つづき
それにしても、私には前歴があった。
（話は、ニューヨークから東京に飛びまぁ〜す！）
その昔、大学の1年生の夏。
友だちのお兄さん（東大生）に六本木のゲイ・バーに連れて行かれ、そこで働くホステスのフィリピィーノのトランス・バスタイド（男から性転換して女性になった人）に一目惚れをしてしまった。
ストレートの女（私）が外見は女で、生物学的には（元）男を好きになったのだ。
赤い口紅がひかれたクチビルはつやつやしてセクシーで、華奢で可憐で、赤いドレスが似合っていたリリー。褐色の肌はスムーズだった。
水分を多く含んだ長い髪はしっとりして、始終撫でたいと思わずにはいられなかった。
元男の片鱗を感じさせるハスキーヴォイスに私の鼓膜はぶるぶる震え、うるうるしている目に見つめられると当然、胸が高鳴り、倒れそうになった。
その日以来、ボトルを入れて毎晩通った。
リリーが“男の客”と一緒にいるのが嫌で嫌で独占したかった。
ダンスタイムがあり、一緒に踊れるのだ。それが楽しみだった。
リリーの日本語は片言で、私も英語は全然しゃべれなかった。
努力のかいあり、常連になったある晩、リリーが
「東京ディズニーランドに一緒に行きたい」と言ってきた。
うわぁ〜、デートだ。
私はふたつ返事で行くことにした。
費用は全額私持ちだ。
待ちにまった当日、リリーは、夜のきらびやかなリリーではなく、清潔だがよれよれのTシャツに、普通のブルージーンズと安っぽいサンダルを履き、ノーメークでやって来た。
ホーンテッド・マンションの長い行列を待っている間、
他の客がささやいているのが聞こえた。
「あの人、ぜったぁ〜〜〜〜いオカマ〜」
リリーはその日本語の意味を知ってか、知らぬのか、
髪の毛を両手で持ち上げ、顔を45度傾けて、そのささやいた客の方に向けてセクシーポーズをした。抵抗の意味なのか、それとも単に能天気なのか、その真意は今でもわからない。
粗末な服にさらに追い打ちをかける彼女の醜態に、恥ずかしさを超えてぶち切れそうだったけど、リリーが大好きだったから私はひたすら我慢した。
後日。
楽しいダンスタイムのはずが、リリーはしょうがなく私と踊っているような気がした。リリーのわずかな変化に気づかないようにしていたが、サラリーマンのオヤジとは目を輝かせて踊っている。そして、私のテーブルに来て、リリーは、アクセントのある日本語で私に言ってきた。
「彼氏できたの」
と目配せして移動した視線の先にいたのは、さっきのリーマンだった。
「リリー………良かったね」。
「なんで私じゃダメなの？」とリリーに泣いてすがりつきたっかたが、ただ笑った。
そう、リリーは男の片鱗をわずかに残す元男とはいえ、身も心も女。
シリコン入りだけどおっぱいもある。
男しか愛せないのだ。それを分かっていたはずだったのに。
リリーが大好きだった。
それ以来、お店に行くのを止め、一緒にディスニーランドで撮った写真は燃やした。
オックスフォード卒スティーヴがゲイと判明した時、リリーのことを思い出した。
「リリー、今どこにいるの？ マニラかな？」
あ〜あ、男しか愛せない男（元男も含む）をすぐに好きになってしまう私。
こんな私に愛の未来はあるのか？
自分の思い出ストーリーに酔い、自分の悲劇的な性向に涙した私だが、太ももの内側の筋肉痛が現実に引き戻してくれた。
いててて。
開脚し過ぎた結果なのである。
えっ？ 開脚？
そう文字通り、脚を開きました。
それも“し過ぎ”って？
これも文字通り、いっぱぁ〜〜〜い、それも何度も！
その驚愕（？）のむふふふの理由は、次回〜
お話はニューヨークに戻ります。
それにしても、私には前歴があった。
（話は、ニューヨークから東京に飛びまぁ〜す！）
その昔、大学の1年生の夏。
友だちのお兄さん（東大生）に六本木のゲイ・バーに連れて行かれ、そこで働くホステスのフィリピィーノのトランス・バスタイド（男から性転換して女性になった人）に一目惚れをしてしまった。
ストレートの女（私）が外見は女で、生物学的には（元）男を好きになったのだ。
赤い口紅がひかれたクチビルはつやつやしてセクシーで、華奢で可憐で、赤いドレスが似合っていたリリー。褐色の肌はスムーズだった。
水分を多く含んだ長い髪はしっとりして、始終撫でたいと思わずにはいられなかった。
元男の片鱗を感じさせるハスキーヴォイスに私の鼓膜はぶるぶる震え、うるうるしている目に見つめられると当然、胸が高鳴り、倒れそうになった。
その日以来、ボトルを入れて毎晩通った。
リリーが“男の客”と一緒にいるのが嫌で嫌で独占したかった。
ダンスタイムがあり、一緒に踊れるのだ。それが楽しみだった。
リリーの日本語は片言で、私も英語は全然しゃべれなかった。
努力のかいあり、常連になったある晩、リリーが
「東京ディズニーランドに一緒に行きたい」と言ってきた。
うわぁ〜、デートだ。
私はふたつ返事で行くことにした。
費用は全額私持ちだ。
待ちにまった当日、リリーは、夜のきらびやかなリリーではなく、清潔だがよれよれのTシャツに、普通のブルージーンズと安っぽいサンダルを履き、ノーメークでやって来た。
ホーンテッド・マンションの長い行列を待っている間、
他の客がささやいているのが聞こえた。
「あの人、ぜったぁ〜〜〜〜いオカマ〜」
リリーはその日本語の意味を知ってか、知らぬのか、
髪の毛を両手で持ち上げ、顔を45度傾けて、そのささやいた客の方に向けてセクシーポーズをした。抵抗の意味なのか、それとも単に能天気なのか、その真意は今でもわからない。
粗末な服にさらに追い打ちをかける彼女の醜態に、恥ずかしさを超えてぶち切れそうだったけど、リリーが大好きだったから私はひたすら我慢した。
後日。
楽しいダンスタイムのはずが、リリーはしょうがなく私と踊っているような気がした。リリーのわずかな変化に気づかないようにしていたが、サラリーマンのオヤジとは目を輝かせて踊っている。そして、私のテーブルに来て、リリーは、アクセントのある日本語で私に言ってきた。
「彼氏できたの」
と目配せして移動した視線の先にいたのは、さっきのリーマンだった。
「リリー………良かったね」。
「なんで私じゃダメなの？」とリリーに泣いてすがりつきたっかたが、ただ笑った。
そう、リリーは男の片鱗をわずかに残す元男とはいえ、身も心も女。
シリコン入りだけどおっぱいもある。
男しか愛せないのだ。それを分かっていたはずだったのに。
リリーが大好きだった。
それ以来、お店に行くのを止め、一緒にディスニーランドで撮った写真は燃やした。
オックスフォード卒スティーヴがゲイと判明した時、リリーのことを思い出した。
「リリー、今どこにいるの？ マニラかな？」
あ〜あ、男しか愛せない男（元男も含む）をすぐに好きになってしまう私。
こんな私に愛の未来はあるのか？
自分の思い出ストーリーに酔い、自分の悲劇的な性向に涙した私だが、太ももの内側の筋肉痛が現実に引き戻してくれた。
いててて。
開脚し過ぎた結果なのである。
えっ？ 開脚？
そう文字通り、脚を開きました。
それも“し過ぎ”って？
これも文字通り、いっぱぁ〜〜〜い、それも何度も！
その驚愕（？）のむふふふの理由は、次回〜
お話はニューヨークに戻ります。
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コメント(10)
初めまして。
色々と飛んでいたら、ここのコミュニティーへたどり着きました。
よろしくお願いします。
N.Yでの生活を、日本で楽しく読まさせて頂いています。
友人が住んでいるので遊びに行ったりしていたのですが、夜の世界には行かなかったので面白いです。
昔を懐かしく思い出しながら、新しいトピックを楽しみにしています。
オカマさんって、一緒にいると楽しいですよね。
私は日本人のオカマさんと楽しく過ごしていた頃を思い出しました。
彼女達（元彼等達）は繊細さの中に、生物としての強さがとてつもなくあって･･･。
生まれ付き女性の私達が彼女達（元彼等達）に惹かれるのは、自分達にない妖艶な魅力と、生物としての力強さになのでしょうか？
でも彼女達（元彼等達）にとって、私達はライバルでありつつも、相手にされていない事もあるんですよね。
ただ女として生まれてきただけではダメなんだなぁ〜と勉強させて頂きました。
開脚の原因･･･楽しみにしています！
色々と飛んでいたら、ここのコミュニティーへたどり着きました。
よろしくお願いします。
N.Yでの生活を、日本で楽しく読まさせて頂いています。
友人が住んでいるので遊びに行ったりしていたのですが、夜の世界には行かなかったので面白いです。
昔を懐かしく思い出しながら、新しいトピックを楽しみにしています。
オカマさんって、一緒にいると楽しいですよね。
私は日本人のオカマさんと楽しく過ごしていた頃を思い出しました。
彼女達（元彼等達）は繊細さの中に、生物としての強さがとてつもなくあって･･･。
生まれ付き女性の私達が彼女達（元彼等達）に惹かれるのは、自分達にない妖艶な魅力と、生物としての力強さになのでしょうか？
でも彼女達（元彼等達）にとって、私達はライバルでありつつも、相手にされていない事もあるんですよね。
ただ女として生まれてきただけではダメなんだなぁ〜と勉強させて頂きました。
開脚の原因･･･楽しみにしています！
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