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2022年01月30日23:47

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老人のお伽話 『クライ・マッチョ』

クリント・イーストウッド監督デビュー50周年を祝う本作は老人のお伽話だ。

荒馬に自在に操るロデオスターであった栄光は遠い昔。もはや老人であるマイク・マイロは雇い主のハワードに自身の息子――ラファエルこと不良少年の“ラフォ”をメキシコから連れ帰るよう依頼される。

老人と少年はトラブルつづきの旅の中で交流と信頼を積み重ねる。

全体としてはロードムービーのような体をなすが、旅中の場面はそう多くない。舞台の中心は旅の途中に車のトラブルで足止めされてしまうメキシコ国境付近の村の中だ。

本作はある種の「男らしさ」「男ならば」といったマチズモへといろどられた作品だ。

マチズモの象徴は当然老境のマイク・マイロ――クリント・イーストウッド。実際ラフォはマイクから生き方を学び、マイクはラフォを守る。この部分には90歳を超え、なおダンディズムと生涯現役を貫く俳優本人の生き方が関係する。まとった空気と風貌、メンターとしての台詞の説得力である。*1

しかしやはりこれは一言で表現するなら現実ばなれをした寓話に近い物語だ。

やたらマイクをかっこよくあげる展開や、国境の町で2人の世話を焼くダイナ―の女店主マルタがマイクと恋に落ちる、と、老人が夢見るような展開が続く。劇中のイーストウッドの姿にどうしたって加齢の影響が感覚できることも印象に拍車をかける。*2「起承転結が不足をした寸足らず脚本」もこれらを悪目立ちさせる原因だ。*3


※1 おそらくクリント・イーストウッドが監督・出演していないならば、一度頓挫した本作の企画を、ふたたびリブートしようとするプロデューサーはいない。

※2 90歳。さすがに演技は限界に近い。「老人」だという印象がぬぐえきれない。

※3 とにかく脚本はひどい。起承転結の「起」「承」の部分で物語が閉幕してしまうような感覚だ。
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