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2023年07月22日19:07

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LSD ヘンリー6世第一部@阿佐ヶ谷地域区民センター

今年は史劇の年にするという宣言通り、上半期はヘンリー5世に始まり歴史を遡る形で
ヘンリー4世〜リチャード2世と演じてきましたが、下半期は時の流れに則ってヘンリー
6世3部作を月毎に、10月のリチャード3世で締めくくるという企画です

薔薇戦争8部作では美津香さんお気に入りのリチャード3世が単独でも演じられ、圧倒的
上演回数となっておりますが、ヘンリー6世の場合は史劇連続上演という機会でもないと
拝観することがありません
ワタシも本日のヘンリー6世は2014年に4日連続を2週間に亘って薔薇戦争全作品を制覇
したとき以来久しぶりです

前回と違って毎月1本ずつですから、余裕を持って事前準備ができる、小田島訳を2度読
みしました
そうでもしないと、登場人物は多いし、二派に分かれて争うにもイギリスとフランスの
対立に加えてランカスター家とヨーク家が王位を争い、さらにランカスター家の中でも
(王の)大叔父ウィンチェスター司教と叔父グロスター公は犬猿の仲であるなど、中々
複雑で頭に入りません(読みながら何度も配役表を読み返す)

ましてやバーガンディー公のようにフランス側ではあっても親英派だったのが、突如
愛国心に目覚め寝返りを打ったり、勇将トールボット卿を色仕掛けで籠絡しようとした
オーヴェルニュ伯爵夫人が手のひら返して籠絡どころか陥落してしまうなど、変わり身
の早さには付いていくのに骨が折れます(この場合節操のないのはすべてフランス側で
シェイクスピアの、つまり英国から見たフランス人感を表しています)

このヘンリー6世にも、敵前逃亡を繰り返すしょーもない騎士フォールスタッフが登場
しますが、彼はヘンリー5世の中で死んだはず、この場合シェイクスピアが執筆した順
はヘンリー6世の方が早いので、多分シェイクスピアはこの卑怯な行為で爵位を剥奪さ
れたフォールスタッフという人物を、人間的に魅力ある(決して善人ではないのですが)
存在に膨らませたのでしょう

この第1部ではヘンリー王は主役ではなく(そもそも3部ともですが)、単なる傀儡に
すぎず、脇を固めるいずれも一癖ある登場人物たちの群像劇であります
ドタバタとチャンバラ(LSDでは戦闘シーンはすべて省略)が繰り広げられる中、唯一
シリアスなのが勇将トールボット父子の戦死シーンで、互いに自分を見捨てて逃げるよ
うに相手を説得する、それが井上ひさし氏の父と暮らせばのあのジャンケンの場を思い
出させ、胸をえぐられるような名場面となっております(ここはさすがに美津香さんも
ギャグ仕立てにはしません)

例によってすべての登場人物を一人で演じるため、それぞれのキャラをデフォルメし、
それでもわかりにくいときには説明を加え、実に楽しい見物に仕立てておりました
会場には薔薇戦争8部作に登場する人物の相関図が貼られており、それをそのまま撮影
しても良かったのですが、特にわかりにくいヨーク公リチャード(なぜ彼が王位継承権
を主張するのか)に関する部分の拡大図をここに載せました

終演後はちょうど夕食時、前回のととやさんは勘定に問題があったので、本日は阿佐ヶ
谷ダイニングキッチンさんを再訪、ご多分に漏れず1割ほど値上げしていましたが、塩
麹香る生姜焼き定食に単品のチキンカツをプラス、アルコールも解禁の時間帯ですので
檸檬サワー(氷結レモンです)を奮発しました

さて、来月の第2部に備えて小田島訳を読み始めましょうか(頭に入れておくことで、
楽しみが倍加します)
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