私の幼い頃、家には始終客が多く来ていた。
父が喘息で寝込んでいても、寂しがりやだった為に、見舞いも兼ねてなのか、あらゆる人々が来ていた。
「おぉ、純米ちゃん、ずいぶん大きくなったね〜」
「こっちにおいで、おじちゃんが抱っこしてあげる」
そこで抱っこされて、その後、小さな私のお尻を大きなオジサンの手でかなり強い圧力で、モミモミし始めたのだった。
私は、幼くても後に直感した。
このオジサンは働き者で、父が寝込んでいることを口実に見舞いには来ても、戦時中奥さんを無くし、ひとり息子さんを立派に育ててはいたが…
女遊びもせずに真面目、働き者だから、もしかしたら、ウチのお母ちゃん目当てに見舞いに来たのではなかったのかと…。
これは大人になってから、あの時なぜに私のお尻をムンギュと痛いほどつまんで抱っこしたのかを解析した結果論である。
まぁ、とにかく見舞いに来たと言いながら、この家に来れば酒が飲めるという魂胆が見え見えの知人ばかりで、感受性豊かな子供にすれば、ウチは貧乏なのに、なんでこんなに接待しなければならないのかと、冷たい眼差しで両親をみていた自分でありました。
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