つらつらとサイトをあれこれ眺めていて、ふと出会った短歌、かな。
つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを
古今和歌集もしくは伊勢物語に収録されている、在原業平の歌だそうな。
最初は歌とは気づかなくてさ。
つひに行く道 とはかねて聞き・・・なんだこりゃ?
と眉間にしわをよせたくらいだ。
あぁ、短歌なのか、と五七五で区切って読むと、最初の印象より言葉が響く。その意味も妙にしんみりと感じられた。
気持ちをウェットにしたいとか、つらいことがあったというわけではない。
ただ一瞬にして、そういうことに気持ちを引きずり込む言葉ってあるものなんだな、と感心した。
いや引きずり込まれたといったって、別に急に死にたくなったとか、そういう次元の話ではなくてさ。
無常を感じさせるというか、なにか命の奥行きというか、限られているからこそ、今を大切にしなくちゃいけないんだなぁ、なんてストンとそういう気持ちに落とされる・・・いや、落ちるなんて雰囲気の言葉を使うのがいけないのかな。
急に背筋をのばして、空を見上げたくなるような、そんな気分になったんだよね。
似たような感覚を持たせてくれた歌。西行の、
なにごとの おはしますかは しらねども かたじけなさに なみだこぼるる
を思い出した。
西行は平家物語の時代だっけ。
呉座勇一氏か本郷和人氏だったか、ここ数年で読んだ日本史の学者さんの本でゆっていた。今に通じる日本人の感覚ができたのは、応仁の乱以降になる、と。
それ以前の時代となると、楽しく酒を呑んでいた次の瞬間、刀を抜いてコロンと首を落としているなんてことがざらにある、なんて話じゃなかったかな。わぁ、こわい。
しかし西行も在原業平も、応仁の乱よりもずっと以前の人だったはずだ。
多くを語らずとも、五七五のうたで、ストンと気持ちをつかむコミュニケーションが、とれるものなんだねぇ。
もちろん、すべてではないだろうけどさ。
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