マイクル・コリータのNever Far Awayを読んだ

マイクル・コリータの新作Never Far Awayを読んだ。
彼らしいスリリングでスピーディな展開は、ドキドキしながら楽しめます。お勧めです。

10年ほど前の事、フロリダの田舎の道路に捨てられたニーナ・モーガンの車が発見された。
車の中には多量の血痕が残っており彼女が殺されたものと思われた。しかし道路の先にある橋のあたりから川から落ちたのか、死体は見つからず、一切の情報もなく警察は捜査を終了した。

しかし彼女は生きていた。

彼女は建設業界の大物ローリーから命を狙われて殺されたと見せかけ、名前を変え、家族と別れ、姿を消していたのだ。
ローリーの息子が知り合いの家族全員を避暑地に招待して皆殺しにしたのだ。彼女はローリーの会社に勤務していたが、その目撃証言をした。そのため、警察に追及されたローリーの息子は拳銃自殺。
ローリーは建設業界の大物で息子を溺愛して育てたのだ。ローリーは裏の世界があったが息子には紳士として育てたが、その最愛の息子を失ったのだ。
生きる希望をなくした大物実業家のローリーは怒り狂いニーナを殺すことに命をかけたのだ。
それから10年が経過して

ニーナと夫が話し合い、子供にも秘密にして絶対に連絡しないで１０年間名前を変えて遠く離れ暮していた。夫や子供を巻き添えにしないため決めたことだった。

しかし万一の連絡場所を父親から聞いていた娘から突然夫が急死したと電話があった。
ニーナには姉がいると教えられていたので連絡してきたのだが、娘、息子はリアが実の母親とは知らなかった。

そこでニーナは自分の娘、息子を救うため急遽フロリダに戻った。

ニーナが姿を見せるとローリーはすぐに殺し屋を送り込み始めた。
刑務所から移送中の殺人犯二人を逃亡させ、ニーナを殺すため追跡を始めた。
彼らは私立探偵に化け彼女を支援する人物を訪問しナイフで刺殺して情報を聞き出した。彼らはニーナの知り合いを次々殺しながらニーナの隠れ家を求め車でフロリダから北上した。

一方、ローリーの側近も脱獄した殺人犯にニーナ一殺しの命令が出たが、念のため別の殺し屋を探した。彼は若いダックスという一匹狼の殺し屋だが、何代も殺し屋家業のプロで過去にローリーの仕事もしていた。ダックスは側近を殺し、ボディガードも刺殺して、依頼を引き受ける返事もなく姿を消した。
彼とローリーの関係は分からないが、ニーナを追跡始めたのだ。一体どちらの味方なのかわからなかった。

しかしニーナ親子は水上飛行機で空路、メーン州の湖に姿を消した。
そこはメーン州のアラカシュ河に沿った原生林や、湖がありキャンプ場、別荘もある隠れるのには最高の場所だった。
ニーナは野生の森を旅するガイドをしていて、この原生林の中でなら、都会の殺し屋、ギャングとも対等に戦える可能性があると考えたのだ。
二人の殺し屋は田舎の住民も殺しながら、次第にニーナに迫ってきた。危険を感じニーナ達は別荘を出て森に逃げ込んだ。

森の中で隠れていたが、いつの間にか殺し屋も車でアラカシュ河にまできた。
一匹狼のダックスは水上飛行機をチャーターして湖までやって着た。
そしてこれから、この広大な原生林の中でcat and mouseの追跡劇が始まります。

ニーナ親子、二人組の殺し屋、若いダックス、そしてニーナの最後を自らの手で殺したいローリーが原生林の中で追跡、銃撃戦を繰り返すことになります。しかし、一匹狼のダックスは敵か、味方かわからないままです。12，3歳の子供達は殺し屋に追われているとは知らず、ニーナが実の母親とも知らず勝手な行動をとるのです。
逃走中に湖でニーナからカヌーではぐれた子供達をダックスが助けて、「自分と行動するか、ニーナが来るまで留まるか」を選択させたりします。それらが、絡み合って複雑なことになります。60年前にやっと開発され、人が訪れるようになった原生林、河、湖の自然の中での逃走、追跡は迫力があります。
後半の100頁ほどにスリリング、スピーディな展開と結末が凝縮されています。

冒険、探検好きならとても面白いと思います。
マイクル・コリータはロッククライミング、原生林走破などが趣味です