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西部二人組普及促進委員会コミュの第40話「クーガー対決!危機一髪」High Lonesome Country

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http://www.asjscenes.com/seasons/three/high.htm
http://www.framecaplib.com/asjlib.htm#s3

客演:
 Buddy Ebsen as フィル・アーチャー(Phil Archer)
 Rod Cameron as ルーク・ビリングス(Luke Billings)
 Marie Windsor as ヘレン・アーチャー(Helen Archer)
 Walt Davis as クライド(Clyde)
 Monty Laird as ビル(Bill)
脚本: Dick Nelson
原作: John Thomas James
監督: Alexander Singer

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Teaser: ヘイズとカーリーはライフルを持って一列に並んだ木に沿って歩いている。カーリーが前を行き、ヘイズは数メートル後ろを行く。ヘイズは足を止め、水筒の水を飲むが、カーリーは歩きつづけている。その時、一匹のクーガーがカーリーめがけて飛び掛ってきた。カーリーがクーガーと戦っているとき、ヘイズはクーガーに的をしぼろうとしている。ついにヘイズが発砲した・・・
Opening Theme: 「1800年代も未近く、アメリカは西部で大変に悪名を馳せたハンニバル・へイズとキッド・カーリーと申します無法者がおりました。....」

ヘイズとカーリーは荒涼とした土地を馬で横切り、ある町へとやって来た。二人はサルーンで5人の客とポーカーをしている。そのうち3人はカーボーイである。一人がテーブルに自分の手を広げて見せた。
フィル:「すごいだろ?2と3だよ、一番小さい数字のフルハウスさ」
彼は牧場主のフィル・アーチャー。だれか彼の手を負かすヤツはいないかと待っている。
ヘイズ :「俺にはデカイ手に見えるけどね」
アーチャーはかなりの儲けを自分のものにした。カーボーイの一人、クライドは自分の前のコインをかき集めた。
クライド:「みんな、そろそろ行こうぜ」
彼は立ち上がったが、もう一人のカーボーイ、ビルは彼を止めた。
ビル:「もうちょっとやっていこうぜ、クライド。俺は自分の金を少しでも取り返したいんだ」
クライド:「遅れたら料理長が俺達の晩飯を捨てちまうぜ。ほら、来いよ!」
3人のカーボーイはその場を去ったので、フィルはカーリーとヘイズ、そしてもう一人残った町の男を見て言った。
フィル:「さて、お前さんたち、これで終わりだな。4人じゃポーカーにはならないからね」
ヘイズ :「ごもっとも」
町の男:「仰せのとおりだ」
そう言って、その男も去って行った。
フィル:「なぁ、あんたらこの辺じゃ見かけない顔だな。どこの牧場で働いてるんだ?」
カーリー:「いえ、今んとこ仕事はないんですよ。俺達、その・・・プー太郎ってやつなんです」
フィル:「そうかい。でもカーボーイなんだろ?」
ヘイズとカーリーはお互いを見合わせた。どうやらフィルは彼らに仕事をくれようとしているらしいが、二人は今のところ何もしたくはない。ヘイズは素早く答えた。
ヘイズ :「いや、実はカーボーイじゃないんです。生まれてこの方、牛を扱ったこともないくらいで・・・」
そんな冗談はフィルには通じなかった。彼はある考えのことしか頭に無かったのである。
フィル:「なぁ、もしイヤじゃなかったら・・・お前さんたち、どんな仕事してるのか教えてくれないか?俺は普段はこんなにしつこく聞かないんだが、ちょっととわけがあってな」
ヘイズとカーリーはまた顔を見合わせた。間違いない、この男は二人に何か仕事をくれようとしている。カーリーはそれを断るため、頭に浮かんだ最も的外れな仕事を口にした。
カーリー:「全然かまいませんよ。信じられないかもしれないけど、俺達、あの・・・猟師なんです」
フィルは呆気に取られて二人を見た。
フィル:「なんだって、それは信じられないな!」
ヘイズ: (ここは合わせたほうがいいと覚悟して) 「そうなんです・・・」
フィル:「こんなことがあるもんかね?俺が何しにこの町に来たかわかるかい?」
ヘイズとカーリーは一瞬顔を見合わせた。
ヘイズ: (顔から笑いが消えて) 「まさか・・・猟師を探しに来たんじゃ・・・」
フィル:「そうさ!二日前に俺の牧場に罠を仕掛けてくれるヤツを探しに来たんだ。誰一人見つかりゃしなかったがな。だから家に帰る前に一勝負しようと思ってここに座ったのさ。それが二人の猟師と勝負してたとはな!こりゃまぁ、一杯おごらないとな。」(バーテンダーを呼んで)「チャーリー、ウィスキーをたのむ!」
ヘイズとカーリーは黙りこくって、浮かない顔で座っている。一方フィルは嬉しそうに新しく見つけた雇用人に笑いかける。
フィル:「言っちゃなんだけどお前さんたち、ぜんぜん猟師には見えないよ」

二人はだだっ広い土地の古びた道を荷馬車に乗って揺られている。フィル・アーチャーは馬に乗り、二人の前を走っていた。ヘイズが手綱を持ち、カーリーは横に座って馬が走るように馬のお尻に必死で小石を投げている。荷馬車にはいろんな大きさを取り揃えた罠が乗っている。コヨーテ用から熊用まで揃っていた。フィルは自分が見つけた賞品、すなわちヘイズとカーリーがまだそこにいるかを確かめるために振り返った。彼は二人に自分の上機嫌を伝えるように手を振った。ヘイズとカーリーは仕方なく笑ったが、近くで見ると見れた顔ではなかっただろう。カーリーは手を振り返した。それからフィルが再び前を向いた時、カーリーは小石の一つを彼に投げるような格好をした。
ヘイズ :「アーチャーを責めるじゃねぇぞ、キッド。全部お前のせいなんだからな」
カーリー:「俺!?」
ヘイズ: (頷いて)「そうさ、お前のせいだよ。なぁ、いつも言ってるだろ?ガンのこととか、簡単な話とか、たいして重要じゃない話のとき以外は俺に任せろって」
カーリー:「お前さんが話をしようとしなかったからさ」
ヘイズ :「キッド、お前はダメなときゃダメなんだよ。さてと、このまま町を出てアーチャーが次に止まるのが保安官事務所だったとしたら・・・逃げるか、それともこのままこうしてるか、どうするよ?」
カーリー:「まぁまぁ、全然問題ないかもしれないよ。結局、いやなことはあっても金は使えるんだから。アーチャーの話によるとヤツの牧場に罠を仕掛けるだけでこの装備一式分の金を払っても十分残るくらい稼げるんだ。その後町に戻ったらこの罠だっていい金で売れるしよ」
ヘイズ :「いい金で?キッド、おめぇは商売には向かねぇな。買うときだけだよ、高い値段がつくのは。売るときゃあ、そりゃあ悲しいくらいのもんよ。(馬のお尻を鞭で叩いて)さぁ行け、行くんだよ!」

フィルとヘイズとカーリーはアーチャーの牧場の建物に着いた。
フィル: (使用人を呼んで)「ジェイク!荷馬車の面倒をたのむ」
一人の女性が家から出てきた。彼女はフィルに手を振っている。フィルの妻のヘレンだ。フィルも手を振り返す。ヘレンは近づいてくる荷馬車の方を見た。カーリーが帽子を取り額をぬぐっている。彼は周りを見回したが、自分がヘレンの注意を引いていることには気付かなかった。ヘレンはカーリーをどこかで見たことがあった。彼女は自分の記憶をたどっている。素早い、ほとんど潜在意識の中での彼女の記憶の中で、カーリーは証人席に座っていた。彼は口ひげをたくわえている。(これらのシーンは「追ってはどこまでも」からのものである)ヘレンはもう少しで思い出しそうである。もう一度カーリーをじっと見つめた。荷馬車の中のカーリーが彼女に近づいて来る。カーリーはまだ彼女のことに気付かない。再びカーリーが裁判の証人席に座っているシーン。ヘレンは思い出した。どこでカーリーを見たのか、そして彼が誰なのか・・・フィルは妻のところにやって来て、キスをした。ジェイクともう一人の使用人がフィルの馬と荷馬車の馬を預かるためにやって来た。ヘイズとカーリーは馬を下り、ジェイクと呼ばれる年上の男が馬と荷馬車を引いて納屋に入れた。フィルは腕をヘレンに回し、二人を紹介した。
フィル:「お前には信じられないかもしれないが、俺はほんとについてたよ。この場所に罠を仕掛けてくれるやつを見つけたんだ。ここにいるジョシュア・スミスとサディアス・ジョーンズだよ。これは妻のヘレンだ」
カーリー:「よろしく」
ヘイズ :「初めまして」
ヘレンは冷たく装った。彼女はカーリーを見て、自分が気付いていることを隠そうとしていたのである。しかしそれでも彼女の振る舞いには固いところがあった。
ヘレン:「お会いできてうれしいですわ」
フィル:「ええと、じゃあ、俺達はすぐに夕飯にするんだが。寝床はそこの角を曲がったところだ。顔を洗って俺達と一緒に食べないか?」
ヘイズ :「ありがとうございます。ご馳走になります」
ヘイズとカーリーは寝床に向かった。ヘレンはカーリーを目で追って顔をしかめ、それから夫について家の中に入った。フィルとヘレンは家に入り、ドアを閉めた。フィルは彼女の妙な振る舞いに気付いて怪訝そうに妻を見た。
フィル:「どうしたんだ?お前らしくないじゃないか。あんな風に挨拶するなんて」
ヘレン:「あなた、あの二人、どこで見つけたの?」
フィル:「ブルーベルのサルーンでポーカーを一緒にやったんだ。なぜ?」
ヘレン:「あの一人に見覚えがあるのよ。ちぢれっ毛のほうよ。彼はキッド・カーリーだわ」
フィル:「この状況下じゃな。俺はどうすればいいんだ?もしあいつがキッド・カーリーだとしたら、もう一人はハンニバル・ヘイズだ。そんなやつらをどう扱えばいいんだ?」
ヘレン:「そうね、氷室にでも鍵掛けて閉じ込めれば?」
フィル:「あいつらを閉じ込める、だと?キッド・カーリーとハンニバル・ヘイズほどのやつらがただ手を上げるもんか、はむかってくるさ。失うものなんてないんだぞ、どのみち吊るされるんだからな」
ヘレン:「そんなことはないわ。人殺しはしてないもの。務所に入るだけよ」
フィル:「そうか・・・残りの人生全部な。いや、キッド・カーリーとハンニバル・ヘイズほどのやつらを捕まえるんなら、まず考えなきゃいかん。慎重にな」
ヘレンはキッチンに向かおうとしたが、フィルが彼女を止めた。
フィル:「ヘレン・・・やつらには懸賞金がかかってなかったか?」
ヘレン:「かかってるはずよ」
フィル:「確かじゃないが・・・一人につき1万ドルだったような・・・」
ヘレン:「そのとおりよ」
フィル:「思ったとおりだ!」
ヘレン:「あなた・・・どうするつもり?」
フィル:「そうだな・・・まずはあいつらを山に上らせて、罠を仕掛けさせる。なぁヘレン、みんなには言うなよ。もし2万ドルがあいつらにかかってるんなら、それを牧場の8人でわけたくなんかないからな」

ヘイズとカーリーは山の上のほうにいた。ヘイズは罠を仕掛けるために大かなづちで地面に杭を打ち付けている。カーリーは罠と大きな布の袋を肩にかけてあちこちうろうろしている。彼は古い牛の皮を見つけ、それを蹴った。
カーリー:「なぁ、ここ見てみろよ。こりゃあ狼の餌食の一部ですよ、古いやつだ。アーチャーが言ってたじゃない、ここいらには狼がたくさんいるって」
ヘイズ :「ああ。コヨーテもたくさんいるって言ってたぜ。クーガーも大熊も。ピックとってくれよ」
カーリー:「アーチャーが言ってたクーガーとやらにお目にかかりたいね。あのおっさんクーガーにはボーナスとして50ドル払うって言ってたんだぜ」
ヘイズ :「キッド、やっこさんにはで会わない方がいいと思うぜ」
カーリーは罠を下ろして袋を開けた。

アーチャーの牧場には一人の男が現れていた。. 彼はかなり変わったみなりの男で、名前はビリングスと言う。2メートル以上もある大男で、体重も130キロ近くあるのでかなり大きな馬に乗っていた。熊の皮のような毛皮を着ていて、それには腕通しの穴がある。サドルの片側にはウィンチェスターを入れたさやがあり、もう片側にはもうひとつさやがあり、そこにはどでかいシャープのバッファローガンが入っていた。自分でも非常に大きい銃を持ち、腰の高い位置にはナイフをさしている。首の回りには皮のカバーを巻き、その上に汚らしく意地悪そうな顔が乗っている。フィルは彼に歩み寄り、ヘレンが家から出てきた。
フィル:「やあ。荷物を降ろして馬を休ませたらどうだい?」
ビリングス:「お前さん、アーチャーかい?」
フィル:「そうだが」
ビリングス:「俺はビリングスだ」
フィル:「ルーク・ビリングスか?」
ビリングス:「そうだ。X牧場ってバーにいるお前さんの友達が、猟師を探してるって俺に教えてくれたんだ」
フィル:「ああ、あんたなら俺の探してたのにぴったりなんだが・・・そのバーを出てから出会った二人の猟師を雇ってしまったんだ」
ビリングス:「どうやらとんだくたびれもうけだったみてぇだな」
彼は馬の向きを変え、引き返そうとした。フィルは考え直してビリングスを呼び止めた。
フィル:「なぁ、ちょっと待てよ。その、まあ入って何か一杯やっていってくれよ。そうすれば女房も俺も一杯飲めるしな」
ビリングスはあまり社交的辞令は受けないのだが、一杯くらいなら、と思った。
ビリングス:「俺はかまわんよ」
彼は馬を下り、フィルとヘレンのあとを付いて家に入った。
フィル:「まぁ座りなよ、ビリングスさん」
ビリングスはソファに座った。
ヘレン:「何をお持ちしましょうか、ビリングスさん?コーヒーがいいかしら?」
ビリングス:「ウィスキーはあるかい?」
ヘレン:「ええ、ありますけど・・・」
ビリングス:「オッケー。コーヒーを持ってきてくれ、でもまずコーヒーにウィスキーを入れてもらおうか」
ヘレンは頷いてビリングスを見た。彼女がこの男を好きでないのは明らかだった。どちらかというと少し怖がっている。ビリングスは自分が人にそう思われるのはわかっていて、そのことを楽しんでいる。ヘレンは静かにそこから出て行った。フィルは葉巻の入った箱をビリングスに差し出す。
フィル:「葉巻はどうだい?」
ビリングスは一つ手にとった。

山の上ではヘイズがまだ杭を打っていた。カーリーは次の罠をしかけている。
カーリー:「ヘイズさんよ、こんな話持ち出したかないんだけどよ。昨夜の晩飯のときのアーチャー夫人の俺を見る目つき、なんか思わなかったか?」
ヘイズ :「さあな、ちょっと変だなぁって思ったくらいかな」
カーリー:「そう?どんな風に?」
ヘイズ :「そうさなぁ。俺よりもお前を見る女ってのはたいていは変なんだよ」
カーリー:「じゃあ、この世の中はヘンな女だらけってことになるぜ。アーチャー夫人はそんな風に俺を見てたんじゃないんだ。なんていうか、怖がってたみたいなんだな。どういうことなのか考えてんだけどさ」
ヘイズ :「キッド、そりゃ考えすぎだよ。俺達ずっと逃げ回ってるからな」
カーリー:「そうかねぇ。そうかもな」

フィルはビリングスの葉巻に火をつけている。彼はビリングスの向かいの椅子に座った。
フィル:「一つ聞きたいんだが、あんたの腕は評判どうりかい?」
ビリングス:「なんの評判だい?」
フィル:「狩りだよ」
ビリングス:「まあな。多分評判以上だな」
フィル:「あんたに面白い話があるんだが」
ヘレンがビリングスのコーヒーを持って入ってきた。
フィル:「ありがとう。出て行くときはドアを閉めておいてくれ。家中に葉巻の匂いがするのはきらいだったろ?」
ヘレンはドアを閉めて出て行った。
フィル:「この話は一万ドルの値打ちがあるんだ。でも一週間くらいかかるかもしれないんだが」
ビリングス:「そりゃここの土地で一年働くよりも儲かるぜ」
フィル:「そうだろうが、危険な仕事になるかもしれないんだ。しかしあんたみたいな人にとっちゃそうでもないかもしれないんだがな」
ビリングス:「狩りの仕事なんだろ?」
フィル:「そうさ」
ビリングス:「その値段じゃ、狩るのは人間ってことになるな」
フィル:「その通り。でも話を進める前にひとつ約束してほしいんだ。俺が行ったとおりにその仕事を受けるか、そうでなけりゃ全部忘れてくれ。約束してくれるかい?」
ビリングス:「続けろよ」
フィル:「それが・・・俺が雇った二人なんだがな。あとでそいつらがキッド・カーリーとハンニバル・ヘイズだってわかったんだ。一人につき一万ドルの賞金さ」
ビリングス:「生死を問わずかい?」
フィル:「そうだ、生死を問わずだ」
ビリングス:「そいつらどこで罠をしかけてるんだ?」
フィル:「北のほうだ。ふもとのとこのな」
ビリングスはコーヒーを飲み終えると歩いて自分の馬のところへ向かった。フィルは後を追う。
フィル:「おれの話はどうなるんだ?」
ビリングス:「アーチャーさん、おれは人間を狩るのに雇われたりはしないよ。(馬に飛び乗りながら)この山の上のほうだな?じゃ、またな」
フィルは答えなかった。ビリングスは手綱を引き、走っていってしまった。フィルは気分が悪そうである。ビリングスが二万ドル全部を自分でせしめようとしていることがわかったからだ。フィルはうんざりして葉巻を脇へ捨て、家に向かった。ヘレンが中のリビングのドアのところに立っている。彼女は仏頂面で彼を見た。
ヘレン:「全部聞いたわ。一言漏らさずね」
フィル:「なぁ、やつら生死にかかわらず、だったな?」
ヘレン:「多分そうね。でもあの人たちは人殺しじゃないわよ、どちらもね。今聞いたこと、信じられない。信じたくないわ」
彼女は背を向けて部屋から出て行った。フィルは彼女の後を追う。
フィル:「お願いだ、ヘレン・・・お前もわかるだろ、あの金が使えればどんなにいいかってことを・・・どんなに必要かってことが!」
ヘレンは寝室に入り、フィルの目の前でドアを閉めた。

ヘイズとカーリーは夕食を終えた。カーリーはコーヒーを注ぎ、ヘイズはというと罠をひとつ持って歩き回っている。焚き火があたりを照らす。荷馬車の馬達は火から少し離れたところで繋がれている。あたりを漂う夜風の臭いに反応するように、二人は口笛を吹いたり地面を踏み鳴らしたりしている。馬が一頭ヒヒーンといなないた。
ヘイズ :「誰かさんが腹をすかしているようだぜ」
カーリーはヘイズのうしろの荷馬車に座っている。
カーリー:「らしいね。多分50ドルのクーガーだよ」
ヘイズ :「それか、でっけぇ熊か。なぁ、450キロの熊に立ち向かったこと、ある?」
カーリー:「いいや。450キロ級に一番近かった熊は、あの片足ハリソンだな。覚えてる?」
ヘイズ :「ああ、片足しかなかったからそう呼ばれてたんだよな」
カーリー:「そうそう、もう片方は本物の450キロの熊に食いちぎられたんだ。捕まえるの、やめる?」
ヘイズ :「やめたがいいと思うぜ。なぁキッド、自分たちを守る方が先決だと思うんだがな」
一頭のクーガーが近くで吠えている。馬達はすっかりおびえて、後足で立って杭からロープをはずそうとしている。ヘイズとカーリーはウィンチェスターをつかんだ。大きなクーガーが急に岩から現れ、カーリーはライフルを肩に乗せ一発放つ。クーガーは向きを変えて消えて行った。カーリーは岩をよじ登り、そこには血が数滴落ちていた。
カーリー:「ヘイズ、当たったよ。ここに血が落ちてる」
ヘイズは岩のところにいるカーリーの真下に来た。
ヘイズ :「下りて来いよ。こう暗くちゃあとも追えねえや」
カーリー:「ああ、そうだな」
手負いのクーガーが消えた方向を闇の中でチラッと見て、その後カーリーは岩の間を下りてきた。
カーリー:「明日後を追うのは簡単そうだな」
ヘイズ :「ああ、待ちきれませんね。よく言うじゃねぇか、でけぇ熊よりもたちの悪いのが一つだけある、それが手負いのクーガーだってな」

太陽が山から昇ってきた。ヘイズとカーリーはウィンチェスターを持って歩いている。二人は岩を超えて、手負いのクーガーのあとを追っていた。

ビリングスは木の間を馬で進んでいる。そして止まり、馬を降りてつないだ。

ヘイズとカーリーはまだクーガーを追っている。

ビリングスは地面に座り、鹿皮製の靴を脱いだ。そしてウィンチェスターを抱えて裸足で動き出した。

ヘイズとカーリーはポプラの木立を抜けて行った。ヘイズはクーガーの足跡を見るために立ち止まった。
ヘイズ :「キッド、やっこさん左の前足を引きずってるぜ。かすっただけだったんだ。お前のいつもの目隠しショットじゃなかったってことだな」
カーリー:「そう言うけど、へイズさんよ、俺が今までにウィンチェスターのエキスパートだなんて主張したことがあったか?ウィンチェスターで俺の方が上だって思えるのはだな、へイズさんだけなんだよ」
ヘイズ :「ううん・・・」

ビリングスが草むらの中を動いている。

ヘイズとカーリーはライフルを持って一列に並んだ木に沿って歩いている。カーリーが前を行き、ヘイズは数メートル後ろを行く。ヘイズは足を止め、水筒の水を飲むが、カーリーは歩きつづけている。その時、一匹のクーガーがカーリーめがけて飛び掛ってきた。カーリーがクーガーと戦っていて、ヘイズはクーガーに的をしぼろうとしている。ついにヘイズが発砲した。

遠くでの発砲音がビリングスに届いた。

カーリーは死んだクーガーの下から這い出てきた。

ビリングスは音がした方に歩き始めた。

ヘイズとカーリーは泥と根っこで覆われた険しい斜面を下りている。
カーリー:「なぁヘイズ、おれ考えたんだけどさ。今度クーガーに襲われるときは、お前さんがってことにしようぜ。いいだろ?だってよ、もし俺達のどちらかがクーガーを狙わなくちゃならなくて、あらそってるのが・・・」
カーリーは足を踏み外した。そのとき、ライフルの発砲音がして、カーリーの帽子が飛ばされた。二人は大きな岩の後ろに隠れた。
カーリー:「誰かが撃ってきたんだ!」
ヘイズ :「お前を狙って、外したんだ」
カーリー:「そうだよな。撃ったときに俺が滑ったからよかったようなものの! これでなんでアーチャー夫人があんな風に俺を見てたのかがわかったよ」
ヘイズ :「偶然じゃあねぇもんな」
カーリー:「偶然なもんか。誰かが俺達を殺そうとしてるんだ、でもアーチャーじゃねぇと思うな。さっきのはかなり遠くから撃ってきやがった。だれか雇ったんだ、だれかものすごく腕のいいヤツをさ」
ヘイズ :「キッド、きっと一人だぜ。でなけりゃもっと撃ってくるはずだからな」
カーリー:「どうするよ?二手に分かれるか?」
ヘイズ :「それしか生き延びる道はねぇだろうな。あっちの方向から荷馬車んとこまで行こう、別々にな。日暮れまでには着くようにしようぜ。でそれから、あの悪魔野郎をここからおん出すんだ」
カーリー:「ヘイズさんよ、この一ヶ月で一番さえてんじゃないの?」
二人は立ち上がって、慎重に木の中に動いて行き、別々の方向に向かった。一発の弾丸がヘイズの後ろの岩をかすめて行った。

ヘイズとカーリーは別々に進んだ。慎重に、隠れ蓑に利用できるものは全部利用した。二人とも緊張し、今にもどこからともなくまた撃ってくるのではないかと心配していた。攻撃してくる人間がどこにいるのかが全く分からないと言う事実におびえていたのである。ヘイズは隠れ蓑が何も無いところにやってきた。しかしそこを通らなければならない。躊躇したが、かがんでそこを駆け抜けようとした。もう少しで抜けられるというところで発砲音が聞こえ、ヘイズはもんどりうって倒れた。

カーリーにも発砲音は聞こえた。彼は立ち止まり、ライフルを下ろし、コートを脱いでリボルバーの安全装置を外した。

ビリングスはヘイズのほうに向かって歩いている。カーリーはポプラの木の間を抜けて彼の後をつけた。

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