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2024年03月10日15:29

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あらすじだけで勘弁!居心地の悪い映画対決「空白」「対峙」

よくぞこんな嫌な設定で映画を作ったな!と思う映画があります。
絶対に最悪な、逃げ出したくなる気分になるのは、設定を聞いただけで間違いないのです。
それを分かった上で、それでも観ようとする人って、一体何ですか。
そういう「苦痛エンターテイメント作」を立て続けに2本観てしまったので、共有したいと思います。

古田新太のハイテンション七変化!「空白」

公開当時に結構話題になり、良い評判をたくさん聞いたので気になってはいました。
スーパーの店長が、逃げる万引き娘を追いかけたら、車に撥ねられて死んじゃった!
娘のお父さんはなんと、古田新太だったのでサァ大変というお話です。
この時点でもうバッドエンドじゃないですか!

問題は監督です。
「ヒメアノ〜ル」は非常に面白かったですが、その後観た「愛しのアイリーン」と「神は見返りを求める」が物凄く嫌いな映画なのです。
この監督の映画は自分には合わないな、とハッキリ思いました。
嫌な映画はたくさん観ていますが、この2つに関しては話がどうというわけでなく、これを作った人嫌いだな、という感じなのです。

結果的に「空白」も同様でした。
2段構えの交通事故シーンは「ファイナル・デスティネーション」かよ!と盛り上がりましたが(なかなか必見のシーンです)、それ以降の展開は「ウ〜ン、そうなるかな?」という違和感が強くなるものばかりで、ちっとも話に乗れません。
登場人物すべてを冷笑する様な、上から見下す様な描写が連続するので、本当に気分が悪いです。

人間の嫌な面ばかりを拡大、強調するのは、ブラックコメディとしては間違いで無いのですが、それが安直な上に猛烈な悪意があるので、本当にイライラします。
マスコミの嫌らしい部分が描かれますが、それってこの映画もそうですよね?と思ってしまいます。

ただ、終盤は「俺も単純だな」と呆れはしましたが、シンプルに感動してしまいました。
そのため、最後まで本当に胸糞だった「愛しのアイリーン」や「神は見返りを求める」よりも印象は悪く無いです。
ただ、この「胸糞から良い話に持っていく」感じも、割と強引だし、あざとさも感じますが・・・。
まあしかし、古田新太のパワーに押されて、結果的にはなかなか楽しめたのでは?と思いました。
あと、少女が万引きを見つけられて事務室へ連れて行かれてから、走って逃げるまでの間の時間が描かれないので、そこが「空白」なのかと思いきや、そこは最後まで無かったのが不思議でした。

混ぜるな、危険!「対峙」

こちらは洋画ですが、こっちも嫌なあらすじですよ。
銃乱射事件の加害者の親と被害者の親が、一つの部屋で会話をする。
これだけ、たったこれだけです。
でも、これって最悪じゃないですか。
危険でしょう、明らかに。

教会の一室で、2つの夫婦が、ぎこちない会話を始める。
最初は非常に気を使い、たどたどしい、中身の無い会話を始めるが、徐々に感情が高ぶり、いよいよ見境の無い最悪の現場へとなっていく・・・。
もう、この過程の怖さときたら!
完全にスリラー映画です。

お互いのお母さん、特に被害者の方は最初から挙動がおかしい。
案の定、彼女が最初の一歩を踏み出すのですが。
誰だ!
こんな無謀なアイデアを出したのは!
黒人のセラピストは、お見合いの場における「ここからは若い者だけで・・・」みたいな感じで早々にいなくなってしまうのですが、オイオイ!
ここで新たな事件が勃発する可能性、高すぎじゃないの。

もう、観ていて頭を抱えました。
この4人、誰もが一癖も二癖もあって、油断ならない。
さっきまでは「まあまあ」とパートナーをなだめていたのに、今は自分が怒り狂っていたり。
会話で行う、バトル・ロワイヤル。
そんな印象です。

映画としてずっと面白いのは、最初に具体的な説明が省かれているので、誰が誰の親なのか、どんな事件だったのか、どんな子供だったのかが、会話の中で徐々に浮かび上がるところです。
4人はみんな理解しているわけで、自分(観客)だけが門外漢として、頭の中で色々と組み立てていく必要がある。
先に説明されてしまうと、そういう印象を持った上でその人物を見てしまうわけですから、あえてそうならない様にしているのでしょう。
これは、この映画のテーマとも関係していると思います。

「空白」も「対峙」も、ニュース映像では無い、その外側を描こうとする内容です。
いかにニュースというものが、娯楽として巧妙に作られたものであるか。
でも、安直な印象こそ、門外漢には一番の安心となるのです。
こいつはクズ。
こいつは気の毒。
まずそこを決めておきたい。
その方が気楽ですからね。

憎しみを無くすには、その相手について、徹底的に知る事しかない。
そう言う事だと思います。
相手が文字ではなく、写真ではなく、立体的なもので、生まれてからの人生があって、その周りに多くの関係者がいて、彼らの世界がある。
あらゆる差別やヘイトも、「相手を知らない」事がまず一番の理由となっているものです。
そして「自分」も相手に知ってもらい、話を聞いてもらう事によって、ようやく人間としての関係の一歩を始める事ができる、という事なのでしょう。

「対峙」は、本当に会話のみ、舞台は教会の一室のみというミニマムな映画ですが、まったく最後まで飽きさせないし、最後まで油断ならない映画です。
アート映画ではなく、間違いなく娯楽映画です。
特に、展開については知らない方が絶対に楽しめます。
胃は痛くなりますが、挑戦する価値のある素晴らしい映画でした。

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