最近まで知らなかったけど、『ロードス島戦記』って、じつは原作はイソップの寓話なんだね。
勇敢な戦士を自称してほら話ばかりしている男が、あるとき旅に出た。
帰ってきてから、旅先での自分の冒険譚を、身振り手振りをまじえてはなばなしく語った。
「ロードス島では、さしもの私も、ちょっと危ないところだった。
灰色の魔女の眷属に待ち伏せをされ、取り囲まれて、仲間ともども危地に立ったが、すぐさま私は、大きな跳躍をして敵を飛び越え、彼らの後ろ側から剣を振るって囲みを崩した。
そのときの私の勇姿を、見せてあげたかったね。
いや、うそじゃない。
いっしょに戦った仲間をここにつれて来さえすれば、いくらでも証人になってくれるよ。」
あまりのほら話に、我慢できなくなった聴衆のひとりがいわく。
「だが、君、もしそれがほんとうなら、何も君は證人を必要とすまい、ここにロドスがある、さあ跳んで見給へ。」(『アイソポース寓話集』岩波文庫 1942、54頁)
要は、ここがロードス島だと思って、実演してみせろといったわけね。
イソップは、そういわれたその男がどうしたかは、書いていない。
大きな跳躍をして、聴衆の頭のうえを飛び越えて、どこかへ行ってしまったんじゃないかと、私は、勝手に想像しているのだが。
それはさておき、この男(パーンというらしい)が語った冒険譚を詳しく書き伸ばしたのが、『ロードス島戦記』なのです。
これ、内緒の話なので、他所へ行っていわないようにね。
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