大体において現世に残った魂の物語は、心残りや怨念に起因します。
今回のメディアワークス文庫週間はだ葦船ナツ氏著の
「消えてください」
は、消えられない理由を探す女子高生が、たまたま居合わせた主人公に
消える手伝いをしてほしいと話かける所が事の始まりで、母親を亡くし、
大切な人が消え去るトラウマを抱えているにもかかわらず、
主人公はその女子高生と、何日かおきに一日1時間、消える方法を探す、
と言う話です。
文体や情景表現は美しく、ゆっくりと物語は進んで行きますが、
ストーリー自体はオーソドックスな仕組みで普通に読める感じです。
ただ、その肝心の「理由」自体があやふやで、最後に来てボケてしまうのが残念。
佐野徹夜氏や三秋縋氏のストーリー構成を優しくした感じだなと思ったら、
帯の解説は三秋氏だったとの事、なんか納得、
詩的な情景を的確な文章で表現しているのは好感が持てますね。
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