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白洲次郎 。コミュの白州次郎著「プリンシプルのない日本」を読んで

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白州次郎著「プリンシプルのない日本」を読んで
〜Principle(プリンシプル):原理原則、信念〜

 ここ数ヶ月本屋で「白州次郎」「白州正子」の文字が目に停まります。書籍が目に付く処にあるので、目に停まることもありますが、非常に気になる「昭和の偉人(哲人)」と思います。
 太平洋戦争敗戦後の第一次吉田茂内閣下、戦後の日本の道筋を作る作業の中で、八面六臂の活躍をし、役が終わるとサッと身を引き、農業に勤しむ賢人と私は感じています。幕末の思想家の横井小楠先哲が敬慕した陽明学者(と言われている)熊沢蕃山に似た印象も持ちます。

 白州次郎氏は、1919〜1928年ケンブリッジで学び、留学中はヨーロッパを車で見聞して回った経験を持ち、帰国後は貿易の仕事に携わりました。戦前から、ヨーロッパに行く機会も多く、世界の政治経済情勢の見識も有り、イギリス駐在の外交官だった吉田茂氏とも交流を持っていたことで、戦後処理に関わり、占領下において「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた、見識と行動力、更に私心の無い意見は、吉田政権の中で大きな働きをした言われています。
 本の中に対談が載っていました。出演者は、白州次郎氏、と友人の川上徹太郎氏、今日出海氏です。

(中略)
川上:ところで次郎さんに訊きたいけどね、これから日本て言う国は良くなるのかい。

白州:良くなるだろうと思うよ。

川上:なるかい?

白州:良くしなきゃダメじゃないの。

川上:希望的楽観はよそう。

白州:希望的楽観じゃないさ。現実にこれを良くしていくこと以外に手がないじゃないの。良くなるのかなんの考える方が、よっぽど楽観じゃないか。余計なこっちゃないか、そんなこと。だから、どうしたら良くなるか、それを工夫してゆくよりしょうがないじゃないか。

川上:こんどは非常にうまいこと言うぞ。

白州:そうじゃないさ。さっき日本の現状が悪いんだから、そのことを認識すべきだと言ったんだ。悪い現状を認識して、どうやったら国民の幸福になるかを考えるべきなんだ。良くなるとかならんとか言うよりも、良くするほかに途(みち)はないことを認識すべきだと言うんだ。

川上:判ったよ。お前の好きなプリンシプルを持てと言うこと
だろう。 (中略)


まるで今の日本に向かって語っているようにも思えます。他の言葉も心に響きます。

「熱意だよ。日本でも明治維新の時の政治家とか実業家は、熱意があったからあれだけに仕事ができたんだ。」

「昔の塾は塾生が塾長からものを教わること以外に、塾長の私生活に日夜ふれてその影響を享けたことが甚大であったに違いない。」

 (今日出海氏評)
「小汚い野良着を着ている彼は政治的野心もなければ、金儲けも念頭にない。余り野心がなにから誤解を受けるのだ」

(あとがき:辻井喬評)
 白洲次郎ほど、誤解され続けたは、珍しいのではないかと私は思う。俗人は、自分の卑しさを照らし出すような人物を前にでると、恥ずかしさからか、相手を憎むものです。
 ケンブリッジで学んだ白州次郎は、本質的には極めて礼儀正しい紳士であった。彼は「身分に関係なくお互いに人間的な尊敬を払うこと」を大切と考え、そうすることこそ「本当の民主主義と言うもの」と考えていた。(中略)

 幕末の偉人に西郷隆盛が居ますが、良く使った言葉に「敬天愛人」があります。白洲氏の言動と重なって見えてくる部分があります。武士道であれ、騎士道であれ、時流を謙虚に受け止め、人々が幸福を得るように思い行動することは同じなのだと感じます。
 この本は、1951〜1969年に白州氏本人が書いたものを集めた著書です。現代の為政者、事業家に伝えたい言葉ばかりです。人間は、なかなか反省と成長が無いのだなとつくづく思います。

 最後に、占領下の中で役人はどっち向いているのかと激がとんだ一文を紹介して終わります。
(本文より)
 (中略)又聞きの話で真相の程は保障せぬが、帝国ホテルの隣の東宝劇場の返還問題である。
 外務省の話しによると、外務省の一役人が小林一三老(阪急の創始者)に、おそらく間接であろうが、「もしあの劇場の返還の御希望があるのなら、米軍と交渉しましょう。」と申し入れた処、小林老人曰く「希望のへちまのあるかのか、変換するのが当たり前じゃないか。」と。
 これを聞いて外務省の役人が憤慨して、そんな生意気ことを言うなら変換交渉をなんてしてやらんといって、この間までほったらかしにしておったとのことだ。・・・(中略)

 今でも聞きそうな役所の驕りと権力に寄りかかる姿勢、国民の幸福を手伝うのが役所だろうと言いたいですね。
 白洲氏の言葉「悪い現状を認識して、どうやったら国民の幸福になるかを考えるべきなんだ。」を、全ての人が思うことが大事と思います。
 日本のリーダーにも「敬天愛人」の心を持ち続けて欲しいと思います。今日は、長くなりました。お読み頂き感謝します。

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<今日の言葉>
思い描かないことは、決して実現しない
思い描いたことだけが、必ず実現する
(植田正也著「電通『鬼十則』第七章」より)

コメント(5)

本の紹介とても参考になります。
是非読んでみたいと思います!
なるほど。今日ほどプリンシプルが大事な時は、そうそう無いだろうと思います。
白洲さんは、それこそ多くの誤解や中傷、議会やGHQとの交渉の席での恫喝やコケ脅し、失礼な態度に見舞われたのではないかと推察しますが、それにみごとに耐え、仕事とプリンシプルを貫く姿は、文字通りの尊敬に値する方だとつくづく思います。

今日は様々な懸案がひしめきあっている世の趨勢ですが、私たちも白洲さんの様に尊厳を堂々掲げてプリンシプルを貫く生き方をしたいものですね。私はそうします。

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