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2024年04月21日15:45

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こんな宗教にマジになっちゃってどうするの「教祖誕生」

1993年の映画ですから、「ソナチネ」と同じくらいの映画ですか。
存在は知っていましたが、どういうわけか今頃wowowで放送されたので観てみました。
面白い!
笑える!
思った以上に「たけし」の映画でした。

なにしろ、原作がたけしで、役者としても主役の一人を演じ、監督も自身の助監督の人なのですから、まあ当然です。
笑えるシーンの作りはたけし映画まんまなので、もう次にどうなるか大体分かるけど、笑っちゃう。
岸部一徳の「お渡ししたいものがございます」のシーンは最高です。
笑いは暴力とワンチーム!

意外なのは、ミュージシャンの玉置浩二が出ている事です。
しかもかなり重要な役、というか一番ヤバいヤツです。
どんな団体やサークルでも、中に難しい顔をした玉置浩二が居たら、止めておきましょう。
まず確実にトラブルが起きるからです。
彼のバンドに「安全地帯」と名付けたのは、本当に悪い冗談です。

この映画でも、インチキ宗教の中で真面目に信仰を深めようとするという迷惑な男を演じ、結局崩壊の発端になってしまうのです。
本当に、マジなヤツが大抵悪い。
特に、宗教にマジになっちゃうのが一番ダメ。
それが玉置浩二じゃもう、手に負えないでしょう。
男にもマジ(のケンカ)、女にもマジ(の性交渉)。
近寄らないのが無難です。

今の日本では、カルト宗教が政府と結託して国を徹底的に崩壊させる計画がもう最終章という段階ですから、本当におぞましい存在という認識ですが、この映画の頃はまだのんびりしたものです。
映画内の新興宗教は、カルト宗教というよりはインチキ教団といった感じで、涙ぐましい努力で詐欺を行っています。

大きな権力や資産家がバックにいるわけでもなく、知恵と勇気で人を騙して地方をめぐる劇団の様なもの。
そんな姿に、無気力な若者である萩原聖人が飛び込んで一緒に汗を流すという、青春ロードムービーみたいな印象なのです。
幹部で実権を握る一人のたけしなんかも、1ミリも神を信用していないながらも、そこまでの悪人でもなく人情もあるという、たけしらしい役どころ。
ブラックなネタではありながら、案外と嫌な話では無いのです。

この映画で一番怖いものとして描くのは、何の力も無い置物としての教祖が、いつの間にかその役に影響されてしまうというところです。
本当に力があるのではないか。
偉大な存在なのではないか。
人を騙すうちに、自分自身も騙されてしまう。
この怖さです。

スタンフォード大学で行われた心理実験を元に作られた映画「es エス」をご存知でしょうか。
普通の人を看守役と囚人役に分けて演じさせるうちに、看守役の人々が囚人役を虐待するようになっていくという、怖い映画です。
肩書で人間性まで変容していくというのは確かにある事で、偉くなったり人気者になった途端に嫌なヤツになってしまった人の例は、いくらでもあります。
たけしは、芸能界でそういう姿をたくさん見てきたのでしょう。

逆に、一度失敗したけれども挫けず、またやり直す姿を併せて描いている点も面白いです。
まさに芸能界は戦国の世。
悲惨だけど笑っちゃう人生が溢れています。
そう言えば、最新作「首」だって同じ様に人間の滑稽さを描いていました。

宗教というものは、利用する立場であれば有用ですが、利用されてはいけません。
つらい事、苦しい事は祈っていれば回避できる。
できなかったら、神のやった事なので仕方ない。
死んだら楽しい世界に行ける。
悪いヤツは地獄で苦しむ。
そんな風に思っているのが一番です。

「あなたは罪深い」とか抜かず連中はすべて、あなたのお財布に用事のある犯罪者ですので!

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