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2016年09月01日06:23

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古戦場めぐり「石山合戦・天王寺の戦い(大阪府大阪市)」

古戦場めぐり「石山合戦・天王寺の戦い(大阪府大阪市)」

◎『石山合戦・天王寺の戦い』
「天王寺の戦い」は、石山合戦の一環として天正4年(1576)5月7日に摂津天王寺(大阪府大阪市)で行なわれた、織田信長と一向一揆との戦いです。天王寺砦の戦いともいいます。
元亀元年(1570)9月、石山本願寺の門跡・顕如は織田信長との対決を決意しました。これが、石山合戦の始まりになります。天正4年(1576)2月、足利義昭の呼びかけに応じて、毛利輝元が信長包囲網の一翼に参加し、本願寺に兵糧などの援助を始めました。これが顕如を強気にして、畿内の信徒に動員令を出して5万の兵力をかき集めました。信長は本願寺の挙兵に危機感を強め、佐久間信盛・明智光秀・塙直政・細川藤孝・筒井順慶・中川清秀・高山右近・荒木村重らを摂津方面に出兵させました。
4月14日信長は、荒木村重には尼崎から海上を通って北の野田に3箇所、明智光秀・細川藤孝らは南東の守口・森河内の2箇所に、塙直政は南の天王寺に1箇所、それぞれ砦を築かせ本願寺の包囲を強めようとしました。一方、本願寺側は楼の岸・木津の2箇所に砦があり、難波方面への水路を確保していました。信長はこれを断つため、木津砦を攻撃することを決め、天王寺砦に佐久間信盛の嫡男佐久間信栄と光秀を入れ置きました。
5月3日早朝、織田軍は木津に攻撃をかけます。しかし、楼の岸砦から本願寺勢・約1万が討って出てきて、織田軍を包囲しつつ数千丁の鉄砲で銃撃を加えました。精強鉄砲隊の雑賀衆が味方していたのです。直政の軍勢がこの攻撃を引き受けて数刻の間戦ったが敵に囲まれ、直政は一族の塙安弘・塙小七郎や蓑浦無右衛門・丹羽小四郎らと共に討死、康長は逃亡して軍は崩壊しました。本願寺勢は勢いに乗じて、天王寺砦を包囲・攻撃し、窮地に陥った光秀・信栄らは、京都に滞在していた信長に援軍を要請しました。これを聞いた信長は諸国に動員令を出し、5日に100人の兵を率いて河内若江城に入りました。6日、信長は軍勢の到着を待ちましたが、突然の出陣だったためあまり兵力が集まりませんでした。
信長は、わずかな手勢で本願寺勢を強襲することを決定し、翌日7日、3000ほどの兵で本願寺勢1万5000に突撃しました。本願寺勢は多数の鉄砲で防戦しましたが、織田軍はこれに突っ込んで敵陣を切り崩し、天王寺砦の守備隊と合流しました。この際、信長は敵の鉄砲を足に受けて軽傷を負っています。合流されたとはいえ、本願寺勢は退却せず、陣形を立て直しつつありました。信長はそこへ再度攻撃をかけることを決めます。家老たちは多勢に無勢であるとして止めましたが、信長は「今度間近く寄り合ひ侯事、天の与ふる所の由(いま敵が間近にいるのは天の与えた好機である)」と言い放ち、陣形を2段に立て直して突撃します。本願寺勢を撃破し、更にこれを石山本願寺の木戸口まで追撃し、2700余りの敵を討ち取りました。こうして、織田軍の大勝で天王寺砦の戦いは幕を閉じました。信長は大坂の10箇所に付城を作るよう命じ、佐久間信盛・信栄父子と松永久秀らを天王寺砦に入れると、6月5日に若江城に帰還しました。この戦いで大勝した織田軍は、摂津方面での陸戦での優位を確立し、以後、本願寺軍は討って出ようとはせず、徹底した籠城戦に持ち込みました。
織田信長は、常に敵勢力の内部分裂を策し、謀略が完成したところで敵を圧倒する軍事力で戦うということが通説となっています。しかし信長は弘治2年(1556)の稲生の戦い、永禄3年(1560)の桶狭間の戦い、そしてこの天王寺砦の戦いの3度だけは、敵に劣る兵力で戦いいずれも勝利しています。しかもこの3度は、いずれも信長自らが陣頭に立って戦っているのです。

○「天王寺砦(月江寺)」(大阪市天王寺区生玉寺町)
元亀元年(1570)から始まった石山合戦は、一進一退を繰り返していました。天王寺砦は天正4年(1576)、織田信長の部将・原田直政によって石山本願寺封鎖にために築かれました。天王寺砦は、地名の元となっている四天王寺の北西にあり、月江寺がその跡とされています。かつては、門前に堀跡があったとされていますが、現在は市街地化により遺構は見受けられません。周辺は、上町台地の西崖端にあたり、地続きの台地北端に石山本願寺が立地していました。月江寺南の学園坂を見ると、台地の崖端に位置していたことがよくわかります。
後に、本願寺跡地に築かれた大坂城の最大の弱点として、大坂冬の陣に際して真田信繁(幸村)がこの方面に真田丸を設けたように、天王寺周辺に織田軍が本陣を設けたことは至極妥当といえます。佐久間信盛、原田直政らがこの砦を守りましたが、本能寺側の猛攻にあい、原田直政は討ち死にしました。

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