ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ホルモン避妊法について考えるコミュのホルモンの話

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
最近、『Vertebrate endocrinology 脊椎動物内分泌学』と『Comparative vertebrate endocrinology 比較脊椎動物内分泌学』という二つの本を買いました。

内分泌を見直したい気持で買ったのですが、OCについて話す時は通常人の内分泌現象を念頭に置いているのですが、人を実験材料にして徹底的に吟味はできないので、人の事を話しているつもりでも、実はマウスやラットの話しだったりすることが少なくありません。

所で最近はフィードバックという仕組みが簡単な素人向けの解説書にも登場していて、感心しますが、上記の教科書を書いている先生方は、フィードバックの話が巷で誤解されているということを指摘していました。

つまり気軽にpositive feedback(ポジティヴフィードバック)という言葉が使われているけれど、positive feedbackは特殊な場合にしか発揮されず、通常は何でもnegative feedbackということです。
feedback現象が見られるという言葉の意味は、negative調節が存在するということであり、positive調節を意味しないということなのです。

視床下部から下垂体を経て卵巣に向かう刺戟は、当たり前の流れで、卵巣から分泌されるエストラジオールは視床下部や下垂体にメッセージを送るために存在する訳ではなく、その時々において身体の他の部分に働きかけ、脳や下垂体もその一部に過ぎない。ところが、月経周期の5日目を過ぎる頃になると、血中のエストラジオール及びインヒビン濃度が視床下部及び下垂体にとって重荷になり始め、視床下部ではFSHからLH分泌に切り替えるべく変化が起こり始め、下垂体ではインヒビンが特異的にFSHの分泌を抑制し始める。予定排卵日の3日くらい前になるとFSHの合成も分泌も基準レベルにまで低下し、その後、突然、視床下部からの爆発的刺戟を受けて、それまで下垂体に合成蓄積されていたLHとFSHが一気に放出される。この瞬間がサージと言われますが、このサージを起すきっかけになったエストラジオールの比較的短期間の増加が視床下部に対するpositive feedbackとして認識されます。
一方、排卵後はプロゲステロンによる視床下部に対するnegative feedbackが始まり、下垂体からのFSH及びLHは基準レベルにまで低下する。
このようにpositive feedbackは排卵の一瞬にしか存在しない、ということになるようです。他の時期においては、negative feedbackが機能していないか、機能しているかのいずれかしかない、ということです。

黄体期におけるエストラジオールの働きは中々微妙な感じがします。プロゲステロンにより随所で働きを妨害されているのですから、エストラジオールは分泌されていても、プロゲステロンとの濃度関係において、必要最低限の働きしか許されない状況に置かれているかもしれません。

最近、有機化学の教科書を読んでいたら、ステロイドホルモンの中でベンゼン環を分子内に持っているのはエストロゲンの仲間だけである、という事が書かれていました。そう言えば、アンドロゲンもプロゲステロンも、副腎皮質ホルモンもベンゼン環を含んでいない事を改めて認識しました。

何か意味があるのかな?

コメント(16)

テストステロンはアンドロゲンですが、名前の由来は精巣から抽出されたことによります。アンドロゲン、即ち男性ホルモンと分類されるものの、このホルモンがアンドロゲンである役割は性分化が行われる時期に原始生殖器を男性型に変えるからです。
他方、筋肉を増強させる働きは、男性でも女性でもテストステロンが機能するので、この点に関しては性特有の働きとは言えず、女性では子宮内膜における螺旋動脈等の形成に関与している事が指摘されており、生物学的に考えると、テストステロンを男性ホルモンと区分すべきではないのかもしれない。

ところで、男性における総テストステロンの濃度は4.0-8.0 ng/mlで、女性では0.2-0.6 ng/ml(200-600 pg/ml)で、男性と女性で比較すると、確かに男性に有意に多く、その意味で、男性優位の性ホルモンです。

一方、女性におけるエストラジオールの濃度ですが、一番少ない時期で35-150 pg/ml(0.035-0.15 ng/ml)で、多い時期で70-580 pg/ml(0.07-0.580 ng/ml)です。

男性がテストステロンを必要とする濃度に比べると、女性が必要とするエストラジオールの濃度はいかに少ないことか。
それどころか、女性におけるテストステロン濃度はエストラジオールと比べても遜色ないレベルにあるということです。

即ち、プロゲステロンの濃度が一番高く、エストラジオールとテストステロンは同程度ということになり、女性には3つの性ホルモンが必須であり、男性の場合にはプロゲステロンを除いた2つが必須ということになりそうです。このような状況ですが、女性におけるテストステロンの重要性に関する研究は、適切に進んでいるとは言えないように思うし、ともすれば性欲との関係で注目される事が多く、更なる研究が望まれる所です。
女性では、プロゲステロンを筆頭に、テストステロンとエストラジオールが性ホルモンとして重要である事は明らかです。興味深い事は、エストラジオールにはテストステロン受容体(AR)及びプロゲステロン受容体(PR)を作る事に関与しているということです。
エストラジオールに細胞が曝露された結果として、ARやPRが形成され、テストステロンとプロゲステロンが作用する事ができるようになります。その意味ではエストラジオールは他の二つのホルモンが作用する鍵になる訳ですが、一方、プロゲステロンやテストステロンはエストロゲン受容体(ER)の減少に働き、エストラジオールの作用が行過ぎないように働き、更にプロゲステロンにはARを減少させる作用のある事が指摘されています。

女性において3つの性ホルモンが相互に他を監視しているということが言えそうです。
第59回日本産婦人科学会にイタリアの産婦人科医が招待されていましたが、講演は興味深いテーマでした。
何故、エストラジオールは全身に対する作用を獲得したかという趣旨の分析でしたが、結局、何故なのか、分かりませんでした。

エストラジオールは全ての脊椎動物の卵巣で作られます。そしてそれが生殖のプロセスの中で極めて重要な役割を果たしている事は疑いない事実ですが、血管系に対する保護的作用及び骨量の維持においても重要な役割を担うようになったのは何故だろうか、という疑問は解決しませんでした。

それは同時に、
骨は何の為に存在するか、と改めて考させられた瞬間でした。海産魚は環境に豊富にカルシウムが存在し、その量は身体が必要とする量をはるかに超えています。その結果、海産魚では体内のCa濃度を一定に保つ為にカルシウムが体内に入り過ぎないように内分泌系を発達させる必要があります。
一方、淡水魚の場合は、環境のカルシウムは体内の必要量に比べると少なめで、むしろ積極的に取り込む必要があります。
他方、陸棲の脊椎動物では環境にはカルシウムは殆どなく、取り込むだけでなく、不足に備えて蓄積する必要があります。

どこにカルシウムを蓄積するか。
何故、骨格がカルシウムの蓄積場所として選ばれる事になったのかも進化上興味深い所ですが、内部骨格を発達させる事は敏捷性に結び付くと言われていますが、骨格を蓄積場所として選んだ事は結果的に無駄がなかったように思います。

カルシウムは細胞の活動に欠かせないイオンで、筋肉の収縮や凝固系の酵素活性などにも必需品です。生命の維持に必須です。陸棲動物の場合、身体の機能が衰えてくると、消化吸収も劣化し、肝心なミネラルの取込にも支障が出てきます。
そんな時、元気な時に蓄えたカルシウムが意味を持ってくると考えられています。貯金を取り崩しながら、吸収の不足分を補うシステムになっています。
然し、結果として、骨が脆くなってきます。
多くの陸棲動物は閉経するということがないので、骨が衰えるということがないし、多くの動物は人ほど長生きしないので、骨の劣化に悩む事はないですが、人は不幸にして閉経後に長生きします。

然し、貯金したカルシウムを消費すると言うシステムは消化吸収が衰える以上やむを得ないのかもしれません。然し、何故エストラジオールが関係する必要があったのか?
しばしカルシウムについて考えてみたいですが、細胞外液及び細胞内カルシウムの量は極めて厳重に管理されていると書かれています。
血中のカルシウムはイオンとして存在するか、アルブミンに結合して存在しており、どの程度が蛋白質に結合するかは血中のpHに依存しているようです。
急性アシドーシスが起こった場合、結合しているカルシウムが解放されイオンとしての存在分が増えてくる。一方、アルカローシスの場合には結合率が高くなり、イオンとしての存在分が減ってくる。
血中カルシウムイオン濃度は分単位で調節を受け、骨は血液のカルシウムイオンを一定に保つカルシウムの貯蔵場所としての役目を担っている。
陸棲動物のカルシウム源は食物で、小腸が吸収部位です。
腎臓は通常カルシウムが尿へ排泄されるのを防いでいるが、過剰な場合には積極的な排泄に関係する。
小腸の興味深い点は排泄にも関係している事です。

カルシウムの恒常性に関して、哺乳類では基本的にパラサイロイドホルモン、カルシトニン及びビタミンDが重要な役割を果たしている。この基本のホルモンにはエストロゲンが含まれていない。これはある意味当然です。
エストロゲンは日々のカルシウム濃度の安定性に関係していないからです。閉経により減少するのは骨量であり、血中Ca濃度ではない。この急激な減少時に、カルシウムは血中に供給されるだけでなく、多くは過剰になるので積極的に排泄されてしまう。

前にやむを得ない事と書いたけれど、閉経後の状況は効率の悪さを感じる。進化のプログラムはどのように設計されたのか?
徒然なるままに。

今日は、内分泌撹乱物質に関して面白い論文を見つけました。昔、OCの成分であるエチニルエストラジオールが撹乱物質として注目された事がありました。その頃のエストロゲン効果の調査は雄の魚の血中にメス特有の蛋白質、ビテロゲニンが発現する事が注目され、メス化が叫ばれました。

最近、エストロゲン効果を測定する場合、酵母菌に分子遺伝学的操作を加え、細胞内にエストロゲン受容体を発現させ、エストロゲン効果を有していると疑われる物質がエストロゲン受容体に結合し、本当に転写活性を促すかどうかが判定法として用いられています。
この方法によると、従来の経験を覆す結果になっています。
恐らく、OCに含まれるエチニルエストラジオールは天然のエストラジオールに比べてエストロゲン活性が強力であると言われてきたと思いますが、酵母菌を用いた方法ではエストラジオールとエチニルエストラジオールのエストロゲン活性の強さは全く同じでした。

更に面白い結果は、首都圏多摩川のエストロゲン活性物質を検索したら、生態系に最も影響を及ぼしていたのは、化学物質などではなく、トイレから放たれる女性の尿に混入しているエストラジオールとエストロンであることが明らかになりました。恐らく50年或いは100年前の首都圏では、川に流入する排泄物の量も少なかったでしょうが、多摩川に影響する女性の数ははるかに多く、女性が集中する地域では当然こうした結果が出てもおかしくないように思います。

本来、生態系の中では、生物同士の関係により、特定の生物の繁殖が抑制される事は珍しい事ではありません。細菌と真菌の関係もそのようなものです。

因みに生簀で飼育されている魚の場合、メスが多いとオスはメスの排泄するエストロゲンの影響を受けて、血中にビテロゲニンが増える事も知られており、OCの成分などは格別の問題にもなりようがないですね。
またまたカルシウムの話。

魚では骨芽細胞などの働きに性ホルモンが関与しているかどうかに関しては、さほど多くの文献を見つける事ができなかったが、金魚の内分泌撹乱物質の実験の中で、エストラジオール或いはインスリン様成長因子が骨芽細胞の成長や分化に関係している事を示す記述を見つけた。

更に金魚ではメラトニンが骨芽細胞或いは破骨細胞におけるエストラジオールやインスリン様成長因子の働きに関与しているという記述も見つけた。

魚では陸上動物ほど骨へのカルシウムの蓄積ということを真剣に考える必要はないけれど、鱗での骨芽細胞や破骨細胞にエストラジオールが一定の働きを示している事は分かった。
生殖の局面でカルシウムは大量に必要とされるので、やはり生殖系はカルシウム代謝に関わってくるのかもしれない。
骨のカルシウムの話から転じて、骨の成長に関する話である。身長の急激な伸びは、通常、初経を経験する1-2年前に起こる。別の所でも触れた記憶があるが、以前はしばしば思春期の女の子にホルモン剤を処方する事について骨端閉鎖との関係で問題にされた。
初経前に骨端線閉鎖が始まっている事から、初経後のOC処方と骨の伸張に関する議論は払拭されていると思う。

骨の成長に関して最近ピグミー族に関する研究を知った。彼らは思春期の急激な成長が起きない。この骨の伸張に関しては成長ホルモンとインスリン様成長因子(IGF)が重要な役割を果たしている。この働きにエストラジオールが積極的に関係し、急激な成長には低濃度のエストラジオールが重要な役割を果たしているらしい。この時期のエストラジオールの血中濃度は凡そ20 pg/mlである。その後、初経までの間に女子は成長し、初経が成長を止める。これは血中のエストラジオールが高濃度になるためである、と言われている。
生理不順の話。OCが処方される理由として、生理不順という言葉を頻繁に見かける。男には分かりにくい用語だけれど、生理不順自体は一つの現象に過ぎない。
OCを規則的に服用すると、人為的に一定の間隔で出血を起させる事ができるので、外見上状態が改善されたように見えるけれど、原因が解消された訳ではない。

生理不順と言う言葉はしっくりこないので、対応する術語を英語に求めると、menstrual disorderとかmenstrual problemとかmenstrual irregularityという言葉に出会う。
irregularityという言葉が最も相応しいような気がする。

生理不順でOCを処方されているという場合、個人的には、実際に体験している症状はどのようなものか知りたく思うことがある。本来の原因に対しては、どのようなカウンセリングを受けているのか。
時々、生理不順の実態が若いのに無月経と言われたと教えてくれる人がいるが、意外に本人の口調は深刻さがない。
OCを飲めば治るかもしれないと言われたという。
治るかもしれないと言われたということは、原発性無月経でない可能性は高い。

続発性無月経ならば、
処方した医師は、過去にそうした経験をしているのかもしれないが、気軽にOCを処方してもらいたくない。最初はHRTが望ましい。過去の研究からHRTでは突然の排卵周期復活を妨げないので、機能の自発的回復を明確に認める事ができる。OCでは排卵周期の回復を確認できない。
長期の無月経における骨量の維持には更年期で用いるHRTで十分である。海外の教科書では、こうした場合に、OCを用いるのは必ずしもスタンダードではなさそうである。
ホルモンの話とは直接関係ないのだけれど、最近、『プラシーボの治癒力』という本を読み、気付いた事を書いてみたいと思います。
日本での有名な実験が紹介されていましたが、過去に漆でアレルギー反応を起した人も含めて、目隠しをして、一方の手に漆を触れさせ、他方の腕に栗の葉を触れさせ、その後被験者に漆を触れさせた手については栗の葉を触れさせたと説明し、栗側を漆と説明した所、何人かは栗側でアレルギー反応が強く起こり、漆側にはアレルギー反応が起こらなかった。勿論、全体としては漆側にアレルギー反応が出た訳だけれど、過去に漆でアレルギー経験があっても説明に身体自身が騙されてしまう、という事には感動しました。

外科的手術にもプラシーボ効果が強く出る事が書かれていました。今では狭心症の手術方法として胸部動脈を結紮するという事は行われないとのことですが、かつては有効な治療として行われていた。そこで、二つのグループを準備して、一方には本当に手術を行い、他方には外科的処置を行ったけれど、実際の手術は行わなかった。どちらの患者も本当に手術を受けたと思っている。その結果、実際の手術を行わなかった方でも手術例と同程度に狭心症の症状が改善し、その効果は何年も持続し、通常に再発するまで効果が維持されたようです。
勿論、その結果プラシーボと差のなかった外科的手術はその後放棄されましたが、プラシーボの影響は外科手術の方が薬物治療よりも強く出るとの事です。

プラシーボの研究は興味深い事を示唆しています。
薬剤に色をつけるだけでも、人によっては効果が更に良くなる事もあるし、その色に対する不安な気持が効果を打ち消してしまうこともあるとか。

三相性のOCは時々色変わりの所で気分に影響する事を言う人がいますが、これなどは本当に錠剤に含まれるホルモンの量の違いを反映しているのか、ネガティブなプラシーボ反応が起きているのか、研究する余地があります。

また、人の身体は一度起した反応を維持する傾向があるようで、OCの18錠目に出血を起した人の場合、繰り返す傾向がありますが、仕切り直ししましょうという言葉で、飲み直しの周期では再び規則的な周期に戻る事が少なくありません。
このケースも血中ホルモン濃度の問題かどうか、実は明らかになっていません。こうした場合の子宮内膜の組織学的研究はないですから、この点に関しても研究の余地がありそうです。

1949年頃のイギリスではプラシーボの処方箋が多数書かれており、患者はお金を払っていたけれど、実はプラシーボ効果に金を払っていた事があったようです。然し、その事で医学的に有害な事が起こった訳ではないのですが、この事件のポイントはかつて医療はプラシーボ反応に頼る面が強かったということです。実際、医療も薬学も戦後に長足の進歩を遂げたのであり、戦前までは医療は画期的な手段を持っていた訳ではなく、患者との信頼関係或いは医師の権威に基礎を置いたプラシーボ反応を活用したのは当然かもしれません。

然し、今日プラシーボ反応は遠ざけられている感じがありますが、更年期障害の治療ではプラシーボ反応が如実に現れています。
シエーリングは7月からバイエル薬品に吸収される事になり、社名としては日本から姿を消す事になってしまう。今後はバイエル薬品のトリキュラーということになるのだろう。
ところで、資生堂はシエーリングと組んで、ル・エストロジェルという経皮吸収型エストラジオール製剤を出す事になった。エストラダームのように貼り薬ではなく、ジェルを皮膚に塗るタイプだ。比較的速乾性である。
フランス人のように更年期でも肌を露出し、女気の衰えない人々には貼り薬は興ざめかもしれない。フランスでは貼り薬よりはジェルタイプのホルモン補充療法が気に入られているらしい。

更年期ということでしばしば気になるのは肌の問題。加齢と共に肌も衰えてくる。
そこで肌に関する生物学的性質を色々調べてみると、これは中々面白い。
注目すべきは細胞外マトリックス(ECM)だ。
ECMは組織により様々な組み合わせになるが、皮膚ではコラーゲン、エラスチン、そして多数の糖質を結合した糖蛋白プロテオグリカン。役割としてはコラーゲンは皮膚の強さを支え、エラスチンは柔軟性を与える。若い頃の肌が皺から縁遠いのはエラスチンが皮膚に弾力性を与えているからである。一方、プロテオグリカンは特殊な性質を有しており、水分を吸収して一定の剛性を有するゼラチン様状態になる。これも組織に強靭な復元力を与える役割を持つ。肌が瑞々しいとするならば、正にこのプロテオグリカンのおかげである。

HRTにおけるエストロゲンの役割として指摘される肌への影響の中で、コラーゲンとエラスチンの回復があるが、プロテオグリカンに対する作用は調べる限りでは明らかではない。一つの研究報告によれば、肌の水分はエストロゲンの働きで失われる可能性が指摘されていた。

肌への作用では、コラーゲンとの関係ばかりが指摘されるが、コラーゲンに対する働きだけでは、肌の柔軟性と瑞々しさは回復しない。コラーゲンが増えるだけでは駄目で、ビタミンCの作用が欠かせない。新しく作られるコラーゲンはビタミンCの存在下で、線維構造を形成する事ができる。故にビタミンCが不足しがちな生活を送るとすれば、折角のコラーゲン合成も役に立たない事になる。
因みにビタミンCにもコラーゲンにも美白化の機能はなさそうである。また、コラーゲン豊富な食べ物を摂取しても、全てアミノ酸に解体されてから吸収されるので、コラーゲンの増加に結び付く訳ではない。
経皮吸収型のコラーゲン製品がどの程度効果があるのか、いささか情報不足で何とも言えないが、資生堂が宣伝するほどのものであろうか。
7月20日と21日、日本抗加齢医学会の学術集会に行きました。いわゆる更年期医学とはややアプローチが異なりますが、話は面白かった。
トピックス?
なによりも老人性痴呆とアルツハイマー性痴呆対策に一つの光明が得られつつあるということです。脳神経細胞が再生される話を御存知の方は多いと思いますが、ネズミでの実験では飼育しているゲージを工夫する事で再生を促す事ができたということ。それから、アルツハイマーにおけるβアミロイド蓄積が若い時期に起こらないのは、骨髄から脳に循環する恐らくは免疫担当細胞がアミロイドを処理している為である。アミロイド地区世紀は脳内免疫システムが衰えた結果である。そこで、脳内免疫システムを活性化する事が病態の改善につながるかもしれない。体内にβアミロイドの抗体を作らせる研究により、動物ではアミロイドの蓄積が消失する事が示され、近々人での臨床試験に入るらしい。

トピックス?
メラトニンが骨のリモデリング調節に関係している。骨折後の骨の再生を短縮させる可能性が示された。メラトニンは夜に分泌が亢進し、昼間は分泌が低下する。このリズムに従い夜には破骨細胞の働きを抑制し、骨吸収を抑えているが、昼間は骨吸収を抑えない。高齢化すると夜間のメラトニン分泌が衰えるので、夜でも骨吸収を抑えない事になり、加齢と共に骨量が減少するシステムが予測される。これに女性の場合エストロゲンがどのように関係するか不明であるが、エストロゲンの骨保護に関するメカニズムはまだ十分に明らかではない。他のホルモンとの共同作業の結果であるかもしれない。
性ホルモンというと、誰しも男性ホルモンと女性ホルモンとがある事は知っていると思う。主な男性ホルモンはテストステロンで、末梢組織にはジハイドロテストステロン(DHT)という強力なアンドロゲンが存在する。DHTはテストステロンから5αレダクターゼという酵素によって作られる。男性にはプロゲステロンは通常存在しない。
一方、女性にはエストラジオール、プロゲステロンが存在する。エストロゲンにはエストラジオールの他にエストロンやエストリオール等もあるが、エストロゲン作用はエストラジオールに比べれば弱い。

男性でも女性でも性ステロイドの生合成プロセスの中でプロゲステロンは重要な通過点で、男性ではプロゲステロンを通過してテストステロンが合成されて終了するように思われているが、脳、前立腺、その他の部位にはアロマターゼが存在し、テストステロンは局所でエストラジオールに変換され、生物学的作用を発揮する事が分かっている。つまり、テストステロンによるアンドロゲン作用と思われていた物のあるプロセスは実はエストロゲン作用であったということである。更に前立腺の中には発生学的に女性の生殖器に変化するミュラー管の名残があり、そこにはエストロゲン受容体が多く存在し、エストロゲンの影響で前立腺癌で重要な役割を果たすという報告がある。また、男性では血中濃度は低いけれど、局所では血中より高濃度に存在し、局所でアンドロゲン受容体蛋白質の合成を促し、また核内でエストラジオールがアンドロゲン受容体に直接結合し、アンドロゲン作用を発揮する経路も見つかってきている。

つまり、男性ではエストラジオールもアンドロゲンの役割を担っていると言う事になり、生物学の教科書にによっては女性ホルモン・男性ホルモンという区分は生物学的に正しい理解を妨げると言う事が書かれている。

女性の体内でもアンドロゲンは様々に機能しているし、エストラジオールがアンドロゲン受容体を作っていることもわかっている。その他プロゲステロン受容体も作っているが、他方プロゲステロンはエストロゲン受容体とアンドロゲン受容体の出来すぎを抑制し、エストロゲン作用やアンドロゲン作用の働きを抑制的に調節している事が分かっている。だから、黄体期において、プロゲステロンがエストロゲンによる子宮内膜の増殖を適度なレベルに留める役割を果たすのだが、昔に性ホルモンの教育を受けた人の中にはエストロゲンによる増殖は僅かで、排卵後にエストロゲンとプロゲステロンが協調して子宮内膜を一気に増殖させると思っている人が医師の中に結構いることを知りました。

これは教科書を勘違いして記憶していると思われるところですが、私が数冊の生殖内分泌の教科書を整理した所では、月経開始最初の5日間で子宮内膜は一通り新しい組織に置き換わり、故に出血が停止する。停止するのは新しい内膜により修復が完了した事を意味します。それから排卵までの凡そ9-10日間で7-8mm程度内膜は成長し、排卵後2-3日の間に若干の成長があり、2-3日後から急速にプロゲステロンの合成分泌が起こり、子宮内膜の変化プロセスを促し、排卵後5日前後で着床の準備が整うと書かれています。決してプロゲステロンは増殖の担い手ではありません。勿論排卵後の子宮内膜の維持には必要です。
女性の卵巣や子宮内膜その他の生殖付属器官にはアンドロゲン受容体が存在するので、女性ではアンドロゲンが女性ホルモンとして機能している部分があるようですが、この点に関しては私の知識が不足しているので、これ以上の分析はできません。
それから、プロゲステロン受容体は脳にも多数存在しています。
閉経後の女性の心身の変化にプロゲステロン不足が関係している可能性は十分にあります。だからこそ、欧米では天然プロゲステロンを素材にしたクリームが開発され、更年期女性が盛んに身体に塗っているのでしょう。効果には個人差はありますが、更年期症状の改善にも寄与しているようです。
更年期女性の治療と言えばエストロゲンだけがクローズアップされていますが、生物学的変化を考えれば、プロゲステロンもバランス良く補充されるべきと思われますが、脳におけるプロゲステロンの役割に関する研究はエストロゲンに比べて極めて少なく、今後の研究の進展が待たれる所です。
最近、海外のニュースの中で、OCの変わった副作用にスポットが当たりました。OCを服用していると女性は男性の放つフェロモンを適切にキャッチできなくなり、本来自分に適合しない男をつかんでしまうとか。
結婚後OCを飲まない時期が続くと、本来の感覚がよみがえり、関係が壊れてしまうこともあるとか。
一応、まともな研究機関が公表したことのようで、いい加減な話ではないでしょうが、本当かなと半信半疑です。
然し、動物は自分の伴侶を化学物質を適切に検知する事により、最適なパートナーを見つけているという話もあるので、あながちウソではないかもしれない。
避妊か最適なパートナー選びか。
難しい選択ではありませんか?
最近,面白い話を知りました.
女性は妊娠すると血糖値が上がります.然し,上がりすぎる訳ではなく,適度に上がります.一部の女性は病的に上がり,出産後も回復しないまま糖尿病に突入する場合もあります.
胎盤から血糖を上げさせようとするシグナルが出るようですが,一方母体ではインスリンが頑張って,母体が高血糖に晒されないようにしています.このインスリンの働きを助けているのが,どうもエストロゲンらしいです.エストラジオールも妊娠中に増加しますが,エストラジオールは膵臓のインスリン細胞を刺激して,インスリンを多く出させて,血糖値を下げる方向でコントロールしようとするようです.ごく最近この関係が注目されました.
膵臓には驚かされるというか,これまで殆ど生殖関係でしか注目されていなかったGnRH(脳の視床下部から分泌されているホルモン)の受容体が,膵臓のインスリンを作るB細胞に存在する事が分かり,更に卵巣で卵胞を形成する事に関係する卵胞ホルモン(FSH)を作る能力がB細胞に存在し,GnRHの刺激でFSHを分泌し,周辺の細胞に働きかけている事まで分かってきました.
ついに視床下部と膵臓を結びつけるパイプラインが見つかったので,研究者は新しい領域に対応しなければならないと同時に給料の心配をする必要がない.日々何かが発見されるので,研究する事が彼らの仕事だから,素晴らしい世界です.
最近,気になって読んでいる本で,
英語タイトル
What your doctor may not tell youabout menopause
日本語タイトル
医者も知らないホルモン・バランス
著者のホームページ
http://www.johnleemd.com/

日本語タイトルがいささか際物のような気がしたのですが,内分泌学会の書店のブースで売られていたので買ってみました.予想外に原著論文からの研究結果を引用しながら記述されており,製薬会社勤務としては全てに納得できないものの,非常に丁寧に説明されていて興味を惹かれました.

特に閉経前の更年期症状について,アメリカの産婦人科医師の大半はエストロゲンを処方して全く怪しまないが,比較的高用量のエストロゲンでも効果を示さない女性が少なくない.むしろ逆に種々の症状が出てきて却って辛い思いを抱えているケースが多い.そのような女性について,エストラジオールとプロゲステロンの濃度を測定するとエストラジオールは年齢に相応しくないほど多く,逆に月経周期全体を通じてプロゲステロン濃度が低い.そこでプロゲステロンを通常の黄体期と思われる時期に黄体期に観察される程度に補充すると,劇的に症状が改善される事を報告しています.プロゲスチン(合成プロゲステロン)ではなく,プロゲステロンです.
加えて減少し始めていた骨密度も確実に増加してくる.

確かにPubMedで調べてみると,閉経後でも,子宮がなくても天然のプロゲステロンをエストラジオールに併用すると,従来のHRTよりも適切に状態を改善できる場合のあることが指摘されています.

最近読んだ論文でもHRTやOCの不正出血にプロゲスチンを投与しても改善が見られなくても,局所に高濃度のプロゲステロンを処置すると不正出血が改善される可能性が示されており,一見するとプロゲスチンはプロゲステロンのように働くけれど,多くの場合,プロゲステロンよりも好ましくない作用を示す事も指摘されている.

他方,アメリカでは,野生のヤムイモからの天然抽出物を宣伝文句にし,しかもあたかもプロゲステロン作用があるかのように記載しているものが多々あるそうですが,多くにはプロゲステロン自体は含まれておらず,個々の製造メーカーに問い合わせないと成分含量が分からないとか.インチキな製品を買わされて効かないケースが多く,トラブルにもなっているが,確実に含まれているものであれば,子宮内膜増殖を抑え,エストラジオールの投与量を減らしてもホットフラッシュの改善に影響せず,エストロゲンの乳癌リスクを下げ,勿論骨密度を改善するだけでなく,積極的な骨形成も促すとの事.
全てを検証していませんが,幾つかは実験的に確認できるので,海外から適切なプロゲステロンクリームを輸入できるならば,同じく天然のエストラジオールと組み合わせてより適切にHRTができる可能性がある.

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

ホルモン避妊法について考える 更新情報

ホルモン避妊法について考えるのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。