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2021年04月24日22:22

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クラシックとジャズの両方を聴いていて良かったと思ったこと

クラシックとジャズの両方を聴く人が、現在
どれくらいいるのかわからないが、
個人的なイメージでは、そういう人は
割合的には少ないのだろうと思う。

しかし、モダンジャズはアメリカのジャズが、
ヨーロッパのクラシック音楽の影響を受けて
発展してきたものである。

コルトレーンがストラヴィンスキーに影響を受けたとか、
エリック・ドルフィーがヨーロッパに行って
セヴェリィーノ・ガッゼローニにフルートを習ったとか、
オーネット・コールマンがクラシカルな弦楽四重奏曲を
作曲したとか、
そういう例はいくらでもあるのだろう。

実際、ジャズのアルバムを聴いていて、
これはむしろ、クラシック音楽のファン向けでは
ないかと思うこともたまにある。

それで今回は、そういう例を紹介したいと思う。


その1
エリック・ドルフィー「アウト・ゼア」(1961年)より
「Eclipse」

Eric Dolphy - Eclipse



わずか3分足らずの、静謐な美しさをたたえた小品。
2:10から終わりまで聴いて、クラシック音楽のファンなら
ストラヴィンスキーの作品と思う人が多いのではないだろうか。

ドルフィーのクラリネットによる急速なパッセージは、
弦の伴奏に対し、調性を外した、いわゆる
「複調」によるプレイが、
ジャズらしい自由なスィング感を伴って
強烈な印象をもたらす。


その2 
アルバート・アイラー「ゴーイン・ホーム」よりタイトル曲

Albert Ayler - Goin' home
https://www.youtube.com/watch?v=nWsolpfApCA

「ゴーイン・ホーム」は、いわゆる、
ドボルザークのアレである。

いままで、アルバート・アイラーの音楽は、よく
わからなかった。
スピリチュアル・ジャズの旗手といわれた人だが
騒音のような音を出したり、
特に、振り幅の大きなヴィヴラートが苦手だった。

しかし、ここでは、深く感情を込めた真摯なプレイが
見事で、聴いていて思わず引き込まれてしまう。
自由というか、好き放題に吹きまくっている
アイラーに対し、カール・コブスのピアノは
実に端正で美しい。
ドボルザークの原曲よりいいといったら言い過ぎか。
(あれはあまりにも聴き過ぎた、という、こちらの
事情もあるが)

この曲はアイラーの理解を深めるきっかけになるか。

この2つの音楽を聴いて、強く感じたのは
「孤独」「孤高」といったことである。
孤独だが、気高い、唯一無二の世界観。

これらを聴きながら、ヘルマン・ヘッセの

「ほんとうに、自分をすべてのものから
 逆らいようもなく、そっとへだてる
 暗さを知らないものは、賢くはないのだ。

 不思議だ、霧の中を歩くのは。
 人生は孤独であることだ。
 だれも他の人を知らない。
 みんなひとりぼっちだ。」

という詩を思い出した。

今回あげた音楽を聴いて、
クラシックファンもジャズファンも
聴かなければならない音楽があるということを
強く感じたのだが、
こういう音楽は、かえって、どちらのファンからも
敬遠されてしまう、という結果なのは残念だ。
これらの音楽が、ひとりでも多くの人に
聞かれることを願ってやまない。


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