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2012年02月20日17:34

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電極とドラッグが見せるアーコロジーの夢。

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ホセ・デルガードという科学者がいる。
脳にチップを埋め込むスティモシーバーを発明したことで知られている。

ホセ・デルガード

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%BB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%89

スティモシーバー

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A2%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC

私はこれらを理系の家庭教師(数学を教えてもらっていた)から聞いたのが初めての出会いだったのだが、猿で実験した時の写真をご覧になってお分かりのように、人々に与えたのは科学の素晴らしい進歩ではなく、嫌悪感とショックであった。

おまけに、「ジュラシック・パーク」の著者として知られるマイケル・クライトンが、電極を脳に埋め込まれて殺人鬼になる男を描いた「ターミナル・マン」を1972年に発表して、その影響をモロに食らって、デルガードは1974年にアメリカを追放同然に追われ、スペインに帰国している。

私がなぜ今になって、この過去の男を持ち出したのかというと、彼なくしてはサイバーパンクも生まれなかったし、映画「マトリックス」のああいう世界観も生まれなかったと見ているからである。

ただし、私が興味を持つのは、サイバーパンクではおなじみの、脳への影響ではない。あくまでも視覚的なもので、実験体になった猫、猿、そして人間がスティモシーバーの作動で個人的な視覚世界がどのように「解体」し、「再構成」されるかを追体験してみたいという欲求がある。

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蜘蛛にあらゆるドラッグを投与して、蜘蛛の巣がどのように「変化」するかをレポートした実験も視覚的にたいへん興味のあるものだった。
これまたサイバーパンクのマトリックスにそのままつながるイメージなのだが、チップにしてもドラッグにしても、人間の脳を新しく開かせるという未知なるステージには結局たどり着けないことが科学的に証明された今、人間が本来持っている「解体」、「再構成」の自己幻影力の方面に探求の目は向いている。
大昔から占星術だの、呪術だの、魔術だので口にのぼってきた領域にようやくメスが入ったところだけれど、想像力が常にホットな状態で費やされるデザインの世界では、自己幻影力がムダに大活躍する。

科学的にしっかりウラをとってキッチリ証明する前に、ヘンなカタチの商品は売れ、時代ごとにハヤリのファッションもめまぐるしく変わっていく。

こういう猛然とした、酷薄なスピード感もまた、サイバーパンクが持ち合わせている“ヤバさ”であり、魅力だ。

前置きが長くなってしまったが、こういう流れのなかで生まれたもののひとつに、アーコロジーなるものがある。生態建築のことで、我々はまず次の二人を記憶するべきである。

アーコロジー。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%AC%E3%83%AA

パオロ・ソレリ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Paolo_Soleri

バックミンスター・フラー。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%BC

以下はソレリのデザイン。

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ご覧のように、そのまま、映画「マトリックス」の世界観を見出すことが出来るはずである。

次はフラーのデザイン。

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上はフラー・ドームと呼ばれ、サイバーパンクの世界では大都市そのものをすっぽり覆う建築物として表現される。

アーコロジーは人間の自己幻影力による、限りなく人体の機能に近い建築デザインなのである。そして、チップ、ドラッグ、想像力などによる脳内刺激は、すべて、グロテスクかつ整然とした内臓的なものに視覚化されていくのだ。

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他のデザイナーたちが描いたアーコロジーのイメージも、猿と蜘蛛が見るゲシュタルトの果てを思わせる。人間の実際的な技術と科学力が追いつく前に、我々がリアルに存在する建築物も、“リアル”なまでに柔らかく生々しく形作られていくだろう。
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