こっちが期待しすぎ、だったかも。
大阪 フェスティバルホール
大フィル第550回定期演奏会
カーチュン・ウォン指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター 須山 暢大)
リスト/交響詩「レ・プレリュード」
バルトーク/弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」
ウォンさんの指揮の魅力、というのは、やっぱりその意表をつくデフォルメ。えええ、こんなことするんや、という斬新な表現、ダイナミクスの変化、テンポの急変、などで、それが決して下品にならず、なんとも言えない上品さを湛えているところにある。
その魅力は、今回は、リストとムソルグスキーでそこはかとなく。もっと煽りにあおって一気呵成に聞かせるかと思われたレプレは、存外にゆっくり着実な歩みで進み、結構恰幅のいい演奏。ここでは、突然の弱音への落とし込みが、ジェットコースターのような効果を感じさせる。
展覧会の絵で感心したのは、各所で見せる冴えた響きのコントロール。「ヴィードロ」での長い長いクレッシェンドとデクレッシェンドを、ピーンと伸ばした左手一つでコントロールする様には、目を見張りました。また、「キエフの大門」でのプロムナード主題の混入のところで見せる、オケをまるまま大きな鐘に変貌させるかのようなやりようは、素直に胸躍らされるもの。
その一方で、山のように期待していた「弦チェレ」は・・・うーん。確かに達者な演奏ではあったものの、ギラギラした「野獣のようなキレ」には欠ける。こんなもんかなあ、と思いつつ、この曲の幾何学的で完璧なフォルムは、ウォンさん独特のロマンティックなやりようをよせつけないのかもしれないとも思いましたね。この曲に関しては、やはり予定されていたタパシュニクさんのほうが良かったかも。
それでも、代役としては十二分の活躍。次は、何で驚かしてもらえるのやら。
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