ボーイング　[Boeing]コミュのロケットダイン・プロパルジョン部門をプラット・アンド・ホイットニー社に売却

ロケットダイン・プロパルジョン部門をプラット・アンド・ホイットニー社に売却

2005年2月22日　セントルイス発　ボーイング社は本日、ロケットダイン・プロパルジョン・アンド・パワー部門（以下　ロケットダイン）を、米ユナイテッド・テクノロジーズ社傘下にあるプラット・アンド・ホイットニー社に、現金7億ドルで売却することに合意しました。
ロケットダインの中核ビジネスはロケットエンジンの開発と製造であり、現在スペースシャトルやデルタファミリーのロケット打ち上げ機用ブースター・エンジン、ならびにミサイル・ディフェンス・システムズ向けの推進系システムを提供しています。今回の売却は、同部門のカリフォルニア州、アラバマ州、ミシシッピ州そしてフロリダ州の敷地と資産、および同施設に従事する約3,000名の従業員が対象となります。

ボーイング統合防衛システム部門の社長兼CEOであるジム オルボーは、「今回の契約は、ボーイング、ロケットダインの従業員および顧客、そしてプラット・アンド・ホイットニー社にとって非常に有意義なものです。プラット・アンド・ホイットニー社は推進技術を活用したビジネスの世界的リーダーであり、マーキュリー、サタン?からスペースシャトルにまで提供したその技術力を最大限に生かすことのできる企業であると確信しています」と語りました。

オルボーはまた、ボーイングは今後も打ち上げシステムの製造を継続すること、今回の売却でボーイングのサービスをより効率化すること、そして今後もロケットダインとのビジネス関係を継続していくことも明らかにしました。

プラット・アンド・ホイットニー社の社長であるルイス シェネバート氏は、「ユナイテッド・テクノロジーズ傘下の各企業はあらゆるビジネス分野においてその最新のテクノロジーを提供しており、ロケットダインの豊富なテクノロジーは、我々のビジネスポートフォリオに大きなプラスとなります。今後も、これまでロケットダインが提供してきた高いレベルのサービスを継続し、ボーイング、NASA、米国防総省や他の顧客との関係をより強固なものにしていきます」と語りました。

ロケットダインは、以前、ノース・アメリカン・アビエーション、およびロックウェル・インターナショナルが所有しており、主要ロケット推進プロバイダーとして半世紀以上にわたり業界をリードしてきました。なお、ボーイング統合防衛システム部門のローンチ・アンド・オービット・システム部門に属していた2004年には、およそ7億ドルの売上を計上しました。

第二次世界大戦終戦以降、ロケットダインはロケットエンジンの開発、テスト、打ち上げにおいて、常に最前線におり、1950年代には米国最初の衛星を軌道に載せたほか、マーキュリー、ジェミニ、そして人類が初めて月に着陸したアポロプログラムにおいても、重要な役割を担いました。1980年代には、スペースシャトルのメインエンジンを製造したほか、アトラスやデルタの打ち上げ機にブースター・エンジンの提供もしています。また、最近では、米国が設計、製造した初の巨大液体燃料ロケット・エンジンであるRS-68の開発、打ち上げをしました。

今回の売却では、クレディ・スイス・ファースト・ボストンがボーイングのファイナンシャル・アドバイザーを務めました。

プラット・アンド・ホイットニー社は、航空機エンジン、宇宙推進系システム、産業用ガス・タービンの設計、製造およびサービスを提供する世界的な企業であり、コネチカット州ハートフォードを拠点とするユナイテッド・テクノロジーズの傘下にあります。ユナイテッド・テクノロジーズは傘下にチャブ社、オーティス社、キャリア社、UTCパワー社、ハミルトン・サンドストランド社およびシコルスキー・エアクラフト社などを有し、ビル建築や、軍民航空宇宙産業に対して最先端のテクノロジー・プロダクトやサービスを提供する多角経営企業です。

ボーイング社の事業部門の1つである統合防衛システム（IDS）部門は世界有数の宇宙防衛企業です。セントルイスに本拠を置く同事業部門は、305億ドルの売上規模を誇り、世界の軍官民の顧客に対しシステム・ソリューションを提供しています。また、情報査察・偵察衛星のトッププロバイダー、世界最大の軍用航空機、衛星メーカー、宇宙通信のトッププロバイダー、米国のミサイル防衛システムにおける主システムインテグレータ、NASA最大のサプライヤー、衛星打ち上げサービスの世界的リーダーとしても知られています。