イヴ・ロベール監督(1920-2002)の1990年の作品。
原作は、小説家・劇作家・映画作家の
マルセル・パニョル(1895-1974)の回想録『少年時代の思い出』
ハーヴの生える岩山の丘が印象的なプロヴァンスの陽光の下、
別荘でひと夏を過ごす家族と、地元の人たちの日常を描く。
「プロヴァンス物語 マルセルの夏」〈デジタルリマスター4K版〉
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父ジョセフ(フィリップ・コーベール)は、無神論者の小学校教師。
優しい母オーギュスティーヌ(ナタリー・ルーセル)はお針子だった。
マルセル(ジュリアン・シアマーカ)はオーバーニュで生まれ、
父の転勤に伴い。弟ポール、妹ジェルメーヌはマルセイユで生まれた。
体の弱い母を気遣って、マルセル一家は、
裕福なジュールおじさん(ティディエ・パン)と、
ローズおばさん(テレーズ・リオタール)の一家と共に
オーバーニュ近くのラ・トレイユという田舎の別荘で過ごす。
ある日、ジュールは初心者のジョセフを誘って狩に出かける。
一緒に行きたかったマルセルは2人を追って行くと、
おじさんは次々獲物を仕留めていくが、父親はサッパリ。
父親の名誉のために何とかしたいマルセル。
父と息子の関わりがなんとも微笑ましい。
少年の目を通して描かれた家族は、少しずつズレているけれど、
愛情深く、見終えて気持ちが温かくなる。
都会っ子のマルセルが出会った少年リリは、
田舎の暮らし方を、マルセルに教えていく。
さりげないリリの言葉に込められた生き方が素敵だ。
貴重な水を湧き出す泉のある場所は、誰にも教えられないという。
リリの祖父は、最期に泉の在りかを教える前にこと切れたという。
「それじゃ、何にもならない」というマルセルに、リリは
「いいんだ。小鳥が飲んでいるだろ」という。
また、農作物を売って稼ぐ話をして、
マルセルが「大金持ちになれるよ」と喜ぶと、リリは
「何のために? 口は1つだし、尻の穴も1つだ」と。
プロヴァンスに行きたい、過ごしたい…。
ああ、上質の映画を見せて貰ったなぁという感じ。
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