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2015年10月13日15:34

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今月のLC外伝ネタバレ

聖域に異変が…!?
聖域、陥落。希望を取り戻せ!

老双子編第3話 裏切者

セージ、ハクレイ、クレストは教皇の間を見上げた。
「そんな…。感じたか?…今…」
「ええ。教皇の小宇宙がかき消えた…」
「……」
教皇の間をフェアリーが飛ぶ。
『教皇が殺された…!?』
「何故、今…。戦友(とも)よ…!」
ハクレイが走り出す。
「…ッ…。行くぞ、セージ!」
「兄上…!待ってください…!」
「…ッ」
「忘れましたか!?教皇の間へ行くには十二宮を通らねばならない!死界の蝶(フェアリー)により洗脳された黄金たちの守る宮です!今、策もなしに乗り込むのは危険すぎます!」
「では今教皇の間にいる敵をみすみす見逃せと…!お前はそう言うのか!?」
「立場をわきまえてください、兄上!貴方は祭壇星座(アルター)だ!教皇不在ともなれば権限は代理である貴方に移る事になるのですよ!」
「…ッ」
「むざむざ死地へ行かせるわけにはいかない!」
「…ッ…。くそっ…!」
ハクレイは地面に拳をたたきつけた。
「私だって悔しい、兄上…。私達はまだあの方から教わらなければならない事が沢山あった…」
『調和を尊び平和を願う。奴はそんな男だったな…。教皇イティア』
クレストが呟く。
5年前、聖域に来たハクレイとセージは老いた教皇イティアに謁見した。
「良い目をしている子達じゃな。それに…その幼さで既にこれほどにも強大な小宇宙を持っているとは。流石ジャミールで長となるべく選ばれた子たちよ。だが子は一人で充分」
「え?」
双子の背後に突如雑兵が現れ、彼らに襲い掛かった。
「!」
「…な…!?」
だがハクレイとセージはたちまちのうちに二人の男を倒した。
「おい!どういう事だ!?」
「これが聖域流の挨拶という事なのでしょうか?」
「フフ…良い…」
「笑ってないで説明して貰おうか。この狸ジジイーッ」
ハクレイがイティアに飛びかかる。だがイティアが指を軽くたたいただけで、ハクレイは動きを封じられた。
「う…!?…!?」
『なんだ…!?体が強い力で抑えつけられたように動けない…』
「くっ…。兄上に何をしたー!?」
セージも飛びかかる。だがイティアが杖をとんとついただけで、セージの動きも封じられた。
「うあっ…」
「セージ…!」
「さて。どちらの子を間引こうか。聖戦に弱い者はいらぬ。どちらかが生きて、どちらかが死ね」
「ぐうう〜…」
『全く抗えない…。こうなったら兄上だけでも…』
その時、ハクレイが言った。
「俺の…、俺の方が…弱い!」
「!?」
「その上、セージは頭が切れる…。使えるぞ!」
「いいえ!小宇宙も戦闘力も兄上の方が上…!必ずや聖域の役に立ちましょう!」
「セージ!?」
「兄上には私にはない剛胆さや無邪気さがある。それはいずれ人を集め聖戦も左右するでしょう。今死ぬべきなのは確実に私の方だ!」
「ふざけるなよ!それなら一緒に死んだほうがマシだ!」
とん、とイティアが杖を突く。
「!?」
「フフ、ハハハ…。まさかこれほど気持ちよくかかるとはな…」
「あっ…?」
「体が元に…」
「お前達、余っている候補生の寝床を整えよ。それとこれより二人を修練場へ案内せよ。二人の指導には私も加わろう」
「え?」
「それでは」
「すまなかったな。少し試させて貰った。お前達は互いに補い合っている。互いの違いを尊び、その絆は強固だ。そうした絆が、この先の聖域に…いや地上そのものに必要なものだろう」
そうしてイティアは二人の頭を撫でた。
「私の理想の形、平和への鍵だ」
「平和?」
「そうだ。平和とは我々が戦い守る事だけで得られるものではない。守られる者たちもまた互いに助けあい差別なく尊重し合わねば何の意味もないのだ。そしてその形を保つ事は敵を倒し勝つ事よりも難しい」
『平和の形…。そんな理想をこの人は追っているというのか…?』
「お前達はその絆を失うな。どんな逆境にあっても、互いを…そして仲間を信じよ」
そのイティアの死を知り、セージが言う。
「皮肉ですね…。それなのに今、仲間全てを疑わねばならない状況とは…」
「いや!少なくともここにいる三人は信じて良いのだろう!?聖域にいる他の青銅や白銀達だって無事な奴らは多いはずだ!そんな奴らを探し出して結束する!黄金達も元に戻す方法があるはずだ!」
「兄上…!」
「まずはアテナ様の無事を確認したい…」
「それは私にまかせよ」
クレストが言う。
「あの方は今ブルーグラードへ会談にいらしている。護衛はついていようが、この状況では楽観できん」
「俺とセージはこのまま手分けして仲間を探そう」
「ええ!」
「俺達ならば軽ければ洗脳も解けよう」
「セージ!」
クレストが声をかける。
「!」
「お前は頭が良い。奴(ハクレイ)の無謀さも理解していよう」
「分かっております。兄上は必ず私がお守りいたします」
「…それもあろう。だがな、利用しろ。そんな考えが窮地を救う事もある。二人とも死ぬなよ」
「はい!」
牡羊座のゲートガードが教皇の間でフェアリーの報告を聞いた。
「やはり生きていたか。ハクレイ!セージ!既に動き始めているようだな。相変わらず目障りな奴よ。白銀の分際で!だがもう遅い。理想だけではこの世に平和は決して訪れない。我々はすでに次の黄金の時代に舵を取り始めているのだから!それこそが調和による平和。私が貴方の理想を叶えましょう。教皇イティア様」
セージとハクレイは白銀聖闘士の宿舎へ向かった。
『もうすぐ白銀達の宿舎だ。そこは十二宮からも離れている。仲間(とも)らよ…無事でいてくれ…!』
「兄上…!あれを…!」
「!」
セージが指さした先では、白銀聖闘士の宿舎が炎に包まれていた。
「宿舎が燃えてる…!?」
「一体、何が…!?」
「分かれて無事な奴らを探すぞ、セージ!」
「はい…!」
セージは宿舎のある一角を走り回った。
『人っ子一人見当たらない。皆、既に去った後なのだろうか?ならばこの炎を放ったのは…。まさか…。いかん…!兄上の所へ戻ろう…!』
その時、炎が巨大な牡牛の形をとってセージに襲い掛かった。
『しまった…』
その一撃をセージはもろに受けた。
『これは…。建物の向こう側から正確にこちらを攻撃するとは…。まさか…。あいつまでもが…!?』
「フフ…お前が同志から外れるとは残念だ…。…と言いたいところだが、調度いい。一度存分に殺(や)り合ってみたかったのよ。同じ黄金聖闘士とな!千日戦争になってもな…!」
「牡牛座のフランキスカ…!お前まで敵の手に落ちたというのか…!?」
顔に蝶の模様を浮かび上がらせた牡牛座のフランキスカが拳を構える。
『まずい…やはりこれは罠だ…!兄上…!どうか御無事で…』
ハクレイの前に白銀聖闘士たちが現れた。
「無事だったか、お前達」
だが彼らはハクレイを見下ろしている。
「…だが…、遅かったようだな…」
彼らの顔にも蝶の模様が浮かんでいた。
「すまないな、ハクレイ。俺達ゃ別にお前に恨みがあるわけじゃないんだがよ」
「お前の存在はどう考えても異分子だ。白銀には白銀のわきまえる分があるが、お前にはそれがない。それじゃあ調和のさまたげになる。黄金聖闘士の治める世界にはな!」
「消えて貰うぞ、ハクレイー!」
白銀聖闘士たちがハクレイに飛びかかった。
「くそ…、嫌な聖戦だな…!積尸気冥界波ーッ!」
ハクレイの拳がフェアリーをとらえる。白銀たちが倒れた。
「蝶達がまだそれほど深く魂を侵していない。洗脳を受けたのは先刻という事か。そして宿舎を燃やさせ俺達をおびき寄せたのか!出てこい。こんな手を使わねばならん程度の力量ではあるまい」
「フン。薄汚い白銀は白銀同士で片が付けばいいものを。やはりお前に限ってはそうもいかんようだな」
牡羊座のゲートガードが姿を見せる。
「この声…。まさか…。そんな…お前は教皇様に最も厚く忠誠を誓っていた。そんなお前が…今!」
「その気持ちは今も変わらんよ、ハクレイ。あの方をこの手で貫いてからな!」
「討ったのか、お前が…?よりによってお前が…?あれほどイティア様の理想に命を懸けていたのに」
「そうだ。だが老いさらばえたあの方に理想を叶える力はない。現実的に調和の世界を実現する…そのためには…あの方自身に消えて頂かねばならん!」
「ゲートガード!貴様ーッ」
「お前にあの方の代理などおこがましい!あの方の理想を実現するのは…我々よ!」
◆離反した牡牛座と牡羊座!悲しき聖戦が加速するッ!

作者コメント:ソルトレイクのコミコンへ行って参りました。凄い熱気!行って良かった!

牡羊座に引き続き牡牛座も登場。ゲートガードは教皇が好きすぎて心の隙をつかれたタイプかな?
しかし次号じゃ終わりそうにないんだが…全8話になるのかな?

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