼女の両親が喜んだのは言うまでもない。

　彼女はターゲットをバシッと決めたことで結婚できた。まさに成功例だ。
　
アメリカ男児か？　日本男児か？　


　ご存知の通り、近頃の私は日本男児に心を奪われている。
日本人のサラリーマンを＊ミッドタウンで見かけると胸がキュンとする。まるで石川啄木の詩のように、

「ふるさとの訛なつかし
　停車場の人ごみの中に
　そを聴きにゆく」
の心境なのだ。

　正直に告白しよう。
たまたま見かけるのではなく、母国の男を見にミッドタウンに行く。わざわざ見に行くのだ。


「ふるさとの男なつかし
ミッドタウンの人ごみの中に
その姿を見に行く」
By 菊楽　恵

＊ミッドタウン：多くの日系企業がオフィスを構えているので、駐在員をはじめ日系企業のサラリーマンの方々が働いている。


　Hip Hopを勉強している背も高く格好いいダンサー系の男子では胸がときめかない。スーツを着ているリーマンじゃなくちゃダメなのだ。

　スーツは元来手足の長い人々のために作られた素敵なビジネス界の戦闘服だ。ジャケットの背後から見える彼らのお尻は素だ。しかし、手足の短い頭のでかい日本人にははっきり言って似合わない。お尻は平（たいら）で、見せてはいけない代物だ。白人や黒人、ラティーノと比較してはかわいそうなのだ。しかし、もう一度言う。全然、似合っていない。
（そういったら女性もそうだが、スーツに限っては比較対象外だ。）

　しかし、白人、黒人やラティーノと比較すると惨めなスーツ姿でも、彼らの中で埋没してしまうくらい背が低くても、頭の形もいびつで、歯並びも恐ろしいくらい悪くても、しかも全然薄い胸板でも、「抱き締めて〜」と飛び込んでしまいたくなる。
似合っていないスーツ姿が愛おしいぃ〜！
愛したい！日本男児を〜！！愛されたい！日本男児から〜！

　しかし、かいがいしく世話をしたりするのは嫌なのだ。
　彼のために洗濯も掃除も料理もしたくない。するなら一緒に、分担してしたい。3歩下がって男の後ろを歩くなんてとんでもない。歩くなら先か、並んで歩きたい。
　主人の意見を聞いてから〜、なんて、何ですか？
出しゃばりたい！私が！私が！
　自分が食べたいから食べるのであって、あなたが食べたいからと無理矢理合わせて食べたくない。自分が観たい映画だから、観るのであって、あなたが観たいからという理由では観たくない。
　意見はバシバシ言いたい。
本当は高価なものだけど「祖末なものです！」と言って差し出すよりも「はい、どうぞ」とシンプルでいきたい。

　これでは、日本男児は絶対好きにはなってくれない。
嫌な女の典型的だ。自分でよく分かっている。
しかし、アメリカでは極めて普通だ。
　京大ダーリンが両手を広げて私を迎え入れてくれる幻想は捨てた方がいいのだ。
　それもよ〜く、よ〜く、よ〜く、わかっている。

　わがままで3歩下がって男の後ろを歩くのが嫌な私は、日本男児を諦めなければならないのだろう。
　外人化した私は、不思議なエキゾチックなサムライ、日本男児を見て喜んでいたに過ぎないのかもしれない。　ミッドタウンのサラリーマンを見ると、かつて私が毎朝、満員電車で詰め込まれて働いていた東京時代---毎晩、飲んだくれて、ある意味楽しい日々ー--を思い出し、ノスタルジックな気分に浸っていただけなのだろう。

友だちが指南してくれた日本男児と付き合うための戦略は私には到底できない。現実（日本男児が私を好きになってくれること）は、とても厳しい。
だから……

　さよなら〜！日本男児！（号泣しています）
こんなに好きだけど、好かれない！
だから、私からさよなら！決別宣言！

　ここは世界の中心、ニューヨーク。自分から積極的に動けば必ず、何かが掴める街である。言いたい事を言って、顎で男を使い、ピンヒールでぐりぐりするごときの気合いで行くべきなのだ。

＊＊＊

エキゾチック日本男児！愛の品格・比較文化論は終わりです！
日本男児と決別宣言後、その悲しみを癒すために、またまたゲイバーに行ったらしい菊楽　恵。
ということで、次回は、多分、ゲイバーの話でしょうか？　
お楽しみに！

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