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2015年06月01日00:41

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『二つの宝玉』第3話

『二つの宝玉』第3話


 大蛇が大きな口を開けてサガとカノンに襲い掛かった。
「ちいっ!」
 二人は左右に飛んで大蛇の攻撃をかわした。サガが脇にある岩の上に飛び上る。
「カノン、これはお前がポセイドンから与えられた試練だからな。お前がなんとかしろ」
「お、おのれ、サガーッ!お前という奴は、やはり真の邪悪だーっ!」
 二人が兄弟漫才をしている間にも、大蛇はカノンを獲物にと定めて噛みついてくる。岩の上で傍観の構えになったサガは後回しと決めたようだ。
 カノンは身をかわして大蛇の攻撃をよけ、その体に蹴りを入れた。
「!?」
 カノンは大蛇の体を蹴りで叩き潰したと思った。しかしカノンの蹴りを食らった部分は水となり、水滴が周囲に散らばった。そして水滴は再び集合して大蛇の体を形作った。
「こいつ…体が水でできているのか!?」
 カッと大蛇が口を開いた。そして凍気のブレスが吐かれる。
「うわっ」
 凍気のブレスを浴びたカノンの体に霜と氷の粒がつく。
「参ったな、どうやって倒せば…」
 大蛇の攻撃をよけながらカノンは考えた。ふたたび大蛇が氷のブレスを吐く。
「…ゴールデン・トライアングル!」
 カノンは目の前の空間を捻じ曲げた。大蛇のブレスが異空間に飲み込まれていく。そしてカノンは空間を反転させた。
「自分が吐いたブレスを、自分で浴びろ!」
 異空間から凍気のブレスが吐きだされる。水でできた大蛇はそれをまともに浴び、氷の彫像となった。
「ギャラクシアン・エクスプロージョン!」
 カノンの必殺技が炸裂する。氷の塊となった大蛇は粉々に砕け散った。
「やったか」
「ああ」
 サガが岩の上から降りてくる。
 水でできた大蛇の体は、いくつもの氷の塊となってあたりに散らばっている。その中にカノンはきらりと光る二つの玉を見つけた。
「これは…」
 それは直径2センチほどの大きさの球形の玉だった。一つは白真珠の、もう一つは黒真珠の色をしていた。
「これが、『潮満珠(しおみつたま)』と『潮涸珠(しおふるたま)』か」
「おそらくな」
「潮を自在に操る玉か…。まあ、今のところ使い道も思い浮かばんが、もらっておくか」
 そうしてカノンは二つの玉をジャケットのポケットに入れた。
「しかし、ここからソロ邸までどうやって帰れば…」
 その時、空間がふたたび歪み、サガとカノンを飲み込んだ。その歪みが収まった時、二人はソロ邸の門の前にいた。
「戻った…」
「どうやら海皇が元の場所に戻してくれたらしいな」
 海水を通したものではなく、燦々と明るい初夏の陽光が空から直接二人に降り注いでいる。
「では行くか、カノン。ジュリアン・ソロが待っている」
「ああ」
 そうして二人はソロ邸の玄関に向けて歩き始めた。


<FIN>

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