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2008年01月14日01:29

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Florentina

あれは夏の初めのようなほんのりと暖かい日だった。
夏の草の匂いがぼくの鼻をくすぐって風が僕の頬を包みこんだ。

自転車に乗った僕はその季節を全身で感じとっていたみたいだった。
そんな今の今の風を全て僕の体で受け止めていたいと感じながら、、、

ふと、僕の目の前の空間ををお歳をめした婦人達の騒々しい形と音が埋め尽くした。
ぼくはあの瞬間が消えてしまった悲しさと共に仕方なしに別の道。。。
いつもは通らない路に向かったんだ。

そこは以前に友人から此処からも抜け道があって
同じ場所に繋がっているんだと聞いたことがあった場所だった

急いでいた僕は咄嗟にその道を選び
そしてその路が美しすぎることに驚嘆したのだ
そこには平行して幅の広い川が横たわっていた
とても綺麗なつくりだった、微妙に括れ草木の配置が
とても引き付けられる風だった。

僕はふと、その場のすべてに包まれたくて自転車を漕ぐのをやめた
その時はちょっと景色を見たら立ち去ろうと思っていたくらいだったが
僕の視界には近くに住んでいるらしき外国人の家族らしき人々が写った
きっと外務官の家族でバケーションでもとっているのだろう
そう、ぼくはおもった。

その川には中央あたりに小島みたいなものがあり、そこに一人
その家族の長男らしき人間がフットボールをもってつまらなそうに
ボールと川を眺めていた、ぼくはきっと彼は投げたいのだと思い
手を広げた。

かれは嬉しそうにボールを投げてきたのでキャッチした。
手のうちにあるボールを眺め、そして僕がそれを彼に投げ返さなければいけないことに気づき軽率な行動を悔やんだ。
僕は生まれてこの方フットボールを投げた事すらないし運動もそんなにできるほうではないから、彼のところまで投げられるか不安だった、川がまた僕らの間には跨っていたし、投げたボールが逸れたらボールがびしょ濡れか流されてしまうからだ。
僕は思い切って狙いを定めて投げ返した。

それは緩やかな頼りない弧を描き、見事に彼の胸にボールは吸い込まれていった。
その安堵感たらなかったのに彼はすぐに投げ返してきた。鋭く弧を描きかえってくるボールを目で追いながら不安感でビクついていた。
しかし、そのボールは僕へ弧を描くことなく僕の目の前で川辺に
突っ込んだ。
僕は少しの安堵と共に水しぶきを浴びながら、ボールをとって近くの
彼らの家の誰かに彼が家に戻ってきたときににボールを渡してもらおうと思った。

僕は家に近付き人影がみえたので声を掛けボールを渡した。
木の壁には自然な隙間がありその隙間越しにブルーのとても綺麗な君の瞳を見た。そのときがきみとは初めての出会いだった、いきなりきみは立ち去ろうとする僕に名前を書いてと紙を渡した。きっと誰にでもそうしているのだろう。
ぼくはローマ字で名前を書いた。そして惹きつけられるがままに僕にもきみの名前を教えて欲しいといった。
別の紙にきみは何かを書きなぐり始めた。最初はなにを書いているのか
わからなかったけどどうやら生年月日だったようだ。
その後、苗字、ミドルネーム、名前を書いた。そのあと君は名前の部分を指してこれはそのままの意味じゃないといった。そこには美しいという意味が隠されているのだと。僕の意識はその瞬間にその文字達へと注がれた。 

Florentina

花ということのような、それが彼女がいうに美しいという意味が隠れていることに疑う余地はなかった。僕にとっては君の名前はまさに君を表しているのにほかなかった。

僕は急いでいたがそれよりも君との時間がとてもいとおしかった。
今日の青空のように君の目は澄んだ青い色をしていた。
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