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2020年08月09日00:09

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通勤路の花々シリーズ312 茄子(ナス)

 被子植物門双子葉植物綱ナス目ナス科 Solanum melongena
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 インド東部原産の多年草ですが、温帯地域では一年草として栽培されています。インドでは有史以前から栽培されていたと考えられており、東南アジアでも早くから栽培が開始されました。中国へは5世紀頃にビルマから伝わって、赤・黄・緑・白等のカラフルで形や大きさも様々な多くの変異が生じて行きました。中国名は茄(カ)が植物名、茄子(カシ)が果実名になります。
 ヨーロッパへは13世紀に伝わりますが、元々熱帯植物で欧州の寒冷な気候の下では充分に普及はしませんでした。英名はAubergine(オーバァジーン)、又はEgg plant(エッグプラント)で、仏名はaubergine(オーベルジーヌ)、伊名はmelanzana(メランザーナ)です。
 日本には7〜8世紀頃に唐から伝わり、奈良時代から食されていました。東大寺正倉院の古文書に「天平勝宝2(750)年茄子進上」とあるのが日本最古の記録です。平城京の長屋王邸宅跡から出土した木簡に『進物 加須津毛瓜 加須津韓奈須比』との記述があり、高位の者への進物に茄子の粕漬けが使われていた事が判明しています。また、正倉院文書には「天平6(734)年茄子十一斛、直一貫三百五十六文」以下多数の「茄子」の記述が見られます。
 和名ナスの語源については諸説あり、実の味から中酸実(ナカスミ)の略であるとする説、夏に実が成るので「夏実」(ナツミ)が訛って奈須比(ナスビ)となったとの説等があります。室町時代頃に宮廷の女官が女房言葉として「おなす」と呼び、その呼称が定着しました。
 元は貴重な野菜でしたが、江戸時代頃より広く栽培される様になり、以降日本人にとって馴染みのある庶民的な野菜となりました。江戸時代の『農業全書』に「紫、白、青の三色あり、又丸きあり長きあり」の記述があり、この時代から多くの品種が栽培されていた事が明らかです。
 品種は非常に数が多く、日本だけでも概ね70種類程もあり、世界では1000種類を超えると言われています。
 賀茂茄子等の例外もありますが、日本に於いては南方系は晩生の長実または大長実で、北方系は早生の小実品種、本州の中間地では中間的な中長品種が基本となります。これは寒い地域では栽培期間が短く大きな実を収穫する事が難しい上に、冬季の保存食として小さい実の方が漬物に加工しやすいからです。日本で栽培される栽培品種の殆どは果皮が紫色又は黒紫色ですが、欧米では白・黄緑色・明るい紫、更には縞模様の品種も広く栽培されています。
 茎は黒紫色で、高さ60〜100cmになり、中には茎にトゲが見られる場合もあります。葉は互生しますが、葉柄に近い部分では左右非対称になります。葉には棘があって毛が生えており、葉身は卵状楕円形で、葉縁は波打っています。
 花期は夏から秋で、葉腋と次の葉柄の途中に花柄を出して、紫色の花を下向きに一個から数個咲かせます。一つの花柄に複数の花が咲いても、基部の一個以外は結実しないのが特徴です。
 果実は品種によって形も色も様々で、果肉は密度が低くスポンジ状です。蔕(ヘタ)の部分には棘が生えている場合があり、鋭い棘は鮮度を見分ける方法の目安となりますが、収穫の作業性向上や実に傷が付くとの理由から棘の無い品種も開発されています。
 熱帯原産ですから、寒さや乾燥には弱く、日当たりが良く、豊富に水を供給される環境を好みます。
 代表的な病気として、梅雨明けから夏に葉が緑色の内に急激に萎(シオ)れてしまう青枯れ病があります。また、連作障害が出やすい植物なので、同じナス科のトマト・ジャガイモ・ピーマン等を植えた場所では4〜5年程度間隔を空けなければ、土壌伝染する病気になりばちです。葱や韮(ニラ)等のネギ属植物を畑に混植しておくと、これらの病気を防いだり害虫除けの効果が生じます。同様にコンパニオンプランツとして、マリーゴールドは土中の線虫(センチュウ)駆除や他の害虫除け、バジルやナスタチウムは油虫除けの効果があります。
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