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2016年09月20日05:40

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戦後の海運業の措置

戦前世界三位だった日本の海運業は大きく凋落してしまいました。終戦から国が立ち直り、経済が発展していくために、大きな海を渡る船の喪失は国家にとって致命的なものでした。政府は戦後、造船のため全額政府出資の造船計画を始め、一隻10億の外航船の場合、政府出資の「船舶公団」から70パーセントの融資を行ないました。

残りは銀行が貸すという保護借置で事は進み、造船復活の兆しが見えてきました。重ねて朝鮮戦争の勃発でさらに大型船舶建造がアメリカからも認められ、しかも資金の70パーセントはアメリカの「見返り資金」を年利7.5パーセントで使用してよいという厚遇措までもうけるようになりました。

しかし、それが朝鮮の休戦とともに海軍造船業界に一気に不況の嵐となって吹きつけてきたのです。そのため銀行からの融資の利子を軽減するために国が一部を肩代わりしました。外航船舶建造融資利子補給法の制定を業界は政界官界に働きかけるようになったのです。

この法律は日本開発銀行から借りている年利5パーセントを3.5パーセントに、市銀からの11パーセントは5パーセントとし、その差額は政府が負担するというものでした。政府の負担というのはつまり国民からの税金を当てるというにはなるのです。

その額は167億ということでした。つまり非難する側からすれば国民の負担ということにはなりますが、この案は吉田茂・自由党、鳩山一郎・自由党、改進党の保守三党の共同提案でわずか10日の審議で可決されたのです。

その間、飯野海運の社長が中心となって事の推進のために政界官界に配ったお金が2億7千万円ということでした。その内自由党の佐藤栄作幹事長と池田勇人政調会長には党宛てに1千万円、個人宛てに2百万円が贈与され、これが受領されて問題となったのです。

それを受けて東京地検は佐藤、池田の二人の逮捕に乗り出し、佐藤の逮捕許諾請求を犬養健法務大臣に請訓したのですが、上からの訓令で犬養は指揮権を発動し、佐藤の逮捕を見送られてしまいました。これに対してメディアを含め世間の非難は轟々たるもので、日本の法治体制は崩壊させられたという非難が渦まいたものだったのです。

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