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2020年11月30日17:33

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そらのいろ にじのいろ

フォト


ここは、いろいろランド。

たくさんの色が暮らしている国です。
クレヨンや色鉛筆や絵の具が仲良く暮らしています。
いろいろランドの住人の仕事は、様々なものに色を塗ることでした。



ある日、神様がいろいろランドにお願いに来ました。

「今度、新しい国を作ることにしたんじゃ。空を作って、それに色をつけたいから、誰か色を貸してくれないかな?」

いろいろランドの掲示板に、【新しい国の空の色を募集】と、貼り出されました。


「空の色はまだやったことがないね!みんなでやってみようか!」

「楽しそうだね!やってみよう!」

クレヨン組の12兄弟は、盛り上がりました。
12兄弟は、赤、オレンジ、黄色、緑、青、水色、藍色、紫、ピンク、白、灰色、黒です。



「神様、僕たち、空に色をつけたいです!」


クレヨン組の12兄弟は神様に伝えました。



「ありがとう。じゃあ一緒に新しい国に行ってくれるかな?」

「はい!行きます!!楽しみです!!!」

「新しい国は、いろいろランドから南に30km。みんなで空を飛んでいこう。」

「はーい。」


12兄弟は大地を蹴り、神様からはぐれないように、真っ直ぐついていきます。

どこまでもどこまでも飛んでいくと、そこに辿りつきました。


「ここはまだ作ったばかりの国だから、何もないのじゃ。少しずつ揃えていきたいが、まずは空を描いてほしい。」


「どんな空がいいですか?」


「空はみんなの心じゃ。喜んだり、怒ったり、哀しかったり、楽しかったり、色んな空があるといいな。」


「空は一つだけじゃないのですか?」


「いろいろな空があったら、面白いじゃろ?仲良くみんなで、空を描いてごらん。」


「はーい。分かりました!」


「じゃあ、任せたよ。よろしくね。」


神様は一足先に帰っていきました。
新しい国は作ったばかりだから、神様は大忙しです。



「空は……まずは晴れを作ろうか。」

「賛成〜!」


赤くんはピューッと高く飛び上がり、グルグルと大きな丸を描きます。
太陽です。


白ちゃんは踊るような動きを繰り返します。
雲です。


水色ちゃんはひたすらに塗りつぶしました。
青い空が広がりました。



「次は曇りを作ろう!」


赤くんと青くんは休憩。
灰色くんが白ちゃんの隣まで、ピューッと飛び上がります。


「曇りは僕達の出番だね!」


白ちゃんと灰色くんは何度も繰り返し、行ったり来たり。
あっという間に大きな大きな雲の出来上がり。


「あとは、えーっと、雨と夜を作らなきゃ。まずは雨から?」

「雨だと、また雲を作らなきゃいけないから、ちょっと休憩したいな。」


白ちゃんはさっきから動いてばかりで、息が上がります。



「じゃあ、次は夜空を作ろうか。」


「賛成〜。」


白ちゃんと灰色くんとバトンタッチで、今度は黒くんと黄色ちゃんが飛び上がります。


「私は真ん丸お月様を描くわ。」


張り切って、黄色ちゃんはグルグルグルグル回ります。
赤くんの動きを真似するようにグルグル回ります。
大きな満月の完成です。


「じゃあ、僕は夜を塗るね。」

黒くんは行ったり来たりの大忙し。
塗り残しがあったら大変ですものね。


「私は月が終わったから、お星様を描くわ。」

「流れ星も描いたら?」

「素敵!流れ星も描くわ。」


黄色ちゃんは今度はたくさんの星を描きます。
流れ星を描くたびに、他の兄弟から拍手が聞こえます。



だけど、笑顔の兄弟と、少しつまらなそうな兄弟がいます。
せっかく来たのに、出番がない紫ちゃんとピンクちゃんとオレンジちゃんと緑くん、それに青くんと藍色ちゃんです。

「空の色だと、私は出番がないわ。」と紫ちゃん。

 
「お花の色なら、私達は大活躍なのにね。」とピンクちゃん。


「俺も俺も。俺の色がないと、葉っぱや茎はつまらなく見えるよ。」と緑くん。


「私も今日は暇だなぁ。」とオレンジちゃん。


「オレンジちゃんは、夕日を描かないと。」と、紫ちゃん。


「そうだそうだ、忘れてたわ。」とオレンジちゃん。


「私達も何か、描きたいな〜。色塗りたいわ。」

ため息をつく色達に、青君と藍色ちゃんが提案します。


「今から私達が雨を描くから、傘を描いてくれない?」

「みんな濡れちゃうわ。」


「賛成〜!」


「じゃあまずは濡れないように、雨雲と傘を描きましょう!」


白ちゃんと灰色くんはとにかく激しく動き、雨雲をどんどん描いていきます。
どんよりした雨雲です。


「黒くん、傘を描いて。紫ちゃん、ピンクちゃん、緑くん、素敵な柄を描いて。」

「任せておいて。」


黒くんが張り切って大きな傘を描きました。
そこに紫ちゃん、ピンクちゃん、緑くんはたくさんの花畑を描きました。
花の絵や色は、三兄弟の得意技です。


「キレイな傘だね!」


他の兄弟に褒められて、三兄弟はにっこり笑顔。

青くん、水色ちゃん、藍ちゃんが雨粒をどんどん描いていきます。


傘の下で雨宿りをしながら、他の兄弟は雨粒を見上げました。
四人が描いた大きな傘のお陰で、雨を描いている色以外は誰も濡れませんでした。



「寒い寒い。体が冷えちゃったよ〜。」

雨を描き終わった青くん達が戻ってきました。


「私に任せて。あったかい、大きな夕日を描くわ。」


先ほど描き終わった青い空から太陽を外し、オレンジちゃんはグルグルグルグル回ります。
夕日が一面を照らしました。
夕日の光がポカポカあたたかくて、ずぶ濡れの青くん達は風邪を引かずにすみました。


「オレンジちゃん、ありがとう。」


「どういたしまして。」


「あとは…描いていない空はあったかな?」


「神様の依頼は、喜ぶ空。怒る空。哀しい空。楽しい空、だったよね。」


「喜ぶ空は、晴れ。」


「うんうん。」


「怒る空?」


「あ!雷は?」


「黄色ちゃん、雨の空に雷を加えて描いて。」


「はーい。」


「哀しい空は、雨だよね。」


「うんうん。」


「楽しい空?」


「楽しい空ってなんだろう?」


「見上げたら、みんなが楽しくなる空。」


「楽しい色って何色?」


「さっき、花畑を見たら楽しい気持ちになったね。」


「明るい色かな?」


「みんなで手を繋いで空を飛んだら、楽しいんじゃない?」


「賛成〜!」


「俺達は下から見てるよ。」
そう言ったのは黒くん、灰色くん、水色ちゃん、白ちゃん。


「みんなで手を繋いで飛ぼうよ〜。」と他の兄弟。


「私達は今日たくさん空に色を塗ったわ。でもみんなはまだまだ塗りたりないでしょ?」


「下から見てるよ。みんなが空を飛んだら、どんな景色が見えるか。」


「分かった。じゃあ四兄弟は、下から俺達を見ていて。」


「分かった。」


「じゃあみんな行くよ!せーのっ!!」


赤くん、オレンジちゃん、黄色ちゃん、緑くん、青くん、藍ちゃん、紫ちゃん、ピンクちゃんは手を繋ぎ、一斉に高く高く飛び上がりました。


すると、空には大きな大きな虹が架かりました。



兄弟で力を合わせて描いた空は、とてもキレイでした。





END
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