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2022年03月18日17:33
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TAAF2022短編スロット３
・『駐車場でアメを食べたね』2021、日本、6:15、関口和希
結婚式に招待した親友に絶交されたミヨは子供の頃に彼女と遊んだ日々を思い出す。
作者は多摩美、藝大の卒業生で現在はフリー。
可愛い絵柄と色彩。擬人化アニメによって生じる普遍性。仲良しと思っていて実は生じていた小さな齟齬が可視化されていく。
・『蠢く羽音』2021、フランス、7:20、学生６人のグループ制作。
フォトリアルな画面。彫刻家ルイスは仕切り壁の穴から覗いた隣の女性をモデルに粘土像を作るが。
粘土の湿った質感と情動のままに動く彼の狂気的な行動と意外な展開とがマッチして観る者の心にも粘りつくような感覚を抱かせる。
仏ESMAの学生のグループ制作。
・『穏やかな狂気、激しい錯乱』2020、フランス、18:00、マリン・ラクロット
精神科施設での患者と看護者の日常生活を描く。精神疾患、認知症など様々な理由で施設にいる人たちの行動は平常心では観られず、時間も18分と長いが、それでもこれが現実。これを作り通した作者の精神力も買う。
・『夜の番人』2021、フランス＆ベルギー、12:00、ジュリアン・ルニャール
怪しい館で繰り広げられる妖しい夜の宴。滑らかな作画が上手い。
作者はアイルランドのカートゥーン・サルーンで絵コンテに携わっていた経歴の持ち主。
・『自傷』2020、フランス、9:00、チェンファ・ヤン
恋人と別れて落ち込むウェンは自らを傷つけるが、やがて自身と折り合いをつけていく。
作者は中国美術学院とフランスのEMCAアニメーション学校を卒業。
・『語らない思い出』2020、フランス、15:10、バスティアン・デュボア
アルジェリア戦争に従軍経験を持つ祖父は戦争について多くを語らない。孫息子は祖父の体験を映画に作ろうと試みるが。
スチルは絵画的だが、実際は戯画化されたアニメタッチなどハイブリッドな絵柄が使われて効果を上げている。これも一種のドキュメンタリーアニメーションと言える作品。
戦地で正気を失ったかに見える若き日の祖父が憔悴し切って砂漠を彷徨うカットの衝撃に心打たれる。
・『予期せぬ出来事』2021、フランス、6:49、学生５人のグループ制作。
強迫性障害を抱えるアンナは規則正しい日常を送っているが、ある日、妹が楽器のパーツを忘れていったことから、そのバランスが崩れてしまう。
仏ゴブランの学生による卒業制作。
妹の忘れ物を届けようと街に出たアンナの混乱が視覚化されて、ありありと伝わる。
・『水玉模様の少年』2020、フランス、7:39、ニヘイ・サリナ
腕に水玉模様が出来る病気に苦しむ少年は自分と同じような症状を持つ子どもたちと出会う。
状況はよく把握出来ないが、シュールな雰囲気と絵に惹かれる。
作者は日本出身で現在はデンマークに在住。
・『わたしのトーチカ』2021、日本、14:57、石舘波子
潜水服を着て日々を過ごす「潜水服」は「透明」や「ツギハギ」などの友人と学校生活を送り、トーチカ状の家では幼い少女の姿をした家族の面倒をみていた。
作者は多摩美を卒業後５年間アニメーターとして働いた後に藝大大学院に入学しアニメーション専攻を修了という経歴の持ち主。
内面がそのまま見た目になっている意外性と作品としてのクオリティの高さ。息苦しい生活を潜水服で表わす着眼点。虐待、ヤングケアラー等の今日的な問題意識も。
藝大の指導者たちの顔ぶれがすごく、その線からか声にプロ声優の沢城みゆき（峰不二子など）を起用する等、完成度のレベルが違う。
以前に他映画祭の配信で観ていたが仕掛けを知って再見しても感銘が薄れない。
・『ルイーズ』2021、フランス、6:16、学生５人のグループ制作。
ガルニエ・オペラの若きバレリーナ、ルイーズの日々。
仏ゴブランの卒業制作。ドガの『踊り子』やモディリアニ等の名画を思わせる色彩感覚とキャラクターに秀でる。生活の為に年上のパトロンに身を売る様など、学生ばなれした描写の手際が見える。
初日の11日（金）に鑑賞。今にして思えば翌日の他プログラム終了後にこのスロット３の選考委員トーク付きプログラムに中途入場することも可能だったのだ（惜）。
精神の問題などが色濃いセンシティブな側面を持ったプログラム。
全３スロットを観て、改めて今回のTAAFの短編の充実を感じる。2022年の映画祭ならではのセレクト。
今回の３本は『語らない思い出』『わたしのトーチカ』『夜の番人』に投じた。
『語らない思い出』は最終日に短編グランプリを受賞。
結婚式に招待した親友に絶交されたミヨは子供の頃に彼女と遊んだ日々を思い出す。
作者は多摩美、藝大の卒業生で現在はフリー。
可愛い絵柄と色彩。擬人化アニメによって生じる普遍性。仲良しと思っていて実は生じていた小さな齟齬が可視化されていく。
・『蠢く羽音』2021、フランス、7:20、学生６人のグループ制作。
フォトリアルな画面。彫刻家ルイスは仕切り壁の穴から覗いた隣の女性をモデルに粘土像を作るが。
粘土の湿った質感と情動のままに動く彼の狂気的な行動と意外な展開とがマッチして観る者の心にも粘りつくような感覚を抱かせる。
仏ESMAの学生のグループ制作。
・『穏やかな狂気、激しい錯乱』2020、フランス、18:00、マリン・ラクロット
精神科施設での患者と看護者の日常生活を描く。精神疾患、認知症など様々な理由で施設にいる人たちの行動は平常心では観られず、時間も18分と長いが、それでもこれが現実。これを作り通した作者の精神力も買う。
・『夜の番人』2021、フランス＆ベルギー、12:00、ジュリアン・ルニャール
怪しい館で繰り広げられる妖しい夜の宴。滑らかな作画が上手い。
作者はアイルランドのカートゥーン・サルーンで絵コンテに携わっていた経歴の持ち主。
・『自傷』2020、フランス、9:00、チェンファ・ヤン
恋人と別れて落ち込むウェンは自らを傷つけるが、やがて自身と折り合いをつけていく。
作者は中国美術学院とフランスのEMCAアニメーション学校を卒業。
・『語らない思い出』2020、フランス、15:10、バスティアン・デュボア
アルジェリア戦争に従軍経験を持つ祖父は戦争について多くを語らない。孫息子は祖父の体験を映画に作ろうと試みるが。
スチルは絵画的だが、実際は戯画化されたアニメタッチなどハイブリッドな絵柄が使われて効果を上げている。これも一種のドキュメンタリーアニメーションと言える作品。
戦地で正気を失ったかに見える若き日の祖父が憔悴し切って砂漠を彷徨うカットの衝撃に心打たれる。
・『予期せぬ出来事』2021、フランス、6:49、学生５人のグループ制作。
強迫性障害を抱えるアンナは規則正しい日常を送っているが、ある日、妹が楽器のパーツを忘れていったことから、そのバランスが崩れてしまう。
仏ゴブランの学生による卒業制作。
妹の忘れ物を届けようと街に出たアンナの混乱が視覚化されて、ありありと伝わる。
・『水玉模様の少年』2020、フランス、7:39、ニヘイ・サリナ
腕に水玉模様が出来る病気に苦しむ少年は自分と同じような症状を持つ子どもたちと出会う。
状況はよく把握出来ないが、シュールな雰囲気と絵に惹かれる。
作者は日本出身で現在はデンマークに在住。
・『わたしのトーチカ』2021、日本、14:57、石舘波子
潜水服を着て日々を過ごす「潜水服」は「透明」や「ツギハギ」などの友人と学校生活を送り、トーチカ状の家では幼い少女の姿をした家族の面倒をみていた。
作者は多摩美を卒業後５年間アニメーターとして働いた後に藝大大学院に入学しアニメーション専攻を修了という経歴の持ち主。
内面がそのまま見た目になっている意外性と作品としてのクオリティの高さ。息苦しい生活を潜水服で表わす着眼点。虐待、ヤングケアラー等の今日的な問題意識も。
藝大の指導者たちの顔ぶれがすごく、その線からか声にプロ声優の沢城みゆき（峰不二子など）を起用する等、完成度のレベルが違う。
以前に他映画祭の配信で観ていたが仕掛けを知って再見しても感銘が薄れない。
・『ルイーズ』2021、フランス、6:16、学生５人のグループ制作。
ガルニエ・オペラの若きバレリーナ、ルイーズの日々。
仏ゴブランの卒業制作。ドガの『踊り子』やモディリアニ等の名画を思わせる色彩感覚とキャラクターに秀でる。生活の為に年上のパトロンに身を売る様など、学生ばなれした描写の手際が見える。
初日の11日（金）に鑑賞。今にして思えば翌日の他プログラム終了後にこのスロット３の選考委員トーク付きプログラムに中途入場することも可能だったのだ（惜）。
精神の問題などが色濃いセンシティブな側面を持ったプログラム。
全３スロットを観て、改めて今回のTAAFの短編の充実を感じる。2022年の映画祭ならではのセレクト。
今回の３本は『語らない思い出』『わたしのトーチカ』『夜の番人』に投じた。
『語らない思い出』は最終日に短編グランプリを受賞。
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